特集 ここが聞きたい―泌尿器科検査ベストプラクティス
F.MRI
【MRI】
65.泌尿器科領域において,MRIがCTなどそのほかの検査法に比べて優れている点は何ですか。MRIで診断率が上がる,あるいはMRIでしかわからないことがあれば教えて下さい。
江左 篤宣
1
1NTT西日本大阪病院泌尿器科
pp.222-223
発行日 2006年4月5日
Published Date 2006/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100112
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
1 はじめに
CTはX線が生体を通過する際のX線減弱の分布を観察するもので,組織を構成する物質の原子番号とその密度に依存する。それに対し,MRIは生体内の水と中性脂肪を構成する水素原子とその密度に依存する。「CTとMRIの画像は似て非なるもの」といわれるゆえんである。
近年,CTにおいては,single-detector helical CT(SDCT)やmultidetector-row CT(MDCT)の出現により,空間分解能・時間分解能が飛躍的に向上し,短時間に数種類の造影位相の異なる三次元像が撮像可能になった。血管系の評価では血管造影やMR angiography(MRA)からCT angiography(CTA)に移行しつつあり,またCT urography(CTU)は腸管内のガスの重なりがなく,排泄性尿路造影(IVP)よりも明瞭な尿路像を得ることができるようになった。空間分解能はCT画像に劣るが,密度分解能に優れるMRI画像は,泌尿器科領域において,腎では皮質と髄質の分離,特に呼吸性移動の少ない膀胱では粘膜・粘膜下層と筋層の分離,前立腺では移行域と辺縁域の分離した画像が得られ,依然として評価が高い。尿路系においては腎機能に依存することなく形態を評価でき,ヨード過敏症例にも適応できる利点もある。
本稿では,主な泌尿器科領域の病変別にMRIとCTの有用性を比較検討する。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.