増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
新生児・乳児の栄養
7.合併症をもった児の栄養管理
10)胆汁うっ滞の栄養管理
近藤 宏樹
1
Kondo Hiroki
1
1近畿大学奈良病院小児科
キーワード:
脂溶性ビタミン欠乏症
,
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)
,
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)
,
肝内胆管減少
,
ウルソデオキシコール酸(UDCA)
Keyword:
脂溶性ビタミン欠乏症
,
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)
,
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)
,
肝内胆管減少
,
ウルソデオキシコール酸(UDCA)
pp.698-701
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000674
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はじめに
胆汁うっ滞とは,肝細胞内から十二指腸の接合部までの胆道系あらゆるレベルにおける胆汁の流れの低下や閉塞をいう1)。原因には主要胆管の閉塞による肝外胆汁うっ滞と肝内外の主要胆管に閉塞をみない肝内胆汁うっ滞があり,最も多くかつ手術時期が予後を左右する胆道閉鎖症を鑑別する2)。胆道閉鎖症を否定された疾患群は,肝臓の成熟遅延や肝内胆管の減少などの発生異常,胆汁成分のトランスポーター分子の機能異常,代謝異常症や感染症に大別される2)。また近年の医療の進歩に伴い,新生児集中治療室(NICU)でケアされる新生児は,体格はより小さく,より未熟で,病態はより複雑である。肝機能障害は通常多因子性で,肝臓の未熟さ,併存疾患,原発性肝疾患の有無などの組み合わせであることが多い3)。早産児の肝臓は,胆管が少なく,多くの肝酵素やトランスポーターの発現量や活性が低レベルで,胆汁酸プールも少ない。他の臓器系も同様に未熟であり,ストレスに対して乳児期以降に起こるような反応を示さない3)。よって何が原発性肝疾患で,何が敗血症,低酸素症,虚血,薬剤,あるいは患児の環境などの二次的な障害の結果なのかを判断することはしばしば困難である。本稿では,早産・低出生体重児が胆汁うっ滞をきたす病態や多岐にわたる疾患,そして栄養管理について解説する。
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