特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス
F.MRI
【MRI】
64.腎腫瘍のMRI所見,鑑別診断について教えて下さい。
江左 篤宣
1
,
清水 信貴
2
1NTT西日本大阪病院泌尿器科
2近畿大学医学部泌尿器科
pp.217-220
発行日 2006年4月5日
Published Date 2006/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100111
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1 はじめに
腎充実性腫瘍の多くは腎細胞癌であるため,基本的に手術が行われているが,組織型によっては良性・悪性の鑑別が難しい場合も少なくない。腎腫瘍は偶発腫が多く,手術においては腎部分切除術も多く行われるようになり,治療方針を決める目的で鑑別は重要視される。近年,腎腫瘍の診断は短時間でダイナミック画像が得られるマルチスライスCTの登場により,MRI検査を行う機会が減少している。
一般的に行われているMRI撮像法は安静呼吸下のspin echo(SE)法であるが,撮像時間が長いという欠点があり,特に呼吸性移動の多い腎の撮像ではアーチファクトが多く,不向きであった。しかし,この欠点を補うため,最近では高速spin echo法がT2強調像を中心に使用されている。呼吸停止下の高速撮像法はgradient echo(GRE)法が用いられ,腎腫瘍の鑑別に有用な画像が得られるようになった。
本稿では,膨張性発育を示す代表的な充実性腫瘍におけるMRI所見と鑑別について述べる(図1)。
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