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ポイント
・コンセプションケアは適切な時期に適切な知識・情報を女性やカップルを対象に提供し,将来の妊娠のためのヘルスケアを行うことである。
・ヘルスリテラシーとは,健康や医療に関する情報を入手し,理解し,評価し,活用する能力である。
・多くの環境において思春・青年期を含めた女性の栄養状態は主要栄養素,微量栄養素ともに不足しており,この状況は女性の現在,将来の健康のみならずその子どもたちの健康にも悪影響を及ぼす。
・20代女性では約5人に1人がやせといわれており,不妊や低出生体重児の原因となりうる。
・現時点で,「妊娠しやすくなる」ことが科学的に証明されたサプリメントはない。
・葉酸は,細胞増殖に必要なDNA合成に関与しており,受胎期における母親の葉酸欠乏は,胎児の二分脊椎症や無脳症などの神経管閉鎖障害のリスクを上昇させる。
・遺伝的要因は強く影響するため,食物アレルギーの家族歴があると次子がアレルギー疾患を発症する可能性は高い。
・「絶対禁止ですか?」という質問をするということは「悪いということはわかっているがちょっとならよいと言ってほしい」「ここまでならよいというラインを知りたい」という意図がある。
・茶類やコーヒーにはカフェインが含まれており,特にコーヒーはカフェイン含有量が多い。
・妊娠中のトキソプラズマ初感染による先天性トキソプラズマ症のリスクを回避するために,加熱が不十分な肉類の摂取を避けることが推奨される。
・食品添加物には保存料,着色料,甘味料などが含まれ,厚生労働省が食品添加物の指定や成分規格および使用基準を定めている。
・カルシウムは乳製品以外にも魚介,豆類,野菜類から摂取できる(食品名は表1参照)。
・鉄は,赤身の肉や魚の血合いから効率的に摂取できる。動物性食品におけるヘム鉄は,非ヘム鉄よりはるかに吸収効率が高い。
・生野菜も煮炊きも,野菜を摂取することは問題ない。
妊婦のフルクトース摂取については肯定的報告,否定的報告ともあるが,果物にはビタミン,ミネラル,食物繊維などの栄養成分が豊富であり,全体的なバランスを考えて1日2~3個程度の果物を偏ることなく摂取することが望ましい。
・唐辛子の辛みの主成分であるカプサイシンの摂取は,糖尿病,肥満,メタボリック症候群などを改善する可能性がある。
・妊活に有効である確かなエビデンスのある漢方薬はない。
・細菌性腟症においてLatobacillusを含むプロバイオティクスの投与は細菌性腟症の治療に有用であることが報告されている。
・顕性甲状腺機能亢進症や顕性甲状腺機能低下症は妊娠前に十分なコントロールが必要である。
・近年,高血圧合併妊娠は増加傾向であるが,高血圧合併妊娠はハイリスク妊娠であり,加重型高血圧腎症や早産,低出生体重児などの合併症が高いことが明らかとなっている。
・妊娠初期の母体高血糖は胎児形態異常や流産と関連するため,妊娠前から厳格な血糖管理を行い,良好な血糖コントロール下に計画妊娠を行うことが重要である。
・妊活としての糖質制限ダイエットは,受精後の胞胚・胎盤絨毛の形成に望ましくない影響を与える可能性が高い。
・体重減少性無月経は摂食中枢の異常に関連して視床下部の機能低下が原因と考えられている。大部分は第2度無月経である。エストロゲンの基礎的な分泌が減少し,無月経に至る。第1度無月経の場合には,視床下部からのGnRH分泌異常による。明らかな器質的疾患が認められない機能性視床下部性無月経である。
・妊娠前の肥満は,2型糖尿病,高血圧のリスクが増加するだけでなく,排卵障害による不妊の原因となり,妊娠しても妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などのリスク,児の将来の生活習慣病発症リスクを増加させる。
・やせは卵巣機能に大きな影響を与え,妊娠成立に悪影響を及ぼすことがある。
・肥満は,さまざまな合併症(妊孕性低下や流産,妊娠高血圧腎症,妊娠糖尿病,死産,巨大児,肩甲難産,分娩後異常出血)と関連する。
・アレルギー疾患の発症予防のために,妊娠中の母親が特定の食物を除去することは推奨されない。
・アレルギー疾患の発症予防のために,推奨されるサプリメントはない。
・サプリメントはあくまでも健康補助食品であり,妊婦であっても栄養素の摂取は食事からが基本である。
・EPAをはじめとするω-3系脂肪酸は必須脂肪酸であり,妊婦の健康維持,胎児の発達に重要な役割を果たし,さまざまな効能が示されている
・出産まで葉酸サプリメントを摂取することによる有害事象はない。
・妊娠中バランスのよい食生活を考えてもらうことが重要であり,ビタミン剤などのサプリメントは,あくまで補助食品であることを理解してもらう。
・妊娠中は非妊娠時のエネルギー必要量に妊娠時期に応じたエネルギー付加を行う。
・低グリセミックインデックス(GI)食は,食後に血糖値の急上昇が生じにくい食品であり,血糖値スパイクが生じにくくなる。
・糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病などの糖代謝異常を合併する妊婦にとっては,医療者の管理下で行う治療目的の糖質制限は重要である。
・感染症・食中毒予防のため,生野菜・果物は,しっかりと洗うことが必要。
・一般的に妊娠中は免疫力が低下しているため,非妊娠時よりも食中毒を含めた感染症に注意する必要がある。刺身では腸炎ビブリオ,サルモネラ,病原性大腸菌,ノロウイルスの感染が起こりうる。摂取を必ずしも控える必要はないが,衛生面での留意は必要である。
・適切に栄養摂取を考えた菜食であれば,継続して大丈夫です。適切な菜食ができるような確認・指導が大切です。
・アルコールは催奇形性物質であり,妊娠中の母親の飲酒は,胎児に影響をもたらす可能性があり,胎児性アルコール・スペクトラム障害(fetal alcohol spectrum syndrome:FASD)とよばれる。
・ハーブティーの中には,「安産のためのハーブ」といわれているものがある。
・妊娠中のコーヒーや紅茶,お茶の摂取は,それらに含まれるカフェインやポリフェノールの胎児への影響を考慮する必要がある。
・妊娠中のキシリトール摂取のヒト 胎児への影響については報告がない。
・妊娠中は,鉄需要が増大するため,1日に約2〜4 mgの鉄分の摂取が必要である。
・妊娠高血圧症候群の発症予防としての全妊婦へのカルシウム補充療法については,現時点でその有用性は示されておらず推奨されない。
・妊娠中には生肉や加熱不十分な食肉を食べないようにする。ヒツジ,ヤギの食肉に加え,ジビエ料理には,特に注意が必要である。
・プレコンセンプションケアとして,肥満の合併がある場合,妊娠前の生活習慣の介入により減量を図る。
・体重増加量が影響すると考えられているアウトカムとわかっていないアウトカムがある
・妊娠前の体格によって推奨体重増加量が異なる。
・肥満妊婦では妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,巨大児,帝王切開分娩,死産のリスクが上昇する。
・低体重妊婦では子宮内胎児発育遅延,早産,児の生活習慣病発症のリスクが上昇する。
・妊娠中は妊娠黄体や胎盤から分泌される黄体ホルモンや,増大した妊娠子宮の消化管への圧迫の影響で便秘になりやすい。
・妊娠して尿が近くなるのは多くは妊娠に伴う生理的な変化であるが,糖尿病や膀胱炎などの疾患が存在していないか注意する。
・元来日本人は食物から一定の内部被曝がある。2008年の報告からはその量は0.99ミリシーベルト(mSv)である。世界平均は0.29 mSvで日本人は元来食物由来の被曝は世界平均に比して多い。
・妊婦の食品添加物摂取量は,許容一日摂取量よりはるかに少なく,妊婦と胎児に影響を及ぼさないと考えられる。
・魚介類の摂食は妊婦と胎児に重要で,欠かすことができない食材である。
・糖尿病など一部の既往症のある成人では,断食の健康上の害が指摘されている。
・日本には双胎妊婦の体重増加量の推奨値はない。
・妊娠高血圧症候群の発症は環境因子や食事をはじめとする生活習慣との関連が強い。
・妊娠初期を含め,妊娠中の薬の使用はベネフィットとリスクを勘案し行う。
・栄養ドリンクやビタミン剤は通常の使用量であれば妊娠初期に摂取しても大きな問題はないと考えられる。
・ビタミンAは,催奇形性のある数少ないビタミンではあるが,欠乏すると眼所見として暗順応障害が生じ,やがて夜盲症となる。角膜上皮や結膜上皮の角質化によって角膜や結膜が肥厚し,ビトー斑という泡状の沈殿物が白眼に現れる。また,皮膚でも乾燥,肥厚,角質化が起こる。よって,催奇形性に神経質になり過ぎないように指導しなければならない。あくまでもサプリメントやレバーの食べ過ぎなど過剰摂取を控えるように指導する。
・妊娠中のアルコール飲料摂取,食中毒を引き起こす微生物(生ものなど)は控えるべきであるが,その他の食品では過剰摂取に注意する。
・妊娠前体重の5%以上もしくは3 kg以上の体重減少があり,頻回の嘔吐を伴い,尿ケトン陽性である場合,「妊娠悪阻」と診断される。
・食べられるものを食べられるときに,無理のない範囲で食べる。
・つわりの悪心・嘔吐の治療薬として,ビタミンや制吐薬,漢方薬があげられる。
・経口で十分に水分摂取ができないのであれば点滴は受けたほうがよい。
・摂取可能な食品の中で,なるべく偏りのない食事を心がける。
・過度な体重増加はLGA(large for gestational age),巨大児,帝王切開分娩のリスクを高める。
・妊娠中の鉄の摂取を含めた食事管理は周産期予後に影響する。
・糖質の摂取量は総エネルギーの55%程度を占めるようにし,脂質もエネルギー比率で20〜30%程度摂取する。
・妊娠初期における異常高血糖は先天的形態異常の発症リスクである。
・臨床的に蛋白尿と診断されるのは,一般的に蛋白尿が1日150 mgを超える場合である(妊娠蛋白尿あるいは妊娠高血圧症候群では1日300 mgを超える場合である)。
・妊娠糖尿病(GDM)は糖尿病よりも軽症の母体高血糖であり,糖尿病ではない。
・妊娠中は,循環血漿量の増大や胎児・臍帯・胎盤中への鉄貯蔵による鉄需要の増大により,生理的に貧血になりやすい状態である。
・妊娠中の体重増加量の推奨値は妊娠前の体格によって異なる。通常7~12 kgの体重増加が推奨されるが,BMI<18.5のやせ妊婦は9~12 kg,BMI>25の肥満妊婦は5 kgを目安とし,個別の対応が必要である。体重を減らすことを目的とした妊娠中の過剰なダイエットは推奨されない。
・妊娠前の味噌汁や納豆の摂取は妊娠34週未満の早期早産を予防する可能性がある。
・ラクトフェリン(lactoferrin:LF)は初乳中に多量に含まれる糖蛋白である。
・プロバイオティクスとは,適切な臨床研究により健康上有益な効果をもたらすことが示された微生物のことで,クロストリジウムも含まれる。
・オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸はいずれも必須脂肪酸であり,食事から摂取される量が体内の比率に直結する。
・少量の食事を数回に分けて,ゆっくりと食べ,固形食物の摂取の合間に水分を摂る。
・ポリフェノールは胎児の動脈管開存の維持に必要なプロスタグランジンを抑制する。
・妊娠後期の浮腫の原因として最も頻繁なものは妊娠の影響による生理的浮腫であり,経過観察でよい場合が多い。
・胎児が小さい原因としてはさまざまなものがあり,妊娠前の体格が痩せていて妊娠中の体重増加が不十分な場合には母親の食生活が原因である可能性がある。
・「肥満妊婦」の定義は世界的には確立していないが,日本では一般にBMI>25とされている
・妊娠糖尿病は,妊娠中に発症する軽度の糖代謝異常であり,妊娠終了後インスリン抵抗性の改善に伴い耐糖能が正常化することが多い。
・妊娠高血圧症候群で食事療法を受けており,分娩後も高血圧・蛋白尿が持続する場合は分娩後の食事療法は必要である。
・肥満の定義は国や人種によって異なるので注意する。
・アトピー性皮膚炎の母親が母乳を飲ませる上で最も注意を要することは,母親の使用する薬剤の母乳中への移行である。
・骨密度の低下は妊娠期間を通じても生じるが,授乳中は明らかに程度が強く認められる。
・授乳期間中は,乳児へのカルシウム量を確保するために骨吸収増大と尿中排泄抑制を主とした機構が働く。
・授乳婦人がコーヒー,紅茶の飲用を危惧するのは,それらに含まれるカフェインについてと考えられる。
・母乳中のアルコール濃度は母体血中濃度と同じなので,飲酒直後に授乳した場合,児もアルコールを摂取することになる。
・授乳中の食事は,肉,魚,卵,大豆料理をバランスよく摂り,不足しがちなビタミン・ミネラルを緑黄色野菜で積極的に摂取することが勧められる。
・母乳栄養には多くの利点があり,児の感染症罹患率を低下させ,児の認知能力発達を促すことなどが知られている。
・一部例外を除き,一般的に授乳中に使用した薬剤が乳児に大きな影響を及ぼすことは少ない。
・染毛剤が頭皮から母乳へ移行する可能性は極めて低い。
・母乳の匂いは食事によって影響を受けることがわかっている。
・母乳産生には諸要素が関係しているので個人差がある。
・母親がサプリメントを服用した場合,乳汁移行量はわずかで児への影響も少ないと考えられるが,注意すべき点があることを踏まえてサプリメントを選ぶ。
はじめに
日本人の若年女性の食生活と生活習慣を,国民健康・栄養調査の結果から紹介する。国民健康・栄養調査は1945年に行われた国民栄養調査が始まりであり,1947年から2002年までの報告が「国民栄養の現状」として厚生労働省のWebサイトで公開されている1)。現在は健康増進法(平成14年法律第103号)に基づき,「国民の身体の状況,栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし,国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的」として,毎年実施されており,2003年以降の結果は,「国民健康・栄養調査結果」として,厚生労働省のWebサイトで公開されている2)。なお,2020年および2021年は,新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されており,最新の報告は 2019年のものとなる。本稿ではこの2019年の結果を中心に紹介する。
新型コロナウイルスの流行が拡大して2年以上が経過した。感染拡大に伴って,外出の自粛が要請され,就業者では在宅勤務の実施や会議のオンライン化,学生も学校の休校や自宅学習の実施,授業のオンライン化,部活動の縮小など,日々の生活が大きく変わった。
拒食と偏食
拒食とは過度な食事制限により低体重になる摂食障害の一つであり,ボディイメージの歪みや,やせ願望による食行動異常を認め,精神症状に加え身体症状が出現し,飢餓状態や低栄養が進行すると致死的となる。一方,偏食は「食品の好き嫌いが極端であり,ある特定の食品を食べられない」という食の問題で,成長や発育に不可欠な栄養素の不足により健康に影響を与える可能性がある。病的なボディイメージの歪みはみられず必ずしも低体重にはならない。
妊娠すると母体の循環血液量は妊娠初期から増加を始め,妊娠20週以降から増加は急速となり,妊娠32〜34週にピークに達し,妊娠末期には非妊娠時より40〜45%の増加となる。これは子宮胎盤ユニットと胎児を含む重要臓器の十分な灌流維持と,分娩時の出血に備えたものと考えられる。この循環血液量の増加にもかかわらずそれに伴った血圧上昇は認めないが,これは血管内皮細胞から分泌される血管拡張因子による血圧調節機構が働いているためである。一方,妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)のように血管内皮機能障害が発生すると,この血圧調節機構が破綻することにより血圧上昇を認め,母児ともにさらに重篤な病態に至る場合も存在する。また,妊娠中の栄養については母体の栄養代謝のみではなく,胎児の成長にも大きな影響を及ぼすものである。妊娠中の栄養異常は血管内皮機能障害の原因ともなり,母児ともに悪影響を及ぼす可能性がある。本稿では妊娠中の血管内皮機能と栄養との関係につき概説する。
基礎代謝量とは主要な生理機能や体温維持のための熱産生,排泄などを円滑に営むために必要な最小限のエネルギー量のことであり,いわばヒトが生きていく中で必要な最小限のエネルギー量のことである。妊娠中に必要なエネルギー量が同年代の成人女性よりも多いのは,胎児発育のためのエネルギー量を確保する必要があるというだけでなく,妊娠経過とともに基礎代謝量が増加することも寄与している。本稿では,基礎代謝量の定義と推定方法,および妊娠中の基礎代謝の変化と最新の測定方法について解説する。
我々の体重の増減は,摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスで決まる。そして多くの場合,過剰なエネルギーは体脂肪の形で貯蔵されることになる。蛋白質や炭水化物を摂り過ぎても脂肪として貯蔵されるのは,脂肪は重量当たりのエネルギーが多いこと(蛋白質や炭水化物は1 g当たり4 kcalのエネルギーを生み出すのに対して,脂肪は1 g当たり9 kcalのエネルギーを生み出す),貯蔵に際して水を必要としないことなどから,効率よくエネルギーを貯蔵できるためである。
日本人は,元来放射線(自然放射線)とともに生活している。
食中毒の定義に関しては諸説あるが,食品衛生法第64条に「食品,添加物,器具または容器包装に起因し,または起因すると疑われる疾病」という記載がある1)。原因についてはさまざまなものが報告されているが,ウイルス性と細菌性のものが代表的である。その場合,多くは急性の胃腸障害(嘔吐,腹痛,下痢などの症状)をきたすこととなる。本稿では一般的な食中毒のうち,カンピロバクター,ノロウイルス,リステリアについて,妊婦との関連を踏まえ解説する。
トキソプラズマとは
トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)はアピコンプレックス門に属する単細胞生物でネコ科の動物を終宿主とする細胞内寄生原虫である。中間宿主としてヒトのほか,ブタ,ヤギ,ネズミ,ニワトリなど,200種類以上の哺乳類や鳥類などの恒温動物に感染する。ヒトの感染症としては世界中でみられるが,有病率は地域により差がある。
妊婦の健康と胎児の適正な発育のためには,妊娠前から産褥期にかけて「日本人の食事摂取基準」を満たす食生活が望ましい。しかしながら我が国の女性の食習慣にはさまざまな問題があり,出生児のその後の栄養状態にも影響することがわかってきている。妊娠中には悪阻という妊婦特有の時期や,周産期合併症ごとに母体と胎児の双方を考慮した栄養管理が必要である。本稿では日本人女性の食の現状と妊娠中から産褥期にかけての栄養評価について解説する。
妊娠中には,さまざまな嗜好品の摂取についてしばしば妊婦や家族から質問を受けるが,いずれも過量摂取であれば母体あるいは胎児に何らかの悪影響をもたらすことは容易に推測できるが,許容摂取量あるいは禁忌については明確に回答することがなかなか困難であろう。本稿ではタイトルにあるように,市販飲料水,嗜好品(カフェイン,アルコール,タバコ)の現在までの知見について概説する。
WHOは,非感染性の慢性疾患をnon-communicable diseases(NCDs)とし,心血管障害(心筋梗塞や脳卒中など),糖尿病,慢性呼吸器疾患,悪性新生物の4病型をあげており1),NCDsの急増に警鐘を鳴らしている。近年,英国を中心とした疫学研究から「胎児期から発達期に至る環境が成人期あるいは老年期におけるNCDs発症リスク因子形成に重要な役割を果たす」というdevelopmental origins of health and disease(DOHaD)学説が提唱されている2)。妊娠中の栄養環境は低栄養および高栄養ともに児のNCDs発症に影響を及ぼすことが諸家より報告されている。
胎児はその発育に必要な構成素材やエネルギーなどの栄養物質のすべてを母体に依存して成長するが,これら栄養物質はすべて胎盤を介して母体血中より胎児血中へ供給されている。この胎児がたどる発達成長の過程は新生児や成人のそれと比べ驚異的ともいえるぐらいに急速である。しかし,胎児における代謝調節機構にあずかる酵素系の未熟性を考えると,胎児自身が営む代謝のみでこの急速な発育をとげるのは不可能であり,胎児と母体-胎盤における協調的な代謝調節機構の存在が重要であると考えられる。
妊産婦の食事摂取基準
食事摂取基準とは健康を保持し,毎日の生活を健全に営めるようにするためには,どのような栄養素をどのくらいとればよいかというエネルギーおよび各栄養素の摂取量の基準を示したものである。以前はエネルギーや栄養素の欠乏の予防という点が重視されていたが,最近では生活習慣病の予防や過剰摂取による健康障害の予防も目的としている点に留意すべきである。このような背景下,厚生労働省は日本人の食事摂取基準を5年ごとに策定し改定しており,現在の食事摂取基準は,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」1)によるものである。
妊娠中の適切なビタミン摂取は母体の妊娠維持および児の発育にとって重要である。十分なカロリーと蛋白質を含む通常の食事であるならば,妊娠中に必要量が増加するビタミンの大半は充足できる。開発途上国では一般的な総合ビタミン剤の補給によって低出生体重児と胎児発育不全の発生率を低下させたが,早産や周産期死亡率は変わらなかったという報告もある1)。一方,肉類や穀物,糖質,脂肪の摂取が多い先進国ではビタミンDなどが特に不足しやすく,野菜摂取の少ない偏った食事による複数の微量元素不足が問題となる。妊娠中のビタミン摂取は母体の代謝に関与するばかりではなく児の出生後の発育に関与するため極めて重要である。本稿では妊娠中のビタミンおよび食物繊維摂取とその必要性に関して解説する。
葉酸とは
葉酸は水溶性ビタミンの一種とされている。食事などから摂取された葉酸は,核酸(DNAおよびRNA)合成ならびにアミノ酸の代謝において,一炭素転移の補酵素または補助基質として機能する。葉酸欠乏環境下ではホモシステインからメチオニンへの変換が滞ったり,デオキシウリジル酸からチミジル酸へのメチル基転移が滞ったりすることで,正常な細胞分裂が阻害され,巨赤芽球性貧血などの健康障害を発症することがある。またホモシステインの蓄積は動脈硬化に悪影響を及ぼすとされる。
鉄は,赤血球のヘモグロビン産生や細胞のDNA合成,ミトコンドリアの機能など細胞の生存に関与する必要不可欠な金属元素である。鉄が不足すると貧血に至り,逆にその過剰は細胞・組織障害を引き起こす。そのため,体内での鉄の量は一定範囲内に調節されるように厳密に制御されている。生体内での鉄の吸収と排泄はわずかで,ほとんどの鉄が再利用される半閉鎖的回路で代謝される。女性は,月経による鉄喪失や妊娠による母児の鉄需要に伴い鉄欠乏に陥りやすい。食品からの鉄吸収率は低いため毎日継続して摂取することが望ましく,鉄欠乏性貧血と診断された場合には鉄剤の投与が必要である。
ミネラルとは,生体を構成する主要4元素である炭素,水素,酸素,窒素以外の必須元素のことである。骨や歯など生体組織の構成成分になるほか,浸透圧の調整や酸塩基平衡,筋肉・神経などの刺激に関与し生体機能を調節したり,蛋白質や脂質の成分となったり,酵素の補助因子やホルモンの成分になったり,種々の働きをもつ。そして,体内では合成されないため,外部より摂取しなければならない無機質である。ミネラルは体内に約5%存在し,比較的多く存在するのがカルシウム,リン,カリウム,ナトリウム,マグネシウムであり,これらを多量ミネラルとよぶ。
妊娠第1三半期に認める悪心・嘔吐を中心とした消化器症状をつわりという。つわりが重症化し,体重減少,脱水,アシドーシス,電解質異常を呈する病態を妊娠悪阻という1)。妊娠悪阻の病因は明らかでなく,内分泌,感染,心理,社会,遺伝などの要因によって引き起こされていると考えられてきた。一方で,妊娠悪阻の重症度と持続期間は遺伝することが報告されており,妊娠悪阻の重症化には 遺伝的な素因が強く関係している可能性もある2)。つわり・妊娠悪阻は,妊婦を診療する医療者であれば日常的によく遭遇する疾患であり,型通りの診療になりがちである。今回は,妊娠悪阻に対する日常の管理を振り返る意味で,特に栄養学的に留意すべきことを中心に解説する。
妊娠高血圧症候群の発症には多くの因子が関与している。なかでも生活習慣,特に栄養管理は特に重要な要素といえる。妊娠高血圧症候群については,2018年に定義分類の大幅な改定が行われ,既存の高血圧症患者が妊娠した場合も妊娠高血圧症候群に加えられることになった。その際のプレコンセプションケアについては別稿を参照してほしいが,参考までに定義分類の概略,リスク因子についても初めに記載する。
妊娠中に取り扱う糖代謝異常には,1)妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)2)妊娠中の明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)3)糖尿病合併妊娠(pregestational diabetes)の3つがある。
腎臓の機能は体内の老廃物の排泄,水・電解質・酸塩基平衡の調整と維持,エリスロポエチンの産生,ビタミンD活性化などである。そのため自己免疫疾患,高血圧や糖尿病などの生活習慣病,感染,加齢,遺伝子異常などにより糸球体や尿細管,間質へ障害が及ぶと腎機能低下が生じ,浮腫,高血圧,電解質異常,尿毒症,貧血,骨の脆弱化,乏尿・無尿へと移行し,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)をきたす。本稿ではCKDに代表される腎疾患と妊娠との関係について説明するとともに,腎疾患を合併した妊婦において望まれる栄養摂取についても概説する。
概念
心疾患に対する治療成績は向上しており,生殖年齢に達する心疾患を有する女性は増加している。心疾患女性の妊娠は不整脈などを含めれば総妊娠数の2~3%に達するとされているが,日本産婦人科医会と妊産婦死亡症例検討会の報告1)では,心血管系合併症が原因で発生する妊産婦死亡は全体の約10%である。これは全妊娠に占める心疾患合併妊娠の比率より高く,心疾患合併妊娠はハイリスク妊娠といえる。しかし,多くは妊娠に耐えうる心疾患であること,また,良好な妊娠予後が期待できない場合,妊娠を事前に回避していることから無事に分娩を終えていることがほとんどでもある。その場合でも,適切な集学的管理は必要で,栄養と食事についてもその大切な要素の一つである。本稿では,心疾患に特有な栄養管理について述べるが,その理解を深めるために循環に関わる妊娠中の生理的変化をまず概説する。
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn's disease:CD)の2つに大別される原因不明の炎症が消化管に慢性的に生じる疾患である。IBDは主に20代を中心とした若年者に好発するため,必然的にIBD患者が妊娠というイベントに遭遇する頻度は高くなる。IBD患者の周産期における栄養摂取については,特異的に摂取が必要な栄養素はないとされている。そのため,特に寛解期のIBD患者では,通常の妊娠とほぼ同等な管理を行っても大きな問題とならない。しかしながら,IBD,特に小腸病変のあるCD患者においては疾患活動性のコントロールに食事療法が有効であり,また活動期のIBDでは腸管病変により栄養摂取障害ないしは蛋白漏出などが生じることがあるため,これらの考慮が必要となる。さらに妊娠中のIBDの活動性は周産期異常のリスクが高くなるため,妊娠計画期より分娩後までを通じてIBDの病勢コントロールを行うことがとりわけ重要である。本稿では,IBDにおける栄養療法と食事について,特に周産期の栄養管理に重点をおいて概説したい。
妊婦中の貧血の定義
妊娠に伴う生理的な血液希釈により,妊婦ではヘモグロビン(Hb)値およびヘマトクリット(Ht)値が非妊娠時と比較して低下する。こうした生理的な変化は血液の粘性を低下させて血栓塞栓症発生に対して防御的な因子となる一方で,過度の貧血は母児の周産期予後の悪化につながる可能性がある。日本産科婦人科学会は,妊娠女性にみられる貧血を妊婦性貧血とし,その中で小球性低色素性で,血清鉄低下や総鉄結合能(TIBC)上昇など鉄欠乏が確認されるものは妊娠性鉄欠乏性貧血と定義している1)。世界保健機関(WHO)の基準では,妊婦の貧血をHb値 11.0 g/dL未満,Ht値33.0%未満と定義している。妊娠期間によって基準が異なり,妊娠初期と末期では,貧血を診断するためのHbの閾値は11.0 g/dLであり,妊娠中期では10.5 g/dLである。生理的血液希釈のため,成人女性の貧血基準(Hb値 12.0 g/dL未満,Ht値 36.0%未満)より低く定義されている2)。
母体の生理学的変化
まず,母体の生理学的変化を説明する。内性器の変化でみると非妊娠時の子宮は鶏卵大で,重量約70 g,容量は10 mL以下の臓器である。妊娠すると子宮筋層は柔らかくなり,子宮内容物の増大とともに子宮自体も増大する。妊娠末期では容量4 L以上を保てるようになる。同時に,卵巣・卵管も充血して腫大,あるいは浮腫状となる。周囲の血管・リンパ管は密に分布して,静脈は著明に怒張する。乳房の変化としては妊娠初期から乳房の腫大が始まり,第1次乳輪,第2次乳輪が形成され,皮脂腺が肥大してモントゴメリー腺を形成する。乳腺の発達とともに乳房も腫大していく。水代謝の観点では妊娠初期から水分を貯留する傾向となる。これは妊娠により抗利尿ホルモン分泌の浸透圧閾値が低下し,また飲水を促進することによる。循環血液量の増加は妊娠初期から始まり,妊娠32~34週でピークとなり,最終的に約40%増加することになる。
妊娠中体重増加量(gestational weight gain:GWG)は妊娠前body mass index(BMI)とともに児の出生体重や周産期合併症に影響を与えうる。産婦人科診療ガイドライン産科編2020を参照すると,健やか親子21,日本肥満学会「肥満症診断基準2011」,米国Institute of Medicine(IOM)の推奨値が掲載されている。さらに,2021年3月には日本産科婦人科学会より新たな「妊娠中の体重増加指導の目安」が示された。本稿ではGWGについて概説する。
妊娠中の母体体重増加量(gestational weight gain:GWG)が胎児発育に影響することは,これまで国内外から多くの観察研究で示されている。GWGを妊婦に指導する際,米国およびその他独自のGWG基準をもたない国の多くは,2009年に米国Institute of Medicine(IOM)が出したGWGに関するガイドライン1)を用いている。一方,英国では栄養が懸念される場合を除いて,妊娠中に繰り返し体重測定を行うことを推奨していない2)。また,日本や中国,スウェーデンなどのように独自のGWG推奨値や目安を策定している国もある。IMOガイドラインが出されて12年余り経過し,その間GWGへ介入を行うランダム化比較試験(randomized clinical trial:RCT)による報告も増えてきている。GWGと胎児発育の関係やGWGへの介入の結果などにつき,IOMや日本からの報告に基づいて述べる。
水血症とは,血液が血漿の増加により希釈された状態のことで,妊娠による生理的変化と考えられている。妊娠中は赤血球量も増加するが,血漿量の増加が相対的に大きいため,ヘマトクリット(Ht)値,ヘモグロビン(Hb)濃度は低下し水血症となる。妊婦は鉄需要も増大することから鉄欠乏性貧血になりやすく,貧血との鑑別が重要となるが,両者がoverlapしている場合もあり,鑑別が困難なことも多い。鉄欠乏性貧血の正確な診断には,血清鉄やフェリチンの測定が必要であるが,簡便な方法として平均赤血球容積(MCV),平均赤血球色素量(MCH)がある。Ht値,Hb濃度が低値でMCV,MCHが正常な妊婦に鉄剤を投与しても,なかなかHt値,Hb濃度の改善がみられないことをよく経験するが,それは水血症による可能性がある。
全妊娠期間の生理的体重増加は約10 kgで,胎児および付属器の発育や子宮の増大に加えて乳房の増大,循環血液量や体液量の増加,皮下脂肪の貯留などが関与している。酸素消費量は約20%,基礎代謝率は約10%増加する。妊娠中の糖・脂質・蛋白質代謝は,主に胎児の発育のために大きく変化する(図1)。妊娠初期から中期にかけて脂肪は蓄積されるが,胎児発育が急速となる後期にはエネルギー消費が増大し減少する。蛋白質も母体に蓄積され,胎児発育に利用される。
脂肪細胞由来のサイトカインをアディポサイトカインとよび,ケモカインも含めてアディポカインと総称することもある。今世紀に入り多くのインスリン抵抗性疾患解明が進む中で,脂肪細胞・脂肪組織に由来する液性因子が多く同定され,脂肪組織自体が巨大な内分泌臓器と捉えられるようになったことに関連している。
背 景
妊娠可能年齢の女性の食生活には朝食の欠食・野菜不足,体格にはやせなどの問題がある。
・母乳は子どもにとって最適な栄養であり,成長・発育・発達を支え,感染症をはじめ多くの疾病予防に寄与する。
・正期産で生まれた健康な児は,生後6か月間は母乳だけで十分な栄養を得ることができる。
・産後早期に頻繁に授乳することはプロラクチン受容体の数を増やすため,母乳育児の成功に大きな役割をもつ。母乳分泌が確立した後は児が飲み取る量によって母乳産生は決まってくるため,児が欲しがるときに欲しがるだけ授乳をしていると母乳産生も維持される。
・日本人の母乳中には,環境汚染物質であるダイオキシン類やメチル水銀がわずかながら含まれている。
・母乳の成分は食事のみの影響を受けるのではなく,母親の体内の蓄積も含めた利用可能分より産生される。
・ビタミンK2シロップは,哺乳確立時に1回目,生後1週または産科退院時のいずれか早い時期に2回目,その後は生後3か月まで週1回(計13回)投与する。
・母乳性黄疸の多くは治療を必要とせず,生後4か月までに自然に改善する。
・新生児の便は母乳栄養と人工乳栄養によっても異なり,便の回数や性状の変化は病的意義に乏しいことが多い。
・摂食・嚥下機能の発達は,反射運動から学習によって獲得する咀嚼運動へ移行する。
・生後4~5日頃までは,呼吸と嚥下の協調運動のずれが出ることがあり,酸素飽和度が下がることがある。
・WHO(世界保健機関)では生後6か月までの完全母乳育児,6か月以降は補完食(離乳食)+母乳,その後2歳以降までの母乳育児の継続を推奨している。