特集 はじめよう,検査説明
病理・細胞診
10 胃型形質を有する頸管腺を指摘されましたが,臨床的にどのように扱ったらよいですか?
吉田 広美
1
,
弓納持 勉
1
,
端 晶彦
2
1山梨大学医学部附属病院病理部
2山梨大学医学部附属病院産婦人科
pp.1380-1381
発行日 2013年10月30日
Published Date 2013/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103674
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1.胃型形質を有する子宮頸部病変の病理背景
子宮頸部で胃型形質を有する疾患として,当初はいわゆる悪性腺腫として知られるMDA(minimal deviation adenocarcinoma)が考えられていた.MDAの頻度は頸部腺癌の1.0~1.5%と極めてまれで,組織学的には細胞異型は軽度であるが,予後不良な疾患とされている.しかし,その後,MDAとの鑑別が問題となるLEGH(lobular endocervical glandular hyperplasia)の概念が提唱された1).さらに胃幽門腺形質を有するものの,その範囲が非常に狭く肉眼的には病変のわからない小さな胃型化生や,LEGHにatypiaおよびAIS(adenocarcinoma in situ)を合併する症例,さらには胃型腺癌など多彩な病変の存在が明らかとなった2).
臨床症状としてMDAやLEGHでは著明な水溶性帯下がみられる場合もあるが,ごくわずかな帯下や,無症状な場合もある.そこで胃型形質を有する疾患が疑われる場合のスクリーニング検査としては,病理細胞診検査や子宮頸管分泌物を用いたHIK1083ラテックス凝集反応(関東化学社)が挙げられる.特に後者は,免疫組織学的に胃幽門腺型ムチン特異糖鎖に対する抗体を使用した検査であり,簡便で特異性が高い.
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