増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
母体の栄養
4.妊娠中・体重増加
1)妊娠中の体重増加のうちわけ
永石 匡司
1
Nagaishi Masaji
1
1日本大学医学部産婦人科学系産婦人科学分野
キーワード:
体重増加
,
食生活
Keyword:
体重増加
,
食生活
pp.313-315
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000535
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母体の生理学的変化
まず,母体の生理学的変化を説明する。内性器の変化でみると非妊娠時の子宮は鶏卵大で,重量約70 g,容量は10 mL以下の臓器である。妊娠すると子宮筋層は柔らかくなり,子宮内容物の増大とともに子宮自体も増大する。妊娠末期では容量4 L以上を保てるようになる。同時に,卵巣・卵管も充血して腫大,あるいは浮腫状となる。周囲の血管・リンパ管は密に分布して,静脈は著明に怒張する。乳房の変化としては妊娠初期から乳房の腫大が始まり,第1次乳輪,第2次乳輪が形成され,皮脂腺が肥大してモントゴメリー腺を形成する。乳腺の発達とともに乳房も腫大していく。水代謝の観点では妊娠初期から水分を貯留する傾向となる。これは妊娠により抗利尿ホルモン分泌の浸透圧閾値が低下し,また飲水を促進することによる。循環血液量の増加は妊娠初期から始まり,妊娠32~34週でピークとなり,最終的に約40%増加することになる。
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