特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス
E.X線検査法
【排泄性尿路造影法】
48.排泄性尿路造影に使用する造影剤の副作用と対策について教えて下さい。また,造影剤の点滴開始前に造影剤テストを行うべきでしょうか。
平野 美和
1
1同愛記念病院泌尿器科
pp.167-169
発行日 2006年4月5日
Published Date 2006/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100095
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1 はじめに
現在日本で排泄性尿路造影に用いられている水溶性ヨード造影剤は,1970年代から開発された2,4,6位にヨウ素を3個持つベンゼン環を基礎骨格にした水溶性の非イオン性のモノマー型が主体である。造影剤の副作用には浸透圧が大きく関与しているといわれている。従来のイオン性の造影剤から非イオン性に変わったことにより同一のヨウ素の量ならば浸透圧は低下し,副作用の軽減につながった。物質名はiopamidol,iohexol,iopromide,ioversol,iomeprol,ioxilanなどがある。さらに,浸透圧を下げるため1分子当たりのヨウ素を倍にしたダイマー型のiotrolan,iodixanolもある。各製剤により若干の違いはあるが,注射液はpH6~7台で,浸透圧は生理食塩水の約1~3倍程度に調節されている。副作用の発現率に関しては,各薬剤の間でほとんど差はない。
現在でも逆行性尿道造影,腎瘻造影,瘻孔造影などに使用されるイオン性ヨード造影剤のamidotrizoic acidやiothalamic acidは,以前,排泄性尿路造影に用いられていたが,副作用の頻度が非イオン性に比較し明らかに高いので,現在では血管内への投与の適応がない。X線撮影現場には両者が保管されている場合もあるので,誤使用しないよう注意することが必要である。
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