特集 透析患者の希望(ホープ)を照らす
緒言―希望とは?
柴垣 有吾
1
1聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科
pp.1147-1150
発行日 2023年9月10日
Published Date 2023/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002702
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透析の黎明期に米国で透析医療を学び,生涯,透析医・臨床医として生きた父を筆者はもつ.その尊敬すべき父が,胃がん術後に進行性の身体・認知機能低下をきたした.繰り返す誤嚥性肺炎で入院治療を受けたが,拷問のような身体抑制や絶食に耐えながら,怒りと悲しみの表情のなか,徐々に弱っていく姿をただ横で見ていた.自分が「内科教授」という一見偉そうな肩書が全く意味のないものと自覚するほどに無力であることに気づき,父がそのような辛い治療を前向きに受けるためには何が必要なのか,それが「希望」という概念に興味をもつ大きなきっかけである.本項では緒言として,透析患者の希望とは何なのかをかなりの私見であることを承知のうえで述べてみたい.
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