増刊号 191の疑問に答える周産期の栄養
新生児・乳児の栄養
8.食物アレルギー
2)授乳と食物アレルギーの関係
宮沢 篤生
1
Miyazawa Tokuo
1
1昭和大学医学部小児科学講座
キーワード:
食物アレルギー
,
母乳
,
加水分解乳
,
アレルギーマーチ
,
経口免疫寛容
Keyword:
食物アレルギー
,
母乳
,
加水分解乳
,
アレルギーマーチ
,
経口免疫寛容
pp.714-717
発行日 2022年11月18日
Published Date 2022/11/18
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000678
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はじめに
食物アレルギー(food allergy:FA)をはじめとするアレルギー疾患は世界的に増加しており,我が国では国民の3人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していると考えられている。東京都による3歳児全都調査では,3歳までに医師により診断されたFAは14.9%,アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)は11.3%で認められ,全体の38.1%が何らかのアレルギー疾患と診断されていることが報告されている1)。患者数の増加に加え,学校給食におけるFA児の誤食死亡事例(2012年)の報道などにより,アレルギー疾患に対する社会全体の関心が高まりつつある。このようななか,妊娠中・授乳中の女性が我が子のアレルギー疾患発症予防に高い関心をもっていることは想像に難くない。インターネット上にはアレルギー疾患の予防に関するさまざまな情報が掲載されているが,科学的根拠が乏しく真偽すら定かではない情報によって惑わされる母親も少なくない。周産期に関わる医療者はアレルギー疾患の病態と予防策について正しい知識をもち,適切な情報を提供できるよう努める必要がある。
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