増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
新生児・乳児の栄養
7.合併症をもった児の栄養管理
9)壊死性腸炎の予防戦略
東海林 宏道
1
Shoji Hiromichi
1
1順天堂大学小児科
キーワード:
壊死性腸炎
,
プロバイオティクス
,
ドナー母乳
,
H2受容体拮抗薬
,
抗菌薬
Keyword:
壊死性腸炎
,
プロバイオティクス
,
ドナー母乳
,
H2受容体拮抗薬
,
抗菌薬
pp.695-697
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000673
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新生児壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis:NEC)は,未熟性の強い早産児において短期的な死亡率に関連するだけでなく,短腸症候群や神経発達遅滞のリスクとなり,生存時の長期予後にも影響する重篤な消化管合併症である。米国では在胎22週から28週出生児の7~13%がNECと診断されている一方,国内では極低出生体重児(very low birth weight infant:VLBWI)の1.6%1),超低出生体重児の3.3%2),在胎25週未満出生児の5.7%1)との報告がある。また,発症日齢と在胎週数には負の相関関係があり,未熟性の強い児ほど発症が遅い傾向にある。出生前の母体ステロイド投与は早産児の呼吸窮迫症候群や死亡率,脳室内出血だけでなく,NECの発生リスクも減少させる。NECの病因はすべてが明らかではないが,宿主小腸における防御能の未熟性や腸内細菌叢の調節不全による病因細菌の異常増殖(bacterial overgrowth),虚血や感染に対する過剰免疫反応など多因子の関与が示唆されている。NECの予後改善のためには,生後早期からいくつかのリスク因子を念頭においた全身管理が重要である。
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