小児内科 51巻10号 (2019年10月発行)

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特集　境界領域の診療

耳鼻咽喉科的疾患　難聴守本　倫子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1361-1364

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＜Key Points＞(1)難聴があると言語発達遅滞や構音障害につながる。(2)新生児聴覚スクリーニングにより難聴が早期発見され、早期介入につながることが重要である。(3)補聴器や人工内耳を装用しても、聴力正常の児と同じように聞こえるわけではないため、教室内など学習のための環境調整が必要である。(4)コミュニケーション力を高めるために、難聴については長期的な評価と介入が必要である。

耳鼻咽喉科的疾患　耳垢土橋　奈々 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1365-1368

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＜Key Points＞(1)耳垢には外耳道保護作用があるため、必ずしも除去しなければならないものではないが、難聴、耳痛や鼓膜評価が必要なときなどには除去する。(2)耳垢除去には頭部の固定が不可欠であることから抑制による苦痛を伴いやすく、児への声かけが重要である。(3)家庭での耳掃除は外耳道入口部に移動してきたもののみ綿棒で除去し、耳かき棒は使わない。

耳鼻咽喉科的疾患　中耳炎小森　学 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1369-1372

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＜Key Points＞(1)中耳炎は大きく分けて急性、滲出性、慢性、真珠腫性の4つが存在する。(2)正確な鼓膜所見をとることが診断の第一歩となる。(3)必要に応じて外科的治療を行える専門医への紹介が重要となる。

耳鼻咽喉科的疾患　耳内異物、鼻腔異物勝沼　紗矢香 , 大津　雅秀 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1373-1376

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＜Key Points＞(1)耳内(外耳道)異物、鼻腔異物のほとんどが視診で診断できる。診断には最低限の器具を要する。(2)緊急性の判断が重要である(ボタン型電池、鼻腔内の2個以上の磁石は緊急性が高い)。(3)異物摘出には、苦痛や恐怖が伴わない、組織損傷の可能性が低い、一度で確実に摘出できる方法を採用する。

耳鼻咽喉科的疾患　鼻出血橋本　亜矢子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1377-1381

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＜Key Points＞(1)小児ではキーゼルバッハ部位の少し前方、皮膚粘膜移行部付近の怒張した血管から出血することが多い。(2)止血には安静、圧迫が大切である。(3)外来で簡便に可能な止血法として鼻つまみ法、母指圧迫止血法、パッキング法がある。(4)止血困難な場合、皮下出血、紫斑が多発している際には基礎疾患の存在を疑って精査する。

耳鼻咽喉科的疾患　副鼻腔炎藤井　可絵 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1383-1387

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＜Key Points＞(1)薬剤耐性菌の増加に伴い、鼻汁細菌培養検査は副鼻腔炎に対する抗菌薬の選択のために有用である。(2)小児の副鼻腔炎の多くは、鼻汁吸引や保存的加療が有効な場合が多い。(3)難治例や後鼻孔ポリープを認める慢性副鼻腔炎例では、保存的治療で改善がみられない場合、10歳未満でも手術を選択する場合がある。

耳鼻咽喉科的疾患　小児アレルギー性鼻炎佐藤　梨里子 , 工　穣 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1388-1392

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＜Key Points＞(1)小児アレルギー性鼻炎は、通年性、季節性どちらも10歳代までに急増している。(2)治療には、保護者とのコミュニケーションを重視しながら薬物療法、免疫療法が有効である。(3)舌下免疫療法は、従来の皮下法に比べて安全性は高いと考えられ、今後の小児への効果に期待できる。

耳鼻咽喉科的疾患　反復性扁桃炎･PFAPA症候群原　真理子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1393-1395

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＜Key Points＞(1)反復性扁桃炎では、まずは保存療法が推奨される、頻度や重症度が高い場合には口蓋扁桃摘出術を検討する。(2)PFAPA症候群は、扁桃炎を随伴する周期性発熱疾患であり、治療法として口蓋扁桃摘出術の有効率が高い。

耳鼻咽喉科的疾患　咽後膿瘍･深頸部膿瘍吉冨　愛 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1396-1400

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＜Key Points＞(1)保存的治療で経過をみる場合や、十分な排膿が得られなかった場合には、48時間以内に再評価し、改善がなければ切開排膿を行うべきである。(2)急激な呼吸状態の悪化に注意が必要である。(3)川崎病との鑑別が必要である。(4)切開排膿すべきか迷う症例、気道狭窄がある症例は、排膿されない可能性も説明したうえで、穿刺･切開を行ったほうがよい。

耳鼻咽喉科的疾患　喉頭軟化症廣瀬　正幸 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1401-1404

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＜Key Points＞(1)乳児の喘鳴の原因としてもっとも多い疾患である。(2)声門上構造が吸気時に喉頭内腔に虚脱する所見が得られれば診断は容易であるが、過剰診断、過少診断が多いので注意が必要である。(3)通常は経過観察のみで軽快するが、まれに体重増加不良、哺乳障害がある場合などは手術の適応になる。(4)気道合併症がない場合は声門上形成術が有効であるが、国内で行っている施設は少なく注意が必要である。

耳鼻咽喉科的疾患　気道異物樋口　昌孝 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1405-1409

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＜Key Points＞(1)気道異物は疑うことが大切である。(2)異物が｢ない｣と診断することは非常に難しい。(3)下気道異物の症状には、いろいろなパターンがある。(4)異物吸引早期に、CTなどの診断のため鎮静薬を使用した場合、急速に呼吸状態の悪化や無気肺をきたすことがある。(5)窒息状態でなければ、無理な摘出を試みず、摘出できる施設にまずは連絡する。(6)異物が起きないよう啓発することが大切である。

耳鼻咽喉科的疾患　閉塞性睡眠時無呼吸症候群山口　宗太 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1410-1413

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＜Key Points＞(1)小児OSASの第一選択はアデノイド切除･口蓋扁桃摘出術である。(2)小児OSASに対してステロイド点鼻薬、抗ロイコトリエン薬の有効性が報告されている。(3)顎顔面の発育、成長、発達の面から考えると6歳以下での手術が望ましく、低年齢であっても手術は先延ばししないことが重要である。

耳鼻咽喉科的疾患　摂食嚥下障害益田　慎 , 守本　倫子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1414-1417

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＜Key Points＞(1)発音の異常や空気嚥下症など、一見すると摂食嚥下とは無関係な症状から摂食嚥下障害が見つかることがある。(2)嚥下は延髄を中心とした反射運動だが、摂食は大脳も含めた複雑な神経機構がかかわっている。ちょっとした中枢神経の障害で容易に摂食嚥下障害はひき起こされる。(3)さまざまな職種が、時に病院という枠をこえてチームを形成し機能しなければ、摂食嚥下障害の治療や(リ)ハビリテーションは成立しない。

眼科的疾患　鼻涙管閉塞とその類縁疾患　小児の流涙と眼脂野村　耕治 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1419-1422

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＜Key Points＞(1)乳児期の流涙は先天鼻涙管閉塞が原因であることが多い。通常、自然消褪または涙嚢マッサージで解消する。(2)結膜炎では流涙に膿性眼脂を伴い、結膜の強い充血や偽膜形成などの急性期症状がみられる。(3)睫毛内反症(逆さまつげ)による角膜および結膜の刺激症状としても流涙、眼脂がみられる。(4)既存の治療に反応せず、流涙、眼脂などの症状が遷延する場合、緑内障や眼内炎など重篤な眼疾患の可能性もある。

眼科的疾患　睫毛内反横山　連 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1423-1425

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＜Key Points＞(1)睫毛内反は眼瞼贅皮が主因で、両側の下眼瞼に生じる。(2)その大多数は2～3歳までに自然治癒する。(3)強度乱視を生じて屈折異常弱視をきたすことがある。(4)角膜穿孔をきたして失明する可能性も少ないながら存在する。

眼科的疾患　弱視、屈折異常横井　匡 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1426-1429

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＜Key Points＞(1)視力が測定できない乳幼児においては、視診、角膜反射法、嫌悪反応の観察、red reflex test、遮蔽試験が弱視の検出に重要である。(2)形態覚遮断弱視、斜視弱視は重篤で早急な眼科的診察が必要である。(3)弱視治療は、屈折異常が伴うときには眼鏡装用を行い、これに抵抗してどちらか一方の視力が悪い場合には健眼遮蔽を行う。(4)近年、弱視治療効果は15歳前後まで続くと考えられてきている。(5)治療後に矯正視力が低下する例があり、注意を要する。(6)機能弱視のなかに、重篤な器質疾患が含まれる可能性を常に念頭におく。

眼科的疾患　斜視神部　友香 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1430-1433

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＜Key Points＞(1)子どもの斜視における問題点は、整容面よりもまず両眼視機能や視力の発達を妨げることにある。また、重大な器質疾患に斜視を合併していることがある。(2)ペンライトや固視目標を用いた眼位、眼球運動の評価を行い、併せて固視の状態も確認する。検影器の併用は斜視と器質疾患の検出に有用である。

眼科的疾患　アレルギー性結膜炎三村　達哉 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1434-1440

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＜Key Points＞(1)小児ではアトピー性結膜炎や春季カタルなどの重症化する症例がある。(2)重症化した症例では、免疫抑制点眼薬やステロイド点眼薬を用いる。(3)小児ではステロイド点眼薬により眼圧が上昇する可能性がある。

眼科的疾患　流行性角結膜炎石岡　みさき 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1441-1443

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＜Key Points＞(1)流行性角結膜炎は感染性の強い結膜炎である。(2)確定診断がつきにくいことがある。(3)時に重症化し、視力に影響の出ることがある。(4)乳幼児の場合角膜混濁が弱視の原因となることがあり注意を要する。

眼科的疾患　小児ぶどう膜炎金　学海 , 大野　重昭 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1444-1447

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＜Key Points＞(1)小児は病状の訴えが乏しいため、ぶどう膜炎の発見は遅れがちで、予後が不良である。(2)小児ぶどう膜炎は全身の炎症疾患に伴っていることが多く、眼所見は多彩である。(3)全身性炎症疾患に伴うぶどう膜炎の治療において、小児科医と眼科医との緊密な連携は不可欠である。(4)小児ぶどう膜炎の多くは慢性、再発性であり、長期間の眼科フォローアップが必要である。

皮膚科的疾患　血管腫、母斑神人　正寿 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1448-1451

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＜Key Points＞(1)乳児血管腫やサモンパッチ、蒙古斑など自然消褪傾向を有するものもあるため、まずは正確な診断を行い、予後や早期治療の必要性を判断する。(2)一般に自覚症状には乏しく経過観察可能なこともあるが、整容的あるいは機能的に問題になっている。あるいは将来そのおそれがある場合は治療を検討する。(3)治療介入する場合は外科的切除あるいは各種レーザーが主体となる。乳児血管腫では近年薬物療法が可能である。

皮膚科的疾患　蕁麻疹葉山　惟大 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1452-1455

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＜Key Points＞(1)24時間以内に消褪する皮疹はほぼ蕁麻疹と考えてよい。(2)小児では成人より急性蕁麻疹(6週間以内に治癒する)が多い。(3)小児の蕁麻疹の原因はアレルギー性や感染症に伴うものが多い。(4)小児の蕁麻疹の治療は成人に準じるが、副作用に注意する。(5)小児でも蕁麻疹の第一選択は非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬である。

皮膚科的疾患　皮膚感染症　伝染性軟属腫ととびひ馬場　直子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1456-1459

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＜Key Points＞(1)伝染性軟属腫はウイルスが表皮角化細胞に感染して生じ、乳幼児から学童にかけて皮膚に多発する常色丘疹として、もっとも頻度が高い。(2)発症後6ヵ月から3年程度経過すると脱落し自然治癒するとされているが、脱落時期の予測は個人差が大きく、他児への感染源となり、さまざまなデメリットがあるため、早急に摘除することが望ましい。(3)とびひは水疱、びらん面積が小さいうちに、患部を掻かせないようにおおい、外用療法のみで早く治すことが肝要である。(4)全身に広がったとびひは、細菌培養検査を行い、感受性のある抗菌薬内服と局所処置を行い、SSSSへの進展･鑑別に気をつける。

皮膚科的疾患　熱傷池田　弘人 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1460-1463

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＜Key Points＞(1)II度浅達性熱傷(SDB)なら2週間程度で上皮化創閉鎖し、小児科外来でもフォロー可能である。(2)深達性II度熱傷(DDB)の場合は創閉鎖までに2週間以上を要し肥厚性瘢痕になる可能性が高いので専門医に相談すべきである。(3)III度熱傷(DB)は、専門医の治療が必要不可欠であり、速やかに相談依頼すべきである。(4)身体的虐待における熱傷の頻度は7～9%と報告されており、虐待の可能性を見逃さないようにする。

皮膚科的疾患　にきび林　伸和 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1464-1467

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＜Key Points＞(1)ざ瘡の初期疹である面皰の治療が重要である。(2)薬剤耐性ざ瘡桿菌の検出率は次第に高くなっている。(3)急性炎症期の抗菌薬使用時には、アダパレンや過酸化ベンゾイルを併用する。(4)炎症軽快後はアダパレンや過酸化ベンゾイルによる維持療法に移行する。

皮膚科的疾患　脱毛天羽　康之 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1468-1471

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＜Key Points＞(1)胎生期の発生学的異常に起因する汎発性または限局性の毛髪などの皮膚付属器の欠損には、染色体異常や外胚葉形成異常、代謝異常(腸性肢端皮膚炎、Menkes病、ビタミンD依存性くる病など)に伴う汎発性脱毛症、脂腺母斑などに伴う限局性脱毛症などがある。(2)小児期発症の後天性脱毛症でもっとも多いのは円形脱毛症である。ほかには内分泌異常による脱毛症、栄養障害や代謝障害による脱毛症、薬物による脱毛症、外傷性脱毛症、トリコチロマニア、SLEなどの炎症による脱毛症や、Celsus禿瘡などの感染などによる瘢痕性脱毛症があり、病因によって治療が異なるので診断が重要である。

皮膚科的疾患　爪の異常山口　さやか 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1472-1476

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＜Key Points＞(1)爪甲には適度な長さが必要であり、深爪が陥入爪の原因となる。(2)幼小児期発症の爪甲色素線条は基本的に良性であるが、思春期以降では悪性黒色腫を鑑別する。(3)爪上皮の延長や後爪郭の毛細血管拡張などを確認することで、早期に皮膚筋炎などの膠原病の発見につながる。

皮膚科的疾患　虫による皮膚炎夏秋　優 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1477-1480

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＜Key Points＞(1)各種の虫による吸血、刺咬、接触によって皮膚炎を生じる。(2)皮膚炎は虫由来の有毒物質や唾液腺物質に対する刺激やアレルギー反応によって生じる。(3)皮膚症状は虫の種類や個々の体質による個人差が大きい。(4)詳細な病歴聴取と臨床的特徴から原因虫を推定する必要がある。(5)治療はステロイドが基本となるが、アナフィラキシーにはアドレナリンを投与する。

皮膚科的疾患　光と皮膚戸倉　新樹 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1481-1484

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＜Key Points＞(1)光線過敏症は特殊な症状で、一般的に馴染みがない。しかし日光曝露を避け、厳格な遮光を必要とする患児がいることを認識すべきである。(2)色素性乾皮症は8種類に細分類されるが、わが国ではA群が多く、乳児からの光線過敏症と精神発達遅滞、運動発達遅滞を示す。(3)骨髄性プロトポルフィリン症は、日光に当たるとピリピリするという症状を示し、紅斑、丘疹、治癒後の小陥凹性病変が、顔面を中心にみられる。肝障害を含め、個人差が大きい。(4)種痘様水疱症はEBウイルス関連性疾患であり、多くは自然治癒する。一部、慢性活動性EBウイルス感染症の一症状として生じる。

外科的疾患　消化管異物　有害物質の誤食を含めて鈴木　完 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1485-1488

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＜Key Points＞(1)消化管異物を疑われる患児に対しては、まずは誤嚥･気道異物との鑑別が必要である。(2)X線透過性異物誤飲の場合の診断は慎重に行うべきである。(3)食道内異物は摘出の適応であり、胃内異物のうちボタン電池や鋭利なものは摘出を考慮し専門医へ紹介する。(4)子どもの有害物質の誤食による中毒は65%が家庭内のものである。(5)タバコの誤飲では、2cm以下の場合は無処置でよく、5時間程度無症状であれば心配はない。(6)特有の症状で薬毒物を推定し、吸着、排泄促進、拮抗薬投与の必要性を判断することが重要である。

外科的疾患　胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD) 川原　央好 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1489-1492

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＜Key Points＞(1)胃食道逆流現象(GER)の多くはtransient LES relaxationとよばれるおくび(ゲップ)のときのLESの運動時に起こる。(2)食道インピーダンスpHモニタリングによって、酸性･非酸性GERが評価できるとともに、咳嗽などの食道外症状とGERの因果関係を明らかにできる。(3)胃食道逆流症(GERD)の治療原則は、食事を含む生活様式の改善やPPIと六君子湯を使った保存的治療である。(4)保存的治療法が奏効せず、患児のQOLが損なわれている場合に、外科治療を考慮する。

外科的疾患　胃軸捻転山口　隆介 , 世川　修 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1493-1496

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＜Key Points＞(1)胃軸捻転には急性型と慢性型がある。(2)急性型は重症化しやすい。(3)臨床では絞扼所見の有無を評価することが大切である。

外科的疾患　肥厚性幽門狭窄症五藤　周 , 増本　幸二 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1497-1500

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＜Key Points＞(1)生後2週過ぎから12週までにほとんどの症例が発症する。(2)超音波検査での診断基準は現在の基準では、幽門筋層の厚さ3mm以上、幽門管の長さ15mm以上と考えられる。(3)初診時には超音波検査で診断基準以下であっても、後に基準を満たすことがあるため、嘔吐が持続するときには再検が必要である。(4)幽門筋切開術が治療のgold standardである一方で、硫酸アトロピン静注療法も有力な治療の選択肢である。

外科的疾患　腸回転異常症福本　弘二 , 三宅　啓 , 仲谷　健吾 , 関岡　明憲 , 野村　明芳 , 山田　進 , 金井　理沙 , 漆原　直人 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1501-1504

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＜Key Points＞(1)症状や画像所見から腸回転異常症が疑われた場合は早めに専門医に紹介する。(2)中腸軸捻転では大部分の小腸が壊死し超短腸症候群になる可能性がある。(3)新生児や乳児では臍外縁弧状切開で、年長児では腹腔鏡で低侵襲に手術が行えるようになってきている。

外科的疾患　Meckel憩室、尿膜管遺残宮野　剛 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1505-1508

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＜Key Points＞【Meckel憩室】(1)比較的に典型的な症状がなく、重症度もさまざまである。(2)Meckelシンチグラフィーは、とくに年長児や成人で偽陰性の可能性も考慮する。(3)Rule of 2's:発症率2%、症状出現はそのうち20%、全長2 inches(5cm)、好発部位は回腸末端部から口側2 feet(60cm)、好発年齢2歳以下、男児は女児の2倍高頻度に発生する。【尿膜管遺残】(4)臍部からの尿流出、尿路感染症、臍炎･臍下膿瘍などの症状を呈するが、新生児期･乳児期のみならず、年長児･思春期にも発生しうる。(5)超音波検査上、臍部から膀胱に向かう索状物は、内腔が閉鎖していても描出されうるので、放射線科の専門医による評価を考慮する。(6)臍炎をきたした場合、切開排膿のみでの再発率は高く、また放置すると癌化の可能性が残るため、手術による摘出が望ましい。

外科的疾患　腸重積症浮山　越史 , 渡邉　佳子 , 阿部　陽友 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1509-1511

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＜Key Points＞(1)間欠的腹痛(不機嫌、啼泣)と嘔吐があれば腸重積症を疑う。(2)確定診断のため超音波検査でスクリーニングする。(3)重症度診断を行い、移送、治療の方針を決定する。(4)非観血的整復が不成功であった場合には、DREを考慮する。(5)再発をくり返す場合には、整復時に超音波検査を行って、病的先進部を検索する。

外科的疾患　胆道閉鎖症田中　拡 , 仁尾　正記 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1512-1515

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＜Key Points＞(1)胆道閉鎖症に対する治療のfirst stepは可及的早期手術である。(2)胆道閉鎖症を確定診断するためには、開腹胆道造影が必要である。(3)長期自己肝生存のためには、密なfollow upと合併症に対する迅速な対応が重要である。

外科的疾患　先天性胆道拡張症と膵･胆管合流異常石橋　広樹 , 森　大樹 , 横田　典子 , 島田　光生 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1516-1520

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＜Key Points＞(1)CBDは、総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常で、PBMを合併するものをいう。ただし、肝内胆管の拡張を伴う例もある。(2)PBMとは、解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の形成異常であり、共通管は長く、十二指腸乳頭部括約筋(Oddi括約筋)が合流部に及ばないため、膵液と胆汁の相互逆流により胆道もしくは膵にさまざまな難治性の病態(胆石症、胆管炎、膵炎、膵石など)をひき起こすとともに、胆道発癌のハイリスクな病態である。(3)欧米人に比較して東洋人に多く、半数は10歳以下の小児期に発症し、男女比は1:3で若年女性に多い。成人CBD症例の約20%に胆道癌が合併し、部位別では胆嚢(約60%)、胆管(約30%)に好発する。また、15歳未満の小児でも少数ながら胆道癌合併の報告もある。(4)診断では、超音波検査、MRCP、MD-CTなどの胆道に圧のかからない検査によって総胆管の拡張を確認するとともに、直接胆道造影(ERCP、PTBD、術中胆道造影など)などの画像検査によりPBMを証明する。(5)治療に関しては、CBDは放置すると胆管炎や膵炎などをくり返すのみならず、胆道癌の発生母地であり、若年での癌発症例もあるため、診断確定後はできるだけ早期の手術(肝外拡張胆管切除、肝管空腸吻合術)が必要である。

外科的疾患　イレウス、内ヘルニア林　豊 , 四柳　聡子 , 長江　逸郎 , 勝又　健次 , 土田　明彦 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1521-1524

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＜Key Points＞(1)イレウス(腸閉塞)の主な症状は腹痛、腹部膨満、排便停止、胆汁性嘔吐であり、そのなかで典型的なのが胆汁性嘔吐である。(2)腹部手術を経験していない症例で腸閉塞をきたした場合は、全身状態の把握を徹底し、絞扼性イレウスを鑑別しなければならない。(3)内ヘルニアは診断が困難な場合が多いうえ、病状の進行が急激であることも多く、｢明日まで待つと生命を落とす｣危険性がある疾患である。したがって早期に外科的治療が可能な施設に搬送するべきである。

外科的疾患　急性虫垂炎内田　恵一 , 小池　勇樹 , 松下　航平 , 東　浩輝 , 重盛　恒彦 , 井上　幹大 , 問山　裕二 , 楠　正人 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1525-1528

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＜Key Points＞(1)虫垂炎の診断においては、スコアリングシステムの利点と欠点を理解したうえで使用する。(2)個人または施設として、腹部超音波検査による小児消化器疾患の診断能を向上させることは非常に重要である。(3)単純性虫垂炎に内科的治療を選択したさいには、悪化の徴候を逃さずに外科にコンサルトする。

外科的疾患　SMA症候群中田　光政 , 照井　慶太 , 小松　秀吾 , 秦　佳孝 , 笈田　諭 , 勝俣　善夫 , 佐永田　友季子 , 小関　元太 , 齋藤　武 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1529-1531

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＜Key Points＞(1)SMA症候群は先天的要因や過度の体重減少、重症心身障碍者の長期臥床で発症する。(2)急性腹症で受診した場合には消化管穿孔を含めたスクリーニング、対応が必要である。(3)保存的治療が奏効する場合が多く、また、背景となる病態に応じた治療法の選択が必要である。

外科的疾患　Hirschsprung病　類縁疾患を含めて田口　智章 , 小幡　聡 , 吉丸　耕一朗 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1532-1537

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＜Key Points＞(1)新生児期からの腹部膨満または頑固な便秘。(2)成熟児の男児に多い。(3)腹部単純X線写真にて腸管拡張像と骨盤腔のガスの欠如が認められる。(4)注腸造影にて肛門から連続する狭小部とcaliber changeと拡張部が認められる。(5)直腸粘膜生検のアセチルコリンエステラーゼ(AchE)染色にて、AchE陽性線維の増生と神経節細胞の欠如が認められる。

外科的疾患　直腸肛門奇形　肛門狭窄と肛門皮膚瘻を中心に吉村　翔平 , 右田　美里 , 松藤　凡 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1538-1540

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＜Key Points＞(1)乳児期以降に診断にいたる直腸肛門奇形(肛門皮膚瘻や肛門狭窄など)は10%以上存在する。(2)便秘症や遺糞症の患児に対しては肛門部の視診は必須であり、直腸肛門奇形の可能性がある場合には直腸診も追加する。(3)肛門狭窄や肛門皮膚瘻では、ブジーでの拡張と便秘症に対する薬物治療を開始する。(4)ブジーで拡張不十分な症例や難治性便秘例は、外科的治療も念頭に小児外科施設への紹介が必要である。

外科的疾患　肛門周囲膿瘍･痔瘻石井　惇也 , 高見澤　滋 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1541-1543

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＜Key Points＞(1)1歳までに何度も再発する可能性がある。(2)漢方薬の内服治療が本症の第一選択の治療になりつつある。(3)再発症例は基礎疾患のルールアウトが必要である。(4)外科的処置が必要な場合は小児外科医にコンサルトする。

外科的疾患　鼠径ヘルニア、臍ヘルニア佐伯　勇 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1544-1547

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＜Key Points＞(1)鼠径ヘルニアは嵌頓の危険性があるため、疑った時点で専門施設に紹介する。(2)とくに1歳未満では嵌頓の危険性が高い。(3)臍ヘルニアは圧迫療法が推奨される。(4)臍縁横径が20mm以上の巨大臍ヘルニアで、圧迫療法が奏効しない症例では、早期の手術も考慮される。

外科的疾患　胸郭変形　漏斗胸芦塚　修一 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1548-1551

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＜Key Points＞(1)漏斗胸の臨床上の問題は単なる整容性の問題のみではない。(2)自然軽快するものもあるが、成長とともに陥凹が進行し、非対称な形状を呈することもある。(3)陥凹による心臓や肺の圧迫症状は、10代から成人にかけて出現することが多い。(4)Nuss手術は、10歳以降で骨端線が閉鎖する前の時期が推奨される。

脳神経外科疾患　頭蓋変形･頭蓋縫合早期癒合症栗原　淳 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1553-1557

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＜Key Points＞(1)頭蓋変形のなかには外科的治療介入を必要とする頭蓋縫合早期癒合症が存する。(2)頭蓋縫合早期癒合症に対する頭蓋形成術は緊急を要することはないが、早期治療により低侵襲に頭蓋形態を改善できる例がある。(3)頭蓋縫合早期癒合症では合併病態により致死的な呼吸障害を呈することがあり、初期対応として合併病態の評価と呼吸管理が必要になる例がある。(4)頭位性斜頭に対するヘルメットによる頭蓋形状誘導が注目されているが、一般的な治療適応は生後6ヵ月以下の重度頭蓋変形である。

脳神経外科疾患　水頭症西山　健一 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1558-1562

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＜Key Points＞(1)小児期水頭症では後角優位の脳室拡大が多いため、MRIでの指標としてFOHR(frontal occipital horn ratio)が有用である。(2)頭蓋内圧亢進症状を認めなくても、発達遅延が水頭症に関連する症例では外科治療の適応になる。(3)｢脳室腹腔シャント術(VPS)｣と｢内視鏡的第三脳室開窓術(ETV)｣が、現在の標準術式である。(4)VPSには髄液過剰排出、シャント閉塞、シャント感染の合併症が、ETVには開窓部閉塞の合併症があり、水頭症手術後も経年的なフォローが求められる。

脳神経外科疾患　脳血管障害　もやもや病中川原　譲二 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1563-1567

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＜Key Points＞(1)もやもや病の症状として、過呼吸に伴って発症する一過性脳虚血発作が特徴的である。(2)もやもや病は、MRI/MRA検査によって非侵襲的に確定診断することができる。(3)もやもや病に対する脳血行再建術の手技は直接法と間接法とに分けられるが、虚血型、出血型のいずれの病型にも有効である。(4)もやもや病は緩徐進行性の疾患であり、経過中に脳小血管病変の出現や主幹動脈病変の進行の程度などを認める例があり、MRIによる経時的なリスク管理が重要である。

脳神経外科疾患　Sturge-Weber症候群佐藤　慎祐 , 新見　康成 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1569-1570

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＜Key Points＞(1)Sturge-Weber症候群は、脳内軟膜血管腫、三叉神経第1枝のport-wine stain、緑内障を有する神経皮膚症候群である。(2)けいれん発作は難治性であることが多い。(3)コントロール困難なけいれん発作に対してはfunctional hemispherectomyが行われる。

脳神経外科疾患　二分脊椎症稲垣　隆介 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1571-1574

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＜Key Points＞(1)二分脊椎は開放性と閉鎖性に分けられる。いずれも脊髄係留を生じるため手術治療が考慮される。(2)開放性二分脊椎は出生時、比較的早期に治療を行う。閉鎖性二分脊椎は予防的手術を行う場合と症状が出そうな段階で手術を行うという考え方があり、結論が出ていない。(3)開放性二分脊椎の出産歴のある母が葉酸を摂取することで、次の児が開放性二分脊椎を起こさなくなることがわかっているが、全例に効果があるわけではないので家族への説明には注意を要する。(4)欧米では脊髄髄膜瘤に対する胎児手術が行われているが、わが国では未実施なのでここでは割愛した。

整形外科的疾患　斜頸、環軸椎回旋位固定(環軸亜脱臼) 平良　勝章 , 根本　菜穂 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1575-1577

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＜Key Points＞(1)先天性筋性斜頸は1歳半ごろまでに約90%が自然治癒する。(2)頸部腫瘤のない斜頸は鑑別が重要である。(3)疼痛を伴う斜頸は環軸椎回旋位固定を疑う。(4)1～2週間経過しても疼痛の軽減、頸部の可動域制限が改善しない場合は速やかに専門医に紹介する。

整形外科的疾患　肘内障江口　佳孝 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1578-1580

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＜Key Points＞(1)肘内障は｢手を引っ張られた後から上肢を使いたがらない｣、｢マット上での上肢の巻き込み後から使いたがらない｣などの特徴的な臨床経過と症状を認める。(2)肘内障治療には回内法と回外法があり肘外側でクリックを蝕知し整復され症状が速やかに改善する。(3)肘内障整復後症状が改善しない場合は三角巾･シーネ固定で数日間経過観察するとともに、骨折などの画像精査を行う。(4)肘内障整復後、外固定で数日経過しても痛みの回復がなければ専門医に紹介する。

整形外科的疾患　脊柱側彎症柳田　晴久 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1581-1585

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＜Key Points＞(1)初期には自覚症状に乏しい疾患であり、早期発見･早期治療が必要である。(2)成長のスパートの時期に進行しやすく、程度が強い症例では成長終了後も進行する。(3)重度に進行すると整容的な問題だけでなく、背部痛や呼吸機能障害などADL障害につながる。(4)Cobb角が20°以上あり、かつ成長の余地がある症例は整形外科への紹介が望ましい。

整形外科的疾患　先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全) 落合　達宏 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1586-1589

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＜Key Points＞(1)乳児の股関節脱臼は先天性だけでなく後天性にも発症する。(2)乳児健康診査における股関節脱臼一次健診はスクリーニングとして重要な役割をもつ(3)開排制限、皮膚溝の左右差、家族歴、女児、骨盤位がリスクファクターである。

整形外科的疾患　大腿骨近位骨端部に生じる疾患　Perthes病･大腿骨頭すべり症及川　泰宏 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1590-1595

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＜Key Points＞(1)Perthes病、大腿骨頭すべり症はともに小児の大腿骨近位骨端に生じる疾患である。(2)跛行を主訴に受診することが多い。股関節痛を訴えず、大腿部から膝関節の漠然とした違和感を伴うことが多い。(3)Perthes病では内旋、屈曲、外転が制限され、大腿骨頭すべり症では屈曲･内旋が制限される。(4)単純X線の正面像や患側のみでは診断がつかないことが多く、両股関節の正面･側面の2方向を撮影することが重要である。(5)経過が長い跛行を認める場合には期間をあけてX線を撮影する、もしくはMRIを撮ることでPerthes病の診断にいたることがある。(6)大腿骨頭すべり症を疑った場合には至急に専門医へ紹介することが望ましい。

整形外科的疾患　O脚･X脚二見　徹 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1596-1600

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＜Key Points＞(1)生理的O脚･X脚の診断には変形の推移、年齢と標準値(単純X線像のFTA)を参考にする。(2)左右差をみる。左右非対称の変形は病的である場合が多い。(3)下腿遠位(足関節近傍)の内反を伴う1～2歳代のO脚ではくる病を疑う。骨端線の不整像の有無を膝、足関節、手関節などで確認する。

整形外科的疾患　化膿性関節炎北野　利夫 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1601-1605

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＜Key Points＞(1)感染症状(所見)と関節症状(所見)が存在すれば化膿性関節炎を疑う。(2)局所所見に加えて画像診断(超音波断層像、MRI)が診断の補助となる。(3)早期診断･早期治療を行うことにより、関節破壊の進行を防ぎ、関節拘縮、四肢変形、四肢短縮、関節症早期発症などの後遺症発症を回避できる可能性が高くなる。(4)起炎菌の毒性、感染成立からの経過期間、内科的合併症の有無などが、外科的介入の要否、後遺症発症に大きく関係する。

整形外科的疾患　脚長不等江口　佳孝 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1606-1609

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＜Key Points＞(1)小児の脚長不等は本人よりも第三者に気づかれることが多い。(2)脚長不等の症状は硬性墜下性跛行であるが、股関節脱臼の場合は軟性墜下性跛行である。(3)2cm以上の脚長不等にて治療介入する場合が多い。(4)脚長不等を生じた原疾患の治療と脚長不等補正を年齢発達に応じて保存的、外科的に行う。

整形外科的疾患　Osgood-Schlatter病坂田　亮介 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1610-1613

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＜Key Points＞(1)スポーツ活動を活発に行っている思春期前後の児童が脛骨粗面周辺の痛みを訴えて来院する場合は本疾患を考えるべきである。(2)単純X線での診断は難しいことがあり、理学所見を重視し、本疾患を疑う場合は、まずは安静、アイシングなどを勧め、必要に応じて整形外科への紹介を行うべきである。(3)保存的加療で大部分の症例で改善が得られるが、スポーツ活動への復帰には十分な準備と復帰後のていねいなケアが必要である。

整形外科的疾患　上肢の先天異常、多指症、合指症関　敦仁 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1614-1620

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＜Key Points＞(1)上肢の先天異常は外観の特徴で診断できることが多い。(2)治療は握りやつまみを中心に機能と外観の向上を目指す。(3)一度治療を行った患者であっても、つまみに問題があれば再建が可能であるので手外科専門医に紹介する。

口腔外科疾患　舌小帯短縮症、上唇小帯付着異常吉田　将亜 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1621-1624

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＜Key Points＞(1)舌小帯短縮が疑われる場合、乳児期、幼児期の摂食嚥下機能、発音･構音機能、成長発育を観察する。(2)上唇小帯短縮による正中離開は、永久歯列の状態を観察する。(3)小帯異常に伴う機能障害･形態障害は、発達障害や過剰埋伏歯の存在など、ほかの要因の可能性を考慮する。

口腔外科疾患　口唇裂･口蓋裂彦坂　信 , 金子　剛 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1625-1629

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＜Key Points＞(1)口唇裂では口唇外鼻の変形、口蓋裂では鼻咽腔閉鎖機能不全による言語の不明瞭、顎裂では歯列不整の症状を認める。(2)痕跡唇裂、粘膜下口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖不全症は一見しては口唇裂･口蓋裂の類縁疾患とは診断できず注意を要する。(3)口唇裂･口蓋裂では併存疾患の合併率が高く、これらにより全般発達、治療計画や予後が大きく変わる場合がある。(4)併存疾患のない口唇裂･口蓋裂では、出生後早期からの継続的な治療により多くの場合、健常児とほぼ同様な生活を送ることができる。

口腔外科疾患　歯並びの異常、不正咬合馬場　祥行 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1630-1636

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＜Key Points＞(1)乳歯および永久歯の種類と萠出時期を理解することが重要である。(2)歯列･咬合の異常を評価できることが重要である。(3)特定の先天性疾患や全身疾患に伴って不正咬合が生じる場合がある。(4)歯科矯正治療に保険適用が認められる場合があることを理解し、患者のQOL向上に役立てる。

泌尿器科･婦人科的疾患　水腎･水尿管症東武　昇平 , 野口　満 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1637-1640

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＜Key Points＞(1)超音波検査、CT、MRI、核医学検査、排尿時膀胱尿道造影などで責任病変や病態を把握する。(2)UPJOによる先天性水腎症の場合、SFU分類のgradeで対応は分かれる。(3)UPJO以外による先天性水腎症の取り扱いは個々の病態･疾患により対応される。(4)無症候性の片側性高度水腎症(SFU分類grade 3、4)症例はDRF<40%、尿ドレナージ不良、DRF>5～10%を総合的に判断し検討する。

泌尿器科･婦人科的疾患　膀胱尿管逆流相野谷　慶子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1641-1646

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＜Key Points＞(1)VURは自然軽快する特性をもつ病態であり、有熱性尿路感染がコントロールされていれば腎機能に影響することはまれで、経過観察が可能である。(2)BBD(bladder and bowel dysfunction)はVURの病態に大きく影響する因子であり、定時排尿、抗コリン薬投与、排便コントロールなどを組み合わせて対応する。(3)保存的治療に抵抗性のVUR症例は外科治療を考慮する必要があるため、専門外来に紹介する。

泌尿器科･婦人科的疾患　包茎、精巣水瘤、停留精巣中村　繁 , 田辺　和也 , 井口　智生 , 川合　志奈 , 中井　秀郎 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1647-1651

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＜Key Points＞(1)小児の包茎は、尿路感染症や排尿障害などの合併症を伴っておらず、包皮翻転の際に外尿道口あるいは亀頭の一部を確認できれば治療の必要はなく、経過観察でよい。(2)精巣水瘤は、3～4歳になっても自然治癒傾向がなく大きなものについては外科的治療の適応となる。(3)停留精巣では移動性精巣との判断に迷う場合は小児泌尿器科へ紹介すべきである。推奨手術時期は｢1歳前後から2歳ごろ｣とされている。

泌尿器科･婦人科的疾患　月経の異常高橋　健太郎 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1652-1656

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＜Key Points＞(1)性機能の発達には個人差があり、個々の症例ごとに対応することが望ましい。(2)月経の異常はすべての思春期少女が経験する現象である。(3)月経の異常が学校および日常生活に支障をきたす場合に病的疾患と捉え、医学的介入を行う。(4)適切な時期での専門医への紹介(とくに診断時点での早急な紹介は早発月経や初経遅延、1年以上の無月経で来院した続発性無月経、鎮痛薬の効かない頻発する月経痛)が重要である。

泌尿器科･婦人科的疾患　精巣捻転長谷川　雄一 , 笠井　奏子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1657-1661

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＜Key Points＞(1)精巣捻転は緊急性の高い疾患であり、発症から治療までのゴールデンタイムは6～8時間である。(2)｢急に｣、｢突然に｣起こった男児の陰嚢の痛みは精巣捻転を強く疑う。(3)精巣が腫脹し硬くなっている場合は、捻転である可能性が高い。(4)思春期の男児の腹痛は、精巣捻転も鑑別診断の一つに入れて診察する。

泌尿器科･婦人科的疾患　卵巣捻転家入　里志 , 杉田　光士郎 , 川野　孝文 , 永井　太一朗 , 矢野　圭輔 , 大西　峻 , 春松　敏夫 , 山田　耕嗣 , 山田　和歌 , 松久保　眞 , 武藤　充 , 加治　建 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1662-1664

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＜Key Points＞(1)女児の持続的あるいは間欠的な腹痛を診た場合は卵巣捻転を鑑別する。(2)卵巣捻転であっても消化器症状をメインに呈することもあるため注意を要する。(3)間欠的腹痛に白血球数と炎症反応の上昇を伴う場合は画像診断を考慮する。(4)画像上、卵巣の腫瘍性病変を伴う場合は早急な手術が必要となるため手術可能な施設に速やか紹介する。

泌尿器科･婦人科的疾患　直腸尿道瘻黒田　達夫 , 藤村　匠 , 狩野　元宏 , 加藤　源俊 , 森　禎三郎 , 金森　洋樹 , 梅山　知成 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1665-1667

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＜Key Points＞(1)直腸尿道瘻の原因は先天性、鎖肛など先天性疾患の術後再開通、後天性など多岐にわたる。(2)尿路感染反復、高クロール性アシドーシスなど重篤な併発症に注意を要する。(3)直腸尿道瘻の存在が疑われた時点で速やかに小児外科あるいは小児泌尿器科など専門診療科へコンサルトし、検査を進める。(4)直腸尿道瘻の診断は1回の検査では確定しないことが多く、疑わしい場合には検査をくり返す。

精神科的疾患　起立性調節障害松島　礼子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1669-1674

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＜Key Points＞(1)症状の有無で診断するのではなく、新起立試験で循環調節異常を評価して診断する。(2)自律神経疾患なので心理社会的要因の影響を受けやすい。問診、チェックリストを利用して評価する。ODの70～80%は心身症として考えるべきといわれている。(3)身体機能異常の重症度、心理社会的要因の関与の有無から病態を把握し、必要な治療を選択する。

精神科的疾患　睡眠関連病態亀井　雄一 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1675-1678

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＜Key Points＞(1)過剰な眠気をきたす睡眠関連病態として、(1)睡眠の量や質に問題がある場合、(2)リズムに問題がある場合、(3)覚醒の維持が問題である場合、がある。(2)代表的な疾患としては、概日リズム睡眠･覚醒障害群と中枢性過眠症群がある。(3)通常の眠気とは異なり、どうしても覚醒しないといけないときに覚醒できず、眠り込んでしまう。(4)睡眠時間の確保、規則正しい生活を送ること、などの生活指導が重要である。

精神科的疾患　うつ山田　慎二 , 原田　謙 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1679-1684

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＜Key Points＞(1)抑うつ状態の鑑別診断において、身体疾患･薬物の副作用によるうつ状態の除外を行い、統合失調症、双極性障害、適応障害などを鑑別していく。(2)うつ病の診断はDSM-5による操作的診断基準によるものだけではなく、従来診断において考慮されていたうつ状態にいたる原因、経過、症状の質を見極めたうえでなされるほうがよい。(3)近年は脳機能解析研究が進んでおり、うつ病の病態仮説にストレス仮説、神経可塑性仮説、神経炎症との関連性などが取り上げられている。(4)治療は、(1)自殺念慮への対応、(2)ガイダンスと環境調整、(3)薬物療法の選択、(4)精神療法の実施という組み立てとなる。

精神科的疾患　統合失調症菊地　祐子 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1685-1687

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＜Key Points＞(1)児童期の統合失調症は少数ではあるが存在する。11～12歳以前の発症はまれである。(2)成人と異なり、身体症状や問題行動が初期症状となることが多い。(3)幻覚妄想は否定せず、子どもの抱える辛さに共感する。(4)発症から治療開始までの期間が社会的予後に影響するため、疑いをもった時点で専門医に紹介する。

連載

子どもの死(第6回)　乳幼児の突然死とSIDS　実態･問題点･課題解決のために小保内　俊雅 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1690-1693

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症例

サルモネラ腸炎罹患後に発症した反応性関節炎の1例水谷　陽貴 , 千代田　瞳 , 野崎　博司 , 酒井　喜規 , 水谷　公美 , 伊藤　祥絵 , 伊藤　早苗 , 松岡　佐知 , 武田　将典 , 木村　量子 , 西川　和夫 , 長谷川　正幸 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1696-1700

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9歳女児。腹痛を主訴とした。4日前より腹痛と水様便が出現し、感染性胃腸炎として加療されたが、腹痛が増強したため救急外来を受診した。入院後、腹痛は自然軽快して発熱なく経過したが、入院3日目に38.5℃の発熱と両足関節周囲の痛みが出現し、入院4日目には両上肢の近位指節関節を中心に発赤、腫脹と可動域制限を認めた。非ステロイド性抗炎症薬の効果は良好で、経過中に腱付着部炎を認めたが、関節破壊を示唆する所見はなく、また、血液検査所見でRF陰性、抗CCP抗体陰性、HLA-B27陽性を呈し、便培養でサルモネラO4群が検出されたほか、サルモネラ腸炎罹患後に関節炎を発症した病歴などから総合的に反応性関節炎と診断した。本症例は対称性多関節炎を示し、若年性特発性関節炎多関節型との鑑別に苦慮したが、便培養とHLAタイピング検査により診断できた。

ELANE変異陽性先天性重症好中球減少症家系のトータル･ケア･サポート渡辺　直樹 , 山田　浩之 , 陳　基明 , 泉　裕之 , 中舘　尚也 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1701-1705

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ELANE変異陽性先天性重症好中球減少症に対する治療に加え、病状に応じた日常生活への対応、社会的サポートを含めたトータル･ケアを行った2家系5人について報告した。家系1は32歳と28歳の兄弟で、弟の結婚に際して弟とそのパートナーにカウンセリングを行ったが、パートナーの親戚の理解を得るのに時間を要した。家系2は50歳の母とその娘(25歳の姉と16歳の妹)で、母の婚姻･就職にあたって遺伝子検索などは当時一般的ではなく、遺伝性を気にしなかったが、姉は就職に関連して不安を抱えており、職場統括責任者に経過を説明して疾患の相互理解を深めた。

フェニトインによる薬剤性胸膜炎を発症した伊藤白斑による片側巨脳症児高橋　吾朗 , 赤坂　真奈美 , 荒谷　菜海 , 亀井　淳 , 小山　耕太郎 51巻10号 , 2019年10月 , pp.1706-1709

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8歳女児。発熱、唸り声を主訴とした。伊藤白斑による右片側巨脳症を基礎疾患とする重症心身障害児で、乳児期にてんかん外科治療と多剤抗てんかん薬治療が行われるも発作コントロールは不良であり、8歳時よりフェニトイン(PHT)内服を追加した。PHT追加投与開始約7ヵ月後、主訴にて受診し、細菌性胸膜炎の診断で入院加療されたが、感受性のある抗菌薬を十分期間使用したにもかかわらず胸水の完全消失には至らず再燃したことから薬剤性胸膜炎が疑われた。他疾患は否定的であり、薬剤リンパ球刺激試験が陽性で、PHT中止後に肺障害と胸水が消失し、その後再燃を認めないことから薬剤性胸膜炎と診断した。