増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
新生児・乳児の栄養
5.早産児の栄養
2)経腸栄養の実践方法
仲宗根 瑠花
1
,
藤岡 一路
1
Nakasone Ruka
1
,
Fujioka Kazumichi
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
キーワード:
早産児
,
極低出生体重児
,
早期授乳
,
経腸栄養間隔
,
経口哺乳
Keyword:
早産児
,
極低出生体重児
,
早期授乳
,
経腸栄養間隔
,
経口哺乳
pp.624-627
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000655
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
早産児,とりわけ未熟な極低出生体重児(very low birth weight infants:VLBWI)において,出生後の栄養管理が児の神経学的予後に多大な影響を与えることが,現在までの多くの研究で明らかになっている。一方,VLBWIの標準的な栄養管理方法はまだ定まっていない。1985年に提唱された米国小児科学会による低出生体重児の栄養管理の指針によると,「同じ妊娠週数の正常胎児の子宮内成長に近似した出生後の成長を達成することが,最も論理的なアプローチである」と記載されている1)。この目標達成を目指し,中心静脈栄養や強化母乳の併用などさまざまな工夫がなされてきたが,胎児発育に類似した成長および体組成を達成することは想像以上に困難であり,分娩予定日やNICU退院時の体格が在胎期間別出生時体格標準値の10パーセンタイルに満たない子宮外発育不全(extra-uterine growth restriction:EUGR)となる児も多い。現在までの複数の研究において,EUGRが児の発育・発達に悪影響をもたらす可能性が指摘されており,EUGRを回避するための栄養管理が現在の「早産児の栄養」における主要命題の一つとなっている2)。本稿では早産児の栄養管理の中でも,とりわけ重要と思われるVLBWIの経腸栄養の実践方法に関して,現時点におけるエビデンスについて概説する。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.