透析医療と合併症 キュア&ケアガイドブック
神経 CQ 29 透析患者のパーキンソン症候群に対する対策をどのように行いますか?
川畑 信也
1,2
1八千代病院神経内科
2愛知県認知症疾患医療センター
キーワード:
パーキンソン病
,
レビー小体型認知症
,
血管性パーキンソニズム
,
抗パーキンソン病薬
,
認知症
Keyword:
パーキンソン病
,
レビー小体型認知症
,
血管性パーキンソニズム
,
抗パーキンソン病薬
,
認知症
pp.800-803
発行日 2018年6月20日
Published Date 2018/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000553
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Ⅰ医学的背景
パーキンソン病を疑うポイントは安静時振戦と筋強剛,動作緩慢,姿勢反射障害の存在である.血管性パーキンソニズムでは下肢に目立つ筋強剛と幅広歩行が特徴であり安静時の振戦が目立たないことも多い.
パーキンソン病に関連する認知症としてレビー小体型認知症と認知症を伴うパーキンソン病の概念を知っておきたい.
透析患者に幻視や妄想がみられ始めたときには認知症を発症している可能性を考える.認知症専門医療機関への紹介が望ましい.
Ⅱキュア
パーキンソン病と診断あるいは疑うときには抗パーキンソン病薬のなかでレボドパ製剤とドパミン受容体刺激薬を中心とした薬物療法を開始する.
認知症を合併する患者では透析療法での安全性が担保されかつ保険適用を有するアリセプト®の使用を考える.
精神症状に対しては非定型抗精神病薬を優先して処方する.
Ⅲケア
抗パーキンソン病薬とリハビリテーションがパーキンソン病治療の2大柱である.現在の運動機能を可能なかぎり保持できるようリハビリテーションを積極的に取り入れた治療を目指す.
パーキンソン病患者は,姿勢反射障害による転倒を起こしやすい.自宅を含めた生活環境の整備が重要である.
認知症に進展している透析患者に対する看護・介護は重要である.病気を正しく理解したうえで上手な対応を心がけるようにしたい.
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