臨牀透析 34巻7号 (2018年6月)

透析医療と合併症 キュア&ケアガイドブック

本扉

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序説 花房 規男

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目次

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Ⅰ 医学的背景

透析は,腎移植を受けない末期腎不全患者において,生命を維持するため必要となる.

十分な腎不全保存期の治療を行っても,腎不全症候,日常生活の活動性,栄養状態を総合的に判断し,それらが透析療法以外に回避できないときに開始される.

Ⅱ キュア

eGFR で15~30 mL/min/1.73 m2 に至った時点で患者の身体状況とライフスタイルに応じ,腎移植,腹膜透析,血液透析について療法選択の情報提供を行う.

透析が必要となる1 カ月以上前に透析アクセス確立を行い,計画的導入を行う.

GFR で15 mL/min/1.73 m2 未満に至り,保存的治療では対処できない体液貯留,電解質異常,代謝性アシドーシス,尿毒症徴候が出現するときが透析導入の適応であり,血清クレアチニン値やeGFR のみで判断すべきでない.ただし腹膜透析導入においては,残存腎機能が保たれていることが重要である.

Ⅲ ケア

保存期より継続的に腎のはたらき,腎不全の病態,腎代替療法の必要性,各腎代替療法の特性につき理解度を確認しつつ指導する.

腎機能喪失や透析導入に際する身体的変化および心理的変化を観察し,患者の受容を支援する.

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Ⅰ医学的背景

シャント狭窄の原因は,非生理的血流に伴う内膜肥厚,穿刺に伴う血管壁傷害などである.

狭窄によって生じる閉塞を防止するためには,狭窄の早期発見と適正な時期の介入が必要である.

Ⅱキュア

狭窄に対しては,経皮的血管形成術(PTA)を第一選択とする.

閉塞に対しては,血栓に対する直接治療が望ましいが,不可能な場合は,中枢での再建術を考慮する.

Ⅲケア

狭窄の早期発見が重要であるが,そのためには理学所見と定期的な超音波検査が有用である.

透析効率低下がある場合は再循環を疑い,精査する必要がある.

閉塞を予防するためには,血圧管理や適切なドライウエイトの設定が重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者は透析不足であり,小分子除去と低分子量蛋白除去の両方を考慮する.

透析後の疲労感など患者の愁訴には生命予後を左右するものがある.

Ⅱキュア

透析低血圧を起こさないよう,適切なドライウエイトを設定し,生体適合性の良い透析を行う.

症例に応じてダイアライザや血液透析濾過を使い分ける.

Ⅲケア

透析患者の愁訴に着目し,それを改善させる介入計画を立てる.

栄養状態を悪化させないようにNSTが一丸となって取り組む.

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Ⅰ医学的背景

血液透析間の過剰な体重増加は,慢性的に繰り返す体液過剰とそれに伴う心負荷の増大,血液透析中の過剰な除水とそれに伴う透析低血圧の発症を惹起し,心血管疾患の発症や心血管疾患死に関与する.

Ⅱキュア

適切な塩分制限を行うことが重要である.

除水量の検討とともに,除水方法として均等除水のみではなく,計画除水やblood volume計制御下の除水(BV―UFC)など除水モードの変更も行われる.

Ⅲケア

塩分摂取量を確認するために定期的な栄養指導は大切である.

透析低血圧の発症に注意する.

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Ⅰ医学的背景

腹膜透析は腎代替療法のなかで3%程度で,新規導入も5%程度と少ない.

患者への腎代替療法の情報提供において,腹膜透析療法の利点を考え提示することは重要である.

Ⅱキュア

導入のタイミングが重要(早期導入と晩期導入に総死亡,死亡原因,QOLの差はない).

患者背景に合わせた処方プランが重要(CAPDにするのかAPDにするのか,透析液は何を使用するか?).

Ⅲケア

感染の管理は非常に大事であり,患者への教育を常に行う.

バッグ交換の方法や出口部の観察などについても教育を行う.

記録のつけ方も教育をする必要がある.

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Ⅰ医学的背景

PDカテーテルの出口部が損傷を受けることで,バリア機能が破綻して細菌が侵入し,カテーテル感染症に進展するという発症機序を踏まえ,症例ごとに損傷の原因を同定し,これを是正することが治療の基本である.

出口部損傷の原因は,不安定なカテーテルの固定などによる機械的損傷と,消毒薬などによる化学的損傷である.

Ⅱキュア

起炎菌が判明する前の抗菌薬投与においては,頻度と重要度から,黄色ブドウ球菌と緑膿菌をカバーすることが望ましく,過去の培養結果やグラム染色の結果を参考に治療する.

有効な抗菌薬による治療を3週間継続したのにもかかわらず治癒しない際には,カテーテル抜去入れ替え術などの外科的処置を検討する.

Ⅲケア

カテーテル感染発症中は,傷ついた移行部がさらなる構造的破綻をきたさないよう,カテーテル出口部近傍を普段よりも愛護的に取り扱う必要がある.

損傷によりバリア機能が破綻した移行部から細菌が侵入するリスクを少しでも低減すべく,出口部周辺を清潔に保つケアが重要である.

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Ⅰ医学的背景

腹膜透析における腹膜炎は重要な合併症の一つであり,腹膜透析離脱の要因になる.

Ⅱキュア

腹膜炎が疑われたら,検体採取後できるだけ速やかに抗菌薬治療を開始する.

起因菌確定後は適切な抗菌薬を適切な期間使用する.

治療に抵抗する場合はPDカテーテル抜去も検討する.

Ⅲケア

カテーテル留置前や侵襲的検査の前には抗菌薬の予防投与が勧められる.

患者教育も腹膜炎予防に大きな役割を果たす.

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Ⅰ医学的背景

透析量を維持する目的は「適正透析」を得ることである.

腹膜透析における透析量は一般に週当りの尿素Kt/Vで評価する.週当りの総Kt/Vは腹膜透析と残腎機能によるKt/Vの総和である.

過去の研究から目標とする週当りの総Kt/Vは1.7となっている.

Ⅱキュア

透析量を維持するためには残腎機能の維持が重要である.

残腎機能維持を目的とした患者管理,介入について検討すべきである.

Ⅲケア

残腎機能が低下してきた場合は腹膜透析処方の検討が必要である.

腹膜透析による透析量を増やすには透析液交換回数を増やすこと,注液量を増やすことがポイントとなる.

Kt/V>1.7が維持されているにもかかわらず尿毒症症状が出現する場合は治療方法の変更を検討する.本邦では血液透析との併用療法が積極的に行われている.

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Ⅰ医学的背景

腹膜透析患者において,残腎機能の保持が生命予後に影響する.

Ⅱキュア

適正な水分バランスの設定(体重変化の許容範囲設定)が必要である.

適正な除水量・透析量の確保のため腹膜透析方法の変更を行う.

Ⅲケア

水分コントロールのために,尿量や水分摂取量の確認をする.

残腎機能の変化に合わせて対応する.

セルフケア能力が身につくような患者指導をする.

排液および尿からのNaCl排泄量の測定を行う.

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Ⅰ医学的背景

PD+HD併用療法は1990年代より本邦で導入された治療法で,2010年より保険適用となった.

現在,PD患者のおよそ2割がPD+HD療法を施行しているが,海外では一般化していない.

Ⅱキュア

残存腎機能低下による溶質除去不足や除水不足が出現したらPD+HD併用療法開始を検討する.

週2回以上のHD必要例や被囊性腹膜硬化症(EPS)のハイリスク群はPD+HD併用療法中止を検討する.

Ⅲケア

透析量不足症状の早期発見が重要である.

治療法選択や変更の際は患者との密なコミュニケーションをとることが肝要である.

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Ⅰ医学的背景

腹膜透析から血液透析への移行理由は難治性腹膜炎,体液コントロール不足,被囊性腹膜硬化症(EPS)回避などである.

Ⅱキュア

腹膜炎ではカテーテル抜去後抗菌薬を2〜3週間投与する.

移行前は適切な腹膜透析処方,イコデキストリンなどで限外濾過増加を試みる.

移行後EPS発症予防は腹膜洗浄,EPS治療はステロイド投与や外科的手術を行う.

Ⅲケア

適切な培養法,治療法を行い腹膜炎の治癒を目指すとともに,患者教育による腹膜炎発症予防を徹底する.

腹膜障害の少ないPD治療を行い限外濾過不全を防止し,飲水・塩分コントロールによる体液コントロールを行う.

腹膜障害の少ないPD治療を行い,セカンドヒットとなる因子を減らしEPSへの進展を防止する.

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Ⅰ医学的背景

EPSはまれなPD合併症で発症率も減少傾向だが,今なお医療者・患者にとってPD導入の妨げとなる重大な疾患である.

Ⅱキュア

継時的な腹膜透過性の上昇に加えて,限外濾過量や自由水移動の低下にも着目すべきである.

PD排液のバイオマーカーについては,現時点で実臨床への応用が困難である.

Ⅲケア

とくに長期PD患者では腹膜機能や腹部症状に留意し,腹膜炎の発症や遷延は回避すべきである.

患者には食塩・水分制限を励行させ,可能なかぎり中性の低濃度ブドウ糖含有透析液を用いた管理を行う.

PD離脱後の腹腔内洗浄はcontroversialだが,腎移植に伴う離脱ではEPS発症に注意が必要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の高血圧には,塩分摂取および水分摂取過多による循環血液量(体液量)の増加,renin―angiotensin―aldosterone系および交感神経系の亢進,動脈硬化による内皮依存性血管拡張障害,尿毒素,エリスロポエチンが関連する.

Ⅱキュア

適正なドライウエイト設定が重要である.

降圧薬の調整を行う.

Ⅲケア

透析間体重増加を抑えるための,塩分摂取量・水分摂取量の確認を行う.

家庭血圧を把握する.

服薬アドヒアランスの維持に努めることが重要である.

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Ⅰ医学的背景

血圧低下には血液量の減少,心機能低下,自律神経障害,動脈硬化が関連する.

Ⅱキュア

適正なドライウエイトの設定が重要.

昇圧薬内服,透析方法の変更(低温透析,高ナトリウム透析,HDFなど)が行われる.

Ⅲケア

除水量を抑えるための塩分摂取量・水分摂取量の確認を行う.

緊急を要する病態を早期発見し対応する.

起立性低血圧患者における透析後の離床時のケアも重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者では心疾患の合併が多いことから心不全の罹患率が高く,また体液過剰にもなりやすいため,うっ血性心不全のリスクが高い.

Ⅱキュア

器質的心疾患の有無の検討が重要である.

非心臓性循環不全の原因となる要素についての検討とそれに対する治療も必要となる.

うっ血性心不全を合併した透析患者に対する薬物療法の選択とDWの再設定が必要である.

IVC,ANP,クリットラインモニターを使用して循環血液量を評価する.

心エコーでのglobal longitudinal strain(GLS)を使用した早期の心不全の評価が望まれる.

組織ドップラー心エコーでのE/e’を用いた左室拡張障害の評価を行う.

Ⅲケア

1日5 gの塩分制限と中1日でDWの3%未満,中2日で5%未満になる水分摂取制限の食事指導を行う.

感染症の予防が必要となる.

栄養状態悪化を予防し改善させるような食事指導も重要である.

高齢,独居であるなど生活・食事指導の理解と実践が難しいケースにおいては多職種との連携がますます重要になる.

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Ⅰ医学的背景

非ST上昇型心筋梗塞が増加する傾向にある.

冠動脈狭窄病変とは独立して,二次的に心筋酸素需給バランスが破綻する病態で発症する心筋梗塞が高率と考えられる.

Ⅱキュア

冠動脈狭窄が主因となるType1の心筋梗塞をも逃さない.

日常診療のなかで,心筋への酸素供給,心筋の酸素需要に関わる因子を整理する.

心筋酸素需要の亢進,酸素供給の低下をそれぞれ予防する.

Ⅲケア

手術後や集中治療中,敗血症,肺水腫,うっ血性心不全といった状況も心筋酸素需給バランスが破綻をきたしやすい状況である.

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Ⅰ医学的背景

弁膜症は,初期は無症状だが増悪すると心不全症状が出現する.

大動脈弁狭窄症は異所性石灰化の部分症候である.

僧帽弁閉鎖不全には虚血性・機能的閉鎖不全がある.

Ⅱキュア

聴診による弁膜症の早期発見が重要である.

大動脈弁狭窄症はCKD―MBD管理が重要である.

維持血液透析施設と循環器専門施設との併診および連携が必要である.

Ⅲケア

栄養状態を悪化させない体重コントロールが必要である.

見て・聞いて・触って心不全症状を早期発見する.

患者のみならず家族介護者へのこころのケアも重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の死因は心血管疾患が1位であり,米国では死因の約30%が不整脈死・突然死といわれている.

透析患者は不整脈を惹起しやすい病態生理学的特徴をもつ.

Ⅱキュア

薬物療法に当たっては,血中濃度や蛋白結合率など,臨床薬理学的知識が不可欠である.

透析例の不整脈に対する薬物療法のエビデンスはほとんどない.

特殊な薬物動態や循環動態を考慮し,非薬物療法は非透析例に対する適応より広く取るべきである.

Ⅲケア

心電図やHolter心電図で不整脈を記録し,それによる脳貧血症状や低血圧など血行動態異常の有無を確認して,早めに循環器医へ相談する.

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Ⅰ医学的背景

透析患者のPADは見逃されやすく,重症化すると予後が不良なため,早期発見の取組みが非常に重要である.

Ⅱキュア

透析患者のPAD早期発見にはTBIやSPPのような末梢循環を評価する検査を積極的に行うことが必要である.

基本的治療は,抗血小板薬やリン管理を含めた薬物療法や運動療法が適切に行われることである.

重症下肢虚血(CLI)に進展した場合には血行再建治療が必要で,感染管理もしっかり行う.

Ⅲケア

禁煙は必須.自分の足に関心をもつようにし,変化がある際にはすぐ医療スタッフに申し出ることの重要性をよく理解してもらう.

適切なフットケアはCLIへの進展抑制効果を示す.

非CLIの場合は運動療法を積極的に行う.CLIの場合には創部の免荷が必要である.

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Ⅰ医学的背景

COPDは,肺癌と並ぶ喫煙による呼吸器疾患の代表である.

喫煙者の15〜20%はCOPDに移行する.

禁煙が,もっとも効果のはっきりした予防法であり,進行を抑制させる方法である.

Ⅱキュア

COPDの重症度に応じて,薬物療法・非薬物療法を行う.

禁煙はすべての重症度にわたって推奨される必須の治療であり,早期の禁煙介入がCOPD重症化を予防するもっとも大切な方法である.

Ⅲケア

透析患者では,通院中の病院・クリニックで,看護師,薬剤師,医師による禁煙勧奨を行うことが望ましい.

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Ⅰ医学的背景

胃酸が食道内に逆流して長時間停滞し,胸やけなどの臨床症状や食道粘膜傷害を生じる.

Ⅱキュア

薬物療法の第一選択はプロトンポンプ阻害薬(PPI)を中心とした酸分泌抑制薬の投与である.

上記治療に抵抗性を示す例ではPPIの増量や新規酸分泌抑制薬(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)の投与,または消化管運動改善薬や漢方製剤などの併用投与が行われている.

Ⅲケア

骨粗鬆症や肥満を予防し,脊椎変形や食道裂孔ヘルニア増悪を予防する.

食事内容やライフスタイルに関する生活指導は,GERD症状緩和に重要である.

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Ⅰ医学的背景

歯周病の主たる病因は,歯,歯肉,歯周ポケットに付着したデンタルプラーク中の歯周病原因菌と生体防御能の低下である.

歯周病は,透析患者では重症化しやすい傾向にあり,重篤な歯性感染症の原因となることから,早期の適切な治療と管理が重要である.

Ⅱキュア

歯周病の基本治療は,デンタルプラークの除去と,蓄積の予防を徹底的に行い,歯周病の病状の進行を食い止め,慢性炎症のコントロールを継続的に行うことである.

Ⅲケア

歯周病罹患者は生涯にわたって,プラークコントロールを継続する必要があり,患者自身によるセルフケアが重要となる.

定期的に歯科医師,歯科衛生士による専門的な口腔清掃やプラークコントロール,スケーリング,ルートプレーニングなどを受ける必要がある.

透析患者は時間的制約が多いので,1日1回は時間をかけたブラッシングを行うように指導する.

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Ⅰ医学的背景

透析患者においては,その特性として肝炎ウイルス感染率が一般と比較して高い.

肝硬変はその病態による症状が問題になるだけではなく,腹水貯留や血漿浸透圧の低下などから透析診療自体にも影響を与える.

Ⅱキュア

肝硬変に伴う合併症(腹水貯留,肝性脳症,肝細胞癌など)に注意しながら診療を行う.

アルブミン低下に伴う血漿浸透圧の低下や腹水貯留によりドライウエイトを密に検討する必要がある.

ウイルス性肝炎に対しては透析患者においても安全に使用できる抗ウイルス薬が開発されており,早期に治療することにより肝硬変への移行を防ぐことができる可能性がある.

Ⅲケア

肝硬変の原疾患を考慮し適切な指導を行う.

食事療法,便通コントロールなどの介入を行う.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の高齢化,水分摂取制限,カリウム吸着薬,リン吸着薬などの催便秘薬により透析患者は非常に便秘しやすい.

Ⅱキュア

ルビプロストンあるいはラクツロースなどのマグネシウム(Mg)を含まない浸透圧下剤など,便を軟化させる適切な下剤の早期からの投与が推奨される.

Ⅲケア

食物繊維・水分の摂取,運動の励行などの生活習慣の改善は透析患者では困難を伴う.

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Ⅰ医学的背景

末期腎不全患者の消化管出血の頻度は高く,重篤化することがある.

Ⅱキュア

迅速で的確な全身管理と止血が重要.

血液透析ではメシル酸ナファモスタットを使用し,適正なドライウエイトの設定と貧血や電解質異常の補正をする.

Angiodysplasiaは透析患者で頻度が高く,見逃されることがあり注意を要す.

Ⅲケア

慢性の消化管出血による貧血は腎性貧血や血液疾患による貧血と鑑別を要す.

消化管出血の早期発見と対策には,問診,身体所見,検査所見が重要.

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Ⅰ医学的背景

透析患者は脳血管障害の発症率が一般人口に比し高い.

透析患者では脳血管障害急性期の予後は不良である.

透析患者の脳血管障害急性期の治療は非透析患者と異なる場合がある.

Ⅱキュア

透析患者でも血栓溶解療法や血管内治療の適応となるため,専門施設への搬送体制の整備が必要である.

脳出血後の血腫除去術の適応に関しては脳外科医との緊密な連携が必要である.

脳血管障害発症後は頭蓋内圧亢進を避ける血液浄化療法を選択する.

Ⅲケア

透析患者の脳血管障害急性期には非透析患者同様,症状の変化の早期発見に努める.

脳血管障害予防のためのリスク管理につながる日々の減塩指導が重要である.

透析患者では心房細動例に対するワルファリン投与の是非は不明である.

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Ⅰ医学的背景

脳血管障害患者に対しては発症直後から時期に応じた一貫した流れでリハビリテーションを行うことが推奨されている.

脳血管障害の後遺症は,疼痛,転倒・骨折,摂食嚥下障害,排泄障害,認知機能障害など,患者のADL,QOLに大きく影響する.

Ⅱキュア

慢性疼痛に対して薬物療法,運動療法を行う.

転倒・骨折予防のために運動療法,骨粗鬆症に対する薬物療法などを行う.

誤嚥性肺炎・窒息事故防止のため,嚥下機能評価,摂食・嚥下訓練を行う.

Ⅲケア

慢性疼痛患者の生活,運動のモチベーションを上げることが重要.

転倒防止のための住環境整備,嚥下機能・嗜好・安全性を考慮した食品の選択,排尿・排便日誌の活用などが必要となる.

認知機能障害では,ADL改善を目的にリハビリテーションを行う.

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Ⅰ医学的背景

認知機能低下をきたす背景としては認知症によることが多い.

認知症をきたす疾患は数多くあり,各疾患により病態が異なる.

Ⅱキュア

治療薬がある疾患はアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症である.

治療薬によって根本的に治癒可能ではないので,ケアとの併用が必要である.

Ⅲケア

認知症をきたす疾患によって病態・症状が異なるので,それを正しく理解してケアすることが重要である.

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Ⅰ医学的背景

パーキンソン病を疑うポイントは安静時振戦と筋強剛,動作緩慢,姿勢反射障害の存在である.血管性パーキンソニズムでは下肢に目立つ筋強剛と幅広歩行が特徴であり安静時の振戦が目立たないことも多い.

パーキンソン病に関連する認知症としてレビー小体型認知症と認知症を伴うパーキンソン病の概念を知っておきたい.

透析患者に幻視や妄想がみられ始めたときには認知症を発症している可能性を考える.認知症専門医療機関への紹介が望ましい.

Ⅱキュア

パーキンソン病と診断あるいは疑うときには抗パーキンソン病薬のなかでレボドパ製剤とドパミン受容体刺激薬を中心とした薬物療法を開始する.

認知症を合併する患者では透析療法での安全性が担保されかつ保険適用を有するアリセプト®の使用を考える.

精神症状に対しては非定型抗精神病薬を優先して処方する.

Ⅲケア

抗パーキンソン病薬とリハビリテーションがパーキンソン病治療の2大柱である.現在の運動機能を可能なかぎり保持できるようリハビリテーションを積極的に取り入れた治療を目指す.

パーキンソン病患者は,姿勢反射障害による転倒を起こしやすい.自宅を含めた生活環境の整備が重要である.

認知症に進展している透析患者に対する看護・介護は重要である.病気を正しく理解したうえで上手な対応を心がけるようにしたい.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の4割が抑うつ症状を経験し,2割が大うつ病に罹患する.

抑うつは透析患者の苦痛,QOL低下,ノンアドヒアランス,予後悪化と関連する.

Ⅱキュア

二次性の抑うつ(尿毒症,高カルシウム血症,甲状腺疾患,向精神薬など)に対応する.

薬物療法として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やベンゾジアゼピン系抗不安薬を用いる.

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の使用は短期間,最小有効用量に留める.

Ⅲケア

支持的に接することがケアの基本であり,患者のストレスを理解し,現実的な解決方法を患者とともに考える.

精神科に紹介するタイミングは希死念慮がある,うつが重症である,躁状態が出現した場合などである.

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Ⅰ医学的背景

精神疾患には,うつ病,双極性障害,統合失調症,不安障害,アルコール依存症,パーソナリティ障害などがある.

Ⅱキュア

精神疾患に対する薬物療法は,状態に応じて,向精神薬を選択して用いる.

向精神薬の多くは,肝代謝で透析性がない.

腎不全・透析患者への向精神薬の投与は,少量から開始し,副作用を確認しながら漸増することが基本である.

Ⅲケア

支持的なかかわりと家族支援が重要である.

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Ⅰ医学的背景

睡眠障害は血液透析患者に非常に多い合併症である.

不眠症とは,不眠症状があり,日中の機能障害があるものをいう.

不眠症の原因としては,五つの因子が挙げられている.

不眠症の症状としては,入眠困難,睡眠維持困難,早朝覚醒,熟眠障害が指摘されている.

透析患者に起こりやすい不眠症状を呈する睡眠疾患には不眠症,RLS,SAS,PLMDがある.

Ⅱキュア

睡眠は日々変動するので睡眠の実態を自己申告で調査する.

RLSは問診で,SASやPLMDは終夜睡眠ポリグラフ検査で調査する.

透析患者は自覚できていないSASやPLMDを高頻度にもっている.

Ⅲケア

不眠症の多くは睡眠衛生不良が原因である.

不眠治療は入眠(入床)に適した時刻を調査,指示することから始まる.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の末梢神経障害は高頻度に合併するため的確な診断と対策を行う.

末梢神経障害は手足に及ぶが足の末梢に及ぼす影響が大きい.

末梢神経には知覚神経,運動神経,自律神経があり各神経の障害が混在する.

絞扼性神経障害が潜在することがあり専門的な診断が必要となる.

Ⅱキュア

適切な透析療法による毒素除去と代謝異常の改善で,神経障害の改善が期待できる.

透析中の運動は毒素除去に有用である.

Restless legs syndromeは透析液温度を低下させることで改善したとの報告がある.

Ⅲケア

起立での平衡障害,歩行での転倒に注意.

スキンケア(保湿,角質ケア),ネイルケアを含めたフットケアが必要である.

靴ずれ,熱傷予防対策が重要.

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Ⅰ医学的背景

レストレスレッグス症候群(RLS)には慢性腎不全による二次性RLSだけでなく,腎不全以外の二次性RLSや原発性RLSもある.

Ⅱキュア

十分な透析量を確保し,鉄欠乏やカルニチン欠乏を改善する.

薬剤による二次性RLSを排除する.

ドパミン治療を主とする薬剤治療を行う.

Ⅲケア

寝つきをよくする睡眠衛生指導を行う.

周期性四肢運動障害,こむら返りのケアを行う.

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Ⅰ医学的背景

循環血液量減少,血漿浸透圧低下,電解質濃度変化など多要因が関与.

Ⅱキュア

除水速度と除水量の調整で血圧低下を防止.

緊急時は生理食塩水の急速補液,高張液やグルコン酸Ca液の注入.

芍薬甘草湯の内服.

Ⅲケア

体重増加量の抑制,ドライウエイトの見直し(上げる).

透析液電解質濃度(Na,K,Mg)の調整.

透析中の下肢ストレッチング運動やマッサージ.

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Ⅰ医学的背景

血液透析患者の瘙痒感には腎不全や透析治療,ドライスキン,内因性オピオイドなどの因子が複合的に関与する.

Ⅱキュア

透析方法や効率・検査データ・投与中の薬剤を評価,見直しを行う.

保湿剤やステロイド外用剤を使用する.

さまざまな治療に抵抗性の場合は,選択的κオピオイド受容体作動薬を投与する.

Ⅲケア

スキンケアとともに生活指導を継続して行う.

「かくれた」「あきらめた」かゆみを発見し,早期にケアを開始することも重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の貧血の原因は,腎性貧血のみならず多岐にわたる.

貧血はQOL低下,予後不良に関わる重大な課題である.

日本透析医学会は2015年版「慢性腎臓病患者における腎性貧血のガイドライン」を策定し,腎性貧血の管理の方法を改訂した.

Ⅱキュア

鉄補充とESAを両輪として,腎性貧血の治療に当たる.

貧血治療の開始基準,目標値となる各種パラメーター(Hb値,フェリチン値,TSATなど)を念頭においた治療を行う.

Ⅲケア

透析患者の貧血の進行を,さまざまな徴候から発見する.

緊急を要する貧血の,早期発見と対応を行う.

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Ⅰ医学的背景

ESA低反応性とはESAを十分量投与しても貧血が相応に改善しない状態である.

Ⅱキュア

造血を阻害する要因を検討する.

適切なESAを選択する.

Ⅲケア

適切な鉄の管理は適切なESA投与量につながる.

ESA低反応性を示す患者の予後は悪い.

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Ⅰ医学的背景

高リン(P)血症は,透析患者の生命予後に関係する重要な問題である.

Ⅱキュア

食事内容,量の調整によるPのコントロールを行う.

透析条件の変更により,Pを下げることを試みる.

P吸着薬をうまく使用し,栄養状態を損なうことなく,Pのコントロールを行う.

Ⅲケア

患者おのおのの背景を考慮したうえで,食事指導を行うべきである.

透析によるPの低下率を確認し,必要であれば再循環が起こっていないかを確認すべきである.

内服治療に関して,患者に応じた工夫が必要である.

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Ⅰ医学的背景

二次性副甲状腺機能亢進症は,透析患者におけるもっとも重要な合併症の一つであり,骨病変や血管石灰化の原因となり,生命予後に重大な影響を及ぼす.

Ⅱキュア

日本透析医学会のガイドラインに基づき,intact PTH 60〜240 pg/mLを目標に管理する.

活性型ビタミンD製剤,カルシウム受容体作動薬(シナカルセト塩酸塩,エテルカルセチド塩酸塩)を用いて管理を行う.

内科的治療で十分な管理が得られない場合は,副甲状腺摘出術(PTx)の適応を検討する.

Ⅲケア

二次性副甲状腺機能亢進症は,骨関節痛,脆弱性骨折のみならず,貧血,免疫不全,慢性消耗状態の原因となる場合もある.

PTH値を良好に管理するためには,服薬アドヒアランスの向上が非常に重要である.

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Ⅰ医学的背景

関節石灰化には,カルシウム(Ca)・リン(P)代謝異常による異所性石灰化が関連する.

Ⅱキュア

新たな石灰化を防ぐためにCa・P代謝のコントロールを行う.

関節石灰化に伴う疼痛には消炎鎮痛薬を用いて疼痛コントロールが行われる.

予防のため食事によるコントロール,服薬によるコントロールを行う.

Ⅲケア

透析患者のCKD―MBDの管理においてはP・Ca値の異常は自覚症状に乏しく,その動機づけやアドヒアランスの向上が重要である.

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Ⅰ医学的背景

CKDは骨粗鬆症の有意なリスク因子である.

腎性骨異栄養症の疾患概念には,骨粗鬆症の要素が含まれていないことが問題である.

Ⅱキュア

CKD患者で骨粗鬆症治療薬を投与する際には,それぞれの薬剤でさまざまな注意点がある.

Ⅲケア

骨粗鬆症に対するCa摂取は,CKD患者では推奨されない.

CKD患者に対する運動療法は骨粗鬆症対策のみならず,身体活動の低下を防止し,心血管病による死亡リスクを低下させるという点で重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者における手根管症候群は透析関連アミロイドーシスの代表的な合併症である.その発症には,透析年数や透析導入時年齢,酸化ストレス,慢性炎症などが影響している.

Ⅱキュア

ガイドラインに準拠し,まず早期診断をすることが重要である.

内科的な保存的治療(疼痛管理),外科的治療が行われる.外科的治療を行った場合,病理学的証明も行う.

Ⅲケア

さらなる透析関連アミロイドーシス進行を抑制すべく,透析方法や透析膜・透析液の見直し,β2ミクログロブリン吸着カラムの使用などを検討する.

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Ⅰ医学的背景

破壊性脊椎関節症は長期透析患者に発症する透析アミロイドーシスの1疾患である.

頸椎と腰椎を中心にβ2―ミクログロブリン(β2―m)を前駆蛋白質とするアミロイドが沈着することで四肢の神経症状を呈する.

Ⅱキュア

整形外科的保存治療と手術療法が中心となる.

β2―m吸着カラムや血液透析濾過,β2―mクリアランスのよいダイアライザの使用や清浄化された透析液の使用が,β2―mを低値に保つことに有効である.

Ⅲケア

手根管症候群など他の透析アミロイドーシスを早期に診断,治療することが破壊性脊椎関節症の進展抑制に有効である.

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Ⅰ医学的背景

高カリウム(K)血症は,致死的不整脈を誘発する危険性の高い病態である.

Ⅱキュア

血液透析は高K血症を是正するもっとも有用な手段である.

しかし,洞停止や洞性徐脈やQRS幅の拡大などの心電図変化を認める場合には速やかにGI療法やグルコン酸カルシウム投与など緊急処置を開始する.

Ⅲケア

食事によるK制限と同様に便通管理は高K血症の予防に重要である.

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Ⅰ医学的背景

糖尿病性腎症は,わが国において透析導入の原疾患第1位である.

血糖コントロールを行うことは網膜症・神経症などの細小血管症の進展抑制に有意義であるのみならず,大血管症や感染症の発症抑制を介して生命予後を改善することが期待できる.

Ⅱキュア

糖尿病透析患者においては,グリコアルブミンを血糖コントロール指標とする.

糖尿病治療の原則は食事・運動療法が基本となり,これらで不十分な場合には経口血糖降下薬あるいはインスリンなどの薬物療法を追加する.

Ⅲケア

糖尿病透析患者では,血糖管理のみならず,血圧・脂質管理といった多角的強化療法が必要であり,生活習慣や食習慣の改善が重要な課題となる

腎機能が低下している場合,インスリンや経口血糖降下薬のクリアランス低下と腎での糖新生低下により,低血糖が生じやすく,また低血糖が遷延する傾向にあるため注意を要する.

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Ⅰ医学的背景

糖尿病の慢性合併症には細小血管合併症(神経障害,網膜症,腎症),大血管合併症(脳血管障害,冠動脈疾患,末梢動脈硬化症)と糖尿病足病変などがある.

糖尿病透析患者における合併症発症および進展には,高血糖,高血圧,脂質異常症などの代謝異常に加え,末期腎不全の尿毒症状態が影響を及ぼす.

Ⅱキュア

定期的な合併症検査を行うことにより,早期発見し,初期段階で治療することが重要である.

多くの薬剤は透析患者において禁忌あるいは慎重投与となっており,しばしば減量を要するため,治療薬の選択には注意を要する.

Ⅲケア

透析導入による網膜症による視力低下や足病変に伴う疼痛,切断術などによりADLはさらに低下している.

糖尿病透析患者は複数の合併症を有していることから,その治療や管理には複数の専門領域の医師および他職種間でのチーム医療体制が重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析患者の平均年齢が高くなっているため,加齢に伴う摂食量の減少により低栄養のリスクが上昇している.

高カリウム血症や高リン血症の予防のために食事の摂取を制限する指導が行われてきたが,これにより摂食量全体が減少してエネルギーやたんぱく質などほかの栄養素が不足している.

Ⅱキュア

体重や血清アルブミン値の変化により栄養状態をスクリーニングする.

食欲低下の原因となるポリファーマシーをチェックする.

Ⅲケア

保存期とは栄養管理の目的が変わったことを本人・家族に理解してもらう.また医療者も理解する.

摂食に対する罪悪感を払拭する.

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Ⅰ医学的背景

サルコペニアは約3人に1人が合併しており,合併症や生命予後のリスク因子である.

Ⅱキュア

定期的な運動習慣により身体機能や筋力を維持・向上させる.

目標のたんぱく質摂取量は1.0 g/kg標準体重/day以上とする.

Ⅲケア

定期的な口腔ケアを行う.

ゆっくり嚙んで食べる,お口の体操などで口腔機能の低下を防ぐ.

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Ⅰ医学的背景

フレイルとは,身体的,精神的そして社会的に活動が低下している状態を表す.

透析患者には特異的な病態があり,フレイルになりやすい傾向がある.

Ⅱキュア

たんぱく質とエネルギーの適切な摂取は筋肉の増強に有効である.

運動療法と栄養補給を組み合わせることにより運動機能の改善効果が見込まれる.

Ⅲケア

栄養状態の評価と指導を行う.

定期的に運動を行うよう指導する.

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Ⅰ医学的背景

透析に伴う骨関節病変は,二次性変形性関節症を引き起こす.

長期透析患者が増加,かつ高齢化し,運動器障害への対応の必要性が増加すると考えられている.

Ⅱキュア

疼痛や可動域制限,関節不安定性により日常生活動作に支障をきたしている場合,手術が考慮される.

透析患者は多くの合併症を有しており,入念な術前検査,手術計画が必要である.

合併症に対しては整形外科医だけでの対応は困難な場合が多く,内科医,透析医との緊密な連携が必要である.

Ⅲケア

適切な運動療法は,変形性関節症の症状のみならず,全身状態の改善が期待できる.

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Ⅰ医学的背景

ポリファーマシーは薬物有害事象を筆頭に多くの不利益をもたらす.

高齢透析患者は不定愁訴に加え多くの合併症を抱えており,容易にポリファーマシーに陥りやすい.

Ⅱキュア

多職種でただちに取り組むべき問題である.

認知機能の急速な低下や転倒がみられた場合は,薬物有害事象を考慮する.

減薬手順には種々のガイドラインやクライテリアが活用できるが,最終的には医療者の経験的判断に委ねられる.

Ⅲケア

高齢者特有の精神面,身体面,生活状況を考慮する.

予防的薬剤は予後を加味して継続の適否を判断する.

減薬を強制するのではなく,患者の思いを尊重し,慎重かつ丁寧に合意を形成していく.

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Ⅰ医学的背景

感染症は,死因の上位を占め,生命予後に直接的に関与する.

Ⅱキュア

肺炎と敗血症の背景因子を評価する.

エンピリック治療に際しては,耐性菌のリスクの有無を考慮する.

カテーテル・バスキュラーアクセス関連感染の感染対策を行う.

重症下肢虚血に進行する前に血管内治療や血行再建術を行う.

Ⅲケア

誤嚥性肺炎の要因を検索し,その予防を行う.

肺炎球菌ワクチンの接種を行う.

カテーテル・バスキュラーアクセス関連感染の早期発見に努める.

日頃から患者の下肢の観察(フットケア)を行う.

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Ⅰ医学的背景

透析患者は一般集団と比較してがんの発生が多い.

Ⅱキュア

わが国で多いがんだけでなく,透析患者で一般患者と比較して多いとされているがんを把握し,早期発見のための検査を行う.

後天性囊胞腎のある患者に対しては,年に1回は画像検査で腎がんの検索を行う.

Ⅲケア

長期透析患者では,とくに腎がんの危険因子である後天性囊胞の存在に留意する.

大腸がんの危険因子であるアルコール,肥満,喫煙,便秘の対策を立てる.

胃がんの危険因子であるHelicobacter pyloriの積極的な除菌を考慮する.

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Ⅰ医学的背景

透析患者も含めた腎機能の低下した患者に対する抗がん剤の毒性を軽減するための適切な投与量は不明なことが多い.

Ⅱキュア

維持透析患者に対して,シスプラチン投与後に薬物除去目的に透析療法を行うことは推奨しない.

シスプラチン投与後に透析を行っても10%程度しか除去できないばかりか,リバウンド現象が起きる.

Ⅲケア

シスプラチン投与後に透析を行った場合でもシスプラチンの蓄積には十分に注意する必要がある.

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Ⅰ医学的背景

末期がんの合併は,透析患者の終末像の一つである.

患者の苦しみを全人的苦痛と捉え,緩和医療による全人的ケアが求められる.

終末期の尊厳をいかに保つかが問われる.

Ⅱキュア

身体的苦痛への対応では,痛みが出ないように対処することが原則である.

精神的苦痛に対する対応では,時間を十分とり訴えをよく聞くことからはじめ,改善しない場合は薬物療法を考慮する.

Ⅲケア

社会的苦痛は多岐にわたることを念頭においてケアする必要がある.

スピリチュアルペインに対するケアでは,患者・家族の価値観・死生観を傾聴し,医療者も自分の意見を述べ語り合うことが重要である.

チームアプローチが不可欠である.

終末期の尊厳を守る.

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Ⅰ医学的背景

透析患者における外科手術は,透析療法や薬剤の開発進歩などにより現在では,ほぼ非透析患者と同様に安全になってきている.

Ⅱキュア

透析患者の手術として,まずは必要とされるアクセス手術がある.さらに非透析患者と同様な疾患に対しても手術が行われる.

Ⅲケア

医療施設を受診する際は当面なんらかの不安があると思われるが,受診後,手術の必要性を説明されてもその最中に不安が増す.

医療者側はさらに増したその不安を払拭する努力が必要である.

家族あるいは周辺のサポートする人への協力も必要なことがある.

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Ⅰ医学的背景

病状だけでなくさまざまな事柄が変化するなかで,安心して治療や生活が継続できるように支援する.

Ⅱキュア

継続的な治療が行えるように,医療費の面で利用できる社会保障制度の紹介や手続きの支援を行う.

Ⅲケア

入院時の情報収集・アセスメントを行い,これからの生活を患者・家族とともに考える.

住み慣れた地域で暮らすために,医療と介護の切れ目ない支援ができるように連携をはかる.

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Ⅰ医学的背景

透析患者は災害で透析治療が受けられなくなると短期間で生命に危険が生じる.

透析患者は高齢,並存疾患,活動性低下など,予備力に乏しい.

透析医療は設備や装置,水道,電気,医療資材,熟練した医療職を必要とするため,災害に対して脆弱なシステムの上に成り立っている.

Ⅱキュア

災害が起こる前の対策では,設備や装置の対策,災害対策マニュアルや事業継続計画をつくる.

発生時に災害の直接被害から身を護る.

災害発生直後から48時間の行動様式のあり方が重要.

できるだけ短時間で災害前の状況に戻すために復旧の取り組みが必要.

Ⅲケア

平時から災害時にどのようなことが起こりうるか患者の理解を得る.

災害発生時,自身の安全を守るためにどうすればよいか患者に指導する.

被災して支援透析を受ける場合,被災者を受け入れる支援透析での個別性への対応には限りがある.

被災した患者の予後を悪化させないための中長期的なケアが必要.

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Ⅰ医学的背景

透析患者は易感染性であり,院内感染のリスクが高く,透析施設における院内感染対策は重要である.

Ⅱキュア

「透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)」をもとに,施設に合わせたマニュアルを策定して遵守する.

ウイルス肝炎は,とくに院内感染に注意すべき血液媒介感染症で,直接作用型抗ウイルス薬(DAA)による治療が院内感染対策上も有効である.

HIV,インフルエンザ,結核,MRSAも透析施設で問題となる感染症であり,ガイドラインに従って対応する.

Ⅲケア

院内感染対策の基本は標準予防策であり,そのうえに感染経路別対策を立てる.

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Ⅰ医学的背景

わが国におけるhuman immunodeficiency virus(HIV)感染者数は,累計で少なくとも2万数千人以上になっており,chronic kidney disease(CKD)を合併して透析に至る患者は増加しつつある.

Ⅱキュア

HIV感染症に関する最低限の知識は得ておく必要がある.

HIV感染患者に対する血液透析(HD)時の感染予防と対策は,特別なことはほとんどなく,「透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)」に則って対応すればよい.

Ⅲケア

HIV感染HD患者は徐々に増加しているが,患者と向き合うために必要な資料や情報は充実してきたので,そうした資料や情報に基づいて対応すればHIV感染HD患者を容易に受け入れることができる.

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Ⅰ医学的背景

成長障害は,小児透析患者に特有かつ重大な合併症である.

その病因・病態には,年齢,エネルギー摂取不良,たんぱく質過剰摂取,代謝性アシドーシス,骨・ミネラル代謝異常,腎性貧血,成長ホルモン異常など,多彩な要因が関与している.

成長障害の軽減には,きめ細やかで継続的な対応が必要不可欠である.

Ⅱキュア

上記要因のうち,薬剤や透析で治療可能な,代謝性アシドーシス,高リン血症,腎性貧血などに対して治療を行い,さらにリコンビナントヒト成長ホルモン(rhGH)治療を適正に行う.

Ⅲケア

成長曲線と成長率曲線を利用して,早期に診断する.

成長率が大きい乳幼児期および思春期の患者では,成長障害に対する特別な注意が必要である.

家族や本人の日々の負担は大きいことを念頭におき,息抜きができるような配慮が必要である.

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Ⅰ医学的背景

小児末期腎不全患者の死亡リスクは同年代児に比べ30倍高い.

成人同様,心血管病変と感染症がおもな死因である.

Ⅱキュア

良好な身体発育,精神運動発達,社会性獲得をめざすには,適正透析処方と合併症の予防と治療が重要である.

Ⅲケア

QOLの向上,就学・就労支援のために患者,家族,医療者の連携が重要である.

長期療養を成功させるため,セルフケア確立支援が重要である.

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Ⅰ医学的背景

透析量の増加,時間の有効利用を目的に在宅血液透析患者が増えている.

患者自身で行う治療であるので安全管理に注意しなければならない.

Ⅱキュア

頻回透析が行われる.

適正な除水が重要である.

低リン血症をきたす場合は,透析液にリン添加が必要になる.

Ⅲケア

常時連絡できる体制が必要である.

抜針早期発見のため漏血センサは有効である.

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Ⅰ医学的背景

長時間透析は心機能を良好に維持し,生命予後も良好である.

在宅血液透析は長時間頻回透析も可能とすることができる.

Ⅱキュア

カルシウム(Ca),リン(P),カリウム(K)のコントロールは重要であり,血中濃度に注意する.透析液Ca濃度の選択に配慮すべきである.

長時間頻回透析では低P血症→骨軟化症にも注意し,時にPの補充も必要となる.

長時間透析では尿毒症物質を多く除去できるが,体に必要な物質が漏出することにも注意する.

Ⅲケア

在宅血液透析であるので,過除水による低血圧,痙攣が生じないようにする.

オーバーナイトによる長時間透析では抜針→失血をきたす医療事故は絶対に避けなければならない.万全の注意が必要である.

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Ⅰ医学的背景

長期透析では,生命に直結する合併症,QOLやADLを阻害する合併症も多い.

病態解明が不十分で適切なキュアが存在せず,ケアが中心となるものが多い.

ADL低下に伴う生活・通院上の困難など,非医療的ケアが必要な面もある.

Ⅱキュア

生命に直結する多くの合併症へのキュア→該当する各項を参照.

ただし背景病態が十分解明されず,適切なキュアが存在しないものも多い.

キュアが確立されていない合併症は,ケアが中心となることも少なくない.

Ⅲケア

キュア後の後遺症や,生命に直結しない合併症へのケアが中心となる.

多くはQOLやADLの維持・改善,さらに新規合併症の発現抑制が目標.

ADL低下に伴う生活・通院に対する社会資源の利用拡大が求められる.

索引

奥付

基本情報

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臨牀透析
34巻7号 (2018年6月)
電子版ISSN:2433-247X 印刷版ISSN:0910-5808 日本メディカルセンター

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