特集 周産期の画像診断 第3版
新生児編 Ⅰ.超音波診断 A.頭部
脳室周囲高エコー域と脳室周囲白質軟化症(PVEとPVL)
中村 泰久
1
,
神農 英雄
2
,
岩田 欧介
2
NAKAMURA Yasuhisa
1
,
JINNOU Hideo
2
,
IWATA Osuke
2
1名古屋市立大学医学部附属西部医療センター小児科
2名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野
キーワード:
periventricular echodensities
,
periventricular leukomalacia
,
脳性麻痺
Keyword:
periventricular echodensities
,
periventricular leukomalacia
,
脳性麻痺
pp.302-304
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001865
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はじめに
脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia:PVL)は在胎34週未満の早産児にみられる脳室周囲白質障害である。脳室周囲白質は血管終末や灌流境界領域に一致しており,組織の未熟性に加えて容易に虚血による組織壊死を起こす1)。PVLの臨床的なリスク因子として胎児機能不全,前置胎盤,前期破水,絨毛膜羊膜炎,多胎,新生児仮死,低二酸化炭素血症,重度の無呼吸発作,呼吸不全,敗血症,動脈管開存症,晩期循環不全などが挙げられる2)。近年は周産期医療の進歩によりPVLの発生頻度が減少してきており,わが国では在胎33週未満児における発生頻度は2.7%であった3)。しかしながら現在でも,脳性麻痺の原因として重要である。PVLはその病理所見や画像所見から,①cystic PVL,②non-cystic PVL,③diffuse white matter gliosisの3病型に大別される4)。non-cystic PVL,diffuse white matter gliosisは超音波検査で認識することは困難なため本稿では主にcystic PVLと,PVLと関連した初期変化所見である脳室周囲高エコー域(periventricular echodensities:PVE)について概説する。
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