臨床検査 57巻11号 (2013年10月)

特集 はじめよう,検査説明

巻頭言

巻頭言 山田 俊幸
  • 文献概要を表示

 本増刊号は,「ありがちな臨床医の質問に手際よく答えられる資料のようなものがあったらいい」という意見を参考に特集されました.

 先駆的な施設の検査部や衛生検査所の多くは,検査相談窓口を設け,ユーザーである臨床医からの問い合わせを受け付け,対処しておられることでしょう.そのような窓口がない施設でも臨床医からの問い合わせは少なくないはずです.質問には,検査の医学的側面だけでなく,検体の提出の仕方,手続きの仕方,保険適用などさまざまなものがあると思われますが,本特集では,「こんな結果が返ってきたけど,どういうことだろう?」という検査の解釈や,「この次どのような検査をしたらよいか? 患者の治療をどうしたらよいか?」という検査結果への対応を主にとりあげました.

  • 文献概要を表示

1.尿検体の管理

 尿成分の多くは排尿直後から変性あるいは量的変化を起こすため,できる限り速やかに検査を実施することが大切である.やむを得ず,検査まで時間がかかる場合は,各成分の保存に適した方法を選択する.尿検体の保存には保存剤を使用する方法と温度管理による方法がある1)

 蓄尿時の保存は,冷暗所(室温)または冷蔵保存が一般的であるが,冷蔵保存で塩類が析出したときは,加温などによって塩類を溶解させてから測定に用いる.

2 蓄尿方法を教えてください 木村 秀樹
  • 文献概要を表示

1.蓄尿の意義と適応

 24時間蓄尿は,腎機能〔尿蛋白,クレアチニンクリアランス(Ccr)〕,食事摂取量,電解質・内分泌異常などの評価に有用である.1日尿蛋白量による腎疾患の評価では,ネフローゼ症候群は3.5g/日以上と定義され,IgA腎症では0.5g/日以上で予後不良,全身性エリテマトーデスでは0.5g/日以上で腎障害の存在が推定される.Ccrの測定は個別の糸球体濾過量の評価に用いる.腎疾患,高血圧患者では,食塩・蛋白摂取量を把握することが管理上有用であり,蓄尿のNaと尿素窒素から以下の式で推算する.1日NaCl摂取量(g/日)=1日尿中Na排泄量(mEq/L)×尿量(L)÷17;1日摂取蛋白量(g/日)=[1日尿中尿素窒素排泄量(g/日)+0.031×体重(kg)]×6.25(Maroniの計算式).急性腎障害が疑われる患者では1日尿量が重要である.また,血清KやNa値の異常例や褐色細胞腫,クッシング症候群などの内分泌疾患では,電解質や各種ホルモンの1日尿中排泄量が鑑別診断に必要となる.このように,蓄尿は臨床上有用である一方で,蓄尿器を介する院内感染の原因ともなり,必要度の低い連続蓄尿は避けるべきである.

  • 文献概要を表示

1.C-ペプチドとは

 C-ペプチド(CPR)は分子量3,617でインスリンの前駆物質であるプロインスリンの構成成分である.膵β細胞内でインスリン部分とC-ペプチド部分(アミノ酸31個)に分離されて血中に同程度の割合で放出される.尿中の排泄量は,血中CPRと高い相関を示し,インスリン投与やインスリン抗体またはプロインスリンの干渉を受けずに測定できる.尿CPR検査は,1日分ためておいた尿(蓄尿)を用いてCPRを測定し,1日排泄量を調べる.すなわち,血中CPR検査でわかるのが一時的なインスリン分泌量であるのに対し,尿中CPR検査は一定期間のインスリン分泌量を調べることができる.尿中CPR測定では,細菌汚染,蛋白分解酵素などの影響により分解・変性を受け低値に測定されるため,C-ペプチド安定化剤を使用する.

  • 文献概要を表示

1.ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)

 絨毛上皮の合胞体栄養膜細胞から分泌される糖蛋白で,αとβのサブユニットから構成される.正常妊娠では,着床後2~3日で尿中に排泄され始める.妊娠初期に急激に増加し,10~12週目で最高値に達した後,その後,漸減し,出産後1~2週間で消失する.尿中にhCG(human chorionic gonadotropin)を検出する状態は,妊娠か絨毛性疾患(絨毛癌,胞状奇胎など)である.

  • 文献概要を表示

1.反応原理

 尿試験紙における潜血反応の原理は,ヘモグロビンのペルオキシダーゼ様活性を利用している(図1).その活性によって,試験紙に試薬として含まれている過酸化物は,還元型色原体から水素原子を奪い,自らは還元されて安定な酸化物になる.同時に無色であった還元型色原体は,酸化されて有色の酸化型色原体になる1).ヘモグロビンはペルオキシダーゼではないが,ペルオキシダーゼと同様の活性を示すため,ヘモグロビンのペルオキシダーゼ様活性(偽ペルオキシダーゼ活性)という.

  • 文献概要を表示

1.尿試験紙標準化の背景

 尿試験紙検査は,患者に苦痛を与えることなく多くの情報が得られる,簡便な検査であることから,診療におけるスクリーニング検査として,また各種健診でも広く使用されている.しかし,市販試験紙の種類により検出感度・結果の表示方法が異なり,一部の医療現場で混乱をきたしていた.こうした問題点を解消するため,日本臨床検査標準協議会(JCCLS)尿試験紙検討委員会は2001年に「『尿試験紙検査法』JCCLS提案指針(GP3-P1)」を発刊し,2004年に「『尿試験紙検査法』JCCLS提案指針(追補版)」として尿蛋白,尿ブドウ糖,尿潜血試験紙部分表示の統一化提案指針を発表した.

  • 文献概要を表示

1.CKD進展やCVD発症の危険因子

 蛋白尿およびアルブミン尿を呈する患者でCVD(cardiovascular diseas,冠動脈疾患,脳血管疾患,末梢血管病,心不全)などの頻度が高いことはフラミンガム研究などでも知られていた.2002年に米国のNKFよりK/DOQI(kidney diseases outcomes quality initiative)ガイドラインが発表され,慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)がCVDの危険因子であることがあらためて示され,続く2003年,AHAが循環器専門家の立場からKidney disease as a risk factor for development of cardiovascular diseaseと題するScientific Statementを発表した.その後,心腎連関に対する関心が高まり,CKD患者の大多数がESRD(end-stage renal disease)に至るまでにCVDの発症により死亡しており,またCKDは保存期の段階からCVDの危険因子となることが認識されるようになった.

 2009年のKDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcomes)カンファレンスにて約150万人に及ぶコホート調査のメタ解析により,腎機能の低下およびアルブミン尿の増加がそれぞれ独立したCVD発症,全死亡,透析導入の危険因子であることが証明された.

  • 文献概要を表示

1.乳び尿の出る機序

 腸管で吸収された脂肪(特に中性脂肪)は,小腸吸収上皮細胞内で蛋白質と結合し,リポ蛋白質のカイロミクロンに形成される.カイロミクロンは腸管内の毛細リンパ管に取り込まれ,乳びリンパ液としてリンパ管から胸管に運ばれる1)

 乳び尿症は蚊によって媒介されるバンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)が,リンパ管内に寄生することによってリンパ管炎を発症し,腹部のリンパ管の閉塞,リンパ管と腎杯・腎盂そして尿管などの尿路との瘻孔が形成され,脂肪の多い食事を摂取すると尿路に乳びリンパ液が漏れ出てくる状態のことをいう(図1)2,3).その際に,尿が白色混濁した状態を乳び尿,そして血尿を合併したときには乳び血尿という.以前,本邦では九州・南西諸島でフィラリア症の好発地域であったが,1978年以降,新規のフィラリア症の発症はなく,乳び尿症を呈するのはフィラリア症の既往がある70歳代以上の高齢者がほとんどである.

  • 文献概要を表示

 尿蛋白の定量値と定性検査の結果が乖離するのは,主に定性検査の偽反応に原因がある.はじめにそれぞれの検査の測定原理を述べ,その後,どのようなときに偽反応が発生するかを解説する.

  • 文献概要を表示

1.核内封入体と細胞質内封入体

 封入体細胞(IBC)は,核内封入体細胞(NIBC)および細胞質内封入体細胞(ICIBC)として認識されている.

 NIBCは核に封入体を含有する細胞の総称であり,形態的に核内に不規則な形の無構造の封入体,すりガラス様の核,核縁に凝集した状態がみられる.臨床的には多核細胞のDNAウイルス感染細胞や単核のサイトメガロウイルス感染細胞としてみる.

  • 文献概要を表示

1.血清Cr(Scr)値に基づく推算GFR(eGFRcreat)

 クレアチニンは主に筋肉に存在するクレアチンが非酵素的に代謝され,産生される.このためクレアチニン産生量は筋肉量の影響を受ける.推算式には年齢,性別が含まれ,高齢者,女性に由来する筋肉量の減少は平均的には補正されているが,四肢欠損など筋肉量の減少している症例ではScrは低めに,eGFRcreatは高めに,アスリートなど筋肉量の多い症例ではScrは高めに,eGFRcreatは低めに推算される.クレアチニンの尿細管からの分泌を阻害する薬物は腎機能と関係なくScrを増加させ,加熱調理後の肉類の摂取も肉類に含まれるクレアチニンのためScrは増加する.これらはeGFRcreatが低めに推算される要因となる.

  • 文献概要を表示

1.腎機能の成熟

 新生児期のGFRは成人の1/5程度ではじまり,2歳前に成人とほぼ同等となる.そのため例えば血清クレアチニン基準値は生後数カ月まで減少するが,その後は筋肉量の成長とともに増加する.

  • 文献概要を表示

1.便の性状

 便は消化吸収できなかった食物残渣や消化管の細胞,腸内細菌などで構成されていて,消化・吸収・腸の蠕動運動により泥状・水様性の下痢便から硬い兎糞状までさまざまな形状を示す.色調はステルコビリンで黄褐色を呈すが,疾患によって白色や黒色となる.また血液や粘液が混入するため性状を観察することは重要である.

  • 文献概要を表示

1.便潜血検査の意義

 便潜血検査は便中の血液を検出する方法で,現在日本ではヒトヘモグロビンに対する特異抗体を用いる免疫法が行われている.ヘモグロビンの抗原性は胃酸で低下するため,下部消化管からの出血の検出に適しており,主に大腸癌の検診に用いられている.2日間連続で採便する2日法を用いることが多い.

 大腸癌検診の有効性評価には,欧米で化学法による無作為割付比較対照試験(randomized clinical trial;RCT)が行われ,大腸癌の死亡率低下効果が証明された.その後,免疫法は化学法に勝るとの結果から日本では免疫法が採用されている.他の症例対照研究でも大腸癌の死亡率低下効果が証明されており,有効性評価に基づく大腸癌検診ガイドラインでも便潜血検査は推奨レベルAとされている.

  • 文献概要を表示

1.α1-アンチトリプシンクリアランス試験

 蛋白漏出性胃腸症は,血漿蛋白,特に分子量の小さいアルブミンや免疫グロブリンG(IgG)が消化管腔へ異常に漏出し,低蛋白血症,浮腫などを惹起する症候群である.消化管腔への蛋白漏出を証明するにはα1-アンチトリプシン(α1-AT)の血中から便中への移行を計算するα1-ATクリアランス試験が有用である.α1-ATはほぼアルブミンと同じ分子量約5万の糖蛋白で,主として肝臓で産生されるprotease inhibitorである.通常は消化管に分泌されず,消化管腔へ漏出しても消化酵素や細菌の影響を受けず抗原性をもったまま糞便に排出されるため,そのクリアランスが蛋白漏出の証明となる.

  • 文献概要を表示

1.oligoclonal bandの測定法

 髄液のOB(oligoclonal band)は,多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)の診断に用いる場合に保険適用可能な検査であり,髄液と血清を等電点電気泳動した際に,髄液のみにみられるIgG(immunoglobulin G)の複数の染色バンドのことである.OBが陽性になるのは,髄液中でIgGが複数のクローナリティをもって増加する場合であり,典型的なMSで非常に高頻度に認められる.日本においては,従来両性担体を含まないアガロースゲルを用いた分離能の悪い単純な電気泳動によりIgGを分離していたため著しく感度が低く,陽性頻度が非常に低かったが,2006年以降等電点電気泳動法に免疫固定法を組み合わせた方法が普及し,日本人MSでも典型的タイプであれば70%以上の陽性頻度で認められるようになった.

  • 文献概要を表示

1.関節液検査の意義

 関節液(滑液)は滑膜血管を流れる血漿由来の濾出液にB型滑膜細胞が産生するヒアルロン酸などの高分子物質が添加されたものである1,2).関節に何らかの病変があると関節液の量や組成は変化する.関節液検査は炎症性・非炎症性の区別や,化膿性関節炎・結晶沈着性関節炎の診断に特に有用である.

  • 文献概要を表示

1.気管支肺胞洗浄(BAL)

 肺の末梢(肺胞領域)に存在する細胞,病原体を集める目的で,大量の生理食塩水を気管支鏡を通じて気管支内に注入し,回収する.具体的には,気管支鏡を中葉,あるいは舌区に挿入し楔入固定,50mLのシリンジで用手的に生理食塩水を注入し,そのままシリンジを引いて液を回収,これを3回繰り返す.回収液は滅菌ガーゼを用いて濾過,3本のシリンジの液を1つに集め4℃に保ち,遠心分離を240×gで10分間行う.その後,細胞数,分画,細胞表面マーカーなどの評価を行う.

  • 文献概要を表示

1.血算および血液像の保存安定性(図1,表1)

 一般に,血算は採血後6~8時間以内,血液像は4時間以内の検査実施が推奨されている.それ以上時間がかかる場合は冷蔵保存(4℃)が望ましい1).血球形態は3時間で変化し始め9時間以上では,光顕レベルで明らかな影響が観察されるといわれている.一方,自動分析機を用いた白血球分類では24時間後も影響が少ない2)

 時間経過に伴う代表的な形態変化として白血球の核のクロマチン均一化,空胞変性,クローバー状変化,細胞辺縁の不整化が挙げられる.

  • 文献概要を表示

1.血算検査(CBC)とは

 CBCは血液検査の基本であり,広くスクリーニング検査として用いられている.またその結果は,血液疾患や血液に異常をきたす病態を反映し,治療診断の補助とされている.自動血球計数装置による検査が普及し,目視法(視算法)よりもはるかに多くの血球を計数するため精密性,処理能力に優れている.また,血球計数のみならず赤血球恒数も算出され,これらのデータをもとに臨床医は患者の病態を把握している.

  • 文献概要を表示

1.平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)

 平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は赤血球個々のヘモグロビン(Hb)濃度の平均値で,基準範囲は32~35(成人)g/dLないし32~36(成人および小児)g/dLである.なお,基準範囲の違いは年齢変動(表1)に由来する.

  • 文献概要を表示

1.破砕赤血球とは

 破砕赤血球(schizocyte,red cell fragment)とは,循環血中で機械的な機序により破砕された赤血球断片である.主に微細血管における血栓形成によって破壊されるためとされ,血栓性微細血管性貧血(Thrombotic microangiopathic anemia;TMA)とも呼ばれる病態で認められる.末梢血中に塗抹標本で破砕赤血球が認められる代表的な場合は,DIC(播種性血管内凝固症候群),TTP(血栓性血小板減少性紫斑病),HUS(溶血性尿毒症症候群)などである.これらは赤血球破砕症候群(red cell fragamentation syndrome)と一括して呼ばれている.いずれも重篤な病態で生命の危険があるので迅速な診断が必要である.

 検査室からの破砕赤血球を認めるというコメントは,このような病態の診断,そして迅速な治療開始に非常に有用である.判定は臨床検査技師の目視によって行うので,血液塗抹標本を観察する臨床検査技師の技量が求められる検査でもある.

  • 文献概要を表示

1.赤血球粒度分布幅(red cell distribution width;RDW)(図1)

 RDWは赤血球の粒度分布曲線(ヒストグラム)から計測する赤血球容積分布の指標で,赤血球大小不同症では高値を示す.ヒストグラムは横軸に血球容積,縦軸に血球の相対個数(%)をプロットして平滑化したもので,平均赤血球容積(mean corpuscular volume;MCV)が赤血球ヒストグラム全域から算出されるのに対して,RDWはヒストグラム左脚の血小板凝集塊,大血小板,電気的ノイズ,および右脚の凝集赤血球などを除外して計算する.RDWは変動係数(coefficient of variation;CV)(%)または標準偏差(standard deviation;SD)(fL)で表す.基準範囲(電気抵抗法の例)はCV12.8±1.2%,SD42.5±3.5fLだが,

装置の測定原理,報告により差がみられる.

  • 文献概要を表示

1.白血球の分類

 白血球の分類においては,機械法は一般的にスクリーニング法として利用され,目視法は機械法で数的・質的な異常が示唆されたときの最終的な確認手段となる(フローチャート).機械法と目視法で誤差が生じる原因として,それぞれに誤差要因が存在する.

  • 文献概要を表示

1.家族性Pelger核異常(Pelger-Huët anomaly)

 核膜蛋白質であるラミンB受容体(Lamin B Receptor)遺伝子の変異により,顆粒球核の形態異常(低分節)を特徴とする,常染色体優性遺伝である.通常,健常人好中球の核は2~5分節で,3分節が最も多く認められる.しかし,本症では分節数が1~2分節と少なく,好酸球や好塩基球にも同様の形態異常を認める.約6,000人に1人の割合で発症するといわれ,ヘテロ接合体の好中球は2分節にとどまり,左右対称の眼鏡様にみえるものが多数認められる.ホモ接合体では核が全く分節せず,太い桿状あるいは類円形を呈するものが多く,好中球遊走能の低下が報告されている.核のクロマチン構造は正常に比して粗く,凝集が強いため結節状を呈する.診断のためには家族性に認められるかどうか検索が必要となる.

  • 文献概要を表示

1.血小板減少に出会ったら

 しばしば遭遇する血小板減少症1)には数多くの原因がある.一般的には,末梢血血小板数が10万/μLを下回った場合,血小板減少症と診断される〔特発性血小板減少性紫斑病(ITP)診断基準,厚生省研究班(1990年)〕.検査したら軽度血小板が減少していた(もちろん症状もなく)という症例の頻度が高いが,このような場合にはじっくり考えながら対応したとしても問題は生じない.

 その一方で,“wet purpura”などの粘膜出血をはじめとする出血傾向の出現,初診で1~2万/μLなど著減した血小板数の場合には,緊急性は非常に高く,重篤な出血性合併症を発症させないよう素早い対応(医師への連絡/報告・鑑別診断・出血に対する予防)を心がけるようにする.また,造血器腫瘍など血液疾患,播種性血管内凝固(DIC)や血栓性微小血管障害症(TMA)などの重篤な疾患に合併している血小板減少症は見落としてはならない.

  • 文献概要を表示

1.偽性血小板減少症とは?

 各メーカーにより設定値は若干異なるが,例えばベックマン・コールター社の自動血球計数器では,血液検体中に含まれる細胞の容積が2~20fLのものを血小板と同定してその数を計測する.そのため,これ以上の容積となる血小板凝集塊や巨大血小板は血小板として認識されず,血小板数が実際より少なく算定される(見掛け上の低値となる)ことがあり,偽性血小板減少症と呼ぶ.

  • 文献概要を表示

1.血小板測定法

 血小板数の測定法は,視算法と自動血球計数装置による測定法(分析器法)がある.視算法には,希釈検体を直接計算盤に入れてカウントする直接法(Brecher-Cronkite法,Rees-Ecker法)と血液塗抹標本で血小板と赤血球の比率を算出し,既知の赤血球数より間接的に視算する間接法(Fonio法)がある.また,分析器法は,電気抵抗法と光学的方式を用いたレーザー法,さらにモノクローナル抗体を用いた免疫学的方法がある.

  • 文献概要を表示

1.大型血小板とは

 大型血小板とは正常な血小板よりも大きい血小板であり,正常の血小板が直径2~3μm程度に観察されるのに対して,4μm以上を呈するものである.塗抹標本上では赤血球との比較で大きさを評価し,赤血球の直径の約半分に相当する4μmから赤血球大(約8μm)までのものを大血小板,赤血球サイズを超えるものを巨大血小板(giant platelet)と呼ぶことが多い.

 大血小板や巨大血小板はいくつかの先天性の疾患や後天性の病態で出現することがあり,診断の端緒となることがあるが,健常人でも少数の大血小板や巨大血小板がみられることがあるため,血小板減少の有無,血小板形態の変化,出血などの臨床症状や他の検査値異常の有無などの所見を合わせた総合的な評価が必要である.

  • 文献概要を表示

1.凝固反応にはCa2+が不可欠

 凝固反応は,セリンプロテアーゼ凝固因子とその補助因子の複合体が未活性化因子を限定分解する連続的な活性化反応であり,カスケード凝固反応と呼ばれる.凝固機序には組織因子依存性に開始される外因系凝固系と,TF非依存性に開始される内因系凝固系がある.

 凝固因子は血漿中では不活性型として存在しているが,凝固因子のアミノ酸のγカルボキシグルタミン酸残基にカルシウムイオン(Ca2+)が結合すると活性型に適した構造となり,Ca2+を介して凝固反応の場である陰性荷電リン脂質膜に結合できるようになり,凝固反応の増幅にCa2+は不可欠である.

  • 文献概要を表示

1.APTT試薬の現状

 内因系凝固機能の検査である活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time;APTT)は,抗凝固薬(ヘパリンなど)のモニタリングや,各種凝固異常症〔凝固因子欠乏,ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant;LAC),凝固因子インヒビターなど〕のスクリーニング目的で実施されている.しかし,これらの項目に対する感受性は試薬ごとで異なり,同一検体であっても測定結果が大きく乖離する場合もあるため,自施設で使用しているAPTT試薬の特徴を十分把握したうえで検査結果を解釈する必要がある.

  • 文献概要を表示

 病態と一致しないFDPとD-dimer(DD)の異常高値では,まず試料の希釈再現性を確認する.原倍では異常フラッグ,希釈による一定値などの情報から原因が推定できる.病態と不一致の検査値を医師に質問された場合,まず患者が重症(結果を急ぐ)か,質問医師がDICや血栓症の治療経験が豊富か,などで説明が異なる.若手が対象の際は,基礎から誤解させないよう問題点を探る.

 議論の基本は,以下の通りである.DDはFDPの一部で大小さまざまな混合体として存在し,測定に用いる抗体と標準品の値付けが各社異なる(図1).FDPとDDの会社が異なると(院内検査と外注検査),逆転の可能性がある.

  • 文献概要を表示

1.ループスアンチコアグラントの定義と測定法

 ループスアンチコアグラント(Lupus anticoagulant;LA)は,リン脂質依存性の凝固検査を用いた抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies;aPL)の検査法である.LAは“個々の凝固因子活性を阻害することなく,リン脂質依存性の凝固反応を阻害する免疫グロブリン”と定義される.

 LAの測定は国際血栓止血学会標準化委員会(ISTH-SSC)の推奨する方法に従い,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)と希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)の延長でスクリーニングし,過剰リン脂質の添加により延長した凝固時間が短縮すること,および凝固時間延長が凝固因子欠損や抗凝固薬の混入でないことが確認できた場合にLAと判断する.

  • 文献概要を表示

1.AST,ALTの性状

 AST,ALTは,1つのアミノ酸からアミノ基を奪い,そのアミノ基を他のα-ケト酸に移して別のアミノ酸を生成するアミノ基転移酵素(トランスアミナーゼ)であり,補酵素としてピリドキサルリン酸(PALP)を必要とする.この補酵素PALPを有するものをホロ酵素,PALPを有しない酵素をアポ酵素と呼ぶ.

 ASTは,心臓,肝臓,骨格筋,腎臓,赤血球などに幅広く含まれ,臓器(細胞)特異的とはいえないが,どこかで傷害が発生していることがわかる.ASTには,ミトコンドリア内(マトリックス)に存在するm-AST(mitochondrial AST,m-GOT)と,ミトコンドリア外の細胞質(cytosol)に存在するc-AST(cytosol AST)の2種類のアイソザイムが存在する.

  • 文献概要を表示

1.血液型とALP

 血清ALP(alkaline phosphatase)活性の基準範囲は血液型の相違で異なり,BまたはO型で分泌型グループ(出現頻度は35%程度)がそれ以外の血液型グループ(同様に65%程度)に比べ約20%高値となることが知られている.これは,両血液型グループで測定しているALPアイソザイムが異なることに起因し,BまたはO型で分泌型では,肝型,骨型,および小腸型ALPの総和が,またそれ以外の血液型では,肝型と骨型ALPの総和が,それぞれALP活性として測定されているためである(図1).そのため,ALPの単独上昇はBまたはO型で分泌型の人に起こる高小腸型ALP血症に起因する例が多い.

  • 文献概要を表示

1.血清CK-MB偽高値の原因

 クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)-MBは含有比率が最も高い心筋でも全体の25%前後以下のため(表1),血清でも理論的には同程度である.しかし,免疫阻害法でCK-MBを測定すると25%以上になることがあり,このようなとき,総CK活性に比べてCK-MB活性が高値(偽高値)と判断される.免疫阻害法では阻害抗体を反応させたのち,残存活性を2倍してCK-MB活性とするため,CK-B以外の残存活性から影響を受ける(図1).影響物質にはCK-BB,マクロCK1,ミトコンドリア(mitochondria;Mi)-CK(従来法のみ正誤差を与える)などがあり,これらが異常に増加したときCK-MBは偽高値となる.

  • 文献概要を表示

 ビリルビンが高値の場合,最初にビリルビン分画である抱合ビリルビン(直接ビリルビン)と非抱合ビリルビン(間接ビリルビン)のどちらが優位であるかを区別する.図1に高ビリルビン血症の主な疾患の分類,機序,ビリルビン分画を示した.

  • 文献概要を表示

1.LDL-C値の定義

 NCEPはLDL-C値を超遠心法とヘパリン─Mn沈殿法を組み合わせたBQ(β-Quantification)法で測定した値と定義している.BQ法ではIDLやLp(a)もLDL画分として沈殿するため,LDLに加えこれらのリポ蛋白のコレステロールも含んだ値がLDL-C値である.

  • 文献概要を表示

1.採血時の手指運動(クレンチング,ハンドグリップ)の影響

 血管が確認しにくい場合,確認を容易にするため,手を強く握ったりクレンチングを行ったりすることがある.この動作によって筋肉細胞内からカリウム(K)が放出され,静脈中のK濃度が一過性に上昇する.上昇程度は0.2~2.0mmol/Lとされ,特に1本目の採血管への影響が大きいとされる.血管を怒張させる行為としては極力避け,影響が少ない方法(温める,軽くたたく,しごくなど)を使う.また複数本の採血管がある場合は,生化学用採血管を最後にするなどの対策が有効である.

  • 文献概要を表示

1.NaとClの関係

 Na(natrium)とCl(chlorine)を無作為抽出した,ある1カ月14,373件のデータからNaとClの差を調査すると,平均値は35mmol/L,SDは1.99mmol/Lである.つまり恒常性が維持され個体間差もほとんどない.しかし,図1のようにNaとClの差が>40や<30となる変動を示し,NaとClの変動が連動していないと考えられる例も存在する.このような例は,以下のような病態が考えられる.

  • 文献概要を表示

1.補正Ca値とは何か

 補正Ca(calcium)値は,アルブミン(albumin;ALB)が基準範囲外のときに,生理的に重要なCaイオン(Ca2+)が足りないのか,足りているのかを判断するための指標である.

 日常診療ではALB値は低下することが多いため,補正Ca値は低ALB血症のときのCaの臨床的評価に使う.補正Ca値は測定して得られる値ではなく,一般的には血清中のALB値と血清中の総Ca値から以下の式を使って求めている.

  • 文献概要を表示

1.検査材料による影響

 自己血糖測定(SMBG)では,主に指先部の毛細血管から採血した毛細血管血液(≒動脈血液)で測定している.一方,検査室の全自動グルコース分析装置は,静脈血液を測定している.血糖値は採取する血液により異なり,動脈血液≒毛細血管血液>静脈血液の関係がある.

  • 文献概要を表示

1.血糖検査用採血管の仕様

 血糖検査用採血管には抗凝固剤としてEDTA-2NaとヘパリンNaが使用され,解糖阻止剤としてフッ化ナトリウム(NaF)が添加されているものが一般的に用いられている.EDTA-2Naは血液凝固反応に必要なCaイオンをキレート除去し,ヘパリンNaはトロンビンの作用を阻害することで血液が凝固することを抑える.一方,NaFは解糖系酵素のうちエノラーゼの働きを阻害して,採血管内での解糖系進行に伴うグルコース値の低下を防止する作用がある.

 この他,ヘパリンNaの代わりにクエン酸とクエン酸Naが添加された採血管も市販されている.クエン酸とクエン酸Naは,血中pHを下げ解糖系酵素全体の作用を低下させることができる.また,D-マンノース(DM)はグルコースの競合阻害剤となることから有効な解糖阻止剤として検討されている.

  • 文献概要を表示

1.わが国のHbA1cの国際標準化の流れ

 HbA1cは,1980年代より糖尿病診療において用いられている,過去1~2カ月の血糖コントロール状態を示す検査項目である.HbA1cは,米国のDCCT(Diabetes Control and Complications Trial)や本邦のKumamoto Studyなどの大規模臨床試験より,糖尿病のコントロール指標として,その地位が確立している.また,現在では糖尿病の診断基準にも用いられている.日本ではJDS(Japan Diabetes Society)値で報告されていたが,HbAlc測定系は世界的に統一されておらず,主に欧米で用いられていたNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値と測定値に相違が認められていた.このため,両者の区別がされないまま学術論文・教科書などに掲載され,臨床試験の解釈や海外赴任者の検査結果の引き継ぎなどに不都合が生じる可能性があった.このような状況の改善のために,2010年「新しい糖尿病診断基準と国際標準化HbA1cの運用について」,2012年「日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針」が日本糖尿病学会,糖尿病関連検査の標準化に関する検討委員会から発表され,本邦においても2012年4月1日よりHbA1c値の国際標準化のためにJDS値からNGSP値へと移行した.

  • 文献概要を表示

1.HbA1cとは

 成人のヘモグロビン(Hb)の約95%を占めるHbAは,βグロビン鎖とαグロビン鎖がそれぞれ2分子ずつ結合したもので,その疎水性ポケットにヘムが結合している.このβグロビン鎖のN末端のバリンにグルコースが非酵素的に結合したものがHbA1cである.赤血球の平均寿命は120日で,この間に血管内で糖と接することで糖化が起こる.Hbの糖化度は血液中のグルコース濃度と時間に依存する.このため,HbA1cは過去1~2カ月の血糖値のコントロール状況がわかる.

  • 文献概要を表示

1.糖負荷試験とは

 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は,糖尿病などの糖代謝異常を評価するための検査の1つである.ブドウ糖負荷後の血糖値,およびインスリン値の経時的変化から糖尿病の判定や糖代謝異常の評価を行う.血糖値は変動要因が多いので,患者には検査の意義を正しく理解して規定事項を順守してもらう必要がある.

  • 文献概要を表示

1.インスリンとCペプチド

 インスリンは血糖低下に働く(図1).インスリンとCペプチドは免疫学的方法で測定され,それぞれIRI,CPRと呼ばれる.インスリン自己抗体の存在は測定系に干渉し,IRIは高値となる.インスリン治療者では,IRIを測定しても内因性と外因性のインスリンの区別は難しい(内因性インスリン分泌の評価には血中や尿中Cペプチドの測定が望ましい).CPRについてはプロインスリンとその変換中間体との交差反応も知られているが,最近ではCPRのみをより特異的に測定できるようになっている.

  • 文献概要を表示

1.酵素結合性免疫グロブリンとは

 酵素活性異常が認められた場合,病態およびその原因を探るためアイソザイム分析が行われる.その際,病態を反映しない活性異常を示す例では,時としてある分画の欠損,過剰分画(extra band)の出現,移動度の異なる分画などの異常パターンが観察される.頻度的に最も高いのは酵素結合性免疫グロブリン(enzyme linked immunoglobulins)である.酵素結合性免疫グロブリンでは酵素蛋白の側に異常があるのではなく,免疫グロブリンと結合して電気泳動移動度が変化し,あたかも酵素異常のように観察されることから,酵素アノマリー1)とも呼ばれている.しかし,電気泳動分析で,ザイモグラム上観察される異常分画を全て含め酵素アノマリーと呼ばれることが多く,遺伝的変異酵素などとの鑑別が必要となる.

  • 文献概要を表示

1.栄養評価(アセスメント)

 基本的には各身体構成成分の過不足を観察することで(図1)1),広義には,フローチャートに示す内容まで求められている.

  • 文献概要を表示

1.残余検体とは 

 検査室に提出される試料(検体)には,血液や尿,髄液,胸水,腹水などの体液,また便などがあり,検査が終了したといえども残った検体は後日再検査などのために一定期間保管されるのが普通である.このような検体を“残余検体”という.

  • 文献概要を表示

1.生理的変動とは?

 臨床検査値は,生理的変動(個体間や個体内変動)と測定技術誤差により決定され,前者は臨床データの解釈が重要である1,2).個体間変動は遺伝,年齢,性別など,個体内変動は食事,運動,飲酒,体位,バイオリズムなどによる.また,長期変動は加齢,食事・飲酒・喫煙・運動習慣,性周期など,短期変動は食事の影響3,4),概日周期3,5),体位,運動,クレンチング4)などによる.

  • 文献概要を表示

1.梅毒の検査法

 従来,梅毒血清反応はカルジオリピンを抗原とするRPRカードテスト(rapid pasma reagin card-test),TPを抗原とするTPHA(treponema pallidum hemagglutination test),FTA-ABS(fluorescent treponemal antibody absorptiontest)を中心に行われてきた.現在は,操作の簡便なイムノクロマト法による簡易検査が緊急時の感染症検査として用いられ,自動分析法としてラテックス凝集免疫法や化学発光酵素免疫測定法が主流になりつつある.しかし,新規の測定法はイムノグロブリンクラスの反応性が異なるものもあるため,結果の解釈には注意が必要である.

  • 文献概要を表示

1.マイコプラズマ感染症の診断法

1)補体結合反応(CF)

 主にIgG(immunoglobulin G)抗体を検出する方法で,一般に発症後5~10日で抗体価が上昇し始める.初回測定で64倍以上,ペア血清で4倍以上の上昇を認めた場合,感染を示唆する.基準値は4倍以下である.

  • 文献概要を表示

1.測定方法の原理と特徴

1)化学発光酵素免疫測定法(chemiluminescent enzyme immunoassay;CLEIA)

 一般に,HIV1/2リコンビナント抗原および合成ペプチドとHIV-1 p24抗原を用いた全自動免疫測定装置で測定される抗原抗体スクリーニング法で,従来の抗体のみの検出法に比べウインドウ期が短縮された.

  • 文献概要を表示

1.基準範囲とカットオフ値の違い

 臨床検査データの判断には,以下の2つの方法がある.①健常者データの中央95%範囲から設定した「基準範囲」を用いて,いわゆる健常か否かを判断する方法,②非疾患群と特定の疾患群の識別,あるいは特定疾患の重症度などを判断することを目的として設定された「判断値」「識別値」を用いる方法である.カットオフ値は後者の概念で設定された値であり,多くの臨床検査項目で使われている.

  • 文献概要を表示

1.EBウイルスとは

 EBウイルスはEpstein-Barrウイルスの略で,1964年,Burkittリンパ腫(Burkitt's lymphoma)から電子顕微鏡を使って発見された.二本鎖DNAウイルスでヘルペスウイルス科ガンマヘルペスウイルス亜科に属する.

  • 文献概要を表示

1.RASTとは

 RAST(radioallergosorbent test)は血中の特異的IgE抗体測定法の略称である.採血だけでⅠ型アレルギーの感作抗原を推定できる血中特異的IgE検査は,アレルギー検査の定番として世界中で使われているが,現在はFEIAなど他法に置き換わりが進んでいる.特異的IgE濃度はUA(unit allergen)/mLという単位で表記される.

  • 文献概要を表示

1.リウマトイド因子(RF)

 リウマトイド因子(RF)は関節リウマチ(RA)の診断に欠かせないもので,感度は70~80%であるが,発症初期では50%程度しかない.RA以外の膠原病,慢性炎症性疾患,高齢者においても陽性となり,これらを対照とした特異度は低い(図1).IgGクラスRF(IgG-RF)は感度は高くないが,治療効果の判定にも用いられる.抗ガラクトース欠損IgG抗体(CARF)は感度は高く,早期RAの診断に有用である1)

  • 文献概要を表示

 抗核抗体(anti nuclear antibodies;ANA)検査は自己抗体の存在を推測するうえで重要な臨床検査の一つとして普及している.一般的な間接蛍光抗体法でのANA検査は,特定の疾患を示す指標ではなく,膠原病や自己免疫疾患の自己抗体スクリーニングテストの一つとして重要である.

  • 文献概要を表示

1.発生原因

 腫瘍マーカーの異常高値や他施設との乖離の発生原因としては,表1に示す3パターンが考えられる.

  • 文献概要を表示

1.補体は生体防御反応に関与する

 補体は主に肝臓で合成され血中に分泌される蛋白の一群であり,抗体やマクロファージなどの食細胞と共同して生体防御反応を担っている.補体が活性化される経路は,免疫複合体などに結合して活性化される経路(古典的経路,C1→C4→C3),

病原体上で補体が独自に活性化される経路(副経路,C3),および病原体に血液中のレクチンが結合することにより活性化される経路(レクチン経路,C4→C3)の存在が知られている.各経路により活性化されたC3(C3b)はC5を活性化し,以後C6~9が順次結合して膜侵襲複合体を形成し,標的を障害する(図1).

  • 文献概要を表示

1.直接抗グロブリン試験

 直接抗グロブリン試験(direct antiglobulin test;DAT)は直接Coombs試験とも呼ばれ,生体内ですでに赤血球に感作している抗体(または補体)の有無をみる検査である.抗IgG(immunoglobulin G)あるいは抗補体に対し,どちらで凝集するのかによって,意義が異なる.

  • 文献概要を表示

1.IgG4の検査法とその測定目的

 現在,IgG4測定は,専用の分析装置を用いて免疫比朧法によって測定され1),自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis;AIP)と膵癌の鑑別に用いられる.IgG4測定に関する記載は,「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」に示され,最新版の「自己免疫性膵炎臨床診断基準2011」ではガイドラインとして示されており2),IgG4の値が135mg/dL以上であれば,AIPの可能性が高いとされる.IgG4が高値を示した場合,AIPの可能性は80%程度であり,特異度も98%とされるが3),膵癌でもIgG4は上昇するので,膵癌を否定することはできない.余談ではあるが,小説「神のカルテ3(夏川早介著)」の中で,AIPを膵癌として手術したという記述がある.それだけ当時は,AIPの鑑別は難しかったものと思われる.

  • 文献概要を表示

1.Bence Jones蛋白検査の臨床的意義

 Bence Jones蛋白(BJP)は,腫瘍化した形質細胞の過剰なL鎖産生により出現する蛋白であり,BJP陽性は多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などの悪性疾患の可能性を示唆する.

  • 文献概要を表示

1.免疫電気泳動法(IEP)と免疫固定法(IFE)

 免疫電気泳動法(IEP)とは,寒天/アガロースを支持体として電気泳動し,溝に抗血清を流し込み,一定時間抗原抗体反応を行い,沈降線を観察する検査である.脱蛋白や染色をする場合は全工程およそ2日にわたる.免疫固定法(IFE)はアガロースまたはセルロースアセテート膜に電気泳動し,抗血清をそのまま反応させる.脱蛋白操作により抗原抗体反応物のみを保持し,蛋白染色によるバンドを観察する検査である.半日以内に全工程が終了する.

  • 文献概要を表示

1.MGUSとは

 形質細胞の単クローン性増殖を示す形質細胞腫瘍とその関連疾患の多くは,M蛋白と呼ばれる単クローン性の異常免疫グロブリンを産生する.IMWGが2003年に発表した診断基準では,血清M蛋白量,骨髄での形質細胞比率,臓器障害の有無,腫瘤の有無などに基づいてこれらの疾患が分類されている(フローチャート)1).このうち意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)は,①血清M蛋白が3g/dL未満,②骨髄におけるクローナルな形質細胞比率が10%未満,③他のB細胞増殖性疾患(多発性骨髄腫,マクログロブリン血症,原発性アミロイドーシス,悪性リンパ腫など)が否定されること,④臓器障害がないことと定義されている.形質細胞腫瘍とその関連疾患の中で多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などは悪性病態として,MGUSは良性,もしくはその前癌病態として捉えられている.MGUSは無症状でM蛋白以外の検査異常もほとんどないため,血清蛋白分画で偶然にM蛋白が発見されることが多く,50歳以上の3.2%,70歳以上の5.3%に認められる2)

  • 文献概要を表示

1.血液型検査

1)ABO血液型検査

 輸血を行うときは患者と供血者でABOとRho(D)血液型を適合させて輸血を行う必要がある.

  • 文献概要を表示

1.不規則抗体スクリーニング

 赤血球におけるABO血液型以外の血液型抗原に対する抗体を検出する検査である.不規則抗体は,自然に保有している場合IgM(immunoglobulin M)と輸血や妊娠で免疫され産生される場合IgG(immunoglobulin G)がありIgGが重要となる.輸血製剤を準備する前に,あらかじめ血清(血漿)中に存在する不規則抗体の有無を間接抗グロブリン試験(indirect antiglobulin test;IAT)を含む方法で検査する必要がある.また,不規則抗体が検出された場合は同定試験を実施する.

  • 文献概要を表示

 新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma;FFP)は,自記温度記録計と警報装置が付いた輸血用血液専用の冷凍庫で,-20℃以下で冷凍保存する.血漿の中には第Ⅴ因子,第Ⅷ因子など不安定な凝固因子が含まれることから,使用する分のみ冷凍庫から取り出し,適切な方法で融解後,速やか(3時間以内)に使用すること.なお,一度融解したものは,再凍結して使用することはできないので注意すること.

  • 文献概要を表示

 血液培養を提出するのは,敗血症,心内膜炎,カテーテル関連血流感染症,腎盂腎炎,肺炎などの疾患を疑ったときである.通常,血液は無菌であり,培養が陽性となった場合の臨床的意義は高く,診断・治療に直結する.そのため,正しい方法で血液培養を提出する必要がある.不適切な血液培養を行うと,汚染(コンタミネーション)との判別も困難になる.以下に,血液培養提出時のポイントについて述べる.

  • 文献概要を表示

 血液培養検査は,血流感染の起因菌を検出するうえで最も重要な検査に位置付けられており,血液からの検出菌は原則として“起因菌”と判断される.そのため,培養ボトルに血液を入れるまでの過程で外から菌が混入すると,誤った臨床判断を招き,患者に多大な負担を与えかねない.血液培養陽性時,検査室では分離菌が真の起因菌かコンタミネーションかを見極める必要がある.

  • 文献概要を表示

 嫌気性菌感染症の多くは常在菌が感染源となる内因性感染症である.したがって,検体は常在菌叢による汚染を極力避けて採取しなければならない.採取した検体は,嫌気性輸送容器や培地を使用し,速やかに検査室に提出する.嫌気性菌の分離率は,検体の選択や採取方法,採取量,輸送方法,保存方法,分離培地の選択に左右される.

  • 文献概要を表示

 夜間時間外の微生物検査は感染症を診断するためにどうしても必要であるが,培養結果は通常の病院ではすぐには行えない.したがって,正しい培養結果を得るためには適切な検体の保存,輸送の方法を守らなくてはならない.本稿では常在菌が存在する検体である尿検体,常在菌が存在しない髄液検体と分けて解説する.

  • 文献概要を表示

1.細菌性髄膜炎が疑われた場合

 髄膜炎発症後早期の髄液採取が望まれる.さらに細菌性の場合複数セットの血液培養を併用することで診断確率は上昇する.抗菌薬投与前採取が望ましいが,投与後でも髄液を液体培地に移すことで薬剤が希釈され,また寒天培地に塗抹することで抗菌薬は塗り始めの寒天に吸収され,それ以降は抗菌薬の影響を受けにくくなる.つまり原因微生物が生き残った状態で検査を開始することが重要である.有効な抗菌薬であれば,数時間でグラム染色性や形態に変化が現れ,抗菌薬効果判定の指標ともなる.

  • 文献概要を表示

1.なぜ不適当検体なのか

 痰は気管,気管支,肺胞の粘膜からの分泌物であり,炎症が起こると分泌量が増加する.下気道感染症では,気道粘膜から剥離した細胞や起因微生物などが含まれるため,微生物検査用検体として使用されている.

 しかし,痰として提出された検体のなかには,口腔内から分泌された唾液だけで,下気道からの分泌物が含まれない物もある.このような検体では起因微生物の検査が困難であることから,検査室では下気道から喀出された痰を取り直すように依頼している.

  • 文献概要を表示

 臨床材料から分離される抗酸菌は大きく結核菌群と非結核性抗酸菌に分けることができ,それらのなかにはさらに表1に示すようないくつかの抗酸菌が含まれている1).これらは抗酸菌の塗抹検査法である蛍光染色やチール・ネルゼン染色では同様な染色所見となり,区別することはできない.したがって,塗抹検査で抗酸菌陽性との報告があっても,この検査の結果のみで結核菌と同定することはできず,結核と診断することもできない.また,染色性は異なるがRhodococcusやNocardiaといった抗酸菌以外にも抗酸性を示す細菌もいるので注意が必要である.

 塗抹検査が陽性となって,それが結核菌であると鑑別するためには,検査材料から直接検出・同定できる遺伝子検査が有効である.

  • 文献概要を表示

1.interferon γ release assayについて

 結核感染の診断には従来ツベルクリン反応(以下,ツ反)が用いられた.しかしツ反はBCG接種者では陽転化するため,BCG接種を行うわが国では,結核感染の有無をツ反で判定することは困難であり,その他にも接種・判定技術の問題,非結核性抗酸菌症で陽転化するなどの問題がある.

 そこで開発されたものがIGRA(interferon γ releasing assay)である.IGRAにはQuantiFERONⓇ(クォンティフェロン:QFT,Qiagen社製,オランダ)とT-SPOTⓇ.TB(T-SPOT,Oxford Immunotec社製,英国)があり,わが国には両法ともに導入されている.IGRAの最大の利点は,BCG接種の影響をうけないことである.両者の感度・特異度には差があるが,その詳細は成書に譲り,IGRAの意義について,接触者健診,活動性結核の補助診断,結核発病ハイリスク者の評価にわけて記載する.

  • 文献概要を表示

1.感染症診断としてのグラム染色の意義

 臨床材料のグラム染色塗抹標本を観察することは,その所見から臨床における有用な情報を得ることができる(表1).グラム染色は,迅速性と信頼性が要求され,患者の治療に直結する検査の1つである1).一方で,塗抹標本の作製や染色の手技により,グラム陽性が陰性に,陰性が陽性に染色されることがあり,標本が適正に染色されているか否か,正しく判断できなければならない.

  • 文献概要を表示

1.(1→3)-β-D-グルカン

 (1→3)-β-D-グルカン(以下,β-Dグルカン)は,Pneumocystis jiroveciiを含む多くの真菌の細胞壁構成成分である.β-Dグルカンは,1995年わが国で侵襲性真菌感染症(invasive fungal infection;IFI)の検査法として開発された.測定原理としては,カブトガニの血液凝固反応において,β-DグルカンがG因子を活性化し凝固を促進させることを利用し,血中のβ-Dグルカン濃度を測定する.なお,ムコール属やクリプトコッカス属では,β-Dグルカンを含まないので上昇せず偽陰性となる1)

  • 文献概要を表示

1.アスペルギルス真菌症

 アスペルギルス症とは,糸状菌の一種であるアスペル属の胞子の吸入と体内での増殖が原因で起こる日和見感染症である.好中球減少時や免疫抑制剤治療を受けている患者は,胸痛,咳,呼吸困難など深刻な症状を引き起こす.アスペルギルス真菌症は,血液疾患領域では侵襲性肺アスペルギルス,呼吸器内科領域では肺アスペルギローマを含む慢性肺アスペルギルス症に分類される.特に侵襲性アスペルギルス症においては,重度の肺感染症として発症し,治療せずに放置すれば生命にかかわる.

 診断は,臨床所見(好中球減少,免疫抑制剤など),臨床症状(喀痰,発熱,呼吸困難など),画像診断,血清学的または真菌学的検査(検鏡,培養法など),病理組織学的診断により総合的に判断して行う.

  • 文献概要を表示

1.トキシン検出法

 臨床症状を確認し,下痢,発熱,悪心,嘔吐などがある場合は,C. difficile associated diarrhea(CDAD)として対応すべきである.下痢は軽度なものから血液を伴う重度なものまであることが報告されている.イレウスの患者以外についてはリスク因子(高齢者,長期間の入院,抗菌薬投与中など)と関連が低く,症状がない場合は無症候保菌者と考え,治療は必要ないとされている.

 糞便の迅速検査で毒素(トキシン)が陰性となる要因にトキシン検出法の問題が挙げられる.C. difficileの病原因子としてトキシンA,トキシンBが重要だが,C. difficileには両トキシン陽性株,トキシンA陰性B陽性株,両トキシン陰性株があり,前者2つがCDADに関与する.トキシン検出法のgold standardは細胞毒性試験であるが,検査室で日常検査として行うことは現実的ではない.そのため数社よりEIA法によりトキシンを検出する検査キットが発売されているものの,検出感度はおしなべて高くないため,今回の糞便検査では偽陰性が生じた可能性がある.

  • 文献概要を表示

1.尿中肺炎球菌抗原

 感染症診断については病原微生物の検出が重要であり,検鏡法,培養法が主に用いられてきたが,1983年には尿中への菌体抗原排出が報告され,その後,イムノクロマトグラフィー法で尿中肺炎球菌莢膜多糖体抗原を検出するBinaxNOWⓇ 肺炎球菌として臨床応用されるに至った.本稿ではBinaxNOWⓇ肺炎球菌について解説する.

  • 文献概要を表示

1.薬剤感受性検査に用いる抗菌薬の選択

 薬剤感受性検査の目的は,抗菌薬治療ガイドのための情報提供である.検査用抗菌薬の選択では,①in vitroでの抗菌力,②感染臓器,③治療への推奨度,④体内動態および副作用,⑤保険適用などが加味される.特に①~③は菌種や菌群で相違があり,検査薬選択の重要な因子である.以下,①と②を中心に選択のポイントを解説する.

  • 文献概要を表示

1.ベロ毒素産生検査

 ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌感染症は,3類感染症で法的に届出が必要である.しかし,この質問では,検出菌のベロ毒素について記述がない.ベロ毒素検査ができないのか,ベロ毒素の検査結果が不明なのか,判然としないため,報告を受けた担当医は,検査室に検出菌のベロ毒素産生の有無について事実確認を行い,その産生が認められた場合,直ちに保健所に届出る.

 一方,ベロ毒素産生検査ができない検査室では,至急,所轄保健所に相談する.検査室は,検出菌株を保管しておく.保健所職員が,搬送用具を持参のうえ,検出菌株を引き取りに来る.保健所あるいは地方衛生研究所では検出菌株からベロ毒素保有の確認試験を実施する.ベロ毒素検査結果が,陽性との回答を得次第,担当医は腸管出血性大腸菌感染症の届出様式に記載し,FAXなどで随時(休日,夜間にかかわらず)保健所に届出を行う.FAXした届出用紙は,正式書類として別途保健所に郵送する.医療機関によっては,担当医は届出用紙に各種該当項目を記入し,以降の諸手続きなどは担当係や事務担当者が実務を行う場合が多い.

  • 文献概要を表示

1.メチシリン耐性ブドウ球菌の検出

 Staphylococcus属はS. aureus(黄色ブドウ球菌)とcoagulase negative Staphylococcus spp.(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)に大別され,その中のメチシリン耐性菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA),メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(methicillin-resistant coagulase-negative Staphylococci;MRCNS)である.メチシリン耐性ブドウ球菌の検出方法は,①薬剤感受性検査,②ラテックス凝集法によるPBP2’(penicillin-binding protein 2’)の検出,③PCR(polymerase chain reaction)法によるmecA遺伝子の検出があるが,日常検査では薬剤感受性検査結果より判定している検査室が多い.

  • 文献概要を表示

 臨床の現場で最も頻繁に使用される抗菌薬であるペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系抗菌薬はβ-ラクタム環という立体構造を共有しているため,β-ラクタム薬と総称されている.

 細菌はβ-ラクタム系抗菌薬に対するさまざまな耐性因子を入手し,ESBL(extended-spectrum beta-lactamase),MBL(metallo beta-lactamase),AmpC(AmpC beta-lactamase),NDM-1(new Delhi metallo beta-lactamase 1)などは,β-ラクタム環を加水分解してβ-ラクタム系抗菌薬を不活化する酵素である.β-ラクタマーゼは,グラム陰性菌がもつβ-ラクタム系抗菌薬に対する主要な耐性因子として知られている.

  • 文献概要を表示

1.乳腺で必要な特殊検索

 特に乳癌の検索では,一般的なHE染色や特殊染色のほかに,診断や治療を目的に乳癌細胞を解析するため同じ材料を用い,免疫組織学的検索法(免疫染色,IHC法)によりエストロゲンレセプター(ER),プロゲステロンレセプター(PgR)やHER2蛋白,Ki-67抗原(クローンMIB-1など)や,遺伝子検索〔ISH(in situ hybridization)法など〕によりHER2遺伝子の検索が一般的に行われている.以前は凍結切片や新鮮組織も使用されていたが,現在ではIHC法における賦活法の改善などにより,ホルマリン固定,パラフィン切片からの検索が可能となった.しかし,その診断には半定量やカウントによる判定結果が求められるため(フローチャート),適切な条件でこれらの処理を行うことが必要で,将来の検索に備える意味でも重要である.

  • 文献概要を表示

1.LBC法の利点

 液状検体細胞診(Liquid-based cytology;LBC)法は採取した細胞を保存液(固定液)中に回収し,その回収率を高め,後に塗抹することで乾燥を防ぎ,サンプリングエラーによる不適正標本の減少が可能である.また,限定された範囲内に重積の少ない均等な細胞塗抹が可能となる.それにより,ガラスに採取器具で直接,細胞を塗抹する従来法で問題となっていた血液や炎症細胞の被覆による異型細胞の見落としなどのスクリーニングエラーの防止も可能である.

  • 文献概要を表示

1.皮膚悪性腫瘍の切除断端検索の臨床学的意義

 皮膚の悪性腫瘍は外から見える腫瘍であり,美容学的観点またはQOLから切除範囲は最小限にとどめなくてはならないことが多い.皮膚悪性腫瘍には大別して,上皮性(表皮,汗腺,毛包,脂腺由来)腫瘍,非上皮性(線維組織球性,筋肉性,脂肪組織性,神経性,血管・リンパ管性)腫瘍,悪性リンパ腫,悪性黒色腫などあり,日本皮膚悪性腫瘍学会は皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインを定めている.これらの腫瘍に対する治療は,外科的切除法,化学療法,放射線療法や最近では分子標的薬による治療などが,組織型やTNM分類,病期分類をもとに選択されている.特に外科的切除法では,おのおの悪性腫瘍による切除断端に関して,腫瘍表面の側方切除断端と腫瘍下部の深部断端までの距離を計測しておくことが,再発率や切除後の治療方針を考慮するうえで非常に重要となっている.

  • 文献概要を表示

1.感染症病理解剖の取り扱い

 感染症の病理解剖実施については各症例のバイオセーフティレベル(BSL)を考慮して,自施設の機器設備や感染防止マニュアルをもとに,状況に応じた判断が必要である.特に感染力と感染経路を考慮した対策の有無が重要である.

  • 文献概要を表示

1.悪性中皮腫診断における胸水細胞診の役割

 胸膜悪性中皮腫の約8割には胸水貯留が認められ,早期診断に重要な役割を果たす認識は重要である.近年,上皮型中皮腫細胞の形態学的特徴が明らかになり,肺癌や反応性中皮との相違点を見つけ出すことにより,その診断精度は向上してきている.

  • 文献概要を表示

1.尿細胞診の役割

 尿細胞診の役割は,尿中に出現する腫瘍細胞,特に頻度の高い尿路上皮癌細胞の有無や異型度を正しく診断することにある.なかでも尿路上皮内癌は,画像や内視鏡での診断が困難といわれるのに尿中には多数の癌細胞が認められることが多いので,その役割は大きい.また尿路上皮癌の治療後の経過観察や上部尿路上皮癌の診断にも用いられており,特にカテーテル尿細胞診は最終診断法としての価値が高い.一方,上部尿路上皮癌細胞の自然尿中への出現率は高く,自然尿細胞診が上部尿路上皮癌の発見の契機になることもあり,この点での役割も軽視できない.さらに,発生頻度の低い腺癌,扁平上皮癌,小細胞癌などに由来する細胞も診断が可能であり,尿細胞診は尿路の腫瘍診断のために欠かせない方法である.

  • 文献概要を表示

1.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)

 膵臓の超音波画像を体表走査より明瞭に模写することを目的に,内視鏡先端に超音波プローブを装着した超音波内視鏡が開発された.その後,病変部から的確に細胞および組織採取用に穿刺が可能な超音波内視鏡が考案され超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)として確立された.現在では,消化管周囲組織,消化管粘膜下腫瘤,腹腔や縦隔リンパ節,肝臓などにも用いられている.

  • 文献概要を表示

 乳腺細胞診では,通常パパニコロウ染色用の湿固定標本と,ギムザ染色用の乾燥標本を作製する.穿刺後できるだけ速やかに処理をすることが大切である.

 特に,湿固定標本はその手技により標本の状態が異なり,診断精度に大きく影響する.標本作製法と手技のポイントについて述べる.

  • 文献概要を表示

1.甲状腺細胞診断の報告様式

 細胞診報告様式については臓器ごとの報告様式を採用している施設もあるが,「class分類(Ⅰ~Ⅴ)」を使用している施設も多く,classⅢは良悪性の鑑別困難(indeterminate)な場合に記載される.当院の甲状腺細胞診の報告様式は,甲状腺癌取扱い規約(第6版)に準じている.この報告様式では,第1に検体の評価を適正と不適正に分類し,適正の場合は良性,鑑別困難,悪性の疑い,悪性の4区分に鑑別している.濾胞性腫瘍を疑う症例は本区分の「鑑別困難」に入り,濾胞癌を疑う場合は「悪性疑い」に入る.

 近年,話題の甲状腺細胞診ベセスダシステム1)の分類では,「濾胞性腫瘍を疑う」診断区分は「鑑別困難」とはせず,独立したものとなっているが,まだ普及の段階には至っていない.

  • 文献概要を表示

1.胃型形質を有する子宮頸部病変の病理背景

 子宮頸部で胃型形質を有する疾患として,当初はいわゆる悪性腺腫として知られるMDA(minimal deviation adenocarcinoma)が考えられていた.MDAの頻度は頸部腺癌の1.0~1.5%と極めてまれで,組織学的には細胞異型は軽度であるが,予後不良な疾患とされている.しかし,その後,MDAとの鑑別が問題となるLEGH(lobular endocervical glandular hyperplasia)の概念が提唱された1).さらに胃幽門腺形質を有するものの,その範囲が非常に狭く肉眼的には病変のわからない小さな胃型化生や,LEGHにatypiaおよびAIS(adenocarcinoma in situ)を合併する症例,さらには胃型腺癌など多彩な病変の存在が明らかとなった2)

 臨床症状としてMDAやLEGHでは著明な水溶性帯下がみられる場合もあるが,ごくわずかな帯下や,無症状な場合もある.そこで胃型形質を有する疾患が疑われる場合のスクリーニング検査としては,病理細胞診検査や子宮頸管分泌物を用いたHIK1083ラテックス凝集反応(関東化学社)が挙げられる.特に後者は,免疫組織学的に胃幽門腺型ムチン特異糖鎖に対する抗体を使用した検査であり,簡便で特異性が高い.

  • 文献概要を表示

1.腎生検の実際

 腎生検は,蛋白尿・血尿・腎機能低下など腎臓疾患の患者において,病気の予後推定や適切な治療方針を決定するために非常に重要で,不可欠な検査法の1つである.一般的に,腎生検には超音波ガイド下や透視下での経皮的腎生検と,手術室を利用した開放的腎生検とがあるが,多くの施設では前者の経皮的腎生検が行われている.

 腎生検で採取される組織片は,16Gか18Gの太さで1~2cmの長さの組織片が2本か3本である.標本に含まれる糸球体や細動脈,小動脈の数が多いほど診断精度は向上する.その限られた組織片から最大限の情報を引き出すため,採取された生検材料から糸球体を光学顕微鏡用,蛍光抗体法用,電子顕微鏡用にそれぞれ分ける必要がある.

  • 文献概要を表示

1.組織固定のための重要ポイント

(1)固定には免疫組織化学の普及により10%中性緩衝ホルマリン液を使用する.

(2)検体に対して十分な量の固定液と大きめの容器を用意する.

  • 文献概要を表示

1.プリオン病とは

 プリオン病とは,プリオン蛋白が正常型から感染性をもつ異常型に変異することにより主に中枢神経系内に蓄積し,神経機能を障害する致死性疾患で伝播性海綿状脳症(transmissible spongiform encepharopathy;TSE)ともいう.

  • 文献概要を表示

1.QT間隔

 QT間隔とは1),心室筋の脱分極から再分極までの活動電位持続時間(action potential duration;APD)の平均的な長さを表し,QRS波の始点からT波の終点までの時間として計測される.心室筋のAPDは頻脈時に短縮し,徐脈時に延長する刺激頻度依存性を有し,QT間隔は心拍数の影響を受ける.そのため,QT間隔の評価には心拍数で補正されたQTc(corrected QT)が用いられる.QTc>500msecは医師へ緊急連絡すべき検査結果である2)

  • 文献概要を表示

1.ホルター心電図

 ホルター心電図法は,1961年アメリカの物理学者のNorman Holterによって開発された.以後この検査法は,Holter心電図と呼ばれ,循環器領域で不整脈の評価法として必要不可欠となっている.その最大の利点は,長時間にわたる日常生活のなかでの心電図を記録できることである.不整脈や狭心症の診断は,症状出現時の心電図を捉えることが重要で,通常の心電図で得ることに限界がある.この点でホルター心電図は極めて有用である.

  • 文献概要を表示

1.Gaenslerの1秒率とTiffeneauの1秒率

 スパイロメトリーで行われる努力性呼出の検査は,ティフノー・テストと呼ばれることがある.これは努力性呼気曲線の解析についてTiffeneau(フランス)が最初に報告したことによるが,ほぼ同時期にGaensler(アメリカ)も同様のことを報告している.この両者には若干の違いがあり,それが1秒率の定義である.

 努力性呼出の検査において,呼出を始めてから1秒間に最大に吐き出すことのできる気量を1秒量(forced expiratory volume;FEV1)といい,1秒量が肺活量(vital capacity;VC)の何%になるかを表すのが1秒率である.この1秒率の計算にVCを使ったものをTiffeneauの1秒率,努力性肺活量(forced vital capacity;FVC)を使ったものをGaenslerの1秒率という(図1).

  • 文献概要を表示

1.なぜ最大努力が必要か

 スパイロメトリー検査には,肺活量(VC)と努力性肺活量(FVC)がある.どちらの検査も患者の十分な検査への理解と協力が不可欠である.また,検査者も検査の理解と経験(掛け声のタイミングや結果の理解)がないと,患者の最大努力を引き出し,結果を的確に判断することができない.特にFVCでは,フローボリューム曲線のパターンから気管支の状態を推測することも可能となる.したがって,検査者はできる限り少ない回数で,最大努力の結果と,疾患による異常パターン(図1a)とを判断することが重要である.

  • 文献概要を表示

1.脳波所見と脳の状態

 脳波は大脳皮質の脳神経細胞における電気活動を記録したもので,皮質下など脳深部の電気活動を直接記録することは難しい.脳深部の電気活動は,大脳表層の神経細胞活動の変化から間接的に知ることができる.また,脳波では脳の形態学的病変を知るのではなく,形態学的病変に伴う神経細胞の機能異常を推定している.したがって,脳機能異常が推定される脳波の異常局在部位と,脳梗塞部位などの形態学的病変部位とは必ずしも一致しないことを前提に,脳波所見をみる必要がある.

  • 文献概要を表示

1.神経伝導検査

 末梢神経の伝導状態を電気生理学的に評価することにより,その病態生理学的な背景を推定し,臨床診断の一助とする.具体的には,末梢神経に経皮的電気刺激を加え,目的とする神経線維を興奮させることによって神経や筋から誘発される活動電位を記録する.評価目的としては,①末梢神経障害の有無,②病態鑑別,③病変の分布状態の把握,④重症度と機能予後の推定の4点に集約される.

 疾患や病態によって多くの神経検査を行う必要があり,いわゆるルーティンの手技では成り立たないことがある.そのため,確実な解剖および神経生理学的知識や検査技術の習得などが求められる.また,電気刺激による侵襲性があるため,インフォームド・コンセントをしっかりと確認し,被検者の協力を得ることが不可欠である.したがって,神経伝導検査のオーダーは検査神経を絞り込んだ指示で,限られた時間内に検査を終了できることが理想である.

  • 文献概要を表示

1.腹部超音波検査前の食事制限

 検査目的により必ずしも食事制限は必要ない.摂食で最も影響を受けるのは,胆囊の検査である.胆摘後の患者では,特別な検査目的がなければ,4時間程度の食事制限をすれば検査は可能である.検査目的を踏まえて食事制限が必要かを考え,適切な制限を行うことが肝要である.

  • 文献概要を表示

1.左室駆出分画

 左室駆出分画(ejection fraction;EF)は,左室拡張末期容積(left ventricular end-diastolic volume;LVEDV)と左室収縮末期容積(left ventricular end-systolic volume;LVESV)から以下の式で求められる.

  • 文献概要を表示

1.フィブロスキャン

 フィブロスキャンは,肝臓の硬さを非侵襲的に測定する装置である.

  • 文献概要を表示

1.皮膚灌流圧

 皮膚灌流圧(SPP)は,皮膚微小循環の血流状態を指標とし,皮膚レベルの血流評価を目標とする非観血的検査である.検査はラジオアイソトープを用いる測定方法とレーザードプラ法を用いる測定法があるが,現在普及しているのは手軽に検査ができるレーザードプラ法である.臨床応用としては主に以下のようなものが考えられる.

  • 文献概要を表示

1.ABIとは

 ABI(ankle brachial index)は従来より末梢動脈疾患(PAD)の診断および重症度評価の指標に使用され,その算出は足関節で測定された収縮期血圧を上腕収縮期血圧(左右高いほうを用いる)で除した比でされる.血圧測定法には主にドプラ測定法とオシロメトリック法が用いられている.

1)ドプラ測定法

 カフを巻いた部位の末梢にドプラプローブを当て,ドプラ効果音を確認することで血圧を測定する.この方法では測定する部位を複数の動脈に適応することができる.

  • 文献概要を表示

1.診療報酬

 臨床検査などの保険点数は2年ごとに改定されている.保険医療機関にかかわる療養に要する費用の額は,1点の単価を10円とし,項目ごとに定められた点数を乗じて算定される.しかし,検査料の算定にはさまざまな決まりがあり,実施した臨床検査の点数を単純に足し算したものを請求できるわけではない.検査項目によっては,対象となる患者の状態などが算定要件として定められているほか,算定可能な検査の組み合わせが限定されていることに留意する必要がある.

 以下に,検体検査算定に関する診療報酬の決まりについて述べるが,これらが全てではない.臨床検査は,診療報酬の仕組みも理解したうえで,必要な検査項目を選択し,段階を踏んで,必要最小限の回数で実施しなければならない.

  • 文献概要を表示

 採血量に影響を与える諸因子を紹介する.

1.採血管準備システムの有無と機能

 採血管準備システムとは,検査オーダに必要な採血管を選択し検体番号,氏名,ID番号など必要な情報を印刷したバーコード(BC)ラベルを貼付して供給するシステムであり,採血管ごとに必要な採血量を印字できる.

  • 文献概要を表示

1.前立腺特異抗原(PSA)

 前立腺上皮細胞が産生する糖蛋白質のセリンプロテアーゼで,正常前立腺からもわずかに分泌されるが,特に進行した前立腺癌では血液中で著明に上昇することから,腫瘍マーカーとして前立腺癌診断のスクリーニング検査に用いられている.また,病態をよく反映し,診断のみならず,経過観察,予後判定に有用な指標とされている.

 質問にあるPSA値の10%/dayの変動要因を考えるために,分析上の誤差要因と患者側の測定値変動要因について解説したい.

  • 文献概要を表示

 SMBG(self monitoring of blood glucose)機器は患者自身が,血糖値自己モニタリングのために血糖値を測定する装置であり,血糖変動を把握することが主目的である.一方,POCT(point of care test)は患者の傍で医療従事者が行う検査であり,臨床検査値として病態把握の目的に使用される.

 SMBG機器とPOCT対応機器は使用目的が異なるが,どの機器も携帯性や迅速性を重視した専用設計がされている.機種により使用方法や測定原理はさまざまであり,それぞれの特性に応じた注意点が必要である.

  • 文献概要を表示

1.干渉の影響

 ビリルビンは内因性の物質であり,新生児期を除いて生理的状態では非常に微量しか存在しない.成人のアルカリアゾビリルビン法での基準値は,血清総ビリルビン濃度0.1~1.0mg/dL,血清直接ビリルビン濃度0.0~0.3mg/dLであり,血清間接ビリルビン濃度0.1~0.8mg/dLである.病的状態では,それらは上昇し,ビリルビンの分子種としては多様な物質が存在するようになる.生理的な新生児黄疸では,主体が間接ビリルビンであり,極微量の抱合ビリルビンしか存在しない.一方,成人に多い閉塞性黄疸では,主体は抱合ビリルビンの蓄積をきたすが,非酵素的にアルブミンに結合したδ-ビリルビンも存在するようになる.ビリルビンの各種臨床検査への干渉は,色調の影響と臨床検査の反応系への影響である.

  • 文献概要を表示

1.乳びとは

 “乳び(chyle)”とは脂質の代謝異常などによって血液中に中性脂肪(TG)が増加し,血清が乳白色に濁り(白濁)を呈している所見を示す.

  • 文献概要を表示

 溶血とは赤血球の破壊により,赤血球の成分が血清・血漿中に溶け出すことである.採血時や検体保存時に採血管内で溶血が起こると,血清や血漿を用いる検査において測定値に大きな影響を与える.

  • 文献概要を表示

1.基準範囲の有効利用法

 日本臨床検査標準協議会(JCCLS)基準範囲共用化委員会によって標準化された全国規模の基準範囲が提示された.共用基準範囲を利用する要件は,「全国規模で実施される外部精度管理調査において,測定値に明瞭な偏りがないことである.この点が確認された検査項目については,共用基準範囲をそのまま採用できる」とされている.

 もう少し掘り下げると,基準範囲は固体内生理的変動CViおよび個体間生理的変動CVGから合成される.仮に分析の精密さが無視できるなら,基準範囲は(CVi2+CVG21/2として計算できる.基準範囲を採用するには検査値の偏り(分析の偏りBA)はBA<1/4(CVi2+CVG21/2が望ましいとされる.この根拠は測定値に偏りのない場合,基準範囲の上下限外に5%(2.5%ずつ)はみ出すが,偏りが3/8(CVi2+CVG21/2では6.7%はみ出し,1/4(CVi2+CVG21/2では全体で5.8%となることによる.そのBAの許容誤差限界は,日本臨床化学会クオリティマネジメント専門委員会より指針が出されている.ちなみに日本臨床衛生検査技師会,医師会の外部精度管理調査の評価基準は電解質やTP,Albの一部の項目を除き指針のBAをクリアするレベルで評価されている.このことにより,基準範囲を有効利用するには,全国規模の外部精度管理において明瞭な偏りがないことである1)

  • 文献概要を表示

1.内部精度管理と外部精度評価

 臨床検査データの信頼性を保証する手段の体系がクオリティマネジメントシステム(quality management system;QMS)である.特に,施設内の測定値を管理する内部精度管理(internal quality control;IQC)と,施設間差を評価・管理する外部精度評価(external quality assessment;EQA)は,信頼性保証に不可欠な要求要件である(表1).IQCは施設内で患者データの経時的変化の観察を保証し,EQAは基準範囲や病態識別値を全国で共用可能なことを保証する1)

 EQAは,検査室の認定・認証を主とする技能試験(proficiency testing;PT),また外部精度管理などとも呼ばれる.EQAのための施設間精度調査は,外部精度管理調査(またはコントロール・サーベイ),外部精度評価スキーム(external quality assessment scheme;EQAS),外部精度保証プログラム(external quality assurance program;EQAP)などと呼ばれる.

  • 文献概要を表示

1.検体検査管理加算

 検体検査管理加算とは,院内検査を行っている病院,診療所が一定の基準を満たし検体検査管理を行うにつき十分な体制が整備されていると認められた場合に算定できる加算である.患者1人につき月1回に限り,検体検査管理加算(Ⅰ)は40点,(Ⅱ)は100点,(Ⅲ)は300点,(Ⅳ)は500点が加算される.加算(Ⅱ)~(Ⅳ)については入院中の患者に限る.DPCの病院では,加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の機能評価係数Ⅰがそれぞれ0.0010,0.0024,0.0071,0.0119である.

--------------------

あとがき 山内 一由
  • 文献概要を表示

 本増刊号は「はじめよう,検査説明」と題しました.昨年の増刊号の二番煎じのように思われる読者がいらっしゃるかもしれませんが,全く昨年号を意識せずに企画しました.期せずして,似たようなQ&A形式の特集号となってしまいましたが,よくご覧いただくと両者の違いがお分かりいただけるかと思います.昨年の増刊号が臨床検査に携わる方々へ向けたアンサーを取り上げたのに対し,本号では臨床検査を利用する医師へ向けたアンサーとして纏め上げました.説明する内容が同じだとしても,難しさが異なるのです.臨床検査を専らとしていない人に理解を得られるように説明するのは,たとえ医師といえども,臨床検査のプロを対象とする場合よりも難しくなります.これから需要が高まるであろう患者さんへの説明はさらに高度だといえましょう.難易度は,説明を受ける側がどれだけ説明の不十分さを補う能力をもち合わせているか,関連知識をもっているかに依存しており,当然,患者説明の対象が老人や子どもになれば,よりいっそう高度な説明力が必要となります.相手によって表現方法を変えなければならない,しかも,本質を損なうことなく的確に…….難しくて当然です.

 以前,子どもに「お父さんのやっている臨床検査ってどんな仕事?」と質問され返答にとても困ったことがあります.結局,子どもが理解できない専門用語で煙にまいて誤魔化してしまいました.普段学生に対して「臨床検査とは,」などと偉そうに講義していながら,全くお恥ずかしい限りです.説明する側は,対象が誰であろうとも納得させることができる確かな知識を身に付けておく必要があり,そのためには,さまざまな視点に立って自らの知識を見つめ直し,曖昧さを排除し,洗練し,凝縮しなければならないのだと痛感させられました.どんなに高度であったとしても,万人に説明できないような知識は真の知識とは呼べないのです.

基本情報

04851420.57.11.jpg
臨床検査
57巻11号 (2013年10月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

文献閲覧数ランキング(
4月5日~4月11日
)