増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
新生児・乳児の栄養
6.栄養補助物質の使用法
2)微量元素の補充法
磯島 豪
1
Isojima Tsuyoshi
1
1虎の門病院小児科
キーワード:
亜鉛
,
ヨウ素
,
セレン
,
銅
,
マンガン
Keyword:
亜鉛
,
ヨウ素
,
セレン
,
銅
,
マンガン
pp.651-654
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000662
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はじめに
体内に含まれる元素の中で,鉄より少ない元素を微量元素という。多くの微量元素は,必要量は少ないものの,新生児・乳児の成長発達に不可欠である1)。微量元素が不足すると成長障害が生じたり,発達遅滞が生じたりする一方で,過剰な摂取は児にとって有害なことが起こりうる。健常な児では,母乳・人工乳に含まれる微量元素を摂取することで,臨床的に明らかな微量元素欠乏症は稀である2)。一方で,経口摂取や経腸栄養が困難な完全静脈栄養の児や,経腸栄養剤・特殊ミルク・治療用ミルクを長期に使用している児では,背景にある基礎疾患による吸収障害や,投与している栄養剤に不足している微量元素の摂取不足が原因で,微量元素欠乏症を発症する可能性がある。必須微量元素とよばれるものには,鉄,亜鉛,ヨウ素,セレン,銅,マンガン,クロム,モリブデン,コバルトがある。この中で,クロム,コバルトの2元素については,明らかな欠乏症の報告はないことから,現在のところ補充を考慮する必要はないと考えられている。モリブデンについては,乳幼児の欠乏症の報告はないが,4週間を超える経静脈栄養が必要な児では欠乏症になる可能性もありうると考えられている3)。
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