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連載 眼科手術のテクニック・90
結膜筒状弁による結膜涙嚢鼻腔吻合術
Conjunctivo-dacryocystorhinostomy with tubal conjunctival flap
矢部 比呂夫
1
Hiroo Yabe
1
1東邦大学医学部第2眼科学教室
pp.800-801
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908746
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結膜涙嚢鼻腔吻合術の適応とインフォームドコンセント 50巻10号に記載した涙小管閉塞分類でGrade 3に相当する症例,つまり涙点より5ミリ以内にしかブジーを挿入することができないような,広範な涙小管閉塞の場合が手術適応となる。本来の涙小管を用いることは断念して,結膜涙湖から涙嚢—鼻腔へと涙液を排出する,新たな涙小管ともいえる涙道を造設するのが結膜涙嚢鼻腔吻合術(以下,C-DCRと略)である。従来はJonesチューブによるC-DCRが中心に行われてきたが,臨床的には決して満足できる結果は得られず,実際に施行される施設も限られていた。本稿で述べる結膜筒状弁によるC-DCRは人工材料を永久留置しないため合併症も少なく,Jonesチューブにとってかわる優れた術式と思われる。本術式を涙小管閉塞の治療法のラインアップに加えることにより,初めて3段階に分けた涙小管閉塞の程度分類(図1)のすべてに対応できることになった。
しかし,新たな涙道ができても,本来の涙小管が有する涙液排出ポンプ機能までも完全に再建することは難しく,術前のインフォームドコンセントとしては,手術が成功しても機能的には正常の5割程度の改善であり,完全な流涙の消失は望めない旨を理解してもらう必要がある。
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