特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス
A.一般臨床検査法
■尿検査
【尿沈さ】
14.標本観察のポイントと注意点について教えて下さい。
向井 英代
1
,
山口 誓司
2
1市立池田病院病理診断科
2市立池田病院泌尿器科
pp.58-62
発行日 2006年4月5日
Published Date 2006/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100061
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1 はじめに
前項で述べたように,尿沈さ検査は非常に簡便ながら多くの情報が得られる優れた検査法である。顕微鏡を覗くことに多少の抵抗があるかもしれないが,ある程度慣れてしまえば奥深い世界であることがわかるであろう。標本観察に際しての基本的な心構えとして2つのパターンがある。1つは前歴のない患者からの尿をスクリーニングする場合で,もう1つがすでに診断が確定した患者をフォローしている場合である。前者の場合はすべての要素を効率よくチェックする必要がある。一方,後者では腫瘍の再発や治療効果・治療による影響などに主眼を置いた観察が必要になる。臨床医が自身で直接検鏡する場合にはそういったことを念頭に置いて観察するであろうが,検査室に検鏡を依頼する場合には必要最小限の患者情報を検査室に伝えなければならない。そういったことは観察以前のポイントであるが,往々にして軽視されがちである。
本稿では,検鏡での基本的な作法とそのポイントについて述べたい。
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