臨床眼科 51巻5号 (1997年5月)

特集 第50回日本臨床眼科学会講演集(3)

学会原著

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(24D-12) 網膜動脈閉塞症61眼につき,眼底写真をもとに,栓子の有無と全身合併症を検索した。網膜中心動脈閉塞症32眼,網膜動脈分枝閉塞症25眼,毛様網膜動脈閉塞症4眼である。栓子は網膜中心動脈閉塞症の28%,網膜動脈分枝閉塞症48%で発見された。栓子の部位と勤脈閉塞部位とは必ずしも一致しなかった。栓子のある網膜動脈分枝閉塞症では,心臓と内頸動脈病変の頻度が高かった。栓子のある網膜動脈分枝閉塞症では心・内頸動脈病変の検索が望まれる。

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(25C2-9) アデノウイルス7型(Ad7)は,眼科領域では咽頭結膜熱の原因ウイルスとして知られているが.結膜炎の臨床像についての報告は少ない。また。各国でウイルス分離の報告が多くみられるのに対し,わが国では,最近15年間はほとんど報告がなかった。しかし,昨年よりAd7の分離例の報告が急増し,その中には結膜炎の症例もみられた。筆者らは,1995年以降にAd7が分離された12例の急性結膜炎患者を対象として,その臨床像を眼科的に検討し,2症例について遺伝子型も検討した。Ad7による結膜炎はアデノウイルス結膜炎の中では軽症の結膜炎で,角膜合併症発生例が25%であった。耳前リンパ節症と全身症状を伴った例は42%であった。同じAdのB1群に属するAd3と類似の症状であり,遺伝子型はAd7cであった。

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(25C-20) 17歳男性が,右眼の傍中心暗点を主訴として受診した。視力は正常で,全身症状はなかった。右眼の中心窩近くに小さな肉芽腫様腫瘤があり.左眼には灰白色の小結節様病変が散在していた。両眼に点状と斑状出血,Roth斑が多発していた。これらの所見から血液疾患を疑い,末梢血と骨髄検査で慢性骨髄性白血病と診断された。眼底の肉芽腫様腫瘤は白血病に対する化学療法に反応し,60日後に消失した。これは白血病細胞の網膜内浸潤と推定された。

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(26B1-18) 中心性輪紋状脈絡膜萎縮症の7例14眼に,インドシアニングリーン螢光造影(ICG造影)を行った。フルオレセイン螢光造影では,造影早期には境界鮮明な低螢光領域の中に脈絡膜中・大血管が透見され,晩期になるとこの領域は過螢光になった。網脈絡膜萎縮部と正常部の境界にはwindow defectによる過螢光がみられ,この過螢光の周囲には,造影全期間を通じて低螢光を示す部がみられた。ICG造影では黄斑部にみられた脈絡膜萎縮部位は造影全期間を通じて低螢光で,その周囲にはフルオレセイン螢光造影の脈絡膜萎縮巣よりも広い範囲で,ベール状の脈絡膜背景螢光の減弱がみられた。この造影所見から.本症の脈絡膜萎縮部には脈絡膜毛細血管板の閉塞と網膜色素上皮の消失があり,その周囲部は脈絡膜毛細血管板の閉塞があるが,網膜色素上皮が残存していることが示された。

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(25E-19) 中心窩下に脈絡膜新生血管(CNV)がある加齢黄斑変性症に対して,インドシアニングリーン(ICG)を用いた色素増強光凝固を施行して,その治療成績を検討した。対象は,フルオレセインおよびICG螢光造影でCNVを確認できた視力0.5以下の41例42眼で,occult CNVの症例も含まれる。ICG40 mg静注の後5分後より,波長810nmの半導体レーザーによって,CNVに対して中心窩を含む全体凝固を施行した。3か月以上経過観察した42眼では。改善24%,不変47%,悪化29%であり,6か月以上経過観察した32眼では,最終視力は,改善31%,不変47%。悪化22%であった。

 この結果から,中心窩下にCNVのある加齢黄斑変性症に対して,ICG色素増強を併用した半導体レーザー光凝固法は有効であると結論される。

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(26C1-2) Idiopathic polypoidal choroidal vasculopathy (以下,IPCV)は1990年にYannuzziが初めて記載した病名である。黒人の中年女性に多くみられる再発性の漿液血性の色素上皮剥離と脈絡膜血管の異常なネットワークとポリープ状拡張を特徴とする。今回の症例は,44歳の日本人男性で,1年の間に網膜下出血が部位を変え,3か所に出没した。出血の消退した後は,色素上皮剥離または瘢痕病巣となり,出血病巣には新生血管はみられなかった。1年5か月の全経過後も視力は1.2を維持した。赤外螢光眼底造影検査が診断に有用だった。

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(26C1-16) サルコイドーシスによる片眼性の視神経病変3例を経験した。それぞれ21歳男性,25歳男性,37歳女性である。2例には視神経肉芽腫があり,1例には視神経炎があった。視力障害は2例にあり,1例では黄斑浮腫,1例では視神経炎が原因であった。ステロイド剤の全身投与で,視力はすみやかに回復した。

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(26D-4) 鈍的外傷により隅角後退を来し,緑内障と外傷性白内障を生じた症例を経験し,手術実施前後を超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscopy:UBM)にて経過観察した。眼圧の変動とともにUBM所見に変化がみられ,それらを照合した結果,術直後の低眼圧時に開大していた上脈絡膜腔が,ぶどう膜—強膜流出路としての機能を果たしていたと推定された。緑内障などの手術後の眼圧のコントロール状態は,必ずしも濾過胞や強膜内間隙の状況のみと相関するのではなく,より後部のぶどう膜,強膜の状態の影響も関与していると思われた。

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(展示59) 3.2mm切開無縫合手術でシリコーン眼内レンズ(AQ110N)の挿入を行った上方強膜切開,耳側角膜切開,鼻側角膜切開の3群100眼の術後6か月までの角膜乱視変化を比較した。平均角膜乱視量,惹起角膜乱視絶対量,軸乱視量は鼻側角膜切開群で大きく,他の2群では小さく推移し,術後上方強膜切開群は倒乱視化,角膜切開群は直乱視化を示した。術後角膜形状変化は鼻側角膜切開群で最も大きく軽減傾向も乏しかった。一方,他の2群は術後軽減傾向を示すが,耳側角膜切開群では術後6か月までフラット化とスティープ化が残存するのに対し,上方強膜切開群の切開創付近のフラット化は消失し,術後角膜形状変化は最も小さかった。

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(展示70) 高血圧の既往がある82歳女性の右眼に,眼内レンズ2次挿入術を行った。10年前に計画的嚢外摘出術が行われ,後発白内障に対して後嚢切開術が施行されていた。眼底には近視性脈絡膜萎縮以外の異常はなかった。眼内レンズ2次挿入術中に,硝子体圧上昇,血圧上昇,尿意,疼痛が生じ,投薬と排尿を行い,自己閉鎖創を縫合して手術を終った。術翌日に,視力光覚弁,眼底透見不能,眼圧11mmHgであった。超音波検査とMRIで,高度の脈絡膜出血と駆逐性出血が発見された。強膜切開と硝子体手術を行い,脈絡膜剥離と脈絡膜出血は消失した。自己閉鎖創手術は眼圧の変動が少ないとされているが,本例では複数の危険因子に加えて,術前に後嚢切開が行われていたために。術中操作時には解放状態にあったと考えられる。

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(展示116) ステロイド大量療法を行わなかった49症例中,臨床的観察のできた26症例につき,視力,合併症,遷延例の有無につき検索した。経過観察期間は最低8年6か月,最高15年,平均11年3か月であった。視力1.0以上が84%,0.5〜0.9が8%,0.1〜0.4は6%,0.01〜0.09が2%であり,合併症は併発白内障18%,遷延例は0(ゼロ)であった。ステロイド大量療法を行わなかった症例の大部分は,長期経過後も良好な予後を維持することが明らかになった。原田病が、ステロイド大量療法を行わずとも治癒する疾患であることを示している。

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(展示130) 黄斑部網膜剥離部位の網膜下腔に,SF6ガス小泡が迷入したpit-macular候群の1例を経験した。患者は23歳女性。右眼の黄斑部網膜剥離範囲拡大,視力低下に対して硝子体手術+SF6ガスタンポナーデを施行した。一旦,黄斑部網膜剥離の復位を得たが再剥離したため,SF6ガスタンポナーデおよびpit周辺に網膜光凝固術を施行したところ,黄斑部網膜下腔にSF6ガス小泡が繰り返し迷入した。本症例におけるSF6ガスのpitを介する網膜下への迷入は,硝子体手術後に生じたものではあるが,pit-macular症候群における黄斑部網膜剥離の網膜下液が,pitを介する液化硝子体由来である可能性が示唆された。

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(展示134) 症例は7歳女児で,生後10か月時,両眼性網膜芽細胞腫と診断され,右眼眼球摘出,左眼放射線照射およびアルゴンレーザー光凝固を施行し,経過良好であった。1995年4月,左側頭部の腫瘤に気づき,腫瘤摘出を施行した。病理組織学的検査で網膜芽細胞腫の側頭筋転移と診断された。手術後,放射線療法と末梢血幹細胞移植を併用した大量の化学療法を行い,現在外来にて経過観察中であるが,全身に再発および転移の徴候はない。本症例は治癒後6年を経て転移した極めて稀な症例で,今後も厳重な全身管理が必要と思われた。

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(展示235) 47歳女性の,原発性抗リン脂質抗体症候群の患者に,網膜血管炎が合併した症例を報告した。腓腹神経生検にて,器質化血栓周囲に炎症細胞浸潤を伴う血管症を認めた。眼底には網膜浮腫,硬性白斑,火炎状出血を認め,螢光眼底撮影における動脈に沿った螢光漏出と,組織染から網膜血管炎と診断した。網膜血管炎の病態も,腓腹神経生検の結果と同様に血栓に続発した二次的血管炎と推察した。

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(展示237) 29歳男性の慢性骨髄性白血病に対して,インターフェロンα600万単位を隔日に投与開始した。第4回目の投与後,両眼に切迫型網膜中心静脈閉塞症が発症した。インターフェロン中止とウロキナーゼ投与で,眼底所見は4週後に軽快した。白血病による過粘稠度症候群が基盤にあり,インターフェロン投与が網膜中心静脈閉塞症発症の誘因になったと解釈された。

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(展示239) 2歳女児が,自宅の机の角で左眼を打撲した。眼瞼の擦過症と皮下出血があったが軽微であった。2日後に当科を受診した。左眼視力は光覚弁±で、前眼部には異常がなかった。左眼に網膜の混濁,網膜中心動静脈の血流途糸色網膜前と網膜下の出血,乳頭前の硝子体出血があった。受傷8日後の螢光眼底造影で,脈絡膜には血流があったが,網膜血管には血流が途絶していた。鈍性外傷で網膜中心動静脈の閉塞が起こりうること,そして乳幼児では一見軽微な外傷でも,注意が必要であることを示す例である。

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(24-A2) 緑内障の早期発見を目的とした健診システムを検討す。るために,平成7(1995)年度郡山市老人保健法基本健康診査(以下,老健法健診)において緑内障の検出を行い,全国共同調査と検査方法や有病率の比較をした。対象は40歳以上の眼底撮影受診者5,186人で,健診で緑内障が疑われた105人のうち,51人が医療施設で精査を受け,23人が緑内障と診断された。原発開放隅角緑内障(以下,POAG)が8人,正常眼圧緑内障(以下,NTG)は15人であった。緑内障推定有病率はO.91%(POAGO.31%,NTG0.61%)となった。全国共同調査に比し緑内障推定有病率が低く,老健法健診における眼圧測定,両眼撮影の施行などの必要性が示唆された。

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(24-A12) 発育異常緑内障の術後成績に影響すると思われる高眼圧持続期間,手術方法,発見年齢について検討した。対象は,最近の7年間に発育異常緑内障と診断された9例16眼とした。手術方法は,主として二重強膜弁法によるトラベクロトミーを行い,必要に応じて深部強膜切除,あるいはトラベクロトミーを併用した。晩発型の1例2眼は,再手術を要したが全ての症例で術後眼圧コントロールが良好であった。

 高眼圧持続期間が短く,他覚症状が出現しやすい早発型のほうが、視機能予後が良好であった。

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(24C1-7) ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の視機能への影響を調査するため、視機能的・眼科学的に異常のない健常被験者31人(若年群21人・中年群6人・壮年群4人)を対象に,映画のビデオソフトをHMDで約2時間鑑賞させた。視聴前後で眼科的検査を行い,自覚症状についても調査した。結果を比較したところ,視聴前後で若年被験者群の他覚的屈折値に有意な変化がみられ,一部の被験者で立体視機能と角膜所見に変化がみられた。しかしこれらの変化は一過性の軽度なもので,今回の視聴条件でのHMDの使用は臨床的には問題がないと考えられた。また,HMDの画面の光学的位置ずれの有無は,今回の結果に影響を与えていなかった。

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(24C1-9) 視覚刺激によるオドボール課題を行い,64-channel whole cortex型生体磁気計測装置を使用して,事象関達脳磁界の測定を行った。課題は,2種類の刺激画面がランダムな順に呈示され,低頻度刺激(目標刺激)の出現数を声を出さずに数える計数課題とした。目標刺激に対する反応と高頻度刺激(非目標刺激)に対する反応を分離処理して,比較検討を行った。結果は,頭頂部付近で、目標刺激に対する反応波形と非目標刺激に対する反応波形に明確な形態上の差異があり,P300に相当すると考えられる反応が記録された。

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(24C2-1) 喫煙と甲状腺眼症との関係を検索した。患者群は,甲状腺眼症と診断された102例であり,年齢は17〜77歳であった。甲状腺眼症のない102例を対照とし,性別と年齢を患者群にマッチさせた。喫煙と甲状腺眼症発症との間には相関はなかった。甲状腺眼症が重篤であるほど喫煙率が高かった。

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(24C2-10) 眼窩腫瘍4例をdynamic MRIで検索した。症例は海綿状血筥腫,血管周皮腫,血管内皮腫,神経鞘腫各1例である。海綿状血管腫では腫瘍の周辺部から非常にゆっくりと造影され,後期に至るまで全体が濃染された。血管周皮腫では腫瘍全体が急速に染色され、後期には造影効果が減少した。血管内皮腫では後期で腫瘍の周辺部がわずかに染色された。神経鞘腫のdynamic MRIでは腫瘍全体が急速に造影された。この症例は手術後の画像検査から腫瘍の再発が疑われていたが,dynamic MRIの所見が初発時のそれとは異なることから,術後の瘢痕性変化と判断された。以上,眼窩腫瘍のdynamic MRI所見はそれぞれ異なる造影動態を示し,術前術後の鑑別診断に有用であった。

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(24E-14) 眼内レンズ挿入術を行った388眼につき,個別A定数を求め,SRK/T式を検討した。前後面の曲率と厚さなど,眼内レンズのデザインが屈折力に応じて異なるため、A定数も同じく変化する。眼軸長に対しても個別A定数が変化し,これはレンズデザインによるA定数の変化よりも大きい。したがって,SRK/T式は広い幅の眼軸長には対応していない。また,SRK/T式は凸平レンズに対応した式であり,両凸レンズに対しては限界がある。このような理由から,術後の屈折が予測値の±0.5Dに収まったのは,症例の約50%であった。

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(25M-9) 従来のジヌソトミー併用トラベクロトミー(LOT+SIN)とマイトマイシンC併用ジヌソトミー(SIN+MMC)手術にシュレム管内壁擦過を付加する術式を施行した。擦過はシュレム管内壁を高倍率の顕微鏡下で観察しながら25G針で丁寧に行う。内壁擦過の時期は,LOT+SINではロトームの操作により内壁に損傷を加える可能性があるため,ロトミー施行後に行う。一方,ロトームを使用しないSIN+MMCでは,シュレム管外壁切開切除後に擦過する。両術式とも内壁擦過時に穿孔した場合,レクトミーに変更せざるを得ない場合を考慮して,強膜弁打ち抜き施行前とする。シュレム管内壁擦過を付加することは,より良き緑内障手術への1つのアプローチとなりうるが,シュレム管外壁を十分に切開切除でき,ロトームの操作・内壁擦過を安全にするだけの熟練が必要であり,またその適応も考慮に入れなければならないと結論する。

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(25A-10) lrsogladineによる血管内皮細胞障害の抑制効果を,螢光眼底造影(FAG),硝子フルオロフォトメトリー(VF)より検討した。対象は,糖尿病網膜症(DR)福田分類B1症例のlrsogladine投与群;7名13眼対照薬carbazochrOme投与群;7名14眼である。方法は,FAGを画像処理①眼底撮影面積,②毛細血管瘤,網膜血管面積,③過螢光血管床領域を、VFからは④硝子体内漏出量を算出,投薬前後で比較した。その結果,lrsOgladine群の②,③,④に有意な減少を示し,さらに③,④に有意な相関がみられた。一方,対照薬投与群では有意な変化はなかった。以上から,lrsogladine投与により糖尿病網膜症血管内皮細胞の再生に,一過性の抑制過程が示された。

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(25A-12) 糖尿病黄斑症(CSME)に対する光凝固の長期経過を調査検討した。凝固後3年で視力改善18眼(25.0%),不変38眼(52.8%),悪化16眼(22.2%)であった。視力0.8未満の症例においては改善率が40.0%であった。3段階以上の視力低下を来した症例は12.5%であり,ETDRSの結果とほぼ同様であった。凝固後の視力変化はHbA1c値,血清総コレステロール値,トリグリセライド値,HDL-コレステロール値のいずれとも相関しなかった。凝固後の視力低下を促進させる因子として,腎障害,CME,中心窩周囲の無血管帯の拡大,macular depositの存在が考えられた。78%の症例で照射後3年にわたって視力を改善または維持し得たことより,糖尿病黄斑症に対でずる光凝固は長期にわたっても,視力維持または改善に有効であるものと考えられた。

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(25C1-17) 視神経無形成の4乳児例を検索した。3例は片眼性,1例は両眼性であった。片眼性1例には剖検が行われた。全例で検眼鏡と螢光眼底造影で視神経乳頭と網膜血管が欠如していた。剖検では,網膜神経節細胞と網膜血管が欠如し,視神経は痕跡のみがあった。CTと超音波検査では視神経は同定されなかったが,視神経管撮影で患側の視神経管狭細があり,視神経無形成には低形成と同一スペクトルム上の非常に重篤な例があることが示唆された。患眼5眼中4眼に硝子体の形成異常を伴っており,経過中に硝子体出血や網膜剥離などの多彩な臨床像を呈した。これらの成因として胎生裂の形成異常および神経節細胞の発達障害が関与している可能性がある。

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(25C1-19) 一過性黒内障(AF)と診断した32症例を対象として,その視覚症状,眼科的検査,全身的検査,危険因子,最終診断について調査した。視覚症状が片眼性(MAF)のものは,全体の75%を占め,眼科的,全身的検査,虚血性危険因子の項目では両眼性(BAF)に比して異常所見が多かった。BAFは検査や虚血性危険因子では正常であることが多く,精神的疾患が基礎にあるものがあった。原因が明らかになったものは1/3で,原因不明が2/3であった。頸動脈の狭窄が認められたのはいずれもMAFであり,精神的疾患と診断されたものはすべてBAFであった。これより,MAFであれば,まず虚血性疾患を疑って検査を進めていくのが望ましい。BAFでは、精神的疾患も疑い,器質的疾患を否定することが必要である。

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(25D-4) エキシマレーザー屈折矯正手術時の角膜上皮除去法の違いが術後の成績に及ぼす影響をlmanual法(M群)と,レーザーとmanualの併用法(L/M群)についてretrospectiveに検討した。屈折は術前,術後1,3,6か月のいずれの時期においても,両群間で有意な差はなかったが,−6.0D以上の中等度〜強度近視眼においては,M群で術後1か月時に有意な遠視化を認めた。角膜上皮下混濁(haze)がGrade0.5以上であったのは,M群では術後1,3,6か月にそれぞれ69.6,82.6,73.9%であったのに対し,L/M群では44.0,40.0,20.0%であり,L/M群が有意に少なかった。両方法ともPRK時の上皮除去法として有用であったが,hazeの予防という点においてはL/M群のほうが優れていた。

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(25D-7) エキシマレーザー角膜屈折矯正手術(photorefractrve keratectomy)後の角膜上皮下混濁を定量的に評価し,角膜上皮下混濁に対するステロイド薬点眼の効果,および上皮下混濁と屈折矯正精度の関連について検討した。対象は本手術を行った20名30眼で,角膜上皮下混濁はScheimpflug撮影装置を用いて行った。角膜上皮下混濁は術後1か月に極大になり,その後徐々に減少した。0.1%ベタメタゾン点眼期間が1か月の群と2か月の群の間には,上皮下混濁の程度に有意な差はなかった。角膜上皮下混濁の強い例では術後近視側への矯正誤差を生じる傾向があった。

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(25E-2) アレルギー性紫斑病と同時期に樹氷状血管炎を発症した,5歳女児の症例を報告した。初診時視力右眼0.01(0.1)左眼0.03(n.c.)。両眼底には,視神経乳頭の軽度発赤,網膜動静脈の広範な白鞘化を認めた。螢光眼底造影では,周辺部網膜静脈から螢光色素の漏出をみた。全身所見では,下肢のみに2〜5mm大の紫斑を認めた。出血,凝固系検査に異常なく,各種ウイルス抗体も陰性,その他の検索でも異常はなかった。副腎皮質ステロイド内服治療開始後,網膜動静脈の白鞘化は急速に改善したが,黄斑部を中心に多量の滲出物がみられるようになった。この滲出物は,初診より12か月後もわずかに残存している。

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(26A-4) 同一術者による白内障手術,小切開,円形前嚢切除,超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入を施行した78眼について,術中の水晶体上皮細胞(LEC)除去の有無により,LEC除去群(40眼)とLEC非除去群(38眼)の2群に分け,術後前嚢切除窓(ACO)面積とその減少率を経時的に測定,比較検討した。LECは自動灌流吸引チップを用いて機械的に吸引除去した。ACO面積減少率はLEC除去群のほうが1週,1か月,3か月,6か月の全ての測定時点で低く,LECを除去することは後発白内障の予防になりうると考えられた。ACO面積を測定することは,術後のLEC動態についての一指標になりうる可能性がある。

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(26A-21) 68歳女性が,超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入による白内障手術をまず右眼,そして2週後に左眼に受けた。左眼手術の4週後に,ヤグレーザーによる後発白内障切開術が両眼同時に行われた。その14日後から両眼の眼内レンズ後面と硝子体に混濁が生じた。ステロイド剤と抗生剤の全身投与が奏効せず,約6週後に両眼の硝子体手術が行われた。術後炎症は消退したが,4週後に硝子体混濁が再び出現した。両眼に対して硝子体切除術が行われた。同時に摘出した水晶体嚢と眼内レンズの培養で,Streptococcus intermediusが検出された。

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(26B1-5) 広範囲の網膜下出血を伴った加齢性黄斑変性のインドシアニングリーン螢光造影において,薄い出血部よりも厚い出血部においては螢光阻止のために低螢光が強くなる。このような症例において,低螢光部では脈絡膜新生血管(CNV)の螢光が検出されないこともある。そこで,造影開始後,経時的に螢光が増強するCNVではサブトラクション法により,カバーしている出血の程度によるCNV螢光への影響を除外して,CNVからの螢光漏出部の検出に役立てようと考えた。対象例8眼中3眼では,この方法により明らかなCNVによる,明るい螢光部に隣接する境界明瞭な螢光増強部位が観察され,CNVの存在を示唆する所見が得られた。

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(26B1-15) 中心性滲出性網脈絡膜炎16例16眼に対して,インドシアニングリーン螢光造影を行った。14眼で,脈絡膜新生血管周囲に輪状の低螢光を伴っていた。この低螢光輪は,経過中に新生血管の活動性が低下するにしたがって明瞭に観察されるようになった。また,造影後期に,脈絡膜血管の透過性亢進によると考えられる過螢光領域が10眼で観察された。これは新生血管周囲に好発(8眼)していた。脈絡膜静脈の拡張が3眼にあった。本症の脈絡膜新生血管は周囲に低螢光輪を伴うことが特徴であり,それは退縮過程を示す所見で本症の病勢の把握に有用であることが結論された。また,脈絡膜では透過性亢進や静脈拡張といった血管病変があることが明らかとなり,本症の発症に関与しているものと推測された。

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(26B1-16) 中心性滲出性脈絡網膜症23例24眼のICG造影所見を検討した。本症においてICG造影により造影早期および晩期ともに脈絡膜新生血管が検出できた典型的新生血管は18眼(75%),造影早期もしくは晩期どちらかでのみ新生血管が検出できた非典型的新生血管は2眼(8%),新生血管が造影を通して検出できなかったものが4眼(17%)あった。典型的新生血管を検出できた症例では,新生血管周囲の低螢光輪(dark rim)が89%と高率にみられ,dark rimが造影晩期まで明瞭なものはICG造影後6か月以内に病巣が瘢痕化した例が多く,ICG造影における脈絡膜新生血管周囲のdark rimの鮮明度は,予後判定に重要な臨床所見となる。

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(26B2-3) 糖尿病黄斑浮腫に対ずる硝子体手術の結果をretrospectiveに検討し,その有効性,手術適応について検討した。対象は,1989〜1995年の期間に,当科にて手術が施行された15例20眼で,経過観察期間は,6〜55か月,平均20.8か月であった。術前,検眼鏡的に後部硝子体剥離が無く,後部硝子体膜の肥厚を伴い,硝子体牽引の関与が強く示唆されることを手術適応とした。術前と術後,最終受診時視力を比較したところ,12眼(60%)で2段階以上の改善,6眼(30%)で不変,2眼(10%)で2段階以上の悪化が認められ,有意な改善を認めた(p<0.01)。平均視力は,術後2年後まで経過期間が長くなるほど上昇していた。悪化症例中1眼は1黄斑部への硬性白斑の集中した症例,他の1眼は,術後,網膜剥離や血管新生緑内障をきたした症例であった。糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術は,長期間経過しても有効であるが,硝子体手術に伴う重篤な合併症により,著明に視力低下をきたした症例もあり,より慎重な手術適応の検討が不可欠である。

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(26B2-15) 硝子体手術後に眼圧22mmHg以上となった63例69眼について検討した。原疾患は増殖糖尿病網膜症が61%と最も多く,最高眼圧は22〜29mmHgが42%,40mmHg以上は28%であった。眼圧上昇原因は続発開放隅角緑内障43%,そのうち幽霊細胞緑内障14%,続発閉塞隅角緑内障16%,血管新生緑内障19%,ガス膨張7%であった。続発閉塞隅角緑内障および血管新生緑内障の最高眼圧と眼圧上昇期間は,続発開放隅角緑内障に対して高値であった。また,シリコーンオイルタンポナーデ,輪状締結,無水晶体眼で最高眼圧は高値であった。術後最高眼圧が40mmHg以上では視力予後が不良であった。重複手術を行った症例では眼圧上昇が重篤であり,慎重な術後管理が必要である。

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(26C1-13) ぶどう膜炎を伴う腎疾患5例を経験した。腎不全で腎透析中の2例と,間質障害のないメサンギウム増殖性糸球体腎炎,間質障害のあるlgA腎炎,原因不明の一過性尿細管機能障害の各1例である。臨床像は尿細管・間質性腎炎とぶどう膜炎症候群(tubulo-jnterstitial nephritis and uveltis syndrome:TINU)に類似していた。1例に緑内障が続発した。これら腎疾患にぶどう膜炎が併発した機序として,尿細管・糸球体・ぶどう膜に共通する抗原が関与する可能性がある。

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(26C2-1) 12例24眼のミトコンドリア筋症患者の眼合併症について検討した。Kearns-Sayre症候群(KSS)では外眼筋麻痺,網膜色素変性,心伝導障害の3主徴を全てそなえた典型例は少なく,眼科的には網膜色素変性を伴わない非典型例のほうがむしろ多くみられた。ミトコンドリア筋症患者のうち,眼底に異常のみられない症例や,視力障害のあまり強くない症例にも網膜電図にて異常がみられた。眼合併症を伴うことが比較的少ないといわれる高尿酸血症,卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)症例に,網膜色素上皮の変性と視神経萎縮を伴った症例や若年性の成熟白内障を伴ったragged-red fiberを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)症例を経験した。三大病型に従来いわれている眼所見に一致しない症例があることに留意し,視力障害,眼底所見に異常のみられない症例においても経過観察を行い,白内障にも留意すべきである。

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(26D-12) スキャニングレーザードップラーフローメーターによる正常視神経乳頭の血流測定変動を検討した。測定は検者1が第1セッションとその2時間後,2週問後に3回ずつ行い,その1か月後に検者2が同様の測定を行った。各セッションを通した血流パラメータの測定変動係数の中央値は,2人の検者とも5〜12%の範囲で良好であり,差はなかった。しかし,検者1の測定で1人の被験者において,セッション問で測定値に有意差を認め,また検者間では,6人の対象中3人の測定値に有意差を認めた。個々の測定回において,複数測定した再現性は良好であったが,日内,日々変動および検者の違いにより,測定値が異なる可能性も示唆された。

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(26D-13) 臨床的検索で虹彩または隅角に血管が発見された43眼に対し,走査レーザー検眼鏡によるフルオレセインとインドシアニングリーン(ICG)螢光造影を行った。症例は,糖尿病網膜症21眼,網膜中心静脈閉塞症14眼,網膜静脈分枝閉塞症2眼と,ICE症候群,原発開放隅角緑内障,続発閉塞隅角緑内障,正常眼圧緑内障,サルコイドーシス,原因不明の網膜血管閉塞症各1眼である。ICG螢光造影では,全例で血管網が観察され,虹彩または隅角の血管からの色素漏出はなかった。うち35眼でフルオレセイン螢光造影で色素の漏出があり,血管新生と判定された。他の8眼ではフルオレセインの漏出がなく,正常血管と判定された。虹彩と隅角の血管新生の検出にはフルオレセイン螢光造影が鋭敏であり,その血管構築の観察にはICG螢光造影が優れていた。

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(26E-19) 周辺部角膜潰瘍を合併した持久性隆起性紅斑の3症例を経験したので報告した。症例1と症例3は両眼に発症し,点眼治療では治癒しなかったため,Brown法に準じた角膜切除術を行った。症例2は片眼に発症し,ステロイド点眼,抗生剤点眼のみで治癒した。3症例ともリウマチ因子が陽性であり,症例3は慢性関節リウマチを合併していた。持久性隆起性紅斑の治療薬であるdiamino-diphenyl sulfoneの内服により,角膜潰瘍の症状が改善した。周辺部角膜潰瘍と皮疹の合併をみた場合,全身性合併症として持久性隆起性紅斑も考慮すべきと考える。

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(展示7) 超音波白内障手術による術後早期における角膜への影響を調べる目的で,中心角膜厚を経時的に測定し,その変化に影響を与える因子について検討した。超音波白内障手術を施行した74眼に,超音波パキメーターを用いて中心角膜厚を術前,手術開始時,手術終了時,術後1日,術後3日,術後7日に測定した。平均中心角膜厚はそれぞれ516,519,542,542,535,520μmと変化し,術終了時と術翌日では術前より27μmの増加を示した。中心角膜厚変化は,手術時間と強角膜切開幅に対してのみ正の相関を示した。

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(展示34) 糖尿病患者にみられた眼虚血症候群による血管新生緑内障の2例3眼に対し,汎網膜光凝固術とマイトマイシンC併用線維柱帯切除術を施行した。その結果,眼圧コントロールが可能となり,虹彩ルベオーシスの減弱と網膜循環時間の改善を認めた。この方法は眼虚血症候群の本質的な治療法ではないが,本症候群による血管新生緑内障の治療として有用であった。

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(展示42) 強度近視のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を調査するにあたり,心理面をみる項目を重視し,心理的良好感を測定する尺度であるDupuyのgenera well being schedule (GWBS)を主軸にした予備調査票を試作した。この調査票を用い強度近視患者105名に対し調査を行い,単純相関検定,重回帰分析によりQOLの向上に関与する因子を検討した。その結果,強度近視患者のQOLの向上には,眼の将来への不安,疾患の受容,憂鬱感,心の支え・生き甲斐といった心理状態を反映する項目が強く関与していた。今回の調査結果を基にQOLの構造を再構築し,調査票の改善を行う予定である。

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(展示55) 遺伝子解析により診断された結膜悪性リンパ腫の1例を報告した。58歳男性の初診時に,左眼の下眼瞼結膜円蓋部に淡赤色調の腫瘍を認めた。初回生検の結果,異型性に乏しい小〜中型のリンパ球をびまん性に認め,reactive lymphoid hyperplasiaと診断された。悪性リンパ腫の可能性が否定できないため再度生検を行い,腫瘍細胞における遺伝子解析を行った。その結果,免疫グロブリン遺伝子の再構成を認めたため,B細胞性悪性リンパ腫と確定診断した。リンパ系腫瘍の鑑別診断では,遺伝子解析が有用であると考えられた。

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(展示77) 55歳男性の左眼を,5年前に無水晶体性緑内障と診断した。30年前に釘が刺さった既往があった。点眼治療で眼圧が安定していたが,視野異常が突発し,左眼前房に黄白色の異物が発見された。摘出した異物は鉄性であり,Soemmering輪に包理されていた。眼球鉄錆症は発症していなかった。

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(展示106) 硝子体手術後の経過中に,特異な増殖膜様組織が形成された桐沢型ぶどう膜炎の1例を経験した。症例は34歳女性。左眼の桐沢型ぶどう膜炎に対し,硝子体切除およびアシクロビル投与を行い,視力は0.4から0.9に回復した。その後,網膜前に増殖膜様組織が形成され,白内障も進行し,裸力は0.1以下に低下した。白内障術後に行った眼底精査の結果,増殖膜様組織の除去による視力改善の可能性は低いと考えられたため,経過観察とした。桐沢型ぶどう膜炎は,抗ウイルス剤投与や手術療法により視力予後が改善されているが,症例により手術後にさまざまな経過をとることがあり,長期にわたって慎重に経過を観察する必要がある。

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(展示135) 過去4年間に,当科で治療した開放性後部眼外傷44例46眼を,視力転帰について検索した。対象は強角膜に開放創があり,硝子体または網膜に障害がある症例とした。鋭的外傷による穿孔性眼外傷24眼,鈍的外傷による眼球破裂10眼,分類不能12眼である。0.1以上の最終矯正視力は,穿孔性眼外傷では19眼(83%),眼球破裂では3眼(30%)で得られ,いずれも水晶体脱出がなかった。外力の大きさが眼球破裂眼での視力予後を左右すること,水晶体脱出が一つの指標であると結論される。

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(展示141) 真性小眼球症nanophthalmosに伴うuveal effusionの2症例を経験し,強膜開窓手術前および手術後にインドシアニングリーン螢光眼底造影(ICG造影)を行った。ICG造影では,造影早期から著しい脈絡膜血管外漏出がみられ,脈絡膜血管の描出は不明瞭であった。造影晩期には脈絡膜組織内にびまん性過螢光をみ,脈絡膜血管の著明な透過性亢進が存在することがICG造影により証明された。これらは,脈絡膜血流の強いうっ滞と眼外への脈絡膜組織液の通過障害によると考えられた。本症例では,手術により網膜剥離は治癒したが,ICG造影所見は手術前後で変化はなく,脈絡膜組織内にsubclinicalに強い組織液のうっ滞が残っていることが推定された。

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(展示157) 1995年3月から1996年9月までの長崎大学病院眼科入院患者のうち.92名(男性41名.女性51名)を対象にインフォームドコンセントを行った。疾患に対する説明の理解度について,5段階(最高5から最低1)に分けて調査し,次の結果を得た。全体の平均理解度は3で,4以上の高い理解度は,全体の17%しか満たさなかった。性別理解度では,男性が女性より理解度は高かった。疾患別理解度では,どの疾患でも大きな差はなかった。年齢別理解度では,高齢になるほど理解度は低かった。項目別理解度では,合併症,再発再手術における理解度が低かった。説明の長さは理解度に関係していなかった。以上の結果より,これまで行ってきたインフォームドコンセントは,残念ながら不十分であったことが明らかとなり,今後,患者の理解度の向上のため,医療チームの日々の努力が必要であると考えられた。

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(展示173) 44歳男性の右眼に急性視神経炎が生じた。ステロイド剤の全身投与により寛解したが,5か月間に2回の再発があり,そのつどステロイド剤で寛解し,以後18か月間治癒した状態にある。初診の3か月後に白血球増多と成人T型細胞白血病(HTLV−1)抗体陽性が発見された。HTLV−1の保因者に生じたステロイド反応性視神経炎と解釈された。

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(展示175) 67歳女性の右三叉神経第1枝領域に帯状疱疹が発症し,その5日後に右眼の視力障害が生じた。右眼視神経乳頭に発赤と腫脹があり,中心暗点とマリオット盲斑の拡大があった。血液と髄液中の水痘疱疹ウィルス抗体値が上昇していた。早期にアシクロビル,後にステロイド剤を全身的に投与した。視力は初診時の0.5から1.0に改善し,中心暗点は消失した。帯状疱疹に合併した視神経炎は予後不良とされているが,抗ウイルス剤とステロイドが奏効した例である。

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(展示187) 48歳男性のTolosa-Hunt症候群に高眼圧を合併した1例を経験した。初診時矯正視力は右眼1.0,左眼0.9。眼圧は右眼40mmHg,左眼16mmHgと右眼に高眼圧があった。右眼には,眼球突出と球結膜の充血・浮腫があり,全方向の眼球運動障害を示した。中間透光体,眼底には異常なく,左眼も異常なかった。MRIで右海綿静脈洞内から上眼窩裂に及ぶ肉芽腫様の腫瘤形成があり,高眼圧は,右海綿静脈洞の病巣により,眼静脈のうっ帯が起こったためと思われた。副腎皮質ステロイド剤の大量投与により病巣の縮小とともに,眼球運動障害,眼球突出などの眼症状は改善し,眼圧も低下した。

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(展示198) 硝子体手術を行った特発性黄斑円孔14眼に対し。術前後に色覚を検査した。検査には,標準色覚検査表(第2部)後天異常用(SPP-II)を用いた。術前の色覚検査結果が良い症例は,術後視力が良好である傾向があった。特発性黄斑円孔の手術に際し,本色覚検査が術後視機能を推定する視標となる可能性がある。

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(展示243) 要約 網膜血管閉塞症に対する線溶療法の要否を明らかにするために.46症例について血液凝固能の亢進状態を示す血中トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)値をウロキナーゼ(UK)点滴投与前後に測定した。さらに線溶系の指標として血中プラスミノーゲン(PG),アンチプラスミン(AP),α2—プラスミンインヒビター・プラスミン複合体(PIC)それぞれの値についても検討した。TAT,PG,AP値の平均値はUK投与前より投与後の方が低値を示し,両者間に有意の差を認めた。PIC値は投与前より投与後の方が高値を示したが両者の間に有意差はなかった。本疾患において血液凝固機転の亢進状態が確認され,UK投与により凝固亢進状態が改善傾向を示し,抗血栓療法の有用性を裏付けるものと考えられた。

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(展示244) 高気圧酸素療法を行った50例58眼について,各疾患別に視力経過を比較検討した。また,発症から治療開始までの期間についても検討した。疾患別にみると,動脈系の疾患に効果が高く,静脈系や視神経炎,視神経症などその他の疾患には効果が低い傾向にあった。また,開始時期については,発症早期だけではなく慢性期においても有効であると思われた。

今月の表紙 第14回医学写真展から・3

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〈撮影データ〉

 患者は当時34歳の男性で,近医より特異的な眼底のため,精査目的で紹介され来院しました。視力は,両眼矯正1.0で,眼圧正常,特に夜盲などの自覚症状はありませんでしたが,白色閃光によるEGRではa波,b波ともに減衰し,眼底所見は両眼後極部より中間周辺部にかけて,今まで見たことのない色鮮やかな剥げかかった金箔様の光沢を示すものでした。また,患者は両親が血族結婚であり,水尾-中村現象も著明でした。

(眼底カメラはKowaproiでオート撮影,フィルムはコニカクロームMCを使用。

連載 今月の話題

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 糖尿病網膜症での光凝固の目的は,黄斑浮腫の改善および増殖性変化の予防と治療で,最大の目標は増殖性悪性化の予防と治療,すなわち血管新生防止と新生血管の退縮化であろう。また,光凝固は血管新生緑内障の予防や治療および硝子体手術の前処置に不可欠な治療でもある。ただし,その普及とともに種々の問題が派生してきている。

 適切な光凝固は,効果的で合併症も少ない。光凝固の適応,手技,限界などは,従来,かなり明確にされてきたはずであるが,それが十分に反映されていない例に稀ならず遭遇する。適正な凝固条件を守ることが,治療効果の獲得と合併症の回避には必要となる。一方,新しい有用な知見を追加していくことも重要である。

 ここに,糖尿病網膜症光凝固の再点検として,その現状をみつめ直してみたい。

連載 眼の組織・病理アトラス・127

腎性網膜症 猪俣 孟
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 腎性網膜症renal retinopathyは,広義と狭義がある。広義の腎性網膜症は悪性高血圧症malignant hypertensive retinopathyと慢性糸球体腎炎chronic glomerulonephritisに見られる眼底病変を一括して取り扱う。悪性高血圧症では,発症時から拡張期血圧が異常に高く,急速に全身に重篤な合併症を生じる。眼では,網膜細動脈の著しい狭細化,網膜浮腫,綿花状白斑などが出現する(図1,2)。これは細動脈の循環障害によって局所網膜の虚血を生じ,細小血管からの透過性亢進によって網膜出血や浮腫を生じたものである(図3,4)。このような眼底変化を悪性高血圧性網膜症と呼ぶ。

 慢性糸球体腎炎では,網膜動脈の硬化性変化を生じ,細動脈硬化に基づく網膜浮腫,硬性白斑を坐じる。これが狭義の腎性網膜症である。悪性高血圧症は腎障害を伴って網膜症をさらに助長し,慢性糸球体腎炎では全身の細動脈硬化によって高血圧が加わって,網膜症を助長する。すなわち,高血圧と腎障害はいずれも互いに病変を加重することによって網膜症を悪化させるので,検眼鏡所見から悪性高血圧性網膜症と狭義の腎性網膜症を鑑別することは難しい。

連載 眼科手術のテクニック・90

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 結膜涙嚢鼻腔吻合術の適応とインフォームドコンセント 50巻10号に記載した涙小管閉塞分類でGrade 3に相当する症例,つまり涙点より5ミリ以内にしかブジーを挿入することができないような,広範な涙小管閉塞の場合が手術適応となる。本来の涙小管を用いることは断念して,結膜涙湖から涙嚢—鼻腔へと涙液を排出する,新たな涙小管ともいえる涙道を造設するのが結膜涙嚢鼻腔吻合術(以下,C-DCRと略)である。従来はJonesチューブによるC-DCRが中心に行われてきたが,臨床的には決して満足できる結果は得られず,実際に施行される施設も限られていた。本稿で述べる結膜筒状弁によるC-DCRは人工材料を永久留置しないため合併症も少なく,Jonesチューブにとってかわる優れた術式と思われる。本術式を涙小管閉塞の治療法のラインアップに加えることにより,初めて3段階に分けた涙小管閉塞の程度分類(図1)のすべてに対応できることになった。

 しかし,新たな涙道ができても,本来の涙小管が有する涙液排出ポンプ機能までも完全に再建することは難しく,術前のインフォームドコンセントとしては,手術が成功しても機能的には正常の5割程度の改善であり,完全な流涙の消失は望めない旨を理解してもらう必要がある。

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緒言

 モーレン角膜潰瘍は難治性の角膜輪部潰瘍を生じ,輪部に沿って拡大するが,時に角膜中央部へ進行し,著しい視力障害を来すことがある。また,角膜穿孔の危険すらある。これまで本症の治療は,ステロイド剤あるいは免疫抑制剤の投与,進行例に対しては,結膜切除術,角膜上皮形成術などの外科的治療が行われてきた1,2)。筆者らは,シクロスポリン点眼により,外科的治療を行うことなく治癒に至った,進行性片眼性のモーレン角膜潰瘍の1例を経験したので報告する。

眼科の控室

視野の信頼性
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 外来で忙しくなってくると,ついつい検査を人任せにしがちです。視能訓練士ORTの方々は,3年間それだけを専門に教わっているので,ゴールドマンの視野などでも「ちょっとお願い」ということになります。

 視野が正常に出ればそれでよろしいのですが,問題なのは変な求心性狭窄などが出た場合です。視力もそうですが,視野検査は被検者の返事に頼る自覚的な検査法ですので,眼位や眼圧などの客観的検査とは,信頼性が大きく違うことがあるからです。

 就学前の子供の視野は,まず正確には測定できません。一応の参考にはなっても,体面法などの別の方法で確認することをお勧めします。

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 1988年から1995年までに原発性虹彩嚢胞と診断された6例に,超音波生体顕微鏡検査を行った。散瞳下での細隙灯顕微鏡検査および隅角鏡検査からは1例のみが両眼性と考えられており1観察し得た5眼の虹彩裏面の嚢胞はすべて単胞性,孤立性であった。これに対し,超音波生体顕微鏡の画像では,10眼に虹彩毛様体嚢胞が描出された。嚢胞の位置は9眼が耳側であった。4例は両眼性,2例は片眼性であった。3眼の嚢胞は単胞底性,孤立性であったが,他の7眼の嚢胞は多胞性,多発性であった。

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 ウイルス性結膜炎を疑った急性濾胞性結膜炎患者の結膜擦過物100検体を対象とし,免疫クロマトグラフィー(IC)法を用いた簡便なアデノウイルス(Ad)結膜炎の迅速診断法と酵素抗体(ELISA)法を比較した。Ad結膜炎の診断の感度と特異性において,IC法とELISA法に差はみられなかった。また,IC法の血清型別の感度はELISA法と同等であった。正C法は特別な設備を必要とせず,10分で結果判定が可能であった。以上よりIC法はAd結膜炎の迅速診断法として,ELISA法と同等かそれ以上に有用な方法であると考えられた。

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 急性骨髄性白血病完全寛解期の45歳男性で,眼窩腫瘍が結膜円蓋部へ突出し,摘出したところOrbital granulocytic sarcoma (OGS)であった。OGSの発症は10歳代がほとんどであり本症例のような高年齢発症は稀で,リンパ系腫瘍との鑑別が重要である。初診より9か月で発症し,腫瘍摘出によって白血病の再発が確認され,6か月後に死亡した。手術中に腫瘍が強膜から比較的容易に剥離できたこと,腫瘍には膠原線維の血管に富んだ偽被膜がみられ,膨張性に腫瘍細胞浸潤がみられたことより発症部位はテノン嚢内が考えられた。OGSと骨髄で,パラフィン標本ではあるがBリンパ球系免疫染色で陽性を示したことにより,特異性には問題があるがBリンパ球系と骨髄系のbiphenotypic leukemjaの可能性があると考えた。

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 Leigh症候群はミトコンドリア脳筋症のひとつで,大脳基底核を中心とした左右対称の壊死性病変を呈する小児の変性疾患である。眼底所見の報告はこれまでわずかであるが,筆者らは本疾患3例の経時的観察を行った。眼底は初診時から後極を中心とした網膜変性や視神経萎縮があり,これらは徐々に進行したが,初期から網膜・視神経に重篤な障害があると思われた。一方,中枢神経系は進行が顕著であった。2例にはミトコンドリア酵素の異常が認められた。中枢神経や網膜・視神経は酸化的呼吸を特に必要とするため,本症例ではミトコンドリアの異常によって重要な中枢神経と眼底の異常が発生するものと考えられた.

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 水晶体嚢真性落屑は,偽落屑とは異なり緑内障を合併することは稀であるとされているが,筆者らは高齢の女性の閉塞隅角緑内障眼に水晶体嚢真性落屑をみた症例を3例経験した。水晶体嚢真性落屑が比較的高齢者に多くみられること,特に熱線照射や外傷などの既往のない特発性の症例では高齢者に偏在することから,水晶体嚢真性落屑の発生に何らかの加齢性変化が加わっているものと考えられる。また,基底膜異常としての水晶体嚢真性落屑眼では,水晶体容量の増加や水晶体実質の代謝障害を起こしやすくなることが想定され,狭隅角ないしは閉塞隅角緑内障へ進展する一要因になりうるのではないかと考える。

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 眼底検査時に,眼球の圧迫加減による網膜中心勤脈拍動状態の観察(眼球加圧テスト)で眼底血圧値の低下が疑われ,MR angiographyおよびdigital subtraction angiography (DSA)により,頸動脈狭窄症または閉塞症と診断された5例8眼について,その特徴を検討した。DSAで内頸動脈は60%以上狭窄していた。90%以上の狭窄例で螢光眼底検査上網膜内循環時間遅延がみられ,99%以上の高度狭窄例で網膜電図の律動小波が減弱していた。眼球加圧テストが内頸動脈狭窄症のスクリーニングとして有用であり,狭窄が高度の場合に眼底所見が軽微でも螢光眼底検査およびERGの所見が参考になると考えられた。

基本情報

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臨床眼科
51巻5号 (1997年5月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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