Japanese
English
連載 日常みる角膜疾患 9
水疱性角膜症
Bullous keratopathy
原 真紀子
1
,
森重 直行
1
,
西田 輝夫
1
Makiko Hara
1
,
Naoyuki Morishige
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
pp.1770-1773
発行日 2003年12月15日
Published Date 2003/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101507
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症例
患者:59歳,男性
主訴:右眼の霧視感
現病歴:約10年前,近医にて白内障手術および後房眼内レンズ挿入を施行された。2001年1月より上記の症状を自覚しはじめ,ステロイド点眼による治療を受けたが改善せず,同年6月に当科外来を紹介され受診した。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
初診時所見:視力は右眼0.3p×IOL(1.0p×S-2.75D()cyl-0.75D Ax150°×IOL)であった。右眼角膜中央から上方にかけて微細な上皮下浮腫,および角膜実質浮腫を認め,中央部には小さな水疱(bulla)が観察された。また,フルオレセイン染色にて上皮下浮腫に一致したdark spotを認めた(図1)。角膜内皮細胞密度はスペキュラーマイクロスコープで314 cells/mm2,生体共焦点顕微鏡では235 cells/mm,2(図2),角膜厚は603μmであった。
治療および経過:初診時には視力が良好であったため,ステロイド点眼(0.1%リンデロン(R)点眼1日4回)にて経過観察を行っていた。しかし,4か月後に角膜実質浮腫および上皮下浮腫が増悪し,視力も0.02×IOL(0.04×S-1.5D with P. H.×IOL)と低下したため,2002年1月に全層角膜移植術を施行した。
術後経過は良好で,視力は0.5p×IOL(1.0×IOL)と向上し,自覚症状も改善した。また,移植片の内皮細胞数も2,364 cells/mm2と現在のところ良好に保たれている。
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