臨床眼科 51巻6号 (1997年6月)

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(24D-2) 鍼刺激が網膜微小循環系へ及ぼす影響につき,レーザードップラー眼底血流計を用いて検討した。対象は若年健常者9名18眼で1視神経乳頭近傍20×5°の範囲についてHeidelberg Retina Flowmetry(HRF)により血流動態解析を行った。鍼刺激は両手背第一/二中手骨骨底間陥凹で第二中手骨「合谷」穴に15分間行い,刺激開始前,刺激中5,10,15分経過後および抜鍼後に測定を行った。その結果網膜血流は鍼刺激開始後経時的に有意な増加を示したが,抜鍼とともに刺激前値へと低下した。鍼刺激が眼底血流増加作用を有することをはじめて確認した。

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(24D-7) 網膜静脈分枝閉塞症(branch retina-vein occlusion:BRVO)について次の検討を行った。血圧正常群,高血圧群,網膜静脈分枝閉塞症群各100例の血圧,視神経乳頭縁から上および下耳側の第1動静脈交叉までの距離,交叉部での動静脈の位置関係,細動脈硬化の程度の比較検討である。血圧は収縮期,拡張期ともに高血圧群とBRVO群が高かった。視神経乳頭縁から動静脈第1交叉までの距離は3群とも上耳側は下耳側よりも短かったが,BRVO群は他の2群に比べて上下とも有意に短かった。BRVO群は全例において交叉部で動脈が静脈の上に位置していた。細動脈硬化は血圧正常群<高血圧群<BRVO群の順に強かった。BRVOでは血圧が高値で,第1動静脈交叉が視神経乳頭縁から近く,交叉部で動脈が上にあり,細動脈硬化が強いことが確認された。

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(24D-8) 40歳以上の非虚血型網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO)23例24眼を,ウロキナーゼ・リボ化プロスタグランジンE1・星状神経節ブロック3者(UPS)併用療法を行った12眼(UPS群)と行わなかった12眼(非UPS群)に分けて,その有効性につきretrospectiveに検討した。最終視力0.1以下の視力不良例はUPS群5眼,非UPS群3眼,0.7以上の視力良好例はいずれの群も5眼であり,2段階以上の視力悪化例はUPS群3眼,非UPS群4眼,視力改善例はUPS群3眼,非UPS群5眼であった。また,汎網膜光凝固を要した症例はUPS群2眼,非UPS群3眼であった。以上の結果から,UPS併用療法はCRVOの予後に明らかな影響を与えないと考えられる。

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(25C2-1) 長崎県の離島奈留島で住民の眼科検診を行った。全人口4,585人のうち643人が受診した。男性206名,女性437名であった。検査には,視力,屈折,眼圧,細隙灯顕微鏡,無散瞳眼底撮影,眼底検査を用いた。以下の疾患が発見された。白内障35.3%、翼状片9.3%,高血圧眼底2.6%,睫毛乱生2.3%,角膜白斑2.2%,網脈絡膜萎縮2.0%,水晶体嚢偽落屑1.8%,高眼圧または緑内障1.4%,網膜色素変性0.5%。翼状片と網膜色素変性が高率であり,眼科的に経過観察が必要な疾患が約30%にあった。

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(25C2-6) 60歳女性が1年前からの両眼の眼瞼腫脹を主訴として受診した。頸部リンパ節の生検で悪出生リンパ腫の所見が得られ,マクログロブリン血症と診断した。経結膜的に行った涙腺部の生検で良性の涙腺炎の所見があったが,再度の経皮的な涙腺切除で悪性リンパ腫の所見が得られた。マクログロブリン血症などのリンパ球系悪性腫瘍では,眼窩や結膜など眼付属器にリンパ増殖性病変が好発し,1回だけの生検では悪性所見が必ずしも発見されないことを示す事例である。

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(25M-7) 眼底での血球成分の螢光を確認するために,走査型レーザー検眼鏡で螢光造影を行った。対象は正常者を含む8例8眼で,静脈血16mlにフルオレセインナトリウムを混ぜた後に,遠心分離により血漿と血球に分けた。染色された血球成分の静注後,画角20度で螢光造影を行った結果,5例5眼で網膜血管内を移動ずる螢光点が観察された。螢光点は傍中心窩血管網だけでなく,乳頭部を含む後極のどの部位にも現れた。また毛細血管だけでなく,動脈にも静脈にも現れ,それぞれの移動速度が計測できた。淡黄膜の塗抹標本の螢光顕微鏡観察では,凝集した白血球と血小板が螢光を発していた。網膜血管内での白血球などの螢光が観察可能であることが実証された。

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(25C2-11) Bacillus subtilisによる眼瞼感染症と考えられた症例を報告した。症例は2歳,女児。左上眼瞼に発赤,腫脹および腫瘤形成がみられた。抗生物質を投与しても軽快しなかった。CTやMRIで左上眼瞼に腫瘤陰影がみられたため悪性腫瘍を疑い,腫瘤摘出術を行った。病理組織学的に悪性像はなく,肉芽腫様炎症像がみられたため何らかの感染症が疑われた。腫瘤表面からの細菌培養にてBacillus subtilisが検出されたことから,本症例は本菌による眼瞼感染症と考えた。

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(25E-7) 過去22か月の期間に,網膜色素変性症患者28名に入院による教育訓練を行った。退院後の患者の動向から,訓練による生活の質(quality of life)の向上,障害の認知と受容が得られた事例が多いと判断された。このような教育訓練の成果は,一般の眼科診療を補完するものとして評価される。

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(25C2-22) Vogt—小柳—原田病の新鮮例17症例について超音波生体顕微鏡を用いて,治療前後での前房深度と隅角の広さを計測し,毛様体脈絡膜剥離の有無を観察した。34眼中15眼(44%)で,毛様体脈絡膜剥離がみられた。毛様体脈絡膜剥離は副腎皮質ステロイド薬の全身投与後,全例で消失した。同時に前房深度は深くなり,隅角は広くなった。毛様体脈絡膜剥離のない眼でも同様の傾向がみられた。その変化量の平均は,毛様体脈絡膜剥離がある眼で明らかに大きかった。以上の結果から,毛様体脈絡膜剥離の存在がVogt—小柳—原田病新鮮例の浅前房の主因であると結論した。

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(25E-16) 老人性円板状黄斑変性127眼に対する脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)の検出率と,CNVに対して光凝固術を施行した42眼の再出血率について検討した。CNVはフルオレセイン螢光眼底造影(fluorescein angiography:FA)あるいはインドシアニングリーン螢光眼底造影(indocyanine angiography:IA)を用いることで198眼77.2%に検出された。漿液性網膜剥離,網膜下結合織増殖型では,FAが有効であった。網膜下血腫,網膜下嚢胞型では,IAが有効であった。また,光凝固術後3か月以上経過観察できた42眼中15眼36%に再出血を認め,網膜下血腫,網膜下嚢胞型に多い傾向がみられた。IAは,いわゆるoccult CNVの検出に優れているもののレーザー光凝固範囲を正確に同定することはできなかった。

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(26M-16) 新手技により水晶体除去と硝子体手術を同時に行った112眼を評価した。耳側の3×3mmの曲面1面切開創で超音波水晶体乳化吸引術を行い,硝子体切除後にシリコーンレンズを嚢内に挿入した。術後に遷延性の角膜上皮障害はなく,上方の結膜が保存されているために,血管新生緑内障に対する濾過手術が容易にできた。曲面1面切開は作成が簡便で,無縫合でも強膜内陥凹時に前房が消失しなかった。シリコーンレンズは,虹彩癒着がなく,良好な瞳孔が確保でき,レンズ偏位はなかった。この手技は,手術侵襲の軽減に有効であった。

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(26A-5) 2施設で手術を行った35歳以下のアトピー性白内障52例75眼を検討した。網膜剥離は男9眼,女2眼に併発していた。網膜剥離のないアトピー性白内障64眼は,男45眼(70%),女19眼(30%)であった。左右差はなかった。アトピー性白内障は女より男に進行増悪することが示された。

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(26A-9) 前房レンズ一次挿入術を行い,平均9年7か月経過観察できた86眼の予後を検討した。術後最終視力が0.5以上が全体の69%を占めていた。その反面,角膜内皮細胞密度が2,000/mm2未満が全体の57%を占めていた。術後合併症として水疱性角膜症が12眼(14%)にみられ,うち9眼は隅角2面支持型前房レンズ(シムコ型)であった。また前房レンズ摘出をうけた14眼中11眼は隅角2面支持型前房レンズ(シムコ型)が占めていた。隅角2面支持型前房レンズ(シムコ型)は使用すべきレンズではないが,隅角4点支持型前房レンズ(ケルマン型)なら高齢者に対して適応もありうると考えられた。

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(展示268) 過去10年間の角膜移植術の自験例86眼を検討した。全層角膜移植75眼(87%),表層角膜移植11眼(13%)である。透明治癒したものが42%,やや混濁が残るものが19%,混濁が39%であった。術後視力は,改善42%,悪化13%,不変45%であった。角膜提供者の年齢は,透明治癒率と視力改善率に関係しなかった。拒絶反応は18眼(21%)にあった。

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(26C2-7) 神経線維腫症59名について眼合併症を調査した。男性28名,女性31名である。虹彩小結節が53例,眼瞼神経線維腫が21例にあった。35例に眼底病変があり,視神経乳頭周囲の網膜色素上皮異常が17例,脈絡膜神経線維腫が5例にあった。視神経病変が15例にあり,視神経乳頭部膠腫が1例含まれていた。蝶形胃欠損による脳髄膜瘤が2例,眼窩骨の変形と眼窩神経線維腫が各1例あった。

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(26A-16) 後発白内障の混濁を定量化し,視力への影響を検討した。対象は後発白内障のため後嚢切開術を必要とした35眼で、年齢は平均67.1歳であった。前眼部画像解析装置を用いて,細隙灯像から混濁の濃度を求め,徹照像から瞳孔4mm径の混濁部の面積を測定した。混濁の濃度は対照群よりも有意に高く,混濁濃度または混濁面積が大きい症例でグレア視力の低下が顕著であった。

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(26C2-6) 64歳の男性が出血傾向と貧血を契機として骨髄異形成症候群と診断された。内科的に治療中に,右眼痛と高度の視力障害が突発した。右眼に硝子体出血と結膜下出血があり,その3日後に上方の角膜輪部で眼球が破裂した。眼球摘出後の病理組織の検索で,眼球に著しい変形があり,眼内は炎症細胞と出血で充満していた。本症候群特有の異形細胞の浸潤はなかった。本症候群により眼内に炎症細胞が浸潤し,全眼球炎となって眼圧が上昇したことと,強膜に炎症細胞が浸潤して脆弱化したことが眼球破裂の原因と推定された。

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(26E-4) 眼疾患に対してプリーラジカルを使用して治療した。角膜表面に微弱な直流電流を流すと,涙液中の塩が電気分解される。陽極には塩素イオンが発生し,同時にフリーラジカルも発生する。角膜上皮疾患に対して通電,有効例があった。副作用はみられなかった。

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(26C2-3) 異常な顔貌,心雑音,股関節脱臼,体重増加不良などで染色体異常が証明された生後3か月の女児が眼科に紹介された。前額部の隆起青後頭部扁平,球状鼻,耳介低位付着,小口症があり,生後1年の時点で,全身に発達遅延と肺動脈弁狭窄,両眼に眼瞼下垂,眼瞼狭小,眼球上転障害,小眼球,小角膜,虹彩低色素,片眼の虹彩角膜癒着などがあった。G染色法による染色体分析で,核型は[46,XX,6q+]であり,6p21を切断点とする6pトリソミーであった。本症としては眼所見が多彩であった。

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(26C2-21) 集簇性軟性ドルーゼンが両眼にある2症例に対してアルゴングリーンレーザーで光凝固を行った。患者の年齢は70歳と76歳である。中心窩から耳側に位置するドルーゼンに光凝固を行った。光凝固後2〜4か月で,直接凝固したドルーゼンは消失した。直接凝固しなかった中心窩領域のドルーゼンは,凝固後2か月から縮小しはじめ,7か月後には消失した。光凝固で軟性ドルーゼンを消失させることが滲出型の加齢黄斑変性症の予防につながるのではないかと考えた。

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(26E-15) アシクロビル眼軟言の副作用を国内11施設で調査した。過去1年間に単純ヘルペスウイルスまたは水痘帯状疱疹ウイルスによる角結膜炎と診断され,アシクロビル眼軟膏の投与を受けた患者255例を対象とした。男142例1女113例で,年齢は48±20歳である。副作用は73例にあり,点状表層角膜症(SPK)72例,結膜びらん3例,眼瞼炎2例であった。発症までの期間は19.6±14日,部位は角膜下1/2が39例であった。副作用は減量または中止によって容易に消失した。アシクロビル眼軟膏の副作用が頻度が高いことと,点状表層角膜症が主要な副作用であることが判明した。

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(展示13) 9歳女児に熱発と右耳下腺腫脹が生じ,流行性耳下腺炎と診断された。1週後に全身症状が軽快した時期に,左眼に毛様充血と前房内フィブリン析出が起こった。デキサメタゾンの点眼と結膜下注射を受けたが,強い角膜混濁が生じ,5日後に角膜は透明化した。角膜内皮細胞が減少していた。右眼は全期間を通じて正常であった。虹彩炎で破壊された血液房水関門から房水内にウイルスが侵入し,角膜内皮が障害されたと推定した。

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(展示14) 過去5か月の問に当院救急外来を受診した化学眼外傷6例の予後を解析した。苛性ソーダ2眼,セメント2眼,消石灰1眼,強酸性の錫の剥離剤1眼であった。1眼で0.8,他の5眼で1.0の最終視力が得られた。全例が飛入から5分以内に洗眼を行っていた。化学眼外傷の予後を決定する要因は,薬物の種類と濃度,初期治療の開始時期,受診までの時間,保護眼鏡の有無、輪部結膜の虚血,palisades(Vogt)の消失などであった。

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(展示30) アルゴンレーザー虹彩切開術を行った2眼に遅発性に水疱性角膜症が生じた。原因疾患は,それぞれ急性緑内障発作と慢性閉塞隅角緑内障である。水疱性角膜症は,治療の6年後と7年後に発見された。本例を含み過去4年半にアルゴンレーザー虹彩切開術が行われた55眼での角膜内皮細胞の密度の減少は,緑内障予防の目的での46眼よりも,急性緑内障8眼で顕著であった(p<0.05)。両群とも,細胞密度の大きい眼と小さい眼の2群があった。予防治療例では,この2群間に照射エネルギーと年齢には差がなく,治療後経過期間に有意差があった。アルゴンレーザー虹彩切開術後には,角膜内皮に対する持続的障害があることが推定された。

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(展示31) 点眼麻酔下の小切開白内障手術予定者で,緑内障などの術後眼圧上昇の危険因子がない61例62眼で,術前後の眼圧を測定した。眼圧降下のための治療は行わなかった。術前の眼圧は,14.9±2.2mmHg(平均±標準偏差)であり,術後3,6,10,24時間後,2日後,3日後の眼圧は,それぞれ18.2±3.6,17.9±3.4,17.1±3.2,15.0±2.8,13.7±2.4,13.1±2.1mmHgであり,経過中30mmHgを越えた症例はなかった。術後早期の眼圧上昇は,年齢,眼軸長,超音波操作時間,手術所要時間,切開方法のいずれとも相関しなかった。

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(展示50) 76歳男性の左眼球結膜の鼻側に3年前から腫瘤があり,半年前から増大した。腫瘤は発赤して固く,その大きさは9×7mmであった。切除組織は,嚢胞上皮が2〜3層の円柱上皮であり,嚢胞に隣接して多数の涙腺組織があった。内部にPAS陽性のコンクレメントが貯留していた。涙腺から発生した貯留嚢胞と診断された。

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(展示54) 翼状片患者15例15眼(平均年齢59.5歳)について,HE染色およびPCNA染色を行って観察したところ,成長に伴う組織像の変化から,初期,増殖期,成熟期,過熟期の4期に分類された。結合組織は,初期には密な線維から成り,進行するにつれて先端部にPCNA陽性細胞が出現した。その後,次第に均一な硝子質様組織へと置換され,細胞成分は消失した。上皮層は,初期から増殖期に成長するにつれて体部,先端部ともに多数のPCNA陽性細胞が認められた。成熟期に入るとこの陽性細胞は先端部に限局ずるようになり,過熟期には上皮全体が菲薄化し,陽性細胞は認められなかった。以上から体部の増殖力が低い成熟期以降に切除することが再発防止に役立つ可能性が示唆された。

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(展示2) 2D以上の角膜乱視のある患者58名を検索した。症例は,無または偽水晶体眼45名,円錐角膜2名,有水晶体眼11名である。プラチド写真を画像解析サービスに送り,角膜トポグラフィーマップと乱視に関する量的情報を作成した。算出された角膜の歪み度を表す数値は,眼鏡による矯正視力と有意な相関を示した。このサービスは,コンピュータによる角膜形状解析装置のない眼科施設でも,屈折矯正手術に関する情報を得る意味で有用である。

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(展示72) 眼内レンズを挿入する白内障手術後の2眼にpigmentdispersion syndromeが発症した。1例は嚢外に挿入した3ピース眼内レンズが回転して虹彩を擦って発症した。眼内レンズを摘出し,13.5mmの一体式眼内レンズと入れ替えて眼圧が正常化した。他の1例では,後嚢破損青硝子体脱出,瞳孔偏位があり,嚢外に挿入した眼内レンズが虹彩を擦って発症したと推定された。トラベクロトミーで眼圧が正常化した。不適切な眼内レンズの嚢外固定による本症候群は警戒されるべきである。

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(展示76) 糖尿病網膜症で加療中の76歳男性に,左眼超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行った。術後2週間目に前房蓄膿を伴う眼内炎が生じたため,硝子体切除術と眼内レンズの摘出を行った。眼内サンプルからオフロキサシンを含む多剤耐性表皮ぶどう球菌が検出された。走査型電子顕微鏡下で重眼内レンズ表面にbiofilmと思われる菌体および付着物を認めた。近年,ニューキノロン系抗生物質は,その耐性菌の出現が注目されている。薬剤耐性菌の発生しやすいcompromised hostの眼科手術に際しては,特に慎重な耐性菌への配慮が必要である。

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(展示95) 大分県出身の12歳女児の左眼に飛蚊症,眼痛,霧視,充血が生じた。3年前から甲状腺機能亢進症に対してチアマゾール投与を受けていた。左眼に虹彩毛様体炎,硝子体混濁,網膜血管炎,黄斑浮腫があった。螢光眼底造影検査で乳頭の過螢光,網膜血管の透過性亢進,静脈の怒張と蛇行があった。抗HTLV−1抗体が陽性で,甲状腺機能は正常化していた。HTLV−1関連ぶどう膜炎と診断し,プレドニゾロンを投与した。炎症は改善し,左眼視力は当初の0.2が1.2になった。抗HTLV−1抗体が小児ぶどう膜炎と甲状腺機能亢進症に関係しうることを示す例である。

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(展示96) 34歳女性が右眼の視力低下と変視症で眼科を受診した。右眼後極部に黄白色の隆起性病変があり,転移性脈絡膜腫瘍が疑われた。CT検査で脳,肺,肝,子宮前方に腫瘍があり,Gaシンチグラムで肋骨,腸骨,腰椎に転移所見があった。卵巣と腸骨の腫瘍切除で,組織学的に肺原発の腺癌が強く疑われた。比較的若年者ながら,眼所見を契機として肺癌が発見された例である。

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(展示101) ベーチェット病50例100眼の視力経過を検討した。男子21例,女子29例であり,年齢は平均52歳であった。経過観察期間は5年から11年,平均7年2か月であった。視力0.1未満を視力不良,0.7以上を視力良好とした。視力不良例は、経過が10年以上,男子完全型,FK506またはシクロスポリンA使用例に有意に多かった。10年以上の例で視力が不良である原因としては,本病では経過とともに視力が低下すること,近年本病が軽症化していること,FK506やシクロスポリンAの出現などが考えられた。HLAB51の陽性と陰性群の間には差がなかった。白内障手術24眼のうち,視力不良が10眼あり,うち6眼がFK506またはシクロスポリンAの投与を受けていた。

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(展示108) 帯状疱疹ウイルスが陽生な桐沢型ぶどう膜炎8例にアシクロビルの全身投与を行った。全例が片眼性発症であった。最終視力は,0.2以下5例(経過不良群)と0.4以上3例(経過良好群)であった。経過良好群では,初診時の前房水にPCR法によるウイルス量が少なく,アシクロビル投与でさらに減少した。桐沢型ぶどう膜炎には,アシクロビルに感受性のある軽症型と,より激しい臨床症状を示す型のあること,そして後者は高齢者と免疫能が低下した症例に多いと推測された。

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(展示109) 36歳男性が乳頭周囲浮腫型の原田病を発症した。副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)の大量療法で,合併症なしに治癒し,以後夕焼け状眼底を呈していた。初回発症から14年後に典型的な原田病が再発し,両眼に虹彩毛様体炎,漿液性網膜剥離,脈絡膜剥離が生じた。再びステロイドの大量投与で治癒した。いったん治癒した原田病が長期間の経過後に再発しうることを示す例である。

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(展示118) 57歳男性の右眼に28年前に鉄片が飛入し,角膜縫合と水晶体嚢内摘出術を受けていた。磁石による異物除去は不成功であった。X線とCTによる今回の検索で,右眼球内に異物が発見された。網膜電図所見は左右眼で差がなかった。摘出された異物は被包化された鉄片であり,直径が約11mmで,走査電子顕微鏡で異物の表面に結晶構造が観察された。X線微量分析で,豊富な鉄と燐が同定された。異物の被包は線維成分を主とし,鉄を貪食した多数の大食細胞を含んでいた。燐を含む結晶構造と大腔細胞を含む線維性被膜が,異物からの鉄イオンの拡散防止に作用したと推定された。

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(展示257) 44歳女性がベタメタゾン点眼に反応しない左眼の上強膜炎で受診した。当初から上気道症状があり,CRPが強陽性であり,内科的に再発性多発性軟骨炎と診断された。ステロイドの全身投与で,上強膜炎と上気道症状はすみやかに軽快した。眼症状が全身疾患の早期診断と早期治療に寄与した症例である。

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(展示142) 内頸動脈の閉塞または狭窄に続発した眼虚血症侯群3例3眼を検索した。発症直後,2週間前の発症,虹彩ルベオーシスに続発した前房出血の各1例である。フルオレセイン螢光造影では,網膜に動脈の狭細化,循環遅延,静脈の不規則な拡張,血管内凝集(スラッジ形成),血管壁の組織染があった。インドシアニングリーン螢光造影では,脈絡膜の中大血管の走行は正常に近く,患眼と健眼に差がなかった。ベール状の背景螢光には,虫食い状に充盈欠損があった。

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(展示150) 過去5年間に36眼の特発性黄斑円孔に硝子体手術を行った。第1期1眼,第2期8眼、第3期21眼,第4期6眼である。円孔の閉鎖は31眼86%で得られた。非閉鎖例は、第2期2眼,第3期2眼,第4期1眼であった。視力の改善は,第3期以下で90%,第4期で33%で得られた。第4期2眼に自己血清を用いたが視力は改善しなかった。視力の転帰は発症からの期間と無関係であり,発症と症状の自覚が必ずしも一致しないと推定された。自動視野計による中心感度の測定は,固視に問題があるが,視機能回復の指標として有用であった。

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(展示161) 1994年の当科初診患者のうち,障害程度等級が1級から6級に該当する視覚障害者228名を検討した。60歳以上が175名(77%),40歳未満が10名(4%)であった。男子が105名(46%),女子が123名(54%)であった。変性近視が53名(23%)と最も多かった。糖尿病網膜症が49名(22%),緑内障が43名(19%)にあった。50歳未満では特徴的な原因疾患がなく,先天性素因による障害が主体であった。

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(展示168) 9歳男児が両眼の視力障害で受診した。生後10か月にレックリングハウゼン病と診断されている。初診時の一般的眼科検査では近視以外に異常がなかった。MRIで,視交差部に視神経膠腫が発見された。ゴールドマン視野の再検査で盲点の拡大と右同側暗点が検出された。MRIが視神経膠腫の診断の鍵になった例である。

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(展示191) 過去3年間に当科を受診した眼外傷587例を分析した。全例が片眼性の外傷であった。性別比は男2.4対女1で,男女とも20歳台が最も多かった。月別では10月(10.9%)が,曜日別では日曜と祝日(35.6%)が最も多かった。受傷から受診までの期間は,当日受診(67.6%)が最も多かった。労働災害(21.0%)と眼球打撲(37.0%)が最も多かった。初診時の所見では,角膜びらん(185眼)と外傷性虹彩炎(102眼)が突出して多かった。眼外異物除去術が139眼、水晶体摘出術が29眼,硝子体切除術が20眼に対して行われた。

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(展示197) 特発性黄斑円孔に対する硝子体手術後の83眼(stage3:59眼,stage4:24眼)に対してゴールドマン視野検査を行い,ステージ3で5眼の視野異常を検出した。ステージ4では視野異常はなく,術前術後に測定した23眼(stage3:16眼,stage4:7眼)では視野異常は検出されなかった。

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(展示245) 網膜静脈分枝閉塞症または中心性網脈絡膜症に続発した黄斑部浮腫4眼に,SF6ガスの硝子体内注入を行った。これにより,人工的に後部硝子体を剥離させ,黄斑部を気体で圧迫することを意図した。全例で黄斑部浮腫の軽減と視力の改善が得られた。

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(展示216) 1995年までの4年間に名古屋市立城北病院新生児集中治療室で管理された,出生時体重1,500g未満の130例と,在胎週数32週未満の131例を対象とした。出生時体重1,000g未満と在胎週数28週未満症例では,光凝固施行率と未熟児網膜症活動期3期以上への進行率が,1992/1993年よりも1994/1995年で有意に低く,人工呼吸器を必要とした期間の短縮がみられた。この事実は,循環器病態を重視する近年の未熟児管理の向上が,呼吸機能を良好にし,未熟児網膜症の進行を抑制していると解釈される。

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(展示210) 鈍的外傷による眼球破裂後に巨大裂孔と網膜剥離が2症例にあった。1例は50歳女性で網膜全剥離があり,受傷後34日後の硝子体手術で網膜が復位し,最終視力0.2を得た。他の1例は45歳男性で270度にわたり赤道で眼球が破裂し,下方の網膜は上方破裂部に癒着していた。硝子体手術で網膜はいったん復位したが,術後3か月目にシリコーンオイルを除去したのち眼球癆になった。

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(展示223) 単純および前増殖糖尿病網膜症14例28眼に対し塩酸ジラゼプ(コメリアン・コーワ®)を投与し,1年後,3年後の効果を判定した。判定項目は視力,眼底所見,螢光眼底造影所見で,総合的に改善,不変,悪化に分類した。投与群では1年後改善32%,悪化25%13年後改善25%,悪化46%であった。コントロール群では,1年後改善15%,悪化45%,3年後改善15%,悪化70%であった。両群とも,年数とともに悪化率が上昇していたが,投与群ではコントロール群に比べ、1年後,3年後とも有意差はなかったが悪化率が低く,糖尿病網膜症の進行抑制に対する塩酸ジラゼプの有用性が示唆された。

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(展示251) レーザー光を用いる網膜厚解析装置で,黄斑浮腫19眼の黄斑部網膜厚を測定した。原因疾患は,網膜中心静脈閉塞症8眼,網膜静脈分枝閉塞症11眼である。古い症例を除き,黄斑部網膜厚と視力との間には負の相関があった(R=0.49)。本装置は測定の再現性が高く,黄斑浮腫の評価に有用であった。

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(展示252) 発症から4か月以上を経過した慢性期網膜静脈閉塞症23例に,ワルファリンカリウム(ワーファリン®)1日1mgを平均30日間投与し,血液所見を中心に検索した。症例は,分枝閉塞症18例,中心静脈閉塞症5例である。血中プロトロンビン時間(PT)値は,投与後有意に低下した(p<0.05)。投与後も1例を除いて正常範囲内にあった。血中トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)は,投与前に16例(70%)が凝固亢進状態にあり,投与後は有意に減少し(p<0.05),9例で正常範囲に是正された。ワーファリン®投与による出血などの合併症は皆無であった。本症の治療として,ワーファリン®投与により過凝固状態を是正する可能性がある。

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(展示203) 多局所網膜電図を用いて,特発性黄斑円孔8眼の硝子体手術前後の黄斑機能を評価した。円孔の程度は,Stage2が3眼とStage3が5眼であった。矯正視力の平均は,術前0.27から9か月以上の術後0.58に改善した。中心半径5°以内の7点での中心網膜応答密度は,術前の4.10±0.87nV/deg2から術後5.16±0.64nV/deg2に上昇していた(p<0.05)。術前後の黄斑円孔の他覚的機能評価に,多局所網膜電図が有用であった。

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(展示125) 27歳女性が両眼の霧視を主訴として受診した。両眼に,前房の数個の細胞と網膜の各1個の微小出血があった。後極部眼底の反射が不整であった。原因不明の傍中心暗点が検出された。2年半後に傍静脈網脈絡膜萎縮が出現し,色素性傍静脈網脈絡膜萎縮と診断された。3年後に両耳側半盲が生じ,ラトケ嚢胞の摘出を受けた。全経過を通じて視力と網膜電図所見は正常であった。本例は初期の本症例であると判断された。

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(展示213) 31歳男性が1年前からの左眼視力障害で受診した。初診時視力は左0.3であった。両眼に乳頭コロボーマがあり,左眼には乳頭から黄斑を含む網膜剥離があった。左眼乳頭に接する網膜にレーザー光凝固を行ったが剥離は改善しなかった。9か月後に黄斑円孔が生じ,視力0.03に低下した。硝子体手術により視力は0.1に改善した。乳頭の先天異常に続発した黄斑部網膜剥離に対しては,早期の硝子体手術が有効であると推定された。

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(展示236) 63歳男性に左上肢の麻痺と右眼視野障害が同じ日に生じた。翌日の検査で右眼底に上耳側の網膜動脈閉塞の所見と,動脈壁に栓子が多発していた。5日後に左下肢に麻痺が現れ,同じ日に右眼視力障害が悪化した。内科的に脳梗塞,眼科的に右眼網膜動脈分枝と毛様網膜動脈の閉塞と診断した。動脈血管写で右内頸動脈壁から栓子が末梢側に飛散したことが,脳梗塞と網膜動脈閉塞の同時発症の原因と推定された。

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 インドシアニングリーン螢光造影所見から,中心性漿液性網脈絡膜症では,脈絡膜血管レベルの病変が潜在的にあり,それにより二次的に網膜色素上皮の外血液網膜柵が破綻することで,はじめて漿液性網膜剥離が形成されて,臨床的にみるような疾患となると考えられる。

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 緒言 太田母斑は顔面の三叉神経第1,2枝領域にみられる真皮メラノサイトーシスで,眼には強膜,結膜,ぶどう膜,隅角,眼窩脂肪組織,視神経鞘などに色素沈着をみる1,2)。太田母斑の多くは片側性であり,東洋人,女性に多く,18%に脈絡膜母斑がみられる2)。母斑は組織学的には,通常のものより大きく,形態も異なった非典型的なメラノサイトがみられ3),悪性化した症例も報告されている2,4)。脈絡膜母斑は網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管板のため検眼鏡的には見逃されやすいが4),多くの太田母斑の症例には脈絡膜母斑あるいは脈絡膜の色素異常が存在すると考えられている。今回筆者らは,右側顔面の太田母斑症例にフルオレセイン螢光眼底造影(以下,フルオ造影)とインドシアニングリーン螢光眼底造影(以下,ICG造影)を行い,両造影所見に明らかな違いがみられたので報告する。

 症例 58歳,男性。40歳時に緑内障を指摘された。緑内障の精査のため当科に紹介された。幼少時から右顔面の皮膚色素沈着があった。家族歴には特記すべきものはない。初診時の視力は右1.2(矯正不能),左1.2(矯正不能),眼圧は右22mmHg,左23mmHgであった。視野には異常なかった。右顔面には,三叉神経第1枝から第2枝領域に色素沈着があり(図1),右眼の結膜と強膜にはメラノーシスによる色素沈着をみた(図2)。左側顔面および左眼には異常はなかった。角膜,虹彩,中間透光体には左右とも異常はなかった。左眼限底には異常はなく,右眼の眼底は左眼に比べて全体が暗い色調であった(図3)。フルオ造影により,早期から晩期まで背景螢光を含めて両眼に違いはなかった(図4)。ICG造影では,造影早期から晩期まで,右眼は左眼と比べて,背景がびまん性に低螢光を示し,両眼に明らかな違いがみられた(図5)。

連載 眼の組織・病理アトラス・128

虹彩母斑症候群 猪俣 孟
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 角膜内皮細胞の機能障害と虹彩の変性萎縮,それに伴う広範な周辺虹彩前癒着による難治性の緑内障を生じる疾患として,チャンドラー症候群Chandler's syndrome,進行性本態性虹彩萎縮症progressive essential iris atrophy,虹彩母斑症候群iris nevus syndromeがある。いずれも発症の原因は不明である。中年女性に好発し,通常片眼性,まれに両眼に発症する。チャンドラー症候群は,虹彩の軽度萎縮と瞳孔の変形と偏位,周辺虹彩前癒着,角膜内皮細胞の異常による浮腫性混濁を示す。進行性本態性虹彩萎縮症は,チャンドラー症候群より虹彩萎縮の程度が強く,虹彩が穿孔する。虹彩母斑症候群は,虹彩が母斑様の色素結節を伴って変性萎縮する(図1)。これらの疾患に共通した特徴は,隅角線維柱帯および虹彩表面を病的角膜内皮細胞が覆い,それに伴って虹彩の前癒着が起こり,難治性の緑内障を併発することである。また,病的角膜内皮細胞下には異常な基底板が形成される。上記3疾患は,その病態の類似性から,虹彩角膜内皮症候群iridocorneal endothelial(ICE)syndromeとして1つの疾患単位にまとめられている。

 虹彩母斑症候群の病理学的特微として,小金井の塊細胞clump cell of Koganeiと変性したメラノサイトの集塊などが虹彩面上に母斑様結節を形成する(図2)。この病変は虹彩および線維柱帯の表面に病的角膜細胞が覆い,それに伴って異常基底板が形成される(図3)。また,病変部ではリンパ球の浸潤を伴う(図2,3)。

連載 眼科手術のテクニック・91

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 涙嚢鼻腔吻合術(dacryocystorhinostomy:DCR)は慢性涙嚢炎,鼻涙管閉塞といった症例に対する最も基本的な手術法のひとつで,この領域の手術を志す者が必ずマスターしなければならない術式といえよう。しかし一方,その有用性をよく認識されていても,現実に実施しようとなると腰がひけてしまう方々が少なくないのも事実で,その大きな理由は,この手術が他の眼科領域の手術に比べ並外れた観血的手術であると思われていることと,術中トラブルを少なくするための方法論の詳細について十分な理解が得られていないことによると思われる。本稿では,こうした点を考慮に入れ,主として筆者自身の経験にもとづき,DCRの方法について紹介する。

 a.鼻内処置 術前に鼻内ポリープなどは除去しておくことが望ましい。手術室で最初に行うことは患者の鼻腔内へのガーゼタンポンの挿人である。準備すべき材料は,ボスミン,キシロカイン混合溶液(当院では4%キシロカイン10mlに0.001%ボスミン2mlの割合で混合),鼻内充填用ガーゼ,鼻鏡,耳用鑷子,額帯鏡,口をすすぐための水とコップである。

今月の表紙 第14回医学写真展から・4

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〈撮影データ〉

 写真は79歳女性の患眼です。使用フォトスリットはコーワBC-1200,フィルムはフジクローム4000で撮影しました。撮影にあたっての注意点としては,反射光が画面に入らないようにすることと,病変の陰影を観察しながら通常より幅広のスリットを用いました。ぶどう膜炎の経過中に増悪した時期を撮影したものです。

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 A型インスリン受容体異常症に合併した増殖糖尿病網膜症について報告した。症例は19歳の女性で,先天的なインスリン受容体の異常のため,高インスリン血症とインスリン投与に抵抗する高血糖があった。インスリンと類似の血糖降下作用のあるInsurin-Like growth factor-I(IGF-I)の投与により,血糖値は低下した。IGF-Iの投与前には糖尿病網膜症はみられなかったが,投与開始後5か月に網膜出血が出現し,7か月目から眼底に新生血管が発生した。網膜光凝固を行ったが,増殖性変化が鎮静化しないため,IGF-Iの投与を中止した。中止後速やかに新生血管は消退傾向を示し,投与中止後3か月には認められなくなった。この症例において,IGF-Iが血糖値を降下させると同時に,網膜血管内皮細胞の増殖促進にも影響を及ぼしていたことが示唆された。

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 症例は6歳男児で,左の側方注視麻痺により発症し,MRI画像で境界が不鮮明で,T1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号を示す巨大な腫瘤が橋全体に認められた。Gadoliniumdiethylenetriamine pentaacetic acid (Gd-DTPA)で左paramedian pontine reticular formation (PPRF)近傍に造影効果が認められた。画像所見により脳幹部神経膠腫と診断され,放射線および化学療法を施行したが9か月後に死亡した。脳幹部神経膠腫は小児期に好発し,小児期の眼球運動障害をきたす生命予後不良の疾患である。本症例は側方注視麻痺により発症した比較的まれな症例であり,小児期における中枢性眼球運動障害の症例に対して,CTやMRIなどの画像診断を積極的に行うべきであると思われた。

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 43歳男性で,前円錐水晶体を合併したアルポート症候群の症例において,超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術を施行した。その際,得られた前嚢について電子顕微鏡にて観察したところ,幅約0.5μmの裂隙がところどころにみられた。裂隙は水晶体上皮直下から始まり,前嚢内を縦横に走行し,その辺縁においては基底膜構造が崩れて空胞を呈する部位もみられた。基底膜の先天的構造異常に化学的要因,物理的要因が関与し,これらの裂隙が徐々に拡大し,水晶体嚢の緊張を低下させ,前円錐水晶体の発生を惹起させたものと推測した。

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 眼科領域でも,霰粒腫に起因して,あるいは翼状片などに対する手術後に,化膿性肉芽腫を生じることがある。筆者らは,涙小管から突出してきた化膿性肉芽腫の1列を経験した。本症例では患側の眼瞼内眼角部に霰粒腫がみられ、この霰粒腫に起因して化膿性肉芽腫を生じたものと考えた。全摘出の比較的容易な箇所では化膿性肉芽腫の再発は少ないとされているが,管腔の狭い涙小管のような部位では腫瘤の部分的な摘出では再発が多いとされており,涙小管機能の温存をはかりながら,誘引となる霰粒腫を含めて全摘出を要するものと考えた。

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 両眼の眼球突出と急激な視力低下をきたした甲状腺性視神経症の2症例を経験した。両者とも,X線CT,MRIにおいて,肥大した外眼筋による眼窩先端部での視神経の直接圧迫が認められた。これに対し,ステロイドパルス療法,放射線療法などの保存的療法を行ったが反応なく,視力および視野の悪化がみられたため,視機能の改善のためには早急に視神経の圧迫を除去する必要があると考え,眼窩減圧術を施行した。術直後より視力,視野の著明な改善がみられ,最終視力は両者とも1.0に達した。画像診断でも,眼窩内容積は拡大し,視神経と外眼筋との間隙も広くなり、視神経の圧迫が解除された。高度な視力低下があり,保存的療法に反応しない甲状腺性視神経症に対し,眼窩減圧術は有効であり,積極的に行うべきと考えられた。

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 放射線治療後に発症し,放射線網膜症と診断された3症例に,螢光眼底造影(FAG)とインドシアニングリーン赤外螢光眼底造影(ICG)を施行し,各々比較検討した。FAGでは,すべての患者において綿花様白斑に一致した血管床の閉塞が観察された。ICGでは,老年者の2症例にて後極に高輝度の螢光斑がみられ,その周辺に脈絡膜障害を示唆する低螢光部位が散在していた。これらの低螢光部位は,FAGでみられた血管床閉塞の部位よりも広範囲であった。これに対して20歳の若年者の症例では,綱膜血管の障害が著しいにもかかわらず,脈絡膜の障害は軽度であった。放射線網膜症に対してICGを行うことによって,脈絡膜の放射線による障害は網膜の障害の程度と一致しないことが判明した。

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 現在までに結膜血管腫に螢光造影を行った報告はほとんどない。フルオレセイン螢光造影(FA),ICG赤外螢光造影(IA)を施行した結膜血管腫の1例を報告した。症例は28歳女性。右眼鼻側球結膜に直径1.5mmの血管腫を認めた。FA早期では血管腫の中心は低螢光であったが,次第に辺縁から色素の漏出がみられた。IAでは流入動脈の同定が可能で,血管腫にvascular patternを認めた。血管腫は均一に造影され,その後低螢光になったが,造影後期には底部に螢光貯留による過螢光がみられた。血管腫および流入動脈に光凝固を2回施行し,FA,IAにて血管腫の消失が確認された。結膜血管腫に対しFA,IAは光凝固部位の決定や治療効果の判定に有用であった。

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 増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術において水晶体切除の併用の有無による手術成績の差を検討した。1991年1月から1995年3月までに福岡大学筑紫病院で,初回硝子体手術を行った増殖糖尿病網膜症109例123眼において,水晶体温存群49眼と水晶体切除併用群(以下,水晶体切除群)74眼を比較した。初回手術成功率は水晶体温存群84%症水晶体切除群88%で統計学的に有意差はなかった。術後合併症に関しても発生率に差はなかった。増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術は,術前検査の病態評価により水晶体切除の必要性を判断すれば,水晶体を温存をしても手術成績や術後合併症に差はなかった。

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 56歳女性が視力低下を主訴として受診した。矯正視力は右0.04,左0.06であった。両眼水晶体に前嚢下皮質と核に混濁があった。白内障手術の後,視力は右0.7,左0.6に改善した。前部硝子体に無色素性細胞が浮遊していた。両眼眼底に,中に白色線維増殖のある灰白色病巣があり,色素斑で囲まれていた。この病巣は,血管アーケードから赤道部にかけて分布していた。螢光眼底造影では,白色線維増殖部位は,造影早期には低螢光で,静脈相では過螢光点が出現し,次第に拡大した。黄斑下に色素貯留が生じた。以上の所見から,白内障を併発したmultifocal choroiditis associated with progressivesubretinal fibrosisと診断した。

眼科の控室

院内感染
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 「天災は忘れたころに来る」という有名な文句があります。寺田寅彦が言ったとされています。名言であり,日本での原発の発祥地の東海村でも,発足から41年後に,とうとう爆破事故が起こってしまいました。

 天災ではありませんが,眼科関係で似たものといえば,まず院内感染でしょうか。流行性角結膜炎EKCがその代表ですが,これが病室で一度発生すると,根絶が実に難しいのです。多くの場合,病棟閉鎖をしなければ,安心して患者さんに入院してもらえません。

基本情報

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臨床眼科
51巻6号 (1997年6月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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