特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス
F.MRI
【MRI】
62.前立腺癌のMRI所見,鑑別診断について教えて下さい。
津ケ谷 正行
1
,
伊藤 尊一郎
1
,
遠藤 純央
1
1豊川市民病院泌尿器科
pp.210-212
発行日 2006年4月5日
Published Date 2006/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100109
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1 前立腺の内部構造
前立腺癌のMRI所見について述べるに当たり,まず正常前立腺のzonal anatomyについて簡単に触れる。
前立腺のMRIを読影するに際し,前立腺の内部構造,すなわちzonal anatomyを理解することが重要である。前立腺は大きく腺性組織と非腺性組織に分けられ,前者はさらに3つのゾーンに大別される。すなわち中心域(central zone:CZ),移行域(transition zone:TZ),辺縁域(peripheral zone:PZ)に分かれる。中心域は射精管周囲を囲むような形で存在する前立腺組織で,約20%を占める。移行域は前立腺部尿道の左右に位置し,約5%を占める。前立腺肥大症の多くはこの領域から生じるため,加齢とともにこのゾーンは増大する。中心域と移行域はともにT2強調画像では低信号を示すため区別は困難であり,これらを合わせて内腺域と呼ばれる。辺縁域は外側および背側に位置し約70%を占め,前立腺癌の多くはこの領域から生じる1)。
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