特集 はじめよう,検査説明
一般検査
8 乳び尿の採取,保存上の注意点,乳び尿が出る機序,検査方法について教えてください
大城 吉則
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1琉球大学大学院医学研究科泌尿器科学講座
pp.1204-1205
発行日 2013年10月30日
Published Date 2013/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103586
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1.乳び尿の出る機序
腸管で吸収された脂肪(特に中性脂肪)は,小腸吸収上皮細胞内で蛋白質と結合し,リポ蛋白質のカイロミクロンに形成される.カイロミクロンは腸管内の毛細リンパ管に取り込まれ,乳びリンパ液としてリンパ管から胸管に運ばれる1).
乳び尿症は蚊によって媒介されるバンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)が,リンパ管内に寄生することによってリンパ管炎を発症し,腹部のリンパ管の閉塞,リンパ管と腎杯・腎盂そして尿管などの尿路との瘻孔が形成され,脂肪の多い食事を摂取すると尿路に乳びリンパ液が漏れ出てくる状態のことをいう(図1)2,3).その際に,尿が白色混濁した状態を乳び尿,そして血尿を合併したときには乳び血尿という.以前,本邦では九州・南西諸島でフィラリア症の好発地域であったが,1978年以降,新規のフィラリア症の発症はなく,乳び尿症を呈するのはフィラリア症の既往がある70歳代以上の高齢者がほとんどである.
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