透析医療と合併症 キュア&ケアガイドブック
腹膜透析 CQ 6 腹膜透析(PD)カテーテル感染時の対応はどのように行いますか?
丹野 有道
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1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター腎臓・高血圧内科
キーワード:
腹膜透析
,
カテーテル感染
,
出口部感染
Keyword:
腹膜透析
,
カテーテル感染
,
出口部感染
pp.705-708
発行日 2018年6月20日
Published Date 2018/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000530
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Ⅰ医学的背景
PDカテーテルの出口部が損傷を受けることで,バリア機能が破綻して細菌が侵入し,カテーテル感染症に進展するという発症機序を踏まえ,症例ごとに損傷の原因を同定し,これを是正することが治療の基本である.
出口部損傷の原因は,不安定なカテーテルの固定などによる機械的損傷と,消毒薬などによる化学的損傷である.
Ⅱキュア
起炎菌が判明する前の抗菌薬投与においては,頻度と重要度から,黄色ブドウ球菌と緑膿菌をカバーすることが望ましく,過去の培養結果やグラム染色の結果を参考に治療する.
有効な抗菌薬による治療を3週間継続したのにもかかわらず治癒しない際には,カテーテル抜去入れ替え術などの外科的処置を検討する.
Ⅲケア
カテーテル感染発症中は,傷ついた移行部がさらなる構造的破綻をきたさないよう,カテーテル出口部近傍を普段よりも愛護的に取り扱う必要がある.
損傷によりバリア機能が破綻した移行部から細菌が侵入するリスクを少しでも低減すべく,出口部周辺を清潔に保つケアが重要である.
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