臨床放射線 63巻12号 (2018年11月)

特集 救急IVR手技詳説 with WEB動画

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IVR(interventional radiology)技術は,低侵襲治療の代表として今や一般臨床の現場に広く普及しています。装置,器具や薬剤の開発や適応拡大などにより,IVR適応となる対象や需要は増加の一途をたどるばかりです。肝細胞癌TACE(transcatheter arterial chemoembolization)などの特定の手技に精通することも大事ですが,IVR技術の実践や応用には,他臓器や関連分野の進歩など常に広い視野を持つことが不可欠です。今回は,救急IVRをする上で必要な全身の多臓器の病態への応用に関する情報のみならず,診療体制や装置・デバイスをはじめとする総合的な知識を提供することを目的として本臨時増刊号を企画しました。

総論編

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救急画像診断と救急IVR(画像下治療)からなる救急放射線は,放射線診断学において最も新しい臓器別サブスペシャリティ分野である。一刻を争う救急現場で最も信頼できるツールは画像診断であり,時代の要請により出現した領域ともいえる。そして,救急IVRは診断モダリティとしての血管造影から発展し,出血や感染などを低侵襲に制御できる治療法として定着してきた。

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「救急IVR」という言葉からイメージされる手技や診療場面は人それぞれ異なるかもしれない。目次をご覧いただいてわかるように「救急IVR」というくくりの中には様々な対象疾患が含まれている。頭頸部から体幹,四肢末梢に至るまで,外傷や非外傷,血管系や非血管系の多様な疾患・病態に対してIVRは行われている。一方で,異なる疾患でも類似した病態・類似した目的で行われる手技は,その方法や考え方について共通している部分もある。本稿では,どのような病態に対してどのような手技が行われるのかという観点から,手技の種類を図1のように分類・整理した。

IVRの診療体制 近藤 浩史
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救急IVRには,①出血に対する止血術,②虚血性疾患に対するIVR,③経皮的ドレナージ術などがある。

総論編 ●リスクマネジメント

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日本インターベンショナルラジオロジー(IVR)学会においては,我が国のIVR治療の発展と普及を目的として,その治療効果の評価を行うとともに,治療の適応や実施に際して適正な管理体制が求められている。このような背景のもと,日本IVR学会では2009年5月にガイドライン委員会を発足させ,我が国で行われているIVR治療の標準化を見据えて,実践的なガイドライン作成に着手した。日本IVR学会で作成するガイドラインの方向性は,「実地臨床において,IVR医が手技を実施するうえでの指針を提供すること」であり,各疾患ないしは臓器の基幹学会で作成するガイドラインの内容をIVR治療の実際を示すことで補完する「実践的ガイドライン」ないしは「手技のガイドライン」と位置づけられる。日本IVR学会員のベネフィットとなることを主眼とするとともに,他科の医師がIVRの施行を視野に入れる際,または実際に手技を行う場合にも参考にできることを目的としている。

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水溶性ヨード造影剤の副作用としては,アレルギー反応としての即時型の副作用と遅発性の副作用,そして,造影剤腎症が主なものとして挙げられる。緊急IVR(interventional radiology)のリスクマネジメントとしては,急速に発現するアナフィラキシーとその発症時の対応,および,造影剤腎症とその予防策が重要と考えられ,本稿ではこれらにつき各種ガイドライン1-6)からその重要点を抽出して記載する。また,陰性造影剤として使用されている二酸化炭素(CO2)は水溶性ヨード造影剤のようなアレルゲン性や腎毒性はなく,注意して使用すれば,これらヨード造影剤の副作用の回避にも有用である。造影剤としてのCO2の要点についても記載する。

放射線被曝とその防護 赤羽 正章
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患者と医療スタッフ(従事者)の被曝や防護について,疑問や誤解が生じやすい点を中心に概説する(表1)。

総論編 ●装置―各社の血管造影装置

Philips社製装置の特徴 宮山 士朗
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画像誘導下に治療を行うinterventional radiology(IVR)(画像下治療)は,救急医療の現場においても,その低侵襲性と高い成功率により,重要な役割を担っている。IVR手技の大部分は血管撮影装置を用いて施行されるため,デバイスと同様に血管撮影装置自体の性能も手技の成否に大きく影響する。本稿では我々の使用しているPhilips社製AlluraClarity FD20の特徴について概説する。

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近年,ハイブリッドOR/ER環境における血管造影装置の活用が広がり,手術に迅速に対応可能なシステムが求められている。特に,世界に先駆けて日本での導入が進んでいるハイブリッドERは,重症度の高い救急患者に対して,迅速かつ適切な医療を提供する新たな選択肢として注目を集めている(図1)。

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現在の救急医療の現場における放射線画像診断の果たす役割はいうまでもなく,超音波やCT,MRIといった機器の進歩に伴い,わずか10数年前と比較しても簡便かつ迅速に実行可能で,空間分解能,時間分解能など画像自身においても飛躍的で目覚ましいものがある。一方血管造影は,それら低侵襲な画像診断の発展ゆえに,画像診断としての役割は減少しつつあり,特に胸腹部領域においては,ほぼ役割がなくなったといっても過言ではない。

総論編 ●装置

ハイブリッドER 濱本 耕平 , 守谷 俊
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外傷をはじめとした救急診療においては,速やかな診断・治療が患者の予後を決定するため,種々の画像診断を用いた正確な診断や適切なタイミングでの治療介入が連続的に(または同時に)行われることが重要である。患者を移動させずに救急初期診療,CT撮影,緊急手術,IVRが施行可能なhybrid emergency room(ハイブリッドER)は,従来のERの課題であった患者の移動に伴う時間のロスを解決しうる画期的な救急診療室であり,2011年に大阪急性期・総合医療センターで考案・導入されて以来,全国に急激に拡大しつつある(2018年5月時点で10施設)。我々の施設では,救命救急センター開設時の2016年4月(全国4施設目)よりハイブリッドERが稼働しており,日夜,救急診療に活用している。本稿では,我々の施設での経験を基に,ハイブリッドERの概要に関して解説する。

手技詳説編

手技詳説編 ●血管IVR―頭頸部

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鼻出血や顔面出血は表在血管を出血源とし,圧迫や外科的処置で止血可能なことが多いが,ときに深部からの出血や出血源が同定困難な場合など,保存的治療では止血に難渋することもしばしばみられる。その際には経動脈的塞栓術が非常に有用であるが,治療対象となる頭頸部血管は,脳および脳神経への栄養動脈に関連する領域であり,治療には細心の注意が必要である。本稿では鼻出血・顔面出血に対する経カテーテル的塞栓術と,それに関連するデバイスや治療上の注意点を概説する。

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内頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF)は外傷性(traumatic)と非外傷性(non-traumatic)に大別され,前者は外傷に伴う血管損傷,動脈解離が原因となるのに対し,後者は海綿静脈洞部の脳動脈瘤の破裂が原因となる。いずれも海綿静脈洞部の内頸動脈の血管壁に瘻孔が生じ,海綿静脈洞にhigh flowの動静脈短絡が起こり,上眼静脈や海綿静脈洞内の圧が上昇することで,多くの場合特徴的な眼症状を呈する。眼窩周囲の血管雑音聴取,拍動性の眼球突出,眼球結膜充血がtriasとされ,この他にも外転神経麻痺,動眼神経麻痺,視力障害,頭痛などの症状もみられる。また,海綿静脈洞を介して,脳静脈への逆流をきたす場合もあり,脳実質の浮腫や悪化すれば静脈性梗塞,脳出血のリスクとなる。

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脳梗塞はラクナ梗塞,アテローム血栓性梗塞,心原性脳塞栓の臨床病型分類のうち,心原性塞栓が最も来院時の重症度が高く,機能予後も不良である1)。また我が国の高齢者の増加とともに最大の原因疾患である非弁膜症性心房細動の患者も増加し,本疾患の患者数が上昇傾向にあることは社会的にも大きな問題である。急性期脳梗塞に対する治療は,2005年のrt-PA静注療法が認可されて以来急激な発展を遂げ,血管内治療分野においては機械式血栓除去療法の発展が寄与している。機械式血栓除去は2011年以降のMerci Retriever SystemやPenumbra Systemの導入に始まり,近年ではPenumbra systemを用いたADAPT法(a direct aspiration first pass technique)の考案とその高い再灌流率2),さらには同様に高い再灌流率を報告されてきたステント型血栓回収デバイスの我が国での認可とともに,それらを使用した大規模なRCTでの有用性の報告3-6)が,本治療法を発展させるきっかけとなった。

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脳動脈瘤の破裂の頻度は年間約1%前後とされその頻度は決して高くないが,破裂した場合その予後は不良で,破裂例全体の1/3が死亡または高度障害を残し,社会復帰できる割合は1/3程度とされる。予後不良の原因としては出血に伴う脳損傷に加え,再出血,くも膜下出血後の2次的な水頭症や血管攣縮による脳梗塞などが挙げられ,再出血は破裂後早期に起こることが多く,1カ月以内に約50%が再出血するとされる。また,2次性の水頭症や血管攣縮に対する治療により,破裂動脈瘤が無処置であると再出血をきたす危険性が増加する。よって再出血の防止とくも膜下出血後の合併症を防止するために,破裂動脈瘤はできるだけ早期に治療することが望まれる。治療法としては,主に開頭クリッピングやコイルを用いた瘤内塞栓術が行われるが,2002年に報告されたヨーロッパを中心とした破裂動脈瘤に対するランダム化大規模試験(ISAT)にて,塞栓術とクリッピングいずれの治療も可能な症例においてはコイル塞栓術のほうが患者の予後が良いという結果が報告された1)。また2015年に同試験の10年後の予後も報告され,10年後の転帰もコイル群のほうが良好であるという結果であった2)。これを受けて破裂脳動脈瘤の治療に関しては,欧米ではコイル塞栓術が第一選択とされることが多い。本稿では破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術の基本手技について概説する。

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椎骨動脈解離性動脈瘤(vertebral artery dissecting aneurysm:VADA)破裂によるくも膜下出血は,再出血率が14~69%と高く1),早期に母血管閉塞,可能であれば病変部のtrappingを行うことが推奨される。外科的あるいは画像下治療(IVR)による瘤を含めた親動脈閉塞は,確立された治療法として普及しており,低侵襲性からコイルによる解離部を含めた親血管コイル塞栓術(internal trapping)が標準化し,急性期再破裂予防に効果があると報告されている2)。直達手術は後下小脳動脈(PICA)の血行再建を同時に行う必要がある場合には利点があるものの3),瘤遠位部を閉塞させることが困難で脳神経障害などを引き起こす危険性がある。このため,より早期にしかも低侵襲に行うことができるIVRによるinternal trappingを行うべきとする報告も多い2)4)。本稿では椎骨動脈解離性動脈瘤に対するIVR手技(internal trapping)の典型的な症例を提示し,その手技について詳説する。

手技詳説編 ●血管IVR―胸部

外傷性肺動脈損傷 前島 克哉
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外傷性肺動脈損傷は,気道出血による気道閉塞や呼吸不全,大量血胸を起こすため,緊急性が高く,迅速な止血術が必要である。

肋間動脈損傷 樫見 文枝
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肋間動脈損傷は血胸を呈し,循環動態に大きく影響をおよぼす出血源となりうる。従来,大量血胸,持続する血胸に対しては開胸手術がゴールドスタンダードとされてきたが,近年では画像診断やIVRの技術の進歩に伴い,より低侵襲で止血可能な経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)が用いられるようになってきた。

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胸部大動脈損傷は外傷による粉砕と加減速の組み合わせによって起こると考えられている。鈍的外傷患者の0.3%に発生し,そのうちの23%は病院到着時もしくはトリアージ中に死亡すると報告されている致死的な病態であり,早急な治療が必要となる1)2)。損傷の程度について重症度分類が提唱されており,gradeⅠは内膜損傷,gradeⅡは壁内血腫,gradeⅢは仮性動脈瘤,gradeⅣは破裂と分類されている3)。治療介入の対象をgradeⅡもしくはgradeⅢ以上にするかは議論があるが,少なくともgradeⅢ以上では治療が推奨されている4)

喀血 下平 政史
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喀血とは,肺または気管支からの出血,すなわち,気道出血のことである。原因疾患としては,気管支拡張症,非結核性抗酸菌症,陳旧性肺結核,肺アスペルギルス症,肺癌など多岐にわたる。大量喀血の場合,窒息から死に至る重篤な病態である。しかし,保存的治療,外科的治療のmortality rateは,それぞれ50~100%,17~40%と報告されており1),十分とはいえない。これに対して,動脈塞栓術は,1973年にRemyらが報告して以来2),喀血に対する第一選択の治療法と考えられている。本稿では,喀血に対する塞栓術について解説する。

急性肺血栓塞栓症 中澤 賢 , 田島 廣之
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我が国における急性肺血栓塞栓症(acute pulmonary thromboembolism:PTE)の発症頻度は2006年の報告で62例/100万人/年と報告されている1)。Nakamuraらの2015年の報告では我が国でのPTE発症頻度は10年で3倍ほどに増加しており2),interventional radiology(IVR)が行われる頻度も増えている。PTEに対するIVRは2種類に分けられる。まず,PTEの再発による重症化を防ぐinferior vena cava filter(IVCf)留置術がよく知られ,急速に普及している。もう1つは肺動脈の血栓閉塞を解除し再灌流するもので徐々に認知されつつある。本稿ではそれぞれについての概略を説明する。

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大動脈解離には様々な病態および時期が存在する。治療や管理方法はそれぞれ異なり,治療前の画像診断や臨床所見によりその種類を明確に区別する必要がある。上行大動脈に解離が及ぶStanford A型と上行大動脈に解離がないStanford B型と大別される。また解離発生2週間以内を急性期,1カ月以内を亜急性期または慢性期,1カ月以降を慢性期と呼ぶ。

大動脈瘤破裂 小川 普久
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破裂性胸部大動脈瘤に対する治療のgold standardは人工血管置換術であったが,手術手技や周術期管理の向上にもかかわらず,死亡率は20~40%と依然として高率である1)。胸部ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair:TEVAR)は,その低侵襲性から急速に普及し,特に下行大動脈瘤に対しては破裂性においてもTEVARが第一選択になりつつある2)。しかし,TEVARで確実に止血を得るためには,確実なランディングゾーンやアクセスルートの確保が必須であり,それらを意識した迅速な術前評価が重要である。

手技詳説編 ●血管IVR―腹部

肝損傷 村田 智 , 田島 廣之
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腹部鈍的外傷において肝臓・脾臓は最も傷害を受けやすい実質臓器で,その鈍的損傷は日常診療において遭遇する機会が多い。近年では外科的治療法の手技はより保存的な方向へと変化してきており,鈍的腹部外傷に伴う実質臓器損傷の70~90%1)において,非手術的治療が選択されている。

膵損傷 森本 公平
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外傷性膵損傷の頻度については様々な報告があるが,腹部外傷のおよそ3~12%程度にみられるとされている。我が国では,原因として交通事故,高所からの転落,暴行,スポーツなどによる鈍的外傷が大部分を占めており,刃物などによる穿通性損傷は1割以下である1)。損傷の機序として,腹部に外力が加わった際に後腹膜に固定された膵臓が椎体により挟まれることで損傷が生じると考えられている。また,膵臓周辺には肝や腎臓,副腎などの実質臓器のほかに,十二指腸などの管腔臓器や腸間膜も隣接しているため,膵臓のみの単独損傷はまれであり,ほとんどの症例では他臓器の合併損傷を伴っていると考えたほうがよい。

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近年,画像診断およびデバイスの発展とともに,外傷診療の止血術においてIVRは重要な役割を果たしており,腎損傷も同様である。

腸間膜損傷 一ノ瀬 嘉明
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腸間膜損傷に対するIVRの適応は限定的であり,腸管損傷の合併を否定できない状況では外科的処置を考慮するのが一般的である。したがって本稿では画像診断と適応判断に重きをおいて解説する。

骨盤骨折 丸橋 孝昭
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骨盤骨折に対するTAEは,シーツラッピングや創外固定,後腹膜ガーゼパッキングに並ぶ標準的治療の一つである。どの治療法を第一選択とするかの判断は,損傷形態はもちろん,施設ごとの特性やavailability,臨床医の習熟度なども考慮し総合的に決定すべきであるが,特に動脈性出血に対しては極めて有効であることは疑いない。そのため,外傷初期診療ガイドライン(JATECTM1)では,初期輸液に反応しないショック症例,いわゆるnon-responderの骨盤骨折では,primary surveyの中で蘇生処置の一環としてTAEが位置づけられる。また,多部位の損傷を有した多発外傷の約25%に骨盤骨折を合併している2)。これらは,骨盤骨折に対するTAEのために,我々IVR医に与えられた(期待された)時間は極めて限られていることを意味している。そこで本稿では,合併症なく,できるだけ迅速かつ確実に塞栓することに特化した方法について解説する。

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上部消化管出血はTreitz靱帯より口側からの出血で胃十二指腸潰瘍,Mallory-Weiss症候群,静脈瘤などからの出血が多く1),内視鏡的診断・治療が第一選択となる。しかし多量の活動性出血時や十二指腸水平脚からの出血では内視鏡による止血は困難なことが少なくない。その他に膵癌などの腫瘍からの出血,胆道出血,膵管出血,大動脈血管瘻など消化管壁外からの出血の場合も内視鏡治療は困難になる。これらの症例が動脈塞栓術などの画像下治療(interventional radiology:IVR)の適応となる2)。上部消化管出血に対してIVRを行うためには胃十二指腸の血管解剖に精通し,造影CT・血管造影所見から病態を把握,IVRの限界と外科手術の可能性を考慮したうえで手技を行うことが肝要である。

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下部消化管の急性動脈性出血に対する経カテーテル的動脈塞栓術は,重要な治療法の一つである。塞栓術は虚血と表裏一体であり,対象臓器によっては塞栓範囲に留意する必要がある。特に下部消化管は虚血による合併症をきたしやすく,選択的塞栓術が必須である。近年は,カテーテルやコイルなどのデバイス性能と血管造影装置の画像解像度向上に伴い,超選択的塞栓術が可能となった。下部消化管はトライツ靱帯から肛門側の小腸および大腸から構成される。これら消化管を栄養する末梢細動脈はいずれもvasa rectaであるが,両者におけるvasa rectaまでの動脈分岐形態は異なる。また,出血の原因疾患も相違がみられる場合が多い。本稿では,下部消化管出血に対する動脈塞栓術の方法を提示し,小腸と大腸の解剖および注意点を含め解説する。

腹部大動脈瘤破裂 池田 理
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腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm:AAA)の待機手術における周術期死亡が1%程度となった現在でも,破裂性腹部大動脈瘤(ruptured abdominal aortic aneurysm:rAAA)は致死率85%と非常に予後不良の病態である1)。rAAAの標準的治療は開腹手術(open surgical repair:OSR)であるが,OSRが施行されても,メタアナリシスで早期死亡率48%と高く,手術法や集中治療室の発展にもかかわらず,この40年以来rAAAに対するOSRの救命率向上は得られていない2)。待機的腎動脈以下AAAに対するステントグラフト内挿術(endovascular abdominal aortic aneurysm repair:EVAR)はOSRと比較して周術期死亡率が低いと報告されている3)4)。rAAAに対するEVARでも周術期死亡率が改善されると期待されている。

SAM(segmental arterial mediolysis) 下平 政史
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腹部内臓動脈瘤は比較的まれな疾患であり,全人口の1%程度で,剖検例では0.01~0.2%程度にみられると報告されている1)2)。発生部位の内訳は,脾動脈瘤で約60%と最多であり,次に肝動脈瘤で20%ほどである。また,上腸間膜動脈,腹腔動脈,膵十二指腸動脈,胃十二指腸動脈での発生率は数%程度であると報告されている2)。腹部内臓動脈瘤の成因は,動脈硬化性変化が多いとされているが,最近注目されている成因として,分節性動脈中膜壊死(segmental arterial mediolysis:SAM)が挙げられる。本稿では,SAMの概念,臨床的特徴,および治療について解説する。

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大動脈瘤は,破裂しない限り多くの症例で無症状である。しかし,瘤拡大が持続することで他臓器への圧排や癒着が生じた場合には,破裂以外の症状を呈することが知られている。

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1996年にKanagawaらが初めて報告したバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(balloon occluded retrograde transvenous obliteration:BRTO)1)は,胃静脈瘤に対する有効な治療法である。その後,多くの技術的な工夫が報告され,我が国における胃静脈瘤治療の第一選択肢として定着した。本稿では,胃静脈瘤に対するIVRが進歩してきた背景を経時的に振り返る。

直腸静脈瘤 丸野 美由希 , 清末 一路
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直腸静脈瘤は,門脈圧亢進症が原因となり発達する側副血行路の一つで,食道・胃静脈瘤以外の異所性静脈瘤の中では44.5%に認められる頻度の高い静脈瘤の一つである1)。破裂の危険性は0.5~5%程度2-4)で,食道・胃静脈瘤と比較し破裂の頻度は低いが,破裂した際には大量出血をきたしうる病態で,致死的となる可能性もある5)。しかしながら,その標準的治療は確立されていないのが現状で,内視鏡治療やIVR(interventional radiology),外科的治療,またそれらの集学的治療などが報告されている。内視鏡治療は破裂時の一次止血には有効な治療法であるが,サイズの大きな静脈瘤への施行は困難で,また単独では,33~55%の再発率の報告もあり6),根治的にはIVRを追加することが望ましいと考える。ただし,直腸静脈瘤は流入・流出静脈が多数存在する複雑な血行動態を呈し,IVRの手技にも確立された方法はなく,散発的な症例報告を認めるのみである。

十二指腸静脈瘤 山本 真由
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十二指腸静脈瘤の頻度は約0.4%と低いものの1),肝硬変に伴う消化管出血の原因となり,内視鏡的な止血術が容易ではないため,ときに致死的になりうる。しかし,食道胃静脈瘤の破裂に比べ,十二指腸静脈瘤破裂の頻度は低く,治療法の確立はなされておらず施設によって対処法は様々である。十二指腸静脈瘤は食道・胃静脈瘤以外の異所性静脈瘤では直腸静脈瘤に次ぎ2番目に多く,近年IVRでの報告例は増加している。また,非肝硬変症例での報告も多く,転移性肝癌や門脈閉塞・狭窄,Wilson病などでの報告がある。

後腹膜出血 森田 賢
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後腹膜出血の原因は外傷性と非外傷性があり,前者は交通事故や転落外傷,手術やカテーテル手技による医原性損傷,後者は腹部大動脈瘤破裂,腫瘍破裂,特発性出血などが含まれる1)。原因は多岐にわたるが,腹腔内出血と異なり一つのカテゴリーとして扱われることが多い。これは,後腹膜腔は腹腔と比較して,①臓器が少ない,②スペースが狭い,③出血の発見が遅れやすい,④特発性出血が多い,といった特徴があるためと考えられる。本誌では原因が明確なものは他稿に網羅されているため,本稿では特発性後腹膜出血に関して述べる。

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原発性肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)は肝表に存在するものが破裂することにより,被膜下やfree spaceである腹腔内への出血をきたす。また疾患の特性上,背景に肝機能障害を有し,一次・二次止血機序が働かず出血性ショックに至る可能性があるため,迅速なtranscatheter arterial embolization(TAE)が必要となる。本稿では手技的な工夫をはじめ一般的な知識も含めた戦略・戦術を中心に詳述する。

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急性上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)閉塞症は,SMAが塞栓,血栓などにより閉塞し,急速かつ広範な腸管壊死に至る予後不良な疾患であり,死亡率は約70%とする報告もある1)。迅速な診断と治療が必要とされる。しかしながら症状が非特異的なこともあり,診断は遅れがちとなることが多く,また治療法についても定まった見解がないのが現状である。

急性膵炎による出血 森田 賢
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膵臓からの出血は,外傷性,医原性損傷(膵液瘻),急性膵炎や慢性膵炎急性増悪後の仮性嚢胞に伴うものがある。膵炎後の液貯留は従来は仮性嚢胞と呼ばれてきたが,急性膵炎診療ガイドライン第4版によると,仮性嚢胞は慢性膵炎による膵管の破綻によるものと定義され,膵壊死や脂肪壊死による液貯留は急性期は急性壊死性貯留,4週以降の慢性期は被包化壊死(walled-off necrosis:WON)と呼ばれるようになった1)。このうち,被包化壊死は感染や出血などの発生率が高く,出血した場合は死亡率も高い。出血の形式は,嚢胞内に限局するもの,腹腔内や消化管内に穿破するもの,主膵管内や胆管内に穿破しVater乳頭より出血するもの(hemosuccus pancreaticus)があり,臨床像が異なる2)。本稿では急性膵炎後に生じる出血について述べる。

非閉塞性腸間膜虚血 ウッドハムス 玲子
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非閉塞性腸間膜虚血:non-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)は動脈に器質的閉塞を伴わないが,様々な要因により腸間膜動脈の攣縮が起こり,腸間膜動脈の血行障害をきたし,進行すると広範囲に非可逆的な腸管壊死をきたす極めて予後不良な疾患であり,1958年にEndeにより初めて報告された1)。当初NOMIの死亡率は70%から90%と報告されていたが,1977年にBoleyらによりNOMIの診断,治療に関するdecision treeが示され,塩酸パパベリンの動注療法が普及してきた結果,近年は50%前後に改善しつつある2)。しかし,この死亡率は,報告以来約50年以上経過したにもかかわらず依然として高いともいえる。これは,症状が非特異的であること,多くの患者が合併する基礎疾患のため理学的所見を得ることが困難なこと,臨床医のNOMIに対する認識不足による診断,治療の遅延が大きく影響している。

腎血管筋脂肪腫出血 作原 祐介
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腎血管筋脂肪腫(renal angiomyolipoma:腎AML)は,血管,平滑筋,脂肪が混合した腫瘤で,WHO分類では血管周囲類上皮細胞(perivascular epithelioid cell:PEC)に由来する一連の腫瘍群(PEComa family)に分類されている1)2)

腎動静脈奇形 井上 政則
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腎動静脈奇形は,外傷性(後天性)と非外傷性(先天性)に大きく分類される。前者の原因としては外傷,腎生検,腎腫瘍部分切除の頻度が高く,通常は比較的解剖がシンプルな動静脈シャントの形態をとるため,動静脈瘻のほうが正確な名称である。部分切除後では多数のシャントを伴うこともまれではない。シャントに加えて仮性動脈瘤を併発することもある。血尿をきたすことがあり,経時的にシャント血管が拡張しシャント血流量が増加するため,自然寛解しない場合にはシャント部の塞栓を行う。先天性動静脈奇形は古典的にcirsoid typeとaneurysmal typeに分類されてきた。腎動静脈奇形は,他部位の動静脈奇形と同様に,その血管構築に基づいて適切な部位での塞栓を行う必要がある。本稿では,腎動静脈奇形の血管解剖の分類と塞栓方法について概説を行う。

産科出血 我那覇 文清
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産科医療において分娩時異常出血は重大なテーマであり,特に癒着胎盤や弛緩出血を代表とする産科的危機的出血は迅速かつ適切な対応なしには救命できない。この領域で果たすIVRの役割は重要であり,有事対応システムの中で不可欠なインフラと考えられる。IVR医側としては,緊迫した状況の中で的確に手技をまっとうするには一定の技術と経験が求められる。本稿ではそうしたIVR手技,特に塞栓術についてポイントやコツを詳説する。

手技詳説編 ●血管IVR―四肢,その他

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バルーンカテーテルを用いた大動脈遮断は1950年代から報告されており1),大動脈内バルーン遮断(intra-aortic balloon occlusion:IABO)として,蘇生手段の一つとして広く認識されている。近年はresuscitative endovascular balloon occlusion of aorta(REBOA)2)として国内外を問わず注目されている。

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持続性陰茎勃起症(持続勃起症;priapism)は非常にまれな疾患であり,放射線科医が遭遇する機会もまれと思われる。本稿はこの疾患について概略を述べ,本疾患のIVRに関して自験例を交えて記述する。

急性下肢動脈閉塞症 川崎 竜太
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急性下肢動脈閉塞症の治療においては可及的速やかに閉塞血管の再開通を図ることが肝要である。Fogartyカテーテル1)による外科的血栓除去術は確立された治療であり,血栓溶解療法や吸引療法など血管内治療の有用性も報告されているものの2-4),第一選択の治療であることには変わりはない5)。したがって急性下肢動脈閉塞症の血管内治療の適応となる症例は限られているが,手技そのものは他領域の血栓塞栓症治療に応用できる重要な手技の一つである。

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血管内異物は多くの場合医原性であり,原因は自分のこともあれば他者によることもあるが,その除去はほとんどのIVR医にとって大なり小なり経験せざるをえない手技である。しかしながらまとまった臨床研究は少なく,case seriesやcase reportsを基にしたreview1)やmanual2)からの知見を基に当院で経験した手法をお示ししたい。

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神経線維腫症1型(neurofibromatosis type 1:NF1)はレックリングハウゼン病ともいわれ,カフェオレ斑や神経線維腫を主徴とする常染色体性優性遺伝疾患である。有病率は3千分の1,我が国での患者数は約4万人とされ1),その他,骨病変,眼病変,皮膚病変,脳脊髄腫瘍,消化管間質腫瘍,悪性末梢神経鞘腫瘍,学習障害,注意欠陥多動症など多彩な臨床症状を呈するが,まれに血管脆弱性を背景とした血管破綻による大量出血をきたすことがある。血管病変を合併したNF1の発症率は0.4~6.4%とされており2),しばしば致死的となりうる。

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経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)は肝細胞癌や腎血管筋脂肪腫を代表とする腫瘍性病変,動静脈奇形や動脈瘤などの血管病変に待機的に施行されるほか,外傷や危機的産科出血,内視鏡にて止血困難な消化管出血などの動脈性出血に対しても幅広く施行されている。昨今のデバイス・技術発展により血管内治療の適応はさらに広がり,手技の複雑化・長期化がみられる中で患者および術者のX線被曝の観点から手技時間の短縮を心がけることは重要である。また,緊急IVR(interventional radiology)においては全身状態が不良な症例が多く,救命のために速やかな治療が求められる。

手技詳説編 ●非血管IVR―胸部

心嚢ドレナージ 船曳 知弘
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「心嚢液が貯留している=心タンポナーデ」ではない。(血性)心嚢液がどれだけ貯留していても,心臓の拡張障害をきたしていなければ,心タンポナーデとはいえない。心臓の拡張障害をきたしている場合は,心房に灌流する血液が減少し,十分な駆出を得ることができないために循環障害をきたす。この状態が心タンポナーデである。心タンポナーデをきたしているならば,心嚢液を除去もしくは減少させる(心嚢ドレナージ)ことで,心臓への灌流が改善し,心拍出量を確保することができる。しかしながら,(血性)心嚢液がどのような原因で貯留したかを考えて,単にたまったものをドレナージするのではなく,その後の対応を考えておかなければならない。

膿胸ドレナージ 上原 浩文
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膿胸とは,胸腔内に貯留した液体が,肉眼的に膿性または膿様性になったものであり,胸水細菌培養陰性例も膿胸と定義される。発症期間3カ月未満の急性膿胸と3カ月以上の慢性膿胸,膿胸腔の広がりからの全膿胸と部分膿胸,肺実質との交通の有無からの有瘻性膿胸と無瘻性膿胸,結核との関与からの結核性膿胸と非結核性膿胸という分類がある。本稿では,日常臨床において胸腔ドレナージを施行する機会が多い膿胸の病態とドレナージに関して概説する。

気管・気管支狭窄 菅原 俊祐
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気管・気管支狭窄に対する代表的なインターベンションは,狭窄部を拡張させるための気管ステント留置術であるが,その他にも高周波治療,アルゴンプラズマ凝固,高出力レーザーなどがある1-4)。しかし,気管支内視鏡とそれに付随するデバイスの発達により,これらの多くは気管支内視鏡補助下に気管支内視鏡医によって留置されているのが現状であり,実際にIVR医が施行する機会があるのは一部の症例に限った気管ステント留置術のみであろうと考えられる。

降下性壊死性縦隔炎 荒井 保典
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降下性壊死性縦隔炎は歯科手術後や咽頭炎など頸部の膿瘍が頸部間隙から縦隔に波及するもので,縦隔炎の中ではまれながら特に重篤な経過をたどる疾患であり,迅速な診断と早期からの集学的な治療が大きく予後を左右する。

手技詳説編 ●非血管IVR―腹部

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急性胆嚢炎や胆管炎に対しては,重症度に応じて絶食,抗生剤治療やドレナージ・手術などを組み合わせて治療を行う1)。その中でも,ドレナージにおいてはIVR技術を用いることで低侵襲かつ有効な処置を行うことが可能となる2)3)

閉塞性黄疸 中塚 誠之
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本稿では,閉塞性黄疸に対するUSガイド下胆管ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)の安全な実施方法,合併症を解説する。なお,下部胆管を原因とする閉塞性黄疸では胆嚢ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD)も有効であるが,他稿を参照されたい。

経皮的膵嚢胞ドレナージ 山本 真由
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2012年に改訂アトランタ分類が発刊され,膵炎後の液体貯留はinterstitial edematous pancreatitis:IEPとnecrotizing pancreatitisに分類された。この中でドレナージの適応がある液体貯留として4週間以降の膵仮性嚢胞と,膵壊死に伴う感染性の急性壊死性貯留(acute necrotic collection:ANC)および被包化壊死(walled-off necrosis:WON)が分類された。

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膵仮性嚢胞(pancreatic pseudocyst:PPC)は,「膵内あるいは膵周囲に形成された中空の構造で,壁に囲まれた内腔に,膵液,粘液,血液などの内容物を容れたもの(膵嚢胞)をさすが,嚢胞壁内腔面に上皮細胞を認めないものを仮性嚢胞と呼ぶ」と定義される1)。急性膵炎および慢性膵炎の合併症として発症するが,その発症背景は少し異なる。

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輸入脚閉塞はBillrothⅡ法を用いた胃切除術後の合併症として知られているが,Roux-en-Y法での再建後や,Whipple法・Child法再建を用いた膵頭十二指腸切除術後などでも起こりうる。原因としては吻合部狭窄や癒着,再発腫瘍などがあり,再発腫瘍の症例では全身状態が不良であることも影響し,外科的治療の対象とはなり得ないことが多い1)。輸入脚閉塞は消化管内圧の上昇から胆管炎や膵炎に至ることもあり早期の治療が望まれるが,消化管再建術後であり内視鏡的アプローチが困難な症例では,IVR手技による経皮的治療が必要となる。本稿では,経皮的アプローチによる輸入脚閉塞に対するドレナージ術および金属ステント留置術について解説する。

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腹部骨盤領域の膿瘍は,主に消化器・肝胆膵領域の手術後や下部消化管の炎症疾患の合併症として日常診療でしばしば遭遇する疾患である。治療開始が遅延すると敗血症などの重篤な病態に進展し,致死率は45~100%に至るとされている1)。IVR手技を用いた画像ガイド下の経皮的穿刺ドレナージ術は,開腹による膿瘍ドレナージよりも低侵襲であり,近年では第一選択の治療として重要な役割を担っている2)。しかし各施設では,IVR医だけでなく,外科や内科などの専門臓器別に,各科でも日常のように行われている医療行為であり,現場の医師の判断のもと独自の手法で施行されることも多い。よって,時として予想外の合併症を招くリスクも多く潜んでいる。IVR医は救急現場においても,画像を理解したうえで,経皮的穿刺ドレナージ術の適応や安全で正確な技術を修得することに加えて,治療効果や注意すべき合併症,そして術後のチューブ管理に関する知識なども必要であり,各施設の指導的立場として患者の救命のために迅速,かつ正確な判断と技術が要求される。

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非血管系IVRの中でも尿路のインターベンションを施行しているIVR医は少ないかと思われるが,複雑な症例ではIVRのテクニックを用いることで良好なアウトカムを得られる領域でもある。その尿路系IVRについて基本的な事柄について概説する。尿路系IVRに限ったことではないが,緊急で対応が必要とされる状況において,適応について迅速に判断するとともに,バイタルサインをはじめとした全身状態の安定を得られてから,あるいは安定を図りながら処置に臨む必要がある。また処置そのものについては,IVRとしての完成度を高めるよりも臨床的な及第点を速やかに得られるように処置を行う必要がある。

手技詳説編 ●非血管IVR―画像ガイド下穿刺

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CTガイド下に針を穿刺して行うIVRには,生検,ドレナージ,ラジオ波治療,マイクロ波治療,凍結治療,術前マーカー留置など多数ある。針の穿刺のみで行えるため低侵襲であり,またCT画像を見ながら最短距離で病変に到達できるため短時間で済むといった利点がある。今後予想される患者のさらなる超高齢化やアブレーションの適応拡大を考慮すると,臨床的ニーズはますます高まるだろう。

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超音波は多方向からリアルタイムに高解像度の画像を得られるとともに,患者への侵襲が少なく放射線被曝もないため,安全・簡便な検査法としてスクリーニングから精密診断にまで幅広く応用されている。超音波を利用した穿刺は従来からPTCDやラジオ波焼灼術,腫瘍生検,膿瘍ドレナージなど非血管系のIVRで幅広く用いられており,近年では中心静脈穿刺から鼠径リンパ節穿刺によるリンパ管造影まで様々な領域に応用されている。

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CTのもつ詳細な解剖学的情報を,もっと便利に,より直感的に透視下手技に活かせる形にできないだろうか。そのような思いで開発したのが本稿でご紹介する仮想透視画像である。ray summation法を用いて透視に類似した仮想透視画像の上にパスや空間の広がりを描き,この画像を用いて透視下手技の術前計画・術中支援を行う。この方法をPPP(preprocedural planning)1)またはVFPP(virtual fluoroscopic preprocedural planning)2)と呼んでいる。仮想透視画像とはどのようなものか,実際の画像を見ていただいたほうがイメージしやすいと思われ,具体的な画像を提示しながら解説していく。

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目次

2019年臨時増刊号予告

奥付

基本情報

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臨床放射線
63巻12号 (2018年11月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0009-9252 金原出版

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