特集 境界領域の診療
外科的疾患 先天性胆道拡張症と膵・胆管合流異常
石橋 広樹
1
,
森 大樹
,
横田 典子
,
島田 光生
1徳島大学病院 小児外科・小児内視鏡外科
キーワード:
術後合併症
,
総胆管造瘻術
,
膵胆管合流異常
,
胆道拡張症
,
胆管切除術
,
病態生理
Keyword:
Choledochostomy
,
Pancreaticobiliary Maljunction
,
Postoperative Complications
pp.1516-1520
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2020041512
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<Key Points>(1)CBDは、総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常で、PBMを合併するものをいう。ただし、肝内胆管の拡張を伴う例もある。(2)PBMとは、解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の形成異常であり、共通管は長く、十二指腸乳頭部括約筋(Oddi括約筋)が合流部に及ばないため、膵液と胆汁の相互逆流により胆道もしくは膵にさまざまな難治性の病態(胆石症、胆管炎、膵炎、膵石など)をひき起こすとともに、胆道発癌のハイリスクな病態である。(3)欧米人に比較して東洋人に多く、半数は10歳以下の小児期に発症し、男女比は1:3で若年女性に多い。成人CBD症例の約20%に胆道癌が合併し、部位別では胆嚢(約60%)、胆管(約30%)に好発する。また、15歳未満の小児でも少数ながら胆道癌合併の報告もある。(4)診断では、超音波検査、MRCP、MD-CTなどの胆道に圧のかからない検査によって総胆管の拡張を確認するとともに、直接胆道造影(ERCP、PTBD、術中胆道造影など)などの画像検査によりPBMを証明する。(5)治療に関しては、CBDは放置すると胆管炎や膵炎などをくり返すのみならず、胆道癌の発生母地であり、若年での癌発症例もあるため、診断確定後はできるだけ早期の手術(肝外拡張胆管切除、肝管空腸吻合術)が必要である。
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