増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
母体の栄養
4.妊娠中・体重増加
4)水血症
中並 尚幸
1
,
月森 清巳
2
Nakanami Naoyuki
1
,
Tsukimori Kiyomi
2
1福岡市立こども病院産科
2福岡市立こども病院周産期センター
キーワード:
水血症
,
ヘマトクリット値
,
血液粘度
,
水代謝
,
胎児発育
Keyword:
水血症
,
ヘマトクリット値
,
血液粘度
,
水代謝
,
胎児発育
pp.321-324
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000538
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はじめに
水血症とは,血液が血漿の増加により希釈された状態のことで,妊娠による生理的変化と考えられている。妊娠中は赤血球量も増加するが,血漿量の増加が相対的に大きいため,ヘマトクリット(Ht)値,ヘモグロビン(Hb)濃度は低下し水血症となる。妊婦は鉄需要も増大することから鉄欠乏性貧血になりやすく,貧血との鑑別が重要となるが,両者がoverlapしている場合もあり,鑑別が困難なことも多い。鉄欠乏性貧血の正確な診断には,血清鉄やフェリチンの測定が必要であるが,簡便な方法として平均赤血球容積(MCV),平均赤血球色素量(MCH)がある。Ht値,Hb濃度が低値でMCV,MCHが正常な妊婦に鉄剤を投与しても,なかなかHt値,Hb濃度の改善がみられないことをよく経験するが,それは水血症による可能性がある。
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