特集 救急IVR手技詳説 with WEB動画
手技詳説編
●血管IVR―頭頸部
破裂脳動脈瘤の塞栓術
清末 一路
1
,
井手 里美
2
1大分大学医学部附属病院 放射線部
2大分大学医学部 放射線医学講座
キーワード:
cerebral aneurysm
,
embolization
,
coil
Keyword:
cerebral aneurysm
,
embolization
,
coil
pp.1368-1377
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000649
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脳動脈瘤の破裂の頻度は年間約1%前後とされその頻度は決して高くないが,破裂した場合その予後は不良で,破裂例全体の1/3が死亡または高度障害を残し,社会復帰できる割合は1/3程度とされる。予後不良の原因としては出血に伴う脳損傷に加え,再出血,くも膜下出血後の2次的な水頭症や血管攣縮による脳梗塞などが挙げられ,再出血は破裂後早期に起こることが多く,1カ月以内に約50%が再出血するとされる。また,2次性の水頭症や血管攣縮に対する治療により,破裂動脈瘤が無処置であると再出血をきたす危険性が増加する。よって再出血の防止とくも膜下出血後の合併症を防止するために,破裂動脈瘤はできるだけ早期に治療することが望まれる。治療法としては,主に開頭クリッピングやコイルを用いた瘤内塞栓術が行われるが,2002年に報告されたヨーロッパを中心とした破裂動脈瘤に対するランダム化大規模試験(ISAT)にて,塞栓術とクリッピングいずれの治療も可能な症例においてはコイル塞栓術のほうが患者の予後が良いという結果が報告された1)。また2015年に同試験の10年後の予後も報告され,10年後の転帰もコイル群のほうが良好であるという結果であった2)。これを受けて破裂脳動脈瘤の治療に関しては,欧米ではコイル塞栓術が第一選択とされることが多い。本稿では破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術の基本手技について概説する。
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