小児内科 51巻9号 (2019年9月発行)

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特集　子どものための食の安全

子どもに食の問題が起きやすい背景児玉　浩子 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1229-1232

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＜Key Points＞(1)小児で食中毒が発生しやすいのは、学校給食である。(2)食中毒に罹患すると、小児は重症化しやすい。(3)小児で食の問題が起こりやすい背景に免疫能の未熟がある。(4)小児の発達段階でみられるハイハイ、マウジンングなどは環境汚染物質に曝露されやすい要因になる。

子どもの食の安全を守るためのヘルスリテラシーと小児科医の役割吉池　信男 , 平澤　和樹 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1233-1237

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＜Key Points＞(1)子どもたちの食をとりまく環境は複雑であり、｢食環境｣への社会的アプローチが必要となる。(2)ヘルスリテラシーは、｢個人が、健康課題に対して適切に判断を行うために、必要となる基本的な健康情報やサービスを獲得、処理、理解する能力｣と定義される。(3)子どもの食の安全を守るためには、子ども自身や養育者への働きかけとして、ヘルスリテラシーを高める取り組みも必要である。(4)小児肥満の一因として、子どもに対するエネルギー･脂質･糖分を多く含む食品のマーケティングが指摘されており、それに対抗する能力としてもヘルスリテラシーは重要である。

食の安全を保つための政策および法律梅垣　敬三 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1238-1241

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＜Key Points＞(1)食品安全基本法は食の安全評価とともに消費者の役割も示している。(2)食品衛生法はすべての飲食物が対象で、玩具に含まれる可塑剤などの規制もある。(3)食品表示法は、食品衛生法、健康増進法、JAS法に関する表示の部分を抜き出して一元化したものである。(4)健康増進法には食事摂取基準や特別用途食品に関する事項が定められている。

日本人の食事摂取基準と授乳･離乳の支援ガイド楠田　聡 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1242-1247

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＜Key Points＞(1)子どもの食事、とくに乳幼児期の食事は、一生の健康維持にとって大変重要である。(2)この時期の食の安全性を担保するものに、｢日本人の食事摂取基準｣と｢授乳･離乳の支援ガイド｣がある。(3)この時期の栄養は乳汁栄養と離乳食の組み合わせである。(4)乳汁栄養としては、母乳および育児用ミルクで食の安全性に差は生じない。(5)適切な離乳食摂取は乳幼児の食の安全性確保のために必須である。

災害時の子どもの食の安全井田　孔明 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1249-1253

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＜Key Points＞(1)今後の日本の小児の災害医療は、災害時小児周産期リエゾンが中心となって行われる。(2)食物アレルギー患者への適切なアレルギー食の供給のために、日本小児アレルギー学会がパンフレットを作成し、災害時小児周産期リエゾンとの連携を構築している。(3)乳児のための母乳栄養を継続するためには、まず避難所における母児を取り巻く環境整備が重要である。(4)液体ミルクに関する啓発活動により、平時や災害時における適正な使用が望まれる。

フードファディズムとマスメディア高橋　久仁子 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1254-1257

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＜Key Points＞(1)食べものや栄養が、健康や病気へ与える影響を過大に評価･信奉することを｢フードファディズム(food faddism)｣という。(2)マスメディアからの食情報にはフードファディズムが紛れ込みやすい。(3)栄養的に偏りの大きな食事を推奨していることもある。

母乳栄養の留意点水野　克己 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1258-1261

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＜Key Points＞(1)ビタミンD欠乏状態にある女性は多く、その子どもは栄養方法にかかわらずビタミンDの補充を考慮しなければならない。(2)母乳だけでは鉄が足りなくなる生後6ヵ月以降は離乳食から鉄を摂取できるよう指導する。(3)HIV/HTLV-1キャリア女性は原則的に人工栄養を選択するが、B型･C型肝炎ウイルスキャリア女性はその必要はない。(4)合併疾患をもち服薬しながら授乳を希望される場合は、科学的な根拠に基づいて判断する。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　感染性食中毒　腸管出血性大腸菌感染症、乳児ボツリヌス症新妻　隆広 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1262-1266

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＜Key Points＞(1)腸管出血性大腸菌感染症は消化管感染症にとどまらず、腎不全や脳症をひき起こす可能性があることを銘記すべきである。(2)腸管出血性大腸菌に対する抗菌薬投与は一定の結論が出ておらず、ガイドラインでは投与推奨はされていない。(3)ボツリヌス毒素は神経機能を阻害し、呼吸と筋肉を麻痺させ、もっとも毒性の高い物質として知られている。(4)適正な加工を欠いた食品の消費に由来するボツリヌス症は、早期に診断され、抗毒素で治療されなければ、死にいたる場合もあることを銘記すべきである。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　自然毒による食中毒　フグ、毒キノコ、銀杏など一二三　亨 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1267-1269

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＜Key Points＞(1)自然毒による中毒に限らず中毒疾患は常に鑑別疾患の一つとして念頭においておかないと診断にいたれないケースが多いため、各論を十分に理解しておく。(2)フグの中毒に効くワクチンや抗血清、解毒薬などはなく、呼吸困難を訴えている場合には、人工呼吸器管理とする。(3)毒キノコ中毒には、催吐や胃洗浄、活性炭･下剤投与と、脱水を補正するための輸液を行う。(4)銀杏中毒の場合には、特異的治療としてリン酸ピリドキサールを静注する。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　環境からの汚染物質による健康被害　カドミウム、メチル水銀、ダイオキシンなど角田　正史 , 吉岡　範幸 , 鈴木　聡子 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1270-1273

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＜Key Points＞(1)環境からの汚染物質による健康被害については、わが国では歴史的経緯がある。化学物質の吸収や小児の感受性は考慮に入れなければならない。(2)カドミウムはイタイイタイ病をひき起こした。(3)メチル水銀によって重篤な中枢神経障害である水俣病が発生し、胎児性水俣病も起こった。(4)ダイオキシンやPCBといった残留性のある有機化学物質の食品を介した健康影響は顕在化してはいないが、注意が必要であり、対策が取られている。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　放射性物質による食品汚染坪倉　正治 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1274-1277

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＜Key Points＞(1)放射性核種によって行うべき対策は異なる。(2)福島原発事故後、長期的に対策が必要なのはセシウム134とセシウム137である。(3)食材の汚染の程度はその種類によって異なる。(4)福島原発事故後の住民の内部被ばくは少なく、基準値をこえないものがほとんどである。(5)長期的な情報提供とコミュニケーションが重要である。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　健康食品やサプリメントの問題点位田　忍 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1278-1283

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＜Key Points＞(1)サプリメント(supplement)とは、米国で導入されたdietary supplement(栄養補助食品)の訳で、ビタミンやミネラル、アミノ酸など栄養摂取を補助することや、ハーブなどの成分による薬効を目的とする食品である。いわゆる｢健康食品｣で、日本においては保健機能食品が類似語とみなされている。(2)幼児の利用率は8.7%あり、健康被害の報告もある。(3)薬品と食品の差がなくなり、情報が氾濫し、自己管理が要求される時代(CAM:代替相補医療)のなかで正しい知識と使い方の啓発が重要であり、子どもたちにヘルスリテラシーを身につける食教育も重要である。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　カフェイン、香辛料、食品添加物の健康への影響太田　百合子 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1284-1288

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＜Key Points＞(1)カフェインが多く含まれる食品を理解し、組み合わせには注意する。(2)乳幼児の味覚は未発達であるため、発達に応じた香辛料の使用方法を伝える必要がある。(3)食品添加物の極端な情報に惑わされないこと。(4)ベビーフードの使用に関しては正しい知識を伝えて、保護者に選択してもらう。

食品中の危害要因による問題とその対応　予防と治療　飽和脂肪酸やトランス脂肪酸摂取による健康への影響岡田　知雄 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1289-1293

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＜Key Points＞(1)飽和脂肪酸はそのすべてが冠動脈性心疾患発症と関連するわけではない。(2)C16、C18のような偶数鎖飽和脂肪酸は、冠動脈性心疾患のリスクが高く、C17のような奇数鎖飽和脂肪酸はそのリスクが少ないというように、飽和脂肪酸でも生理作用が異なる。(3)小児における飽和脂肪酸は成長の面から必要であるが、小児の研究は少なく、食事摂取基準にも、小児の飽和脂肪酸の摂取量の基準値は設定されていない。(4)飽和脂肪酸摂取と肥満の関係は以前いわれていたほど強固なものではない。Atkinsダイエットのようにむしろ体重軽減に寄与することもある。(5)トランス脂肪酸については、明確に健康への悪い影響は疫学的にも実験的にも証明されており、成長期における胎児への影響もほぼ明らかにされている。(6)わが国の現状では、トランス脂肪酸の摂りすぎの傾向にはないようであるが、多くの食品に使用されている現状は変わっていないので、食育として健康への悪い影響を教えるべきである。

食品の摂り方による問題とその対応　肥満の原因となる食習慣原　光彦 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1294-1297

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＜Key Points＞(1)早食いや咀嚼不良は肥満の原因になる。(2)食事摂取は末梢の時計遺伝子発現に関与している。(3)朝食欠食、夜食、食事の時刻を決めない食べ方は肥満の原因となる。(4)偏食(甘い飲み物、肉ばかりの食事)は肥満の原因になる。(5)食物繊維不足は、腸内細菌叢の偏倚を介して肥満の原因になる。

食品の摂り方による問題とその対応　やせの原因となる食習慣井ノ口　美香子 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1298-1301

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＜Key Points＞(1)やせの原因となる食習慣は明らかでないが、小食、偏食のほか、さまざまな生活習慣との関係が疑われる。(2)女子のやせでは、やせ願望に伴う食習慣に注意が必要である。(3)アスリートでは、常に利用可能エネルギーの不足に配慮した栄養学的指導が必要である。

食品の摂り方による問題とその対応　早産･低出生体重児とメタボリックシンドローム東海林　宏道 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1302-1304

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＜Key Points＞(1)妊婦の痩せ、栄養摂取不良が低出生体重児増加の要因と考えられ、DOHaDのコンセプトを念頭に妊婦への栄養スクリーニングの必要性が高まっている。(2)早産･低出生体重児は、成人期まで痩せていたとしても高血圧やインスリン抵抗性のリスクがある。(3)母乳栄養推進や適切な離乳食指導、成長曲線を用いた体格フォローアップと肥満防止が対応の基本となるが、早産･低出生体重児のリスクを念頭においた食事指導方法の確立が期待される。

食品の摂り方による問題とその対応　偏食、こ食、朝食欠食が健康に与える影響堤　ちはる 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1305-1310

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＜Key Points＞(1)偏食せずに、いろいろな食べ物を食べることの意義は生活のさまざまな場面にまで広がることに配慮して、子どもと向き合う姿勢が重要である。(2)複数でともに食べる｢共食｣では、｢こ食｣によっては得られない数多くの心と体の育ちがある。(3)朝食欠食は肥満、高脂血症などの生活習慣病の発症リスクを増大する。(4)｢早寝、早起き、朝ごはん｣の実践には、｢早起き、朝ごはん、早寝｣の順番が取り組みやすい。(5)保護者の朝食欠食の改善には、保護者の体調を気遣う言葉かけが有効である。

食品の摂り方による問題とその対応　イオン飲料水などの多飲によるビタミンB1欠乏症奥村　彰久 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1311-1314

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＜Key Points＞(1)日本ではイオン飲料水などの多飲によるビタミンB1欠乏症がくり返し報告されている。(2)イオン飲料水などの多飲によるビタミンB1欠乏症は乳幼児に多く、背景には養育環境の問題が高率である。(3)イオン飲料水の多飲の危険性を広く周知する必要がある。

食品の摂り方による問題とその対応　特殊ミルクや経管栄養剤による栄養素の欠乏　ビオチン、セレン、カルニチンなど虫明　聡太郎 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1315-1318

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＜Key Points＞(1)小児用治療乳や経腸栄養剤の長期単独使用では一部の栄養素が欠乏することがあるため、それぞれの特性を知っておく必要がある。(2)治療用特殊ミルクの一部ではビオチン、カルニチン、セレンの配合ができていないものがある。(3)バルプロ酸ナトリウムやピボキシル基含有抗菌薬などの使用によりカルニチン欠乏が助長される。(4)カルニチンは長鎖脂肪酸代謝に必須であるため、グリコーゲン貯蔵の少ない幼児期から学童期において相対的に欠乏状態に陥るリスクが高い。

食品の摂り方による問題とその対応　食物アレルギーを有する児への食の安全　アレルギー用ミルク、制限食、給食など高里　良宏 , 伊藤　浩明 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1319-1324

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＜Key Points＞(1)牛乳アレルギー児のカルシウム摂取量不足は深刻であるため、適切にアレルギー用ミルクを使用すべきである。(2)多品目の制限食の場合栄養量は不足しがちになる。また単品目であっても不足しやすい品目があるので注意を要する。(3)食品表示の原則を知り、過剰な除去が起こらないように指導を行う。(4)学校給食の原則を知り、安全に給食が提供されるよう情報共有、指導を行う。

食品表示と子どもの食の安全　産地、アレルゲン、消費期限などの新たな食品表示ルールについて池戸　重信 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1325-1327

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＜Key Points＞(1)食品表示は、食品表示法の制定により新ルールが適用されるとともに、その役割として｢食品を摂取する際の安全性の確保｣と｢自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保｣が規定された。(2)新ルールにおいて、アレルゲンの原則個別表示、栄養成分表示や加工食品の原料原産地表示の義務化、｢遺伝子組換えでない｣表示の厳格化などが導入された。(3)食品表示制度が実効あるものにするには、ルールに関する正しい理解と知識を深めることが重要で、食育施策との連携が必要とされる。

ダニの経口摂取およびアニサキスによるアナフィラキシー山出　晶子 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1328-1330

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＜Key Points＞(1)近年、食物や薬物によるアナフィラキシー以外に、貯蔵ダニやアニサキスによるアナフィラキシーの報告が増えてきた。(2)食品に混入して繁殖した貯蔵ダニの経口摂取によるアナフィラキシーは、常温保存した小麦粉加工品の摂取で起こりやすい。貯蔵ダニによるアナフィラキシーの診断には、特異的IgE抗体の測定やプリックテストが有用である。(3)アニサキスアレルギーの診断には、特異的IgE抗体の測定やプリックテストが有用である。アニサキスアレルギーは、魚アレルギーや急性胃アニサキス症との鑑別が必要である。

輸入の増えている硬水と乳幼児の健康櫻谷　浩志 , 大友　義之 , 清水　俊明 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1331-1334

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＜Key Points＞(1)硬水が乳幼児に及ぼす影響を明確に示したエビデンスのある論文はなかった。(2)硬水のカルシウム濃度、マグネシウム濃度の高さにより、消化管機能･腎機能に影響を及ぼす可能性がある。(3)少量の硬水摂取は問題ないが日常的に頻用することは避けたほうがよいと考えられる。

食の安全のための情報サイト北村　知宏 , 清水　俊明 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1335-1336

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＜Key Points＞(1)インターネットは容易に必要な情報にアクセスすることができるが、その真偽が担保されているわけではない。(2)食に関する情報は、批判的視線でさまざまな角度から複数で比較吟味し、情報の取捨選択を行う｢リテラシー｣が必要である。

連載

子どもの死(第5回)　新生児死亡　実態、問題点、課題解決のために森崎　菜穂 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1339-1341

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症例

Mycoplasma pneumoniaeによる急性小脳失調症の1例堀江　貞志 , 田中　朋美 , 和田　拓也 , 種市　尋宙 , 足立　雄一 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1342-1345

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10歳女児。発症10日前に39℃の発熱と咳嗽が出現し、近医で抗菌薬を処方された。弛張熱が1週間程度続き、その後解熱して咳嗽も軽減し、発症2日前から学校に登校していた。発症当日(第1病日)の夜から急にふらついて転倒するようになり、第2病日には箸を落としたり呂律が回らなくなったりしたため、第3病日に前医受診した。小脳失調症を疑われたが、頭部CTや血液検査で異常は指滴されず、精査加療目的で第5病日に当科紹介入院となった。咽頭拭い液でのマイコプラズマLAMP法が陽性で、血清マイコプラズマ抗体価(PA法)も10240倍と著明な高値を示した。臨床経過からM.pneumoniae感染後に発症した急性小脳失調症と診断した。入院後は症状増悪なく、むしろ改善傾向にあったため、ステロイドなどの投薬は行わず自宅で経過観察することにし、第6病日に退院とした。症状は比較的速やかに改善し、発症後1ヵ月の時点で日常生活に支障がない程度にまで回復した。急性期の血清検査で抗ガラクトセレブロシド抗体のIgMが陽性であったが、回復期には陰性化した。

水痘罹患歴のない小児に発症した播種性帯状疱疹･髄膜炎の1例西本　彬乃 , 松本　浩 , 野口　崇宏 , 岸本　健寛 , 野村　智章 , 山本　かずな , 座波　清誉 , 茂木　陽 , 野々山　恵章 51巻9号 , 2019年9月 , pp.1346-1348

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水痘ワクチンを1回接種し、明らかな水痘罹患歴がなかったにもかかわらず播種性帯状疱疹･髄膜炎を生じた症例を経験した。症例は13歳女で、播種性帯状疱疹･髄膜炎の原因としてワクチン株VZVによるもの、あるいは不顕性感染した野生株VZVによるものの可能性が考えられ、明らかにするため水疱内容液のウイルス遺伝子解析を行った。VZVのワクチン株と野生株とではgene62の塩基配列が異なるため、一塩基多型(SNP)解析を行うことで両者を鑑別することが可能であり、本例ではSNP解析の結果VZV野生株であることが判明した。