特集 はじめよう,検査説明
一般検査
2 蓄尿方法を教えてください
木村 秀樹
1
1福井大学医学部附属病院検査部・腎臓内科
pp.1192-1193
発行日 2013年10月30日
Published Date 2013/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103580
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1.蓄尿の意義と適応
24時間蓄尿は,腎機能〔尿蛋白,クレアチニンクリアランス(Ccr)〕,食事摂取量,電解質・内分泌異常などの評価に有用である.1日尿蛋白量による腎疾患の評価では,ネフローゼ症候群は3.5g/日以上と定義され,IgA腎症では0.5g/日以上で予後不良,全身性エリテマトーデスでは0.5g/日以上で腎障害の存在が推定される.Ccrの測定は個別の糸球体濾過量の評価に用いる.腎疾患,高血圧患者では,食塩・蛋白摂取量を把握することが管理上有用であり,蓄尿のNaと尿素窒素から以下の式で推算する.1日NaCl摂取量(g/日)=1日尿中Na排泄量(mEq/L)×尿量(L)÷17;1日摂取蛋白量(g/日)=[1日尿中尿素窒素排泄量(g/日)+0.031×体重(kg)]×6.25(Maroniの計算式).急性腎障害が疑われる患者では1日尿量が重要である.また,血清KやNa値の異常例や褐色細胞腫,クッシング症候群などの内分泌疾患では,電解質や各種ホルモンの1日尿中排泄量が鑑別診断に必要となる.このように,蓄尿は臨床上有用である一方で,蓄尿器を介する院内感染の原因ともなり,必要度の低い連続蓄尿は避けるべきである.
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