増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
母体の栄養
3.病態栄養と食事
6)炎症性腸疾患
南木 康作
1
Nanki Kosaku
1
1慶應義塾大学医学部内科学(消化器)
キーワード:
炎症性腸疾患
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
Keyword:
炎症性腸疾患
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
pp.306-309
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000533
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はじめに
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn's disease:CD)の2つに大別される原因不明の炎症が消化管に慢性的に生じる疾患である。IBDは主に20代を中心とした若年者に好発するため,必然的にIBD患者が妊娠というイベントに遭遇する頻度は高くなる。IBD患者の周産期における栄養摂取については,特異的に摂取が必要な栄養素はないとされている。そのため,特に寛解期のIBD患者では,通常の妊娠とほぼ同等な管理を行っても大きな問題とならない。しかしながら,IBD,特に小腸病変のあるCD患者においては疾患活動性のコントロールに食事療法が有効であり,また活動期のIBDでは腸管病変により栄養摂取障害ないしは蛋白漏出などが生じることがあるため,これらの考慮が必要となる。さらに妊娠中のIBDの活動性は周産期異常のリスクが高くなるため,妊娠計画期より分娩後までを通じてIBDの病勢コントロールを行うことがとりわけ重要である。本稿では,IBDにおける栄養療法と食事について,特に周産期の栄養管理に重点をおいて概説したい。
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