特集 はじめよう,検査説明
化学
11 HbA1cのNGSP値とJDS値の違いを教えてください
小野 佳一
1
,
蔵野 信
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1276-1277
発行日 2013年10月30日
Published Date 2013/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103622
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1.わが国のHbA1cの国際標準化の流れ
HbA1cは,1980年代より糖尿病診療において用いられている,過去1~2カ月の血糖コントロール状態を示す検査項目である.HbA1cは,米国のDCCT(Diabetes Control and Complications Trial)や本邦のKumamoto Studyなどの大規模臨床試験より,糖尿病のコントロール指標として,その地位が確立している.また,現在では糖尿病の診断基準にも用いられている.日本ではJDS(Japan Diabetes Society)値で報告されていたが,HbAlc測定系は世界的に統一されておらず,主に欧米で用いられていたNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値と測定値に相違が認められていた.このため,両者の区別がされないまま学術論文・教科書などに掲載され,臨床試験の解釈や海外赴任者の検査結果の引き継ぎなどに不都合が生じる可能性があった.このような状況の改善のために,2010年「新しい糖尿病診断基準と国際標準化HbA1cの運用について」,2012年「日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針」が日本糖尿病学会,糖尿病関連検査の標準化に関する検討委員会から発表され,本邦においても2012年4月1日よりHbA1c値の国際標準化のためにJDS値からNGSP値へと移行した.
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