臨床泌尿器科 60巻4号 (2006年4月)

特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス

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本号の特集は「診察の基本」である検査を取り上げました。この「まえがき」を書いていると,人気韓流ドラマ「チャングムの誓い」(NHK)を思い出します。ドラマの内容は,主人公のチャングムが王宮に料理人(女官)として仕え,後に医師(医女)として活躍する約500年前の史実に基づいています。私は,妻の見ているドラマをなにげなく見ているうちに,いつの間にか次週の放映が待ち遠しくなっていました。王宮内の権力闘争や恋愛,そして歴史的考証がよくなされた料理と医療のシーンには,ついつい引きつけられてしまいます。チャングムは料理を単に作るだけでなく,健康に良い料理を追求します。その探求心がやがてはチャングムを医女にします。まさに「医食同源」です。もっとも,当時の医女は女官よりも社会的地位が低かったそうです。

 「チャングムの誓い」は,現在の私たち医療人が忘れかけている「医療の基本」を思い出させてくれます。そのシーンをいくつか紹介します。

A.一般臨床検査法 ■病歴聴取 【病歴聴取】

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1 予診を行っておくこと

 新規患者の診察において十分な病歴聴取は大変重要なことであるが,混雑した外来で病歴聴取にかけられる時間はごく限られているのが現実である。一方で,患者は長い待ち時間を持て余していることが多いので,待ち時間中に問診票を書いてもらうことも有効である(図1)。あらかじめ情報を得ておくことにより,検査の指示も円滑に進められるし,簡潔な診察を可能にするとともに,会話の苦手な患者や診察室で話しにくい症状などについてもある程度の情報を前もって得ることができる。また,問診票には,既往歴や現在受けている治療,アレルギー歴なども記してもらい,女性の場合には妊娠の可能性や授乳の有無などについてもチェックする項目を設けておけば,聞き漏らす危険性を減らし,患者情報の収集における責任を患者自身にも担ってもらう意義があると考えている。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【腹部の診察】

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1 はじめに

 限られた時間内に多数の患者の診察をこなしていくことを余儀なくされる現状では,腹部の診察はしばしば省略され,問診のあとは超音波検査やCTの予約へと進んでしまうことがあるかもしれない。しかし,腹部の診察以外の方法では得られない情報もあり,検査値や画像診断のみで結論を出したり,手術前に執刀医が自らの手で診察せずに手術に臨んだ場合,とんでもないしっぺ返しを喰らうことがある。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【陰茎の診察】

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1 陰茎は見てみなければわからない

 患者にとっては羞恥心の強い部位であるが,必要があれば迷わずに観察する。診察ベッドに臥床させ,外陰部全体がよく観察できるように下半身の衣類を十分に脱がせて診察を行うようにする。若年の患者では,女性看護師の目に神経質になる場合があるので,診察の障害となるような場合はカーテンやスクリーンを使用するか,看護師に席を外してもらう配慮も必要である。また,診察中に勃起してしまった場合もあえて反応せず,淡々と必要な診察を続ける。

 陰茎の診察では,陰茎包皮や陰茎軸部の視診後,包皮を反転して亀頭部を露出し,外尿道口の位置や形状を確かめ,腫瘍や皮疹,水疱,潰瘍,分泌物の有無などを観察する。触診では,硬結や圧痛の有無,尿道の圧迫後の尿道分泌物の有無などを観察する。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【陰囊内容の診察】

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1 はじめに

 陰囊内容の疾患の診察において最も重要なことは,精巣腫瘍と精索捻転症を見逃さないことである。精巣腫瘍においては精巣上体頭部近くに占拠している場合,精巣上体炎との鑑別が難しい。当科においても,他院で精巣上体炎と診断され長期間の治療を受けたのち改善がみられないため来院し,結局,精巣腫瘍と診断した症例を経験している。また,精索捻転症では,手術の不必要な急性精巣上体炎や精巣垂,精巣上体垂捻転症との鑑別が難しい場合がある。

 陰囊内疾患の診断においては,病歴に診断のヒントが隠れている場合が多い。十分な問診を行うことが肝要である。また,陰囊内疾患の鑑別診断においては,超音波診断装置が非常に有用である。それゆえ,できるだけその場で施行していただきたい。

 本稿では,日常診療で遭遇する陰囊内疾患の特徴を,その超音波像を交えて概説したい。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【女性の外陰部の診察】

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1 はじめに

 女性の外陰部の診察は,女性診療科,皮膚科および泌尿器科のオーバーラップするところであり,泌尿器科的には外陰部診察を全例に行っているわけではなく,何らかの尿道および外陰部の疾患を疑った場合,または他科からの紹介で行うのが一般的である。

 それでは,どのような症状のときに外陰部の診察を行うかであるが,外陰部そのものの主訴である場合と初期血尿や下着やトイレ後のティッシュの血液付着ということになる。また,尿失禁の場合にも診察が必要である。

 女性の外陰部は尿道の開口部や陰核など先天性に若干のバラエティーが存在し,外尿道口が腟に近づいている例など多々みられる。そのため,位置的な先天奇形は場所的に大きく逸脱したものに限られる。本稿では,女性外陰部診察の要因とポイントを述べる。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【鼠径部リンパ節の診察】

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1 はじめに

 鼠径部リンパ節の診察は,鼠径部腫瘤を主訴として来院した症例と陰茎の悪性疾患の臨床病期分類のための診断に分かれる。診察時に視診および触診に加えて,画像診断として超音波断層撮影を行うことが一般的である。場合によりCTスキャンやMRIを行うこともある。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【直腸診】

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1 基本的事項

 直腸診は,泌尿器科診療において最も重要な診察法の1つである。直腸指診(digital rectal examination:DRE)とも呼ばれる。肛門より指を挿入して,主として前立腺の大きさや性状を調べる1)。さらに,精囊,膀胱,尿道,直腸,肛門括約筋などの所見が得られることもある。

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1 前立腺癌

 前立腺癌のスクリーニングには,血清PSAの測定,直腸診による硬結の触知,経直腸プローベを用いた超音波断層診断(経直腸エコー)が行われる。これらより前立腺癌が疑われた場合に,診断確定のために前立腺針生検が施行される1)。近年,触診や画像診断所見に異常を認めず血清PSA高値のみで検出される早期前立腺癌(臨床病期T1c前立腺癌:1992年のUICCのTNM分類2))の頻度が増加し注目されている。そして,直腸診の所見には主観的要因が含まれるため軽視される傾向にあった。しかし,血清PSA値が4.0ng/ml以下であっても直腸診にて異常を認める場合には比較的高率(1.7~27%)に癌が検出されることが報告されている3)。また,T1c癌の病期診断にも直腸診にて硬結が触れないことが必須条件である。さらに,根治的前立腺摘除術の適応決定においても,実際に手術に当たる泌尿器科医として触診所見は最も重視すべきものの1つである。したがって,直腸診は前立腺癌診断における基本的方法として変わらず重要なものと考えられる。

 前立腺癌の直腸診所見の特徴は硬く触れる腫瘤である。軟骨様硬あるいは石様硬(stony hard)と表現される。指を握ったときの拇指の関節の硬さにたとえられる。初期には硬い結節として同定されるが,進行すると前立腺全体が一塊となり表面不整で辺縁不明瞭となり,可動性を消失することもある(表1)。

A.一般臨床検査法 ■診察法 【神経系検査】

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1 基本的事項

 挙睾筋反射および球海綿体筋反射は,角膜反射や腹壁反射などとともに表在反射(superficial reflex)の1つである。表在反射とは,皮膚または粘膜に加えられた刺激により筋収縮が起こる反射であり,表1に示すような反射が知られている1)。これらのうち,泌尿器科領域においては,挙睾筋反射(cremasteric reflex),球海綿体筋反射(bulbocavernous reflex)および肛門反射(anal reflex)が重要であり,その頭文字をとってABC反射と呼ばれることもある。神経因性膀胱の診断などに際して,神経障害の部位を推定するための補助診断法として用いられる2)

A.一般臨床検査法 ■尿検査 【採尿法】

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1 基本的事項

 泌尿器科疾患の診断に尿検査は不可欠なものである。尿検査は,患者に苦痛を与えることなく多くの情報を得ることができる点で有用である。尿は蛋白・核酸代謝の終末産物や中間代謝物(尿素,尿酸,クレアチニン,アンモニア,アミノ酸など),諸種の有機および無機塩類,電解質,解毒物質,微量のビタミン,ホルモン,酵素などを含有する。それらの物質の量的,質的変化や健常人尿では出現しない物質(蛋白,糖,ヘモグロビン,ビリルビン,赤血球,白血球,円柱,細胞,細菌など)の出現状況から腎・尿路の疾患のみならず,内分泌・代謝系など多くの臓器の機能異常や病態を知ることができる。また,尿検査を経時的に行うことによって病態の変化,予後の推定,治療法の選択などにも重要な情報を与えてくれる1)。それにはまず正しい採尿法で正しい処理を行わなければ情報自体の信頼性が問題となる。

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1 基本的事項

 尿一般検査は正しい採尿法で採取した尿を新鮮なうちに検査を進めなければならない。検査の進め方順に説明する。

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1 基本的事項

 尿潜血反応とは試験紙法による結果である。試験紙には過酸化物とクロモゲンが含まれている。過酸化物は,ヘモグロビンのペルオキシダーゼ様活性により,その活性に応じた活性酸素を遊離する。その活性酸素により還元型クロモゲン(無色)が酸化され,酸化型クロモゲン(青色)となることをみて判定している。ミオグロビンもペルオキシダーゼ活性を持っているので陽性になる1)。しかし,臨床の現場で尿潜血反応陽性と尿沈さによる赤血球の有無とが一致しないことをしばしば経験する。

 尿潜血反応陽性で尿沈さ赤血球陰性の例を以下に示す。尿が古い場合,アルカリ性尿/低張尿,ヘモグロビン尿,ミオグロブリン尿,過酸化物の混入,高度白血球/細菌尿,精液混入などである。

A.一般臨床検査法 ■尿検査 【尿沈さ】

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1 はじめに

 尿沈さ検査は泌尿器科領域のみならず,すべての領域で最も基本的かつ重要な検査である。自身で沈さ標本を検鏡する熱心な泌尿器科医もいるが,検査の中央化によって検査技師が検鏡した結果だけを頼っていることが多いのではなかろうか。沈さ標本の検鏡は,泌尿生殖器を専門とする泌尿器科医にとって自身でも実施すべき検査であり,また標本作製についても実際には行わなくとも,そのステップについては理解しておくことが望ましいと思われる。

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1 はじめに

 前項で述べたように,尿沈さ検査は非常に簡便ながら多くの情報が得られる優れた検査法である。顕微鏡を覗くことに多少の抵抗があるかもしれないが,ある程度慣れてしまえば奥深い世界であることがわかるであろう。標本観察に際しての基本的な心構えとして2つのパターンがある。1つは前歴のない患者からの尿をスクリーニングする場合で,もう1つがすでに診断が確定した患者をフォローしている場合である。前者の場合はすべての要素を効率よくチェックする必要がある。一方,後者では腫瘍の再発や治療効果・治療による影響などに主眼を置いた観察が必要になる。臨床医が自身で直接検鏡する場合にはそういったことを念頭に置いて観察するであろうが,検査室に検鏡を依頼する場合には必要最小限の患者情報を検査室に伝えなければならない。そういったことは観察以前のポイントであるが,往々にして軽視されがちである。

 本稿では,検鏡での基本的な作法とそのポイントについて述べたい。

A.一般臨床検査法 ■尿検査 【細菌検査】

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1 はじめに

 泌尿器科領域と臨床検査のかかわりは検体検査がほとんどである。検体検査を診断・治療に役立てるためには,検体の採取法から結果の判定までの一連の流れを知り,そのうえで検査結果を評価する必要がある。特に感染症においては,領域を問わず検査結果が治療方針やその予後に大きな影響を及ぼすため,臨床医と検査室が良好なコミュニケーションを取り,検査を進めていくことが重要である。両者のコミュニケーションの前提として,臨床医の細菌検査の基本的な流れの理解が必要である。本稿では,細菌検査についての一般的な注意点やデータの読み方と,泌尿器科領域での特殊性について述べる。

A.一般臨床検査法 ■尿検査 【細胞診】

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1 はじめに

 尿路腫瘍の診断には内視鏡やDIP,エコー,CT,MRIなどの画像診断が行われているが,尿細胞診もこれらとともに用いられる検査であり,診断のみならず腎盂・尿管腫瘍や膀胱腫瘍に対する温存療法の治療効果の判定,あるいは再発率の高い尿路移行上皮癌における治療後のモニターとして有用な検査法であり,しかも繰り返して検査でき,検体が自然尿であればまったく侵襲がないため,血尿のスクリーニングや健診にも用いられている1)

 尿細胞診の全膀胱腫瘍における陽性率は平均72%2)と感度は低いが,浸潤性移行上皮癌やCISでは高く,いずれにしても尿路腫瘍が疑われる場合はまず尿細胞診を行う必要がある。

 本稿では,尿細胞診の方法,尿細胞診における注意点およびクラス分類について述べる。

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1 はじめに

 尿細胞診において,検体の採取には,通常,自然排尿時の尿(自然尿)を用いるが,自然尿は,当然,腎杯,腎盂,尿管と通過し膀胱に暫時滞留したのちに排泄されたものであるから,それぞれの部位のはく離細胞を含んでいる。このことは,自然尿の細胞診でははく離細胞が上部尿路からのものなのか,膀胱,尿道からのものなのか判断できない。とはいえ,自然尿細胞診でも上部尿路からと思われる移行上皮の特徴を持つ細胞の出現をみる。上部尿路上皮由来の細胞は膀胱上皮に比べて変性が強く,細胞質や核の染色性も異なっていて鑑別可能としているが1),確実に診断するためには上部尿路から尿の採取を行い尿細胞診検査を行わねばならない。本稿では,その方法について述べる。

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1 はじめに

 尿道炎の多くは性感染症(sexually transmitted disease:STD)がその原因となっており,したがって尿道分泌物の検査は性感染症が引き起こす尿道炎の病原微生物を同定することである。病原体はウイルスから原虫まで非常に多岐にわたっているが,とりわけ淋菌とクラミジアが主流をなしている。一方で外尿道付近には多くの常在細菌が存在しており,宿主の免疫低下によって常在性の弱毒菌や微生物が起炎菌となって尿道炎を引き起こす。尿道炎は,(1)淋菌性尿道炎,C. chlamydiaを主とした(2)非淋菌性尿道炎,(3)淋菌性と非淋菌性の混合感染,(4)Ureaplasma urealyticumに代表される淋菌性,非淋菌性以外の感染,と4分類される。これらの病原微生物の同定は尿道分泌物の微生物学的検査によって確認する。

 本稿では,尿道分泌物の検査の手順について概説する。

A.一般臨床検査法 ■尿検査 【精液検査】

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1 はじめに

 精液検査は男性不妊症の原因を検索する1つの基本的な「検査法」である。しかし,無精子症の患者を除いて,精液検査のみで男性不妊症と診断することはできない。すなわち,精液検査の結果が思わしくなければ妊娠の機会は統計上減少するものの,まったく妊娠しないわけではないことを認識する必要がある。本稿では一般泌尿器科検査として行われている計算盤による精液検査の手順を解説し,自動分析装置による検査法については省略する。

B.器械的検査法 ■器具,内視鏡および経尿道的操作の基本的知識 【器具,内視鏡の太さ】

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1 はじめに

 経尿道的処置器具にはカテーテル(尿道と尿管),ブジー,内視鏡(硬性および軟性膀胱尿道鏡)などがあり,その種類は多い。しかし,表記される太さはすべて内腔径ではなく外径である。また,硬性膀胱鏡は楕円体であるため,この場合の太さは長径で表示される。

 太さはナンバー(イギリス式:号と表示)とフレンチ(フランス式:Frと表示)で表され,現在はFrで表記されることが多い。

B.器械的検査法 ■器具,内視鏡および経尿道的操作の基本的知識 【経尿道的操作】

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1 体 位

 すべての操作の基本体位は砕石位である(図1)。ただし,この体位で長時間経過すると,下肢血栓形成の危険性が高まることを念頭に置く必要がある。砕石位がとれない患者(大腿部の疾患で開脚位がとれない患者や股関節や膝関節に問題がある患者)では,開脚仰臥位あるいは仰臥位で行う(図2)。さらに,女性の場合には側臥位でも経尿道的操作は可能である(図3)。ブジーや硬性膀胱尿道鏡を施行するうえで,操作性や施行しやすさから砕石位が基本となるが,カテーテルや軟性鏡の場合には,どのような体位でも施行可能である。

B.器械的検査法 ■カテーテル 【尿道カテーテル】

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1 はじめに

 導尿・尿道カテーテル留置は,診療科を問わず日常診療において頻繁に行われる基本手技である。しかし,ときにカテーテル挿入困難な場合や合併症を起こすこともあり,尿路の専門家である泌尿器科医にとってその適応,手技に精通することは必須である。

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1 はじめに

 尿道カテーテル留置中のトラブルとして主に次のものが挙げられる。すなわち,(1)カテーテル閉塞,(2)疼痛,(3)尿路感染,(4)自然抜去,事故抜去,(5)カテーテル周囲からの尿漏れ,(6)抜去困難,である。各トラブルにはいくつかの原因があり,それらを十分理解したうえで,予防・対処する必要がある。

 それぞれのトラブルについて,原因別に対処法を解説する。

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1 はじめに

 尿閉に対し導尿あるいはカテーテル留置を試みても挿入困難な状況は日常しばしば遭遇する。挿入困難の原因となっている状況によって対処法も異なるため,的確な判断と柔軟な対応が必要とされる。

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1 基本的事項

 尿管カテーテルを上部尿路内に挿入する目的として以下のような項目が考えられる。(1)腎盂尿または尿管尿を採取して尿細菌培養検査あるいは尿細胞診検査を実施する。(2)逆行性に腎盂造影または尿管造影を行い,閉塞機転あるいは陰影欠損の有無を確認する。(3)尿管結石の位置を確認して,場合により結石のプッシュ・アップを行う。(4)尿管ステントを留置する前に上部尿路の全体像を把握する。

B.器械的検査法 ■カテーテル 【尿管ステント】

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1 基本的事項

 新規に尿管ステントを挿入する場合は,尿管カテーテルを腎盂まで挿入して腎盂造影を行ったあとに尿管カテーテルをガイドワイヤーに置き換える。このガイドワイヤーに尿管ステントを被せて,ガイドワイヤーの張力を保ったまま尿管ステントを挿入していく。この際,ガイドワイヤーはコシのあるもののほうが操作はしやすい。一般に交換の時期は2~3か月に1回とされているが,最長6か月間は留置可能である。

B.器械的検査法 ■カテーテル 【腎盂カテーテル】

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1 基本的事項

 一般に腎盂カテーテルにはピッグテイルカテーテルタイプとバルーンカテーテルタイプのものがあり,経皮的腎瘻造設術として最初に留置する際には,前者を用いると出血を少なくするという面で安全である。1~2週間後に腎瘻を拡張してバルーンカテーテルタイプの腎盂カテーテルに交換する。

B.器械的検査法 ■尿道ブジー 【尿道ブジー】

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1 はじめに

 尿道ブジーは通過障害の検査・計測と狭窄部の拡張のために施行されてきたが,エンドウロロジーの手技が確立された現在では,狭窄部の拡張を目的とした治療的意義は薄れてきたものと思われる。

 尿道ブジーは,本来,尿道の解剖学的構造を頭に描きながら,触覚を頼りに行う盲目的な操作であり,挿入が困難な際にこの手技に固執すると,尿道粘膜を損傷したり,偽尿道をつくったり,出血や感染を生じたりする危険が多い。尿道狭窄に対する拡張術(尿道ブジー)の目的は,さらなる瘢痕形成を起こすことなく瘢痕を伸展させることである1)。尿道ブジーの際に,尿道粘膜を損傷したり,偽尿道をつくったり,出血や感染を生じさせたりすることは,狭窄部をさらに損傷させたり,炎症を生じさせ,新たな瘢痕形成の原因をつくることにもなる。したがって,盲目的な手技である尿道ブジーが困難な場合は決して無理をすべきではない。

 尿道ブジーの挿入が困難な場合は,尿道に何らかの解剖学的異常が存在すると考えられるので,まず内視鏡を用いて直視下に尿道の状態を観察する,あるいは逆行性尿道造影を施行して,狭窄の部位ならびに狭窄の程度を確認することが推奨される。

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1 はじめに

 尿道狭窄は,一般的に前部尿道の瘢痕化による内腔の減少を意味し,留置カテーテルや淋菌性尿道炎に起因する炎症性のもの,経尿道的手術後のもの,外傷によるもの,ならびに原因不明のものがある。これに対して後部尿道の狭窄は,通常,尿道狭窄の定義には含まれず,外傷や前立腺全摘除術後に生じる1)。前部尿道狭窄は,主として内尿道切開術で安全に加療されるが,完全閉塞や狭窄の距離の長い例では開創手術による尿道形成術が考慮される。一方,後部尿道狭窄は開創手術による尿道形成術が行われてきたが,エンドウロロジーの進歩により骨盤外傷に伴う後部尿道の完全断裂に対しても内尿道切開術の延長線上に内視鏡的尿道形成術を行うことも可能である。

 これらの尿道狭窄術後の尿道ブジーは,瘢痕形成と再狭窄を予防する目的で行われ,新しい瘢痕形成を起こすことなく瘢痕を伸展させることが重要である。

B.器械的検査法 ■膀胱穿刺,膀胱瘻 【膀胱穿刺,膀胱瘻】

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1 膀胱穿刺および膀胱瘻の適応

 尿閉に対する基本的な処置は経尿道的操作であるが,経尿道的操作が困難なとき,あるいは避けたほうがよいときには,膀胱穿刺あるいは膀胱瘻造設の適応となる。高度の尿道狭窄,尿道断裂などの外傷,尿道結石の嵌頓,前立腺肥大症,前立腺癌などで経尿道的にカテーテルの挿入が困難な場合,急性尿道炎,急性前立腺炎で経尿道的操作がふさわしくないときなどが該当する。また,脊椎損傷などによる神経因性膀胱で膀胱機能が高度に障害され自然排尿が期待できない場合には恒久的な膀胱瘻の造設が行われ,尿道腫瘍に対する根治術後の尿路変向として非尿失禁型の膀胱瘻である虫垂を利用したMitrofanoff法1)がある(図1)。そのほか,肥満した女性や小児などで無菌的に尿を採取する必要のあるときに膀胱穿刺が行われることがある。

C.内視鏡的検査法 ■膀胱尿道鏡 【硬性鏡】

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1 はじめに

 膀胱尿道鏡検査は下部尿路疾患の診断のために行われる。肉眼的血尿では出血部位の確認ができ,顕微鏡的血尿や超音波検査で疑われた膀胱内腫瘤,膀胱憩室,膀胱結石などが観察できる。排尿障害の原因診断として,尿道を観察することで前立腺肥大症の診断ができ,同時に治療の適応の判定をすることができる。また,膀胱腫瘍術後の再発の有無を定期的に行い,膀胱内腫瘤性病変に対して生検鉗子を使用しての生検も可能である。治療としても膀胱内異物や結石の経尿道的除去が可能である。また,上部尿路疾患でも尿管カテーテル留置をすることで,逆行性腎盂造影,左右の分腎尿採取や抗癌剤の腎盂内への薬液注入が可能となる(表1)1~3)

 尿路や生殖器に急性炎症が認められる場合,つまり急性膀胱炎,急性前立腺炎,急性尿道炎,急性精巣上体炎などがある場合には,膀胱尿道鏡検査は感染を増悪させる危険性があるので行うべきではない。

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1 はじめに

 硬性膀胱尿道鏡の挿入の前に男性においてはかなりの疼痛を感じる症例もあることから,麻酔が行われる。ただ,稀にではあるが麻酔薬によるショックが起きる場合もあるので,過敏症の有無の病歴聴取とショックの可能性の説明は必要である。女性に対して膀胱尿道鏡施行時に麻酔を行うことはまずないが,外尿道口にリドカインゼリーかリドカインスプレーを塗布する場合もある。

C.内視鏡的検査法 ■膀胱尿道鏡 【軟性鏡】

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1 はじめに

 軟性膀胱鏡は一般にファイバースコープとして親しまれていて(図1),接眼レンズで観察される。近年,ファイバーに替えて内視鏡先端部にCCD(charged coupled device)を取り付けた電子スコープの登場により(図2),より鮮明な画像を得ることができるようになった1~5)

 軟性鏡は前方視であり(図3),先端が曲がることで側視できる。軟性鏡の多くは視野角が90度でup方向が210度,down方向が90度程度の彎曲ができる。挿入時に男性では硬性鏡ほどの疼痛を感じないため,尿道粘膜麻酔でスムーズに膀胱内へ挿入できる。

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1 前処置

 女性に軟性膀胱尿道鏡検査を行う場合には,硬性鏡と同様に麻酔の必要がないので,前処置は硬性鏡でも軟性鏡でも同じでよく,変える必要はない。男性に軟性膀胱尿道鏡検査を行う場合には,硬性鏡と異なり,原則として麻酔の必要はない。検査前には,可能なら排尿させ膀胱を空にしておくほうが観察しやすくなる。硬性鏡よりも灌流液のチャンネルが細いため,混濁した尿が溜まっていると観察しにくくなる。

 高度の血尿があり,膀胱腔内に凝血塊があると予測される場合には,検査前にカテーテルを用いて,膀胱腔内の凝血塊を洗い出すことが勧められる。

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1 軟性鏡の挿入方法(男性)

 検者が介助なしに無菌的に被検者の膀胱内まで軟性鏡を挿入するのはきわめて困難である。

 第一に検者は,消毒した手袋を着用し,左手で被検者の陰茎を把持する。右手で軟性鏡の先端から10cm付近を持ち,尿道に5cmあまり挿入する。このとき,介助者がハンドピースを支える。次いで検者は,右手でハンドピースを持ち,灌流液(蒸留水または生理食塩水)を流す。前部尿道内を観察しつつ,母指でアングルレバーを操作しながら,膀胱へ向かって軟性鏡を無理な力を加えずに押し進める。このとき挿入しにくい場合には,左手の母指と示指で軟性鏡を膀胱へ向かって送り込むようにすればスムーズに進む。膜様部尿道では尿道括約筋のために少し抵抗が増すが,アングルレバーを上向きに動かし尿道の走行にしたがって軟性鏡を押し込むと,前立腺部尿道まで進めることができる。さらに進めば膀胱腔内に達する。

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1 はじめに

 軟性鏡には,画像をイメージガイドファイバーによって伝送し,接眼部から観察するファイバースコープ型と,内視鏡先端部の小型CCDカメラで画像を電気信号に変え,この電気信号が内視鏡内を伝送され,ビデオプロセッサーで処理されモニターに映して観察する電子スコープ型とがある。両者の違いは内視鏡内を伝送するデータが光(画像)か電気信号かの違いであるが,得られる画像の明るさ,解像度は大きく異なる。ファイバースコープ型では,電子スコープ型に比べると暗く,解像度が悪い画像しか得られない。したがって,数年後には電子スコープ型のみが普及し,ファイバースコープ型は使用されなくなると考えられるので,軟性鏡は電子スコープ型に限って話を進めることにする。

C.内視鏡的検査法 ■尿管鏡 【尿管鏡】

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1 尿管鏡の種類と特徴

 現在の尿管鏡の種類と特徴を把握するには,従来どのような製品が開発されてきたかをみると理解しやすい。表1にRichard Wolf社で開発,販売された硬性尿管鏡を示す。光学系におけるこの間の大きな進歩はrod lens系よりfiberへの移行で,これにより外径の著しい細径化がなされた。また,レーザー砕石装置の登場は,操作孔も合わせて細径化でき,1993年には先端外径4.5 Frの硬性尿管鏡も出現している。しかし,操作孔より異物鉗子をはじめとしたさまざまな処置器具を挿入するためには,操作孔2.4 Frはあまりに細く,尿管鏡手術の適応範囲を狭めることになった。また,尿管鏡の先端外径も6~8 Frであれば十分に低侵襲であると考えられ,先端外径をこの太さに保ち,操作孔を拡張する方向に開発の方向性が変わっていった。

 この間,fiberを束ねる技術が進歩し,同じ太さでもより多くfiberを入れることができるようになり,視野の明るさをはじめとした画質の向上がもたらされた。すなわち,最近の傾向としては,同じ太さながら従来の製品より明るく,操作孔の内径が大きな硬性尿管鏡が開発されている。また,従来行われていたガス滅菌は,それを行う医療関係者に対して毒性を持つということより,最近の尿管鏡は硬性鏡,軟性鏡を問わず,オートクレーブによる滅菌が可能となってきている。

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1 尿管鏡の挿入

 尿管鏡の挿入といった場合,尿管口の通過ということが最も問題になる。これについて述べる。

1.硬性尿管鏡の挿入

 硬性尿管鏡の挿入方法には,(1)直接挿入法(direct insertion),(2)ガイドワイヤーを用いた挿入法,(3)尿管口の拡張を伴う挿入法の3通りの方法がある。最近の細径尿管鏡では,尿管口の拡張を要する症例は激減した。よって,ここでは拡張を要さない挿入法のみを述べるが,軟性尿管鏡の挿入で述べる尿管口拡張やアクセスシースを用いた挿入法もひと通り理解し,いつでも使えるようにしておいたほうがよい。

D.尿路機能検査法 ■尿流動態検査法 【尿流測定】

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1 適 応

 尿流測定は,侵襲がなく尿勢を客観的に定量化して判定できる優れた検査である。尿がある程度溜まっていればいつでも可能であり,下部尿路症状を訴える患者は全例行ってまったく差し支えない。また,一度だけでなく,複数回繰り返すことも可能である。また,併せて残尿を測定することにより,排尿状態を把握するための情報がさらに豊かになる。また,尿流測定の応用として膀胱内圧を同時に行うプレッシャーフロースタディは,尿勢低下の原因が膀胱収縮力の低下であるのか,あるいは尿道抵抗が高いためかの判別に用いられる。

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1 尿流測定の問題点

 尿流測定は,侵襲がなく簡便で排尿状態を把握するためには非常に有用な検査法である。しかし,膀胱内の尿量が少ない場合,排尿自体ができない,排尿ができても尿勢の判定は難しいなどで,検査として成り立たないことが多い1~3)。また,十分尿を溜めていても,いざ検査となると普段通りの排尿ができない場合もしばしば経験する。このような場合,施設ごとさまざまな工夫をこらしていることは容易に想像が予想できるが,普段われわれの行っていることや,やってみる価値のありそうなことを列挙する。

 表1にも示すが,検査時いつも通りの排尿ができるようなコツを考えるうえで,(1)検査のタイミングについての工夫,(2)普段通りの排尿ができるようにする工夫,に大別できる。

D.尿路機能検査法 ■尿流動態検査法 【プレッシャーフロースタディ】

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1 プレッシャーフロースタディの意義

 尿流低下を認める場合,その原因が膀胱収縮の低下によるものか,尿道閉塞,すなわち尿道抵抗が高いためなのかは,膀胱内圧測定だけでは判定できない。

 尿道抵抗が一定であると仮定すると膀胱収縮力が強いほど尿流が増し,勢いよく排出される。また,膀胱の収縮力が一定であれば,尿道の抵抗が高くなるほど尿流は低下する。すなわち,尿道から排泄される尿流の強さは,排尿筋の収縮力と尿道抵抗によって決まるといえる。

D.尿路機能検査法 ■尿流動態検査法 【膀胱内圧測定】

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1 適 応

 膀胱内圧測定(cystometrography:CMG)は,圧センサーを使用し膀胱内圧を経時的に測定することで膀胱内圧曲線を得る検査であり,蓄尿期(一部排尿期を含む)の排尿サイクルを観察することができ,何らかの排尿障害を有する患者が適応になる。方法については後述するが,検査手技自体が侵襲的であるために,検査前には患者のADLや排尿状態を把握していることが重要である。広義でいえば排尿障害を有する患者が適応になるが,脳脊髄疾患(脳血管障害,多発性硬化症,脊髄損傷,二分脊椎,パーキンソン病,HAMなど)や末梢神経障害(糖尿病,直腸癌や子宮全摘などの外科婦人科的疾患の術後など)や下部尿路通過障害(前立腺肥大症など)などが適応であると考えられる。

 排尿障害に対して手術的治療を考えている場合は,ほとんどの場合施行されるべきであると考えるが,保存的治療を意図している場合にも必要であることは多く,検査前には非侵襲的方法(問診,理学的・神経学的所見,尿流量測定,残尿測定など)を行い,治療方針の決定や治療効果の評価のために行われるべきであると考える。現在では,一般的に腹腔内圧測定や外尿道括約筋筋電図検査を同時に施行し,プレッシャーフロースタディとして測定され,蓄尿期と排尿期を合わせた排尿サイクル全体を観察することが多い。

D.尿路機能検査法 ■尿流動態検査法 【尿道内圧測定】

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1 適 応

 尿道内圧測定(urethral pressure profilometry:UPP)は,尿道内腔を押し広げる圧に対する抵抗値を経時的に測定することにより尿道内圧曲線を得る検査である。

 そのため,前立腺肥大症などの下部尿路閉塞のある患者や,排尿障害の蓄尿期における尿失禁を有する患者において関連性が高い検査であると考えるが,神経因性膀胱患者,すなわち脳脊髄疾患(脳血管障害,多発性硬化症,脊椎損傷,二分脊椎,パーキンソン病,HAMなど),末梢神経障害(糖尿病,直腸癌や子宮全摘などの外科婦人科的手術の術後など)といった膀胱内圧測定の適応疾患も範疇に入る。

D.尿路機能検査法 ■尿流動態検査法 【尿道括約筋筋電図検査】

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1 適 応

 尿道括約筋筋電図(urethral sphincter electromyography:USEMG)は,外尿道括約筋もしくはその付近の骨盤底筋群の収縮電位を計測する検査である。通常は膀胱内圧測定と同時に施行される。したがって,適応症例は膀胱内圧測定と同じであり,脳脊髄疾患(脳血管障害,多発性硬化症,脊髄損傷,パーキンソン病,HAMなど)や末梢神経障害(糖尿病,直腸癌や子宮全摘などの外科婦人科的疾患の術後など)や下部尿路通過障害(前立腺肥大症など)である。

D.尿路機能検査法 ■腎盂・尿管機能検査 【ウィタカー試験】

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1 概 念

 ウィタカー試験は尿路閉塞による水腎症の質的診断のために行われる1)。なかでも,腎盂尿管移行部狭窄症による水腎症に対する評価法と考えてよい。水腎症の評価には,超音波エコー,CT,腎盂造影,利尿レノグラムなどがあるが,超音波エコーによる経時的評価が最も非侵襲的であり,ウィタカー試験が最も侵襲性がある検査といえる。現在では,利尿レノグラムによる尿路閉塞の評価が主流となっているが,ウィタカー試験は水腎症における尿流力学的検査であり,ほかの検査による評価では得られない情報を得ることができる。

 本検査は,経皮腎瘻より順行性に生理食塩水を一定流量で注入し,腎盂内圧を測定していく。このとき,膀胱内圧も同時に測定し,測定された腎盂内圧から膀胱内圧を減じた値で尿路の閉塞の有無を評価する。

E.X線検査法 【腎尿管膀胱単純撮影(KUB)】

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1 はじめに

 腹部単純撮影は,腎尿管膀胱単純撮影(KUB)を含めて一般的に腹部疾患診断のprimary examinationであると同時に,造影剤を使用した際の比較のために撮影されることが多い。特に造影前の単純撮影の意義として,(1)位置やコントラストの確認,(2)石灰化の有無,(3)尿路系以外の異常所見,(4)撮影前のbowel preparationが完了しているか,などのチェックのためとしている。KUBの撮影範囲は上部は両側の副腎を含み,下部は恥骨結合より2cm下方までを含む。ときに体格により2枚のフィルムに分割して撮影されることもある。KUB単独撮影の場合は仰臥位,前後方向で撮影されることが多いが,病変の状態により立位や斜位で撮影されることも多々ある。

 KUBを撮影するに当たり,泌尿器科医が最も期待する疾患は尿路結石である。結石の場合,造影剤が描出される尿路内での判定は困難となる。また,仰臥位で撮影されることが多いKUBであるが,立位により石灰化陰影が下方へ移動することも確認することができ,骨格陰影との重なりからはずれることで診断が可能になる症例も多い。

E.X線検査法 【排泄性尿路造影法】

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1 排泄性尿路造影の種類について

 造影剤が血管内に投与されると造影剤が腎臓から尿中に濃縮して排泄され,その結果,尿がX線画像上,可視状態になり,尿路の観察が可能となる。通常は静脈内に造影剤を投与するが,その投与法により2種類に分かれる。点滴静注する場合を点滴静注尿路造影(DIP)と呼び,単に静注する場合を静脈性尿路造影(IVP,IP)と称する。

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1 はじめに

 現在日本で排泄性尿路造影に用いられている水溶性ヨード造影剤は,1970年代から開発された2,4,6位にヨウ素を3個持つベンゼン環を基礎骨格にした水溶性の非イオン性のモノマー型が主体である。造影剤の副作用には浸透圧が大きく関与しているといわれている。従来のイオン性の造影剤から非イオン性に変わったことにより同一のヨウ素の量ならば浸透圧は低下し,副作用の軽減につながった。物質名はiopamidol,iohexol,iopromide,ioversol,iomeprol,ioxilanなどがある。さらに,浸透圧を下げるため1分子当たりのヨウ素を倍にしたダイマー型のiotrolan,iodixanolもある。各製剤により若干の違いはあるが,注射液はpH6~7台で,浸透圧は生理食塩水の約1~3倍程度に調節されている。副作用の発現率に関しては,各薬剤の間でほとんど差はない。

 現在でも逆行性尿道造影,腎瘻造影,瘻孔造影などに使用されるイオン性ヨード造影剤のamidotrizoic acidやiothalamic acidは,以前,排泄性尿路造影に用いられていたが,副作用の頻度が非イオン性に比較し明らかに高いので,現在では血管内への投与の適応がない。X線撮影現場には両者が保管されている場合もあるので,誤使用しないよう注意することが必要である。

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1 はじめに

 逆行性腎盂造影(retrograde pyelogrphy:RP)は,泌尿器科検査のなかで重要な位置を占め,手術のみならず臨床泌尿器科医として安全にかつ確実にその手技を習得する必要がある。尿管内に尿管カテーテルを挿入するため,尿管カテーテル法と適応および方法は同じである。

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1 はじめに

 経皮的順行性腎盂造影(percutaneous antegrade pyelography:PAP)は,腹臥位にて腰背部より直接腎盂穿刺を行い,造影剤を注入して腎盂・尿管を描出する方法である。本手技は,さまざまな上部尿路に対しての検査,処置,治療のファーストステップである。

E.X線検査法 【膀胱造影法】

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1 適 応

 逆行性膀胱造影は膀胱内に造影剤を注入して膀胱の状態を検査する。適応としては次の状態が考えられる。

1.神経因性膀胱による膀胱の変化

 脳疾患,脊髄疾患・損傷,直腸手術,婦人科手術後で神経障害が疑われ,尿線が弱い,頻尿,排尿困難,尿意消失などの排尿障害がみられる患者の膀胱の状態を検査する。

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1 適 応

 排尿時膀胱尿道造影は,主に膀胱尿管逆流の診断と後部尿道弁,尿道狭窄,尿道憩室などの尿道疾患の診断に行われる。繰り返す発熱による膀胱尿管逆流の疑い,排尿障害による尿道の機能的問題や尿道弁の存在が疑われるときに適応となる。疾患は先天性のことが多く,乳幼児に行われることも多い。また,排尿時の膀胱尿道の動きを観察できるので,下部尿路機能の情報を得ることもできる。

E.X線検査法 【逆行性尿道膀胱造影】

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1 はじめに

 逆行性尿道膀胱造影(retrograde urethrocysto-graphy)は,ほとんどが男性患者に対してなされるものである。従来は,前立腺肥大症患者に対しても手術時の情報を得るために行われていたが,本検査法は患者に苦痛を与えるものであるため,エコーやCT,MRI検査の発展により,前立腺肥大症に対しては現在ではきわめて適応が限られたものとなっている。

 女性に対する逆行性尿道膀胱造影は,尿道憩室の疑い患者に対してなされる場合がほとんどであり,double-balloon catheterを用いて,まず膀胱頸部を閉鎖して生理食塩水で空気,尿,膿などを尿道から洗い流し,外尿道口のバルーンを膨らませて尿道口に押し付けたのち造影剤を注入して撮影するが,外尿道口を完全に閉鎖することは困難な場合が多い1)。女性の尿道憩室に対する画像診断法としては,今日ではMRIが最も有用とされているため,女性に対して本検査は現在ほとんど行われていない。

 それゆえ本稿では,男性の逆行性尿道膀胱造影に限定して述べることとする。

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1 はじめに

 逆行性尿道膀胱造影検査時に患者の力みが発生するのは,通常は尿道外括約筋による収縮部(膜腰部尿道)を造影剤が通過するときである。造影剤注入時に患者が力めば,外括約筋の収縮力が増加するために造影剤による注入圧が上昇し,患者がさらに力むという悪循環を生じることになる。それゆえ,本検査に際して患者の力みを抑える最も重要なポイントは,外括約筋の収縮を可能な限り生じさせないようにすることである。

E.X線検査法 【鎖膀胱尿道造影法】

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1 適 応

 鎖膀胱尿道造影(bead-chain cystourethrography)は元来女性の尿道を描出するための手段として考案されたものであるが(Stevens and Smith, 1937),今日ではほとんどの場合,女性の腹圧性尿失禁患者における尿道と膀胱底部(膀胱頸部)の正確な解剖学的位置関係を描出させ,尿失禁のタイプ分類や手術適応の評価のために施行されている1)

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1 適 応

 不妊症においてその約40~50%で男性が関与していると考えられており,加えて近年環境ホルモンの影響などで男性の精液の質の低下が指摘されている。男性不妊症患者の精液検査を行うと,精液中に精子がまったく認められないいわゆる無精子症の患者が約10%を占めるといわれている。この無精子症をきたす原因として,(1)内分泌学的なもの(低性腺刺激ホルモン性性腺機能低下症),(2)精巣機能不全(精子形成異常),(3)精管または射精管の閉塞がある。精囊造影は(3)について行う検査である。

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1 脈管造影の種類とポイント

1.腎動脈・腎静脈造影

 主に腎腫瘍や腎盂腫瘍などで腎門部の血行の情報が必要なときに行う。動脈層・静脈層でそれぞれの血管の本数や走行を確認する。最近では,ほとんどの場合に放射線科医が行っているので,詳細は省略する。

2.内精巣静脈造影

 精索静脈瘤の程度を調べるときに行う(図1)。静脈の太さ,逆流の有無,弁の機能などを確認する。

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1 はじめに

 CT(computed tomography)の基本的な原理は,X線管球を人体の周囲で移動させながら,多くの方向よりX線を照射し,検出器でX線強度分布を測定する。次に測定したデータをコンピュータで処理し,画像を再構築することにより人体の断層像を得る。CTの特徴としてCT値(Hounsfield unit)により組織の組成を正確に判断することが可能である(表1)。すなわち,体内の構成物質をX線吸収値の違いにより識別することが可能であり,造影剤を使用しない単純CTにおいても骨や結石などの石灰化,出血,筋肉,尿や腹水,胸水などの水成分,脂肪組織,空気を鑑別することができる。

 泌尿器領域における一般的なCT検査の適応については,腎,副腎などの腹部領域では超音波検査に引き続きCTが施行される場合が多く,膀胱,前立腺などの骨盤では逆に超音波検査のあとMRIが施行される傾向にある。本稿では,臓器別にCTの適応,読影法について概説する。

<注意点>

 造影剤を使用する場合,常にショックなど副作用の可能性を念頭に置くことが必要である。ヨード造影剤の副作用は一般に注入後早期に起こることが多く,造影剤注入早期の患者の観察が重要である。また,発疹などの遅発性の副作用が検査終了後に起こることもあり,十分な患者への説明が必要である1)

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1 はじめに

 前立腺癌のステージ診断において,CTはMRIと比較して,その役割は非常に限られたものである。“Campbell's Urology”においても,前立腺癌の浸潤度の評価では,現在,CTはMRIに取って代わられていると述べられている1)。特に手術や小線源療法,放射線療法などの治療方針決定のため,局所浸潤度の評価を行う場合,経直腸超音波検査に引き続いてMRIを施行するケースがほとんどである。しかし,ペースメーカーや体内に磁性物質を留置した症例や,閉所恐怖症などの理由でMRIが施行できない症例に対しては,代用の検査として骨盤CT検査が行われる。

 本稿では,CTによる前立腺癌の浸潤度の評価について,臨床病期別にMRIと比較を行いながら概説する。

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1 はじめに

 腎の腫瘤性病変の画像診断では,以前より超音波検査に引き続き,MRIよりCTが優先して施行される傾向であった。さらに,近年,マルチスライスCT(MDCT)の出現により,時間および空間能が格段に向上し,高精細な三次元画像表示が可能となった。このため,現在,腎のスクリーニング,病変の浸潤度および血管の評価に関して,CTはMRIより優位な画像診断であると位置づけされている。

 本稿では,腎病変を中心として,MDCTを使用した三次元画像表示(いわゆる三次元CT)の原理,適応とその役割を概説する。

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1 MRIの適応と禁忌

 任意の断層像を撮影できることがMRIの利点とされていた。しかし,近年,急速に普及しているマルチスライスCT(多列検出型CT)は任意の断層像を比較的簡単に得ることができ,しかも高速撮影が可能であることから,造影すれば血管や尿路を明瞭に描出でき,MRアンギオグラフィ(MRA)やMRウログラフィを凌駕している。MRウログラフィでは尿の停滞のない正常な尿路の描出は不明瞭となるが,逆に水腎・水尿管症が高度で造影されないような腎盂・尿管を造影せずに明瞭に描出できることが利点である1)(図1)。またMRIでは副作用のきわめて少ない造影剤(Gd-DTPA)の使用によってCTにおけるヨード系造影剤とほぼ同様の造影効果や腎における排泄を捉えることができる1)。MRIの大きな欠点は,高速撮影ができるようになったものの,CTに比べて撮影時間が長いため呼吸や体動によるアーチファクトで不良な画像となることである2)

 結石や石灰化はMRIでは無信号となり,CTでは小さな結石も明瞭に描出でき,尿路結石ではCTが優位である3)

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1 前立腺の内部構造

 前立腺癌のMRI所見について述べるに当たり,まず正常前立腺のzonal anatomyについて簡単に触れる。

 前立腺のMRIを読影するに際し,前立腺の内部構造,すなわちzonal anatomyを理解することが重要である。前立腺は大きく腺性組織と非腺性組織に分けられ,前者はさらに3つのゾーンに大別される。すなわち中心域(central zone:CZ),移行域(transition zone:TZ),辺縁域(peripheral zone:PZ)に分かれる。中心域は射精管周囲を囲むような形で存在する前立腺組織で,約20%を占める。移行域は前立腺部尿道の左右に位置し,約5%を占める。前立腺肥大症の多くはこの領域から生じるため,加齢とともにこのゾーンは増大する。中心域と移行域はともにT2強調画像では低信号を示すため区別は困難であり,これらを合わせて内腺域と呼ばれる。辺縁域は外側および背側に位置し約70%を占め,前立腺癌の多くはこの領域から生じる1)

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1 膀胱の正常像

 膀胱癌のMRI所見について述べるに当たり,まずMRIにおける膀胱の正常像について簡単に触れる。

 T1強調画像では膀胱内の尿は著明な低信号で,膀胱壁は尿よりやや信号強度が高い低信号,膀胱周囲の脂肪は高信号として描出される1~3)

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1 はじめに

 腎充実性腫瘍の多くは腎細胞癌であるため,基本的に手術が行われているが,組織型によっては良性・悪性の鑑別が難しい場合も少なくない。腎腫瘍は偶発腫が多く,手術においては腎部分切除術も多く行われるようになり,治療方針を決める目的で鑑別は重要視される。近年,腎腫瘍の診断は短時間でダイナミック画像が得られるマルチスライスCTの登場により,MRI検査を行う機会が減少している。

 一般的に行われているMRI撮像法は安静呼吸下のspin echo(SE)法であるが,撮像時間が長いという欠点があり,特に呼吸性移動の多い腎の撮像ではアーチファクトが多く,不向きであった。しかし,この欠点を補うため,最近では高速spin echo法がT2強調像を中心に使用されている。呼吸停止下の高速撮像法はgradient echo(GRE)法が用いられ,腎腫瘍の鑑別に有用な画像が得られるようになった。

 本稿では,膨張性発育を示す代表的な充実性腫瘍におけるMRI所見と鑑別について述べる(図1)。

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1 はじめに

 CTはX線が生体を通過する際のX線減弱の分布を観察するもので,組織を構成する物質の原子番号とその密度に依存する。それに対し,MRIは生体内の水と中性脂肪を構成する水素原子とその密度に依存する。「CTとMRIの画像は似て非なるもの」といわれるゆえんである。

 近年,CTにおいては,single-detector helical CT(SDCT)やmultidetector-row CT(MDCT)の出現により,空間分解能・時間分解能が飛躍的に向上し,短時間に数種類の造影位相の異なる三次元像が撮像可能になった。血管系の評価では血管造影やMR angiography(MRA)からCT angiography(CTA)に移行しつつあり,またCT urography(CTU)は腸管内のガスの重なりがなく,排泄性尿路造影(IVP)よりも明瞭な尿路像を得ることができるようになった。空間分解能はCT画像に劣るが,密度分解能に優れるMRI画像は,泌尿器科領域において,腎では皮質と髄質の分離,特に呼吸性移動の少ない膀胱では粘膜・粘膜下層と筋層の分離,前立腺では移行域と辺縁域の分離した画像が得られ,依然として評価が高い。尿路系においては腎機能に依存することなく形態を評価でき,ヨード過敏症例にも適応できる利点もある。

 本稿では,主な泌尿器科領域の病変別にMRIとCTの有用性を比較検討する。

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1 はじめに

 泌尿器科領域の外科的治療は腹腔鏡下手術など低侵襲治療の進歩が著しい。それゆえに,診断,治療方針の決定において画像診断の果たす役割は大きいと考えられる。近年,CTの進歩が著しいが,泌尿器科領域においては閉塞性尿路疾患,膀胱癌,前立腺癌の分野ではMRIの評価が高く,撮像法も新しく変貌している。

 本稿では,その代表として新しいMR urography撮像法と最近注目されているMR spectroscopyを取り上げる。

G.核医学的診断法 【腎シンチグラフィ】

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1 はじめに

 腎シンチグラフィは,非侵襲的に腎の形態と機能を同時に評価できる有効な検査法である。使用する腎放射性医薬品は,その集積機序の相違から糸球体濾過物質のTc-99m DTPA,近位尿細管分泌物質のTc-99m MAG3,および尿細管集積物質のTc-99m DMSAに大別され,臨床検査の目的にしたがって使い分けられる。採血法を加えることにより糸球体濾過量(GFR)や有効血漿流量(ERPF)が算出され,分腎機能も求められることも大きな利点といえる1)

G.核医学的診断法 【副腎シンチグラフィ】

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1 はじめに

 副腎は生命維持に欠かせない重要な内分泌臓器であり,外層の皮質と内層の髄質から構成される。皮質からはミネラルコルチコイド,グルココルチコイド,性ホルモンが,髄質からはカテコーラミンであるノルアドレナリン,アドレナリンが合成され分泌される。これらの産生異常によりさまざまな臨床症状が引き起こされる。副腎シンチグラフィは合成過程に取り込まれる薬剤を使用することにより,副腎や腫瘍の機能や代謝を反映し,血液所見,CTやMRI画像所見と併せて的確な診断に到達するための有用な検査である。

G.核医学的診断法 【骨シンチグラフィ】

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1 はじめに

 骨シンチグラフィはすべての核医学検査のなかで最もポピュラーな検査法であり,その件数は年間約56万件を超え,これは全国の核医学検査総数の3割を上回っている1)。これほど多くの骨シンチグラフィが行われているのは,この検査が1回の核種投与で全身の骨の検索が可能であることが考えられる。しかし,質的診断という点ではほかの画像診断と比較しやや劣るという欠点もある。

G.核医学的診断法 【副甲状腺シンチグラフィ】

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1 はじめに

 Ferlinらは,1981年に副甲状腺のイメージングにサブトラクション法を報告している。これはカリウムイオンアナログである201Tl-chloride(タリウム)が甲状腺と副甲状腺に集積するのに対し,ヨウ化物アナログである99mTc-O4は甲状腺のみに集積するので,これらの画像をコンピュータで差し引き(サブトラクション)して,過機能性副甲状腺結節を描出する方法である1,2)

 99mTc-MIBIは心筋血流製剤として使用されているが,近年,副甲状腺腫・過形成にも取り込まれることがわかってきた。99mTc-MIBIを静注したのち,早期相(約10分後)においては正常甲状腺にも集積するので副甲状腺は描出されにくい。しかし,後期相(約2~3時間後)において甲状腺への集積はwash outされ,副甲状腺への集積はretentionされるので明瞭に描出されるようになる3)。ただし,この核種は現時点では副甲状腺検査として保険収載されていない。

 これまで,副甲状腺のみに特異的に集積する核種は開発されていない。

G.核医学的診断法 【神経系検査】

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1 はじめに

 核医学を用いた神経系検査では,positron emission tomography(PET法)とsingle photon emission computed tomography(SPECT法)がよく知られている1,2)。一般に,泌尿器科医がこれらの検査をオーダーすることはほとんどないように思われる。しかしながら,排尿機能の病態把握時として,局所脳血流測定のSPECTは今後有用となり得る検査法の1つと思われ,活用されるケースも予想される。PETについては別項で詳しく述べられているので,本稿ではSPECTについて解説する。

G.核医学的診断法 【ポジトロンCT(PET)】

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1 はじめに

 ポジトロンCT(positron emission tomography:PET)は,ポジトロン(陽電子)を放出するアイソトープで標識された薬剤を静注し,その体内分布をPETカメラで映像化する核医学診断法である。その原理は,ポジトロンがマイナスの電気を帯びた電子に結合してγ線(ガンマ線)になり,このγ線はエネルギーや放射方向が一定している特徴があり,PETではこのγ線を体外から感知し薬剤の体内分布を画像化するものである。細胞内に存在する特定の生理活性物質の元素を放射性同位元素に置き換え,この活性の高い細胞群を描出するので,従来の超音波断層診断やCT,MRIなどの形態をみる画像診断とは異なり,細胞の機能をみる機能画像診断としての有用性が高いことが知られている。

 近年注目を浴びている腫瘍FDG-PETは,グルコースの水酸基の1つを18-Fに置換した構造を持つ[18F]2-fluoro-2-deoxyglucose(FDG)を用いる。一般に,増殖の活発な癌組織における糖代謝は周囲の正常組織より亢進しており,腫瘍FDG-PETでは癌組織と正常組織の糖代謝の差を利用し画像的に両者を区別するものであり,主に癌領域の診断や治療効果判定などに近年急速に普及してきた。現在,保険適用の認められている疾患を表1に示すが,これら以外の疾患に対する保険適用外の使用や,癌の早期発見を目的とした検診などに急速に普及してきている。

 本稿では,FDG-PETについて概説し,自験例を通じて泌尿器疾患における腫瘍FDG-PETの有用性について記述する。

H.超音波診断法 ■各種の走査法 【経皮的走査法,体腔内走査法】

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1 はじめに

 超音波検査は非侵襲的であり,簡便に実施できる有用な検査法である。その走査法には皮膚表面にプローべを当てて行う経皮的走査法や体腔内にプローべを挿入して行う体腔内走査法があり,用途に応じて使い分けられている。泌尿器科では膀胱や前立腺において経皮的,経直腸的,経尿道的走査法が行われているが,それぞれ長所,短所があり,その特徴をよく理解して施行する必要がある。本稿では膀胱,前立腺の病変を中心にこれら走査法のポイントや注意点に関して考察する。

H.超音波診断法 ■各種臓器の超音波診断 【腎】

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1 はじめに

 超音波検査は非侵襲的検査の代表的なものであり,今日の泌尿器科診療においては必要不可欠なものとなっている。その簡便性ゆえに,超音波検査そのものの特徴や解剖学的構造を十分理解せずに検査が行われがちである。特に腎に関しては,結石の仙痛発作で身動きができずKUBも撮ることのできない症例や経皮的腎瘻造設術を行う場合などは,検者の敏速かつ正確なテクニックが要求される。

 そこで本稿では,腎の解剖学的特徴や構造を述べたうえで走査法のポイントに関して言及する。

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1 はじめに

 超音波検査は非侵襲的,非観血的に行え,スクリーニング検査のみならず精密検査の目的にも頻用されている。われわれは外来の日常診療において腎腫瘍や水腎症の精査を依頼されることが多いが,まず最初に行える検査が超音波検査である。そこで実際にプローべを当ててみると,水腎症と紹介されてきても腎囊胞のように見えたり,また腎囊胞のなかに何か腫瘍性の画像が見られることもあり,その診断に苦慮することも多い。そこで本稿では,腎囊胞,腎腫瘍,水腎症の超音波像の特徴に関して概説したのち,それぞれの鑑別について考察する。

H.超音波診断法 ■各種臓器の超音波診断 【膀胱】

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1 はじめに

 膀胱超音波断層法は,血尿や排尿障害を有する症例が主たる対象となる。簡便で非侵襲的検査のためスクリーニングに適しており,日々の泌尿器科診療において積極的に施行されるべきである。対象疾患は主に腫瘍で,その存在および深達度診断が可能である。そのほか,結石,憩室なども対象となる。また,推定残尿量の算出にも用いられる。アプローチには,経腹壁,経尿道,経直腸的走査法があるが,本稿では経腹壁的超音波断層診断法について述べる。

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1 はじめに

 前立腺肥大症や神経因性膀胱などの下部尿路症状を呈する疾患の診療において,残尿量の把握は必須である。現に,前立腺肥大症の領域別重症度判定基準1)の1項目として残尿量が含まれている(表1)。

 残尿測定の方法として,直接残尿量を計測する尿道カテーテル法と,超音波断層法で計測した値を用い近似式で残尿推定量を算出する方法がある。前者は正確な残尿量を把握できる反面,侵襲的で感染や尿道損傷,出血をきたす可能性がある。一方後者は,非侵襲的な方法であり,前立腺肥大症診療ガイドラインでも経腹壁的超音波断層診断法での残尿測定を推奨している。また,Bladder ScanTM(Diagnostic Ultrasound Corporation, Redmond, WA 98052)などの残尿測定専用装置も存在し,その有用性も報告されている2)

 本稿では,経腹壁的超音波断層診断法での残尿測定の方法について述べる。

H.超音波診断法 ■各種臓器の超音波診断 【前立腺】

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1 経腹壁的超音波断層法による前立腺の診断について

 経腹壁的超音波断層法による前立腺の検査は,外来診療において低侵襲で容易に施行可能な検査法である。比較的簡単にさまざまな情報が得られるため,頻繁に施行されている検査であるが,前立腺の描出が困難なこともあり,いわゆる見落としを生じる可能性も十分にあることを念頭に置く必要がある。

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1 経直腸的前立腺超音波断層法について

 前立腺超音波検査は,一般に経腹壁的および経直腸的に行われているが,前立腺の詳細な情報を得るためには経直腸的検査が有用である。現在,PSA検診が広く普及したことにより,前立腺生検を施行する症例が増加してきており,この際に併せて行う機会が増えている。

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1 はじめに

 前立腺疾患の診療において,体積を把握することは重要である。前立腺肥大症の領域別重症度判定基準1)(表1)や領域別治療効果判定基準2)(表2)の1項目として前立腺体積が含まれている。また,前立腺癌では,診断効率向上目的のPSA関連マーカーであるPSA densityなどを算出する際に体積が必要となる。超音波断層法を用いた前立腺体積の測定方法として,経腹壁的測定法と経直腸的測定法がある。後者は詳細な内部構造の観察に優れている。前立腺肥大症診療ガイドライン1)では,形態観察および体積測定に主眼をおいているために経腹壁的および経直腸的測定法の両者を推奨しているのに対し,前立腺癌取扱い規約3)では,癌の局在診断が主たる目的となるために経直腸的測定法を推奨している。

 前立腺超音波診断の基本的読影法は他稿を参照していただき,本稿では経腹壁的および経直腸的超音波断層診断法での体積測定の方法について述べる。

H.超音波診断法 ■各種臓器の超音波診断 【陰囊内容】

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1 はじめに

 陰囊内には精巣,精巣上体,精管,精索が存在する。これら陰囊内容は体表に近い部位に存在することから,超音波による画像診断のよい適応と考えられる。陰囊内容の超音波検査には通常7.5 MHz程度の高周波数リニア探触子が用いられる。精巣腫瘍などで腫瘤が大きな場合は5 MHz程度のコンベックス型の探触子が有用である場合がある。

H.超音波診断法 ■超音波ドプラ 【超音波ドプラ】

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1 はじめに

 超音波カラードプラ法やパワードプラ法の登場により従来では困難だった低速の血流が検出できるようになり,その血流動態の解析から形態的異常の診断に加えて病態,機能を評価する試みが行われるようになってきた。

 泌尿器科領域における超音波ドプラ法の臨床応用としては,(1)腫瘍性病変の診断1,2),(2)急性陰囊症の鑑別診断3),(3)移植腎の拒絶反応・急性腎不全,慢性腎不全の腎機能評価4~6),(4)尿流の評価を用いたウロダイナミクス7,8),(5)勃起障害に対する陰茎血流の評価9)など多岐にわたる報告がなされている。

 このうち,腎機能評価やウロダイナミクス,勃起機能評価などは限られた施設での報告にとどまり,一般泌尿器科領域における日常診療のなかでドプラ超音波がその有用性を発揮するのは,(1)腫瘍性病変の診断(特に腎腫瘤性病変の鑑別診断),(2)急性陰囊症の鑑別診断であろうと思われる。

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1 基本的事項

 超音波穿刺術を用いた泌尿器科領域の目的臓器は主に腎臓と前立腺に大別され,腎臓への応用は,(1)選択的腎生検,(2)経皮的腎囊胞穿刺術,(3)経皮的腎瘻造設術が挙げられ,前立腺への応用は,(4)前立腺針生検,(5)前立腺癌に対する小線源治療に伴うシードの刺入が代表的である。

 超音波穿刺術の際の針先の描出法のコツを考える場合,腎臓への穿刺は(1)~(3)のいずれの手技においても穿刺術専用装置,アタッチメント,穿刺針の特性を理解することが重要である。一方,前立腺への穿刺は,前立腺針生検の場合,経直腸的穿刺法は経直腸プローベに穿刺ガイド用の溝や専用アタッチメントが標準装備され,一般的にpuncture lineと針先のずれは生じず,描出法のコツを考慮することなく生検が可能である。

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1 基本的事項

 近年,超音波断層法やCT検査の普及に伴い,腎囊胞は比較的容易に発見されるようになった。しかしながら,実際に腎囊胞穿刺術を必要とする頻度は低い。腎囊胞に対し治療が必要となる対象は,(1)腎実質への圧排が著明であり腰痛などの自覚症状を伴うもの,(2)尿路通過障害の原因となるもの,(3)悪性腫瘍との鑑別が必要なもの,などが挙げられる。

I.腎機能検査法 【総腎機能検査】

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1 適 応

 腎機能低下時に,腎血流状態の確認のために行う。一般的な腎機能検査の一環として行う場合(総腎機能検査)と分腎機能検査として行う場合がある。特殊なものとしては移植腎機能検査がある。

I.腎機能検査法 【分腎機能検査】

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1 はじめに

 閉塞性腎症,逆流性腎症における患側腎の機能(両側性も含め),あるいは腎摘除が必要な場合の健側腎の機能を評価することは,治療方針の決定,治療効果の判定をするうえで重要である。また,一側腎に高度な機能障害があっても対側腎が代償してしまうため,それに気づかない場合もある。このため,分腎機能検査が必要になってくる。

J.生検法 【腎生検】

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1 はじめに

 腎生検は,腎疾患の病理学的診断を通して予後の推定や治療方針を決定したり,治療効果を判定するための検査である。リスクを伴う検査であり,施行に当たっては検査の必要性,検査方法,合併症などを十分に説明したうえで,承諾を得ることが重要である。

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1 前立腺生検の目的

 前立腺癌を疑って施行し,その確定診断をする。また,病理診断により悪性度を判定し予後の予測を行い,治療法を決定するのがその目的である。

 PSA検診などの普及により,最近ではT1c癌の割合が急増している。これは早期癌の発見率が上昇しているとともに,臨床上異議のない癌,いわゆるinsignificant cancerの発見や無駄な生検の増加をもたらした。したがって,適応の決定に当たっては根治的な治療が可能な癌の発見を増やし,insignificant cancerの発見を減らすべく考慮する必要がある。

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1 はじめに

 近年,前立腺特異抗原(PSA)の導入,検診の普及により本邦でも前立腺癌の増加,特に早期癌の発見頻度が増加しており,また前立腺生検を施行する機会も非常に増加していると思われる。前立腺癌の確定診断のためには前立腺生検は必須の検査であり,泌尿器科専門医であれば,本検査の技術の習得は避けて通れないものとなっている。幸いなことに経直腸的超音波ガイド下に生検を施行することで本検査の習得は容易で,さらに重度の合併症発症率は1%未満と低く,比較的安全に施行できる検査である。

 本稿では,前立腺生検法および癌検出に効率のよい至適前立腺生検本数について述べる。

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1 はじめに

 触診,血清PSA値ならびに経直腸的超音波断層法(transrectal ultrasonography:TRUS)は前立腺癌の診断に欠くことのできない検査法であり,前立腺癌診断の3つの“gold standard”といっても過言ではない。しかしながら,TRUSで示される低エコー域は癌特異的なものでなく,TRUSの癌正診率は約21%にすぎない1)。また,等エコー域や高エコー域を示す部位にも前立腺癌が存在するとの報告もあり,TRUSの癌診断特異度を減少させている2)

 前立腺癌診断におけるTRUSの役割は病変検索,局所浸潤,病期診断,さらに前立腺生検のTRUS下のガイドがある。1989年,Hodgeら3)により報告されたTRUS下の系統的6か所生検は,長く前立腺生検法のgold standardであった。そののち,系統的6か所生検の限界が叫ばれるようになり,多施設で生検手技の改善が試みられ,現在では10~12か所の多部位生検が標準的な生検法となっている(至適前立腺生検本数については前項を参照されたい)。

 このように,前立腺癌検出率を向上させるために多くの試みがなされているが,TRUSにおける前立腺癌診断は残念ながら満足のできるものではなく,TRUSでの最近の試みとしては癌診断率を向上させるために,前立腺内部の血流情報から腫瘍血流を同定するカラードプラ法が応用されるようになった。

 本稿では,前立腺癌診断におけるカラードプラ併用TRUSないしカラードプラ併用前立腺生検法の有用性について概説する。

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1 基本的事項

 膀胱生検で組織診断するに当たっては,壁内のどこまで組織採取する必要があるかを念頭に置く必要がある。膀胱腫瘍の診断においては,治療方針決定に深達度診断がきわめて重要である。すなわち,筋層内浸潤の有無の確認が組織採取においてなされなければならない。一方,尿路悪性腫瘍を疑った生検においても,局在が不明な尿細胞診陽性症例や,高異型度な表在性膀胱腫瘍を疑う隆起性病変における腫瘍以外の部位の生検は粘膜採取で十分である。腫瘍以外の診断目的で生検を行う症例では,基本的には膀胱粘膜の採取で十分である。

 ここで述べたいのは,単に膀胱生検といっても,何箇所採取するのか,深達度においてどこまで組織採取が必要なのかを常に考えて,安全かつ有用な診断情報を得られるように心掛ける必要があるということである。

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1 はじめに

 近年,補助生殖技術(assisted reproductive technology:ART)の進歩により精巣生検の意義は大きく変わってきている。精巣生検は,従来は男性不妊の診断・治療法の決定,予後判定を目的としていた。近年は,診断目的のみならず,ARTによる不妊治療の精子採取という目的が主流になりつつある。

K.内分泌機能検査法 【間脳-下垂体-性腺(精巣)系の内分泌機能検査】

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1 間脳-下垂体-性腺(精巣)系とは

 血中アンドロゲン(C19-steroidの総称)1)には,精巣由来のテストステロンと,副腎皮質由来のアンドロステロン,デハイドロエピアンドロステロン(DHEA)などがある。このうちテストステロンの合成経路を図1に示す。

 間脳-下垂体-性腺(精巣)系のホルモン調節機構を図2に示す。視床下部よりの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin releasing hormone:GnRH)は間欠的に分泌され,日内変動が存在する。このGnRHは,下垂体門脈によって下垂体前葉に運ばれ,ゴナドトロフ細胞から刺激ホルモン(ゴナドトロピン)である黄体形成ホルモン(luteinizing hormone:LH)と卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone:FSH)を放出する。ゴナドトロピンも日内変動を有する。

K.内分泌機能検査法 【間脳-下垂体-副腎皮質系の内分泌機能検査】

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1 間脳-下垂体-副腎皮質系とは

 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone:CRH)は視床下部室傍核で産生される41個のアミノ酸からなるポリペプチドである。CRHは下垂体門脈を経て下垂体前葉に送られ,副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)の合成・分泌を促進する1)。なお,CRHは視床下部以外の大脳辺縁系などの脳組織や脳以外の組織(副腎,膵臓,精巣,胎盤など)でも産生され,ACTH分泌作用のほか性腺系,消化器系,免疫系などへの作用も認められる。

 ACTHは副腎皮質からの糖質コルチコイドの分泌を刺激するが,CRH,ACTHの分泌は糖質コルチコイドによってnegative feedbackを受ける2)。また,ACTHは思春期以降は副腎アンドロゲン(DHEA-S)の分泌を促進する。アルギニンバソプレシンやカテコラミンにもACTH分泌作用があるが,CRHのACTH分泌作用が最も強力である。

K.内分泌機能検査法 【副腎髄質の内分泌機能検査】

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1 はじめに

 高血圧症は,本邦で最も発生頻度が高い疾患で,患者数は約3,400万人と推定されている。大多数が原因不明な本態性高血圧症であるが,5~10%で二次性高血圧症がみられる。二次性高血圧症には,腎実質性高血圧症(2~5%),腎血管性高血圧症(0.2~4%),大動脈縮窄症(0.1~1%),原発性アルドステロン症,Cushing症候群,褐色細胞腫などの副腎性高血圧症(0.1~0.5%)などが含まれており1),副腎髄質の内分泌機能検査は主に褐色細胞腫などカテコールアミンが上昇する疾患を診断するために必要な検査である。

K.内分泌機能検査法 【レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の内分泌検査】

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1 はじめに

 高血圧症は,本邦で最も発生頻度が高い疾患で,患者数は約3,400万人と推定されている。大多数が原因不明な本態性高血圧症であるが,5~10%で二次性高血圧症がみられる。二次性高血圧症には,腎実質性高血圧症(2~5%),腎血管性高血圧症(0.2~4%),大動脈縮窄症(0.1~1%),原発性アルドステロン症,Cushing症候群,褐色細胞腫などの副腎性高血圧症(0.1~0.5%)などが含まれており1),レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の内分泌検査は腎実質性高血圧症,腎血管性高血圧症や原発性アルドステロン症などのアルドステロン産生疾患を診断するために必要な検査である2,3)(表1)。

K.内分泌機能検査法 【カルシウム代謝調節ホルモン検査】

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1 基本的事項

 カルシウムは,生体内のさまざまな細胞の機能や調節に関与しており,その体内動態および代謝はきわめて重要である。そのため,血中カルシウム濃度の生理的変動は非常に狭い範囲にとどまっている。カルシウム代謝を調節するホルモンやそれに準ずる物質は,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH),活性型ビタミンDやカルシトニンが代表的なものであり,これらの標的器官は骨,腎および腸管である。カルシウム代謝異常として,低カルシウム血症,高カルシウム血症,低カルシウム尿症や高カルシウム尿症が主な病態として挙げられる。

 本稿では,泌尿器科的疾患の臨床にかかわる高カルシウム血症と低カルシウム血症を中心に,関連するホルモン検査について述べたい。

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1 はじめに

 染色体異常を有する泌尿器科疾患は多岐にわたるが,その多くは多発性先天異常の一症状として泌尿器科疾患を合併しており,実際の臨床の場ではすでに診断がついたあとに紹介となることが多い。

 泌尿器科医が染色体検査を必要とする症例の多くは,性分化異常症を有する患児(性別不詳児)に対する治療方針の決定に際してである。近年の分子生物学の進歩により,性分化異常症に対する病態の解明が進んできている。実際の診断には専門的な知識が要求されるために,多くの場合,泌尿器科医以外の複数分野の専門家と共同で行うことが多い。個々の疾患の詳細は誌面に限りがあるため成書に譲り,本稿では診断に至る流れと染色体検査の意義について概説する。

基本情報

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臨床泌尿器科
60巻4号 (2006年4月)
電子版ISSN:1882-1332 印刷版ISSN:0385-2393 医学書院

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