臨床眼科 52巻4号 (1998年4月)

  • 文献概要を表示

(17-D501-10) 網膜剥離に対する硝子体手術後に視野が欠損した症例の中で,網脈絡膜循環障害によると考えられる3眼について報告した。3眼ともに鼻側網膜小動脈は狭細化し,2眼には網膜白点状変性がみられ,螢光造影検査にて網脈絡膜循環障害が確認された。また,1眼には脈絡膜三角症候群が合併した。今回の検索では,34眼中7眼(21%)に視野欠損がみられ,上記以外の2眼にも循環障害の可能性が推測される網膜神経線維層欠損を認めたが,残り2眼には明確な眼底変化はなかった。今回の検討から,網膜剥離に対する硝子体手術後の視野欠損に関連して,網脈絡膜循環障害がかなりの確率で発生する可能性が示唆された。

  • 文献概要を表示

(17-G409-16) 頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF)の結膜充血に対して,レーザースペックル法を用いて結膜血流を測定し経過を観察した。結膜血流はsquare dur rate(SBR)値にて評価した。症例は76歳女性,CCFに対し塞栓術が行われ,症状は改善し結膜血流測定にてSBR値は左右差はなかった。3か月後に再発し右眼SBR値は再発前の7倍まで上昇した。再度塞栓術が行われたが症状およびSBR値に変化なく,放射線治療を行い右眼SBR値は再発前と同程度まで低下した。この症例では,結膜血管のSBR値は結膜充血,眼圧の経過と相関性を示した。同装置を用いることにより結膜血流を定量的に測定し,充血の程度を評価することが可能になった。

  • 文献概要を表示

(17P1−2) 飛来したボールにより片眼に視力障害が生じた12歳と10歳の男児が受診した。視力は,それぞれ0.03と0.3であった。全層性の黄斑円孔があった。円孔の辺縁は不整であり,円孔の蓋や下掘れfluid cuffはなかった。網脈絡膜萎縮が合併していた。後部硝子体剥離は全経過を通じてなかった。格別の治療なしに,受傷からそれぞれ4か月後と3か月後に黄斑円孔は消失した。視力は,それぞれ0.5とO.6に改善した。外傷性黄斑円孔が数か月後に自然閉鎖することを示す症例である。

  • 文献概要を表示

(17-P1-9) 22歳女性が急性リンパ性白血病のために骨髄移植を受けた。その148日後に左眼の中心暗点が突発した。眼底所見と,前房水のPCR法による検査の結果両眼のサイトメガロウイルス網膜炎と診断した。骨髄機能が低下していたので,フォスカーネットの全身投与を行ったが無効であった。さらに病変が進行したので,網膜光凝固術とガンシクロビル硝子体内注入とを行った。右眼の網膜炎は沈静化した。左眼に続発性網膜剥離が生じたが,硝子体手術とシリコンオイル注入で復位が得られた。サイトメガロウイルス網膜炎で迅速な治療開始が必要なことを示す1例である。

  • 文献概要を表示

(17-P2-9) 23歳男性と69歳女性が眼サルコイドーシスによる網膜ぶどう膜炎で受診した。第1例,第2例とも両眼発症であった。副腎皮質ステロイドの局所と全身投与で炎症は寛解したが,高度の硝子体混濁,血管新生,硝子体出血が続発した。第1例では網膜剥離により視力が失われた。第2例では,硝子体手術により視力の改善が得られた。両症例とも当科受診前に,それまでの治療を長期間中断していたことが重症化の一因であると推定された。

  • 文献概要を表示

(18D-15) 加齢黄斑変性症8例8眼に対して放射線照射を行い,その治療効果を検討した。照射方法はCTscan simulation後,眼球後極部に4MV X線にて,2週間にわたり,1回2Gyずつ10回の計20Gyの照射を行った。照射6か月後,新生血管と病巣の大きさは全例で不変か縮小し,拡大した例はなかった。最終観察時には,1眼(12.5%)では変化がなく,いったんは病巣の縮小した7眼(87.5%)のうち2眼(25%)で病巣の瘢痕化が進んだが,5眼(62.5%)で眼底所見が増悪した。治療後最良視力は,改善2眼(25%),不変5眼(62.5%),悪化1眼(12.5%)であり,最終視力は,改善,不変がともに2眼(25%)で,悪化が4眼(50%)であった。現在のところ,放射線によると思われるような副作用はない。加齢黄斑変性症に対する放射線照射は,病巣の瘢痕化を促進し,有効な治療法であると結論される。しかし放射線照射後,病巣がいったんは縮小しても経過中再び増悪する症例が多く,適応や照射方法などについての検討が必要である。

  • 文献概要を表示

(18-G409-25) サルコイドーシスによる両側視神経乳頭腫脹をきたした1例を経験した。症例は22歳男性で,ステロイド40mgからの漸減投与中に前部ぶどう膜炎と血管炎は軽快したが,両視神経乳頭腫脹は悪化した。乳頭腫脹の悪化に対してプレドニゾロンを100mgに増量して漸減投与したが,乳頭腫脹の反応は不良であった。その後ステロイド40mgを約5か月,プレドニゾロン換算6,415mg投与で乳頭腫脹は軽減した。本症例の乳頭腫脹悪化には不十分なステロイド投与と,前部ぶどう膜炎と乳頭腫脹のステロイドの反応性の違いが関与している可能性があり,乳頭病変を伴ったサルコイドーシスにはステロイドの大量かつ長期漸減投与が必要と考えられた。

  • 文献概要を表示

(18-P1-19) 網膜動静脈の閉塞をきたし予後が極めて不良とされる血管閉塞型SLE網膜症にステロイドパルス療法を施行し,有効であった1例を経験した。症例は27歳の女性で,左眼霧視を自覚して受診。矯正視力は右1.2,左手動弁。螢光眼底造影にて右眼は散在性の毛細血管床閉塞とその周囲の血管炎所見,左眼は黄斑部を含んだ広範囲な毛細血管床閉塞と動静脈における造影剤の途絶の所見がみられた。ステロイド内服療法を行うも右眼血管炎は増悪し,視力0.4と低下したためステロイドパルス療法を行った。治療後右矯正視力は1.2に回復し,血管炎ならびに毛細血管床閉塞の改善,ERGの正常化がみられた。

 毛細血管床の閉塞が広範囲に及ぶ前の段階でのステロイドパルス療法は有効であると考えられる。

  • 文献概要を表示

(17-レセ2-13) ぶどう膜炎による続発開放隅角緑内障に対して,マイトマイシンCを併用したトラベクレクトミー(単独群)と超音波乳化吸引術に眼内レンズ挿入術とマイトマイシンC併用のトラベクレクトミー(同時手術群)を行い比較した。単独手術群は33眼で同時手術群は25眼であった。Kaplan-Meier生命表法を用いた検討では,術後20mmHg以下への最終眼圧調整率は単独手術群で0.87±0.08(累積生存率±標準誤差),同時手術群で0.68±0.11(累積生存率±標準誤差)であった。両群問で有意差をみなかった。しかし,術後14mmHg以下への最終眼圧調整率は,単独手術群で0.63±0.09(累積生存率±標準誤差),同時手術群で0.24±0.12(累積生存率±標準誤差)であり,単独手術群が有意に良好であった。濾過胞の生存率は,単独手術群で0.808±0.06(累積生存率±標準誤差),同時手術群でO.50±0.11(累積生存率±標準誤差)であり,単独手術群が有意に良好であった。同時手術は,術後濾過胞が消失しても20mmHg以下への調整率が艮好であったが、単独手術の場合は積極的に濾過胞を作らないと眼圧調整率は不良であった。両群とも術後炎症の再燃はほとんどみなかった。

  • 文献概要を表示

(17-D-15) 高気圧酸素療法(HBO)の網膜動脈・静脈閉塞症に対する長期予後について検討する目的で,治療前視力と加療後6か月以上経過した最終視力とを比較した。動脈閉塞症において,HBO施行群では38%に改善を認めたが,HBO非施行群は18%に改善を認めたのみだった。静脈閉塞症においては,HBO直後に一時的に59%の改善を認めたが,最終視力においては非施行群と比較し改善率が高いとはいえなかった。今回の結果からは,HBOは網膜動脈閉塞症においては有効な治療であるが,網膜静脈閉塞症においては有効な治療であるといえなかった。しかし,HBO以外の多くの因子が関与している可能性があり,HBOのみの効果とは断定できず,今後の検討が必要と思われた。

  • 文献概要を表示

(17-G402-16) 近年の交通機関の発達により,眼感染症の国際的,かつ継続的な疫学,感染経路の解析を目的とした国際サーベイランスの必要性が高まってきている。筆者らは工タノール固定標本の室温輸送とPCR-RFLP法を組み合わせて行い,アジア諸国においてウイルス性およびクラミジア性結膜炎の検出,疫学解析を試みた。その結果,フィリピンの結膜擦過検体の75%からアデノウイルス(Ad)が検出された。その血清型はAd 3が33%,Ad8が60%,Ad37が7%であった。本法は,国際サーベイランスを行う上で有用な方法と老えられる。

  • 文献概要を表示

(17-G409-8) ヌンチャク型シリコンチューブ(nunchaku-style silicone tubing:N-ST)を用いた涙道内シリコンチューブ留置術(direct silicone intubation:DSI)の鼻涙管閉塞への適応を検討した。鼻涙管閉塞20例にN-STによるDSIを行い,70%の症例で治癒した。これは涙嚢鼻腔吻合術(dacryOcystorhinosto-my:DCR)82例の成功率83.9%よりは低いが,涙小管閉塞型24例へのN-STによるDSIの成功率75%とほぼ同じであり,DCRと比べて術中術後の鼻出血が少ないこと,手術時間の短さから鼻涙管閉塞への第一選択治療になりうると考えた。

  • 文献概要を表示

(17-P1-4) 某都市銀行職員19,912名に対しアンケートまたはカルテによる調査を行い,網膜剥離,網膜裂孔の既往の有無を調査した。網膜剥離,裂孔の既往のあったものはそれぞれ25名,23名であった。1993年度の職員の網膜剥離の発生率は人口10万人対25人,網膜裂孔の発見率は35人であった。網膜剥離の発生率の高かった理由は,母集団において剥離の好発年齢層が多かったことのほか,地域性,高学歴などの母集団の特徴が考えられた。網膜剥離の予後は93%が治癒したと答えており,おおむね良好であった。しかし治療結果に不満な例も多く,また何らかの日常生活上の制限を余儀なくされた症例が43%と高かった。就業年齢層の人々にとって,網膜剥離は発生頻度も比較的高く,社会的,精神的負担は決して無視できないものと考えられた。

  • 文献概要を表示

(17-P1-8) 53歳の女性が,約4年前に水腎症による慢性腎不全のために腎移植を受けた。慢性拒絶反応のために4か月前に2度目の腎移植を受けた。慢性拒絶反応のためにシクロスポリンの全身投与を受け,3週間前からタクロリムスを内服している。1週間前からの飛蚊症で当科を受診した。両眼のサイトメガロウイルス網膜炎と診断された。ガンシクロビルの内服で眼底病変は消退しつつあったが,左眼の萎縮網膜に円孔が生じ,網膜剥離が発症した。硝子体手術とシリコン充填で網膜は復位した。以後ガンシクロビル内服で眼底病変は沈静化し、タクロリムスの減量が可能になった。ガンシクロビルの中止以後,網膜炎は再燃していない。

  • 文献概要を表示

(17-P1-16) 症例は46歳男性。主訴は,急性出血性胃潰瘍による失1血後8日目に自覚した左眼中心暗点。高血圧,糖尿病の既往歴はない。初診時,右眼視力O.1(1.2),左眼視力O.04(0.2)で,両眼後極部に網膜出血,軟性白斑を認めた。ヘモグロビン(Hb値)は,約2週問4.7〜9.1g/dlで推移した。胃切除後貧血は改善し,網膜出血も吸収傾向を示した。貧血性網膜症における血液像についての報告は慢性貧血に関するものが主で,急性貧血の例は少ない。急性貧血の例ではHb値が3.Og/dlや5.8g/dlの重症例でも,高血圧,糖尿病を合併した1例を除いて網膜出血はみられず,一過性貧血では網膜出血は生じにくいと考えられた。

  • 文献概要を表示

(17P2-21) 59歳の女性が視力低下で紹介された。初診時の矯正視力は右0.3,左1.0であった。両眼眼底に,乳頭の発赤腫脹,網膜の出血,浮腫,軟性白斑があった。血圧が220/130 mmHgであり,その後の検査で全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された。その後,眼底には異常を認めなかったが,初診から12年後に左眼視力が低下した。左眼眼底に黄斑浮腫,耳側に脈絡膜剥離,下方に網膜色素上皮の萎縮があった。フルオレセイン螢光造影で左眼底の下方に顆粒状の過螢光と,黄斑に色素漏出が見られた。インドシアニングリーン螢光造影で初期像には異常所見がなく,造影後期に樹枝状ないし数珠状の低螢光の領域があった。右眼は正常造影所見を示した。左眼の低螢光所見は,脈絡膜循環障害によると解釈され,SLEの脈絡膜血管炎に伴う脈絡膜毛細管板閉塞が推定された。

  • 文献概要を表示

(17-P2-29) 視神経萎縮をきたした眼窩静脈瘤の1症例を経験した。症例は66歳女性で,40年前より間歇性眼球突出を自覚しており,左眼の視力低下を訴えて来院した。左眼矯正視力は0.5で,視神経は萎縮していた。頭部X線撮影で左眼窩内側に石灰化があり,X線CTならびにMRIでは同部位に造影効果を有する腫瘤性病変がみられた。眼窩静脈造影では左上眼静脈に造影剤の貯留,停滞が観察され,これらの所見より本症を眼窩静脈瘤と診断した。この静脈瘤は視神経や外眼筋と隣接しており,発症から長期間が経過し,石灰化も進展していることから破裂の可能性は低いと考え,保存的に経過観察中である。

  • 文献概要を表示

(17-P3-7) 泣き入りひきつけを起こし,母親が慌てて揺すったり叩いたりしたことにより発症した生後5か月のshaken baby syndromeの1例を報告した。外傷,骨折はなかったが,頭部CTでは硬膜下血腫を,両側眼底後極部には網膜前出血を認めた。出血は右眼が約30日,左眼が約60日で黄斑部透見可能となり90日で完全に吸収され,生後10か月の視力は両眼とも0.11と良好であった。黄斑透見可能となった時点で健眼遮閉治療を開始したが,重篤な弱視は発生しなかった。また再発防止のためには,養育者に揺さぶりの危険性を知らせる必要があると思われた。

  • 文献概要を表示

(18-レセ1-27) サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎が初発病変であった成人T細胞白血病(ATL)の2症例を経験した。1例は45歳の男性で,CMV網膜炎の発症後,基礎疾患の検索の結果慢性型ATLと診断された。CMV網膜炎はガンシクロビルの全身投与により消退し,ATLが化学療法により寛解状態となった後は,CMV網膜炎はガンシクロビルの投与中止後も再発はない。他の1例は76歳の女性で,CMV網膜炎発症時,human T cell Lymphotropic virus type1(HTLV-I)キャリアの状態であったが,半年後にくすぶり型ATLが発病した。両例ともCMV網膜炎発症時にCD4+リンパ球数は正常であったが,CD8+リンパ球数が低下し,CD8+リンパ球数の低下がCMV網膜炎の発症に関与する可能性が推定された。

  • 文献概要を表示

(18-レセ1-30) 1989年1月から1996年9月までに当科を初診し,1年以上経過観察ができた原田病患者64症例を,遷延型と非遷延型に分けて臨床的特徴を比較検討した。消炎のため1年以上ステロイド剤の投与が必要であった症例を遷延型と定義した。その結果,遷延型は64例中16例(25%)を占め,非遷延型と比較して,視力予後,全身および眼合併症に差はなかった。遷延型の再発部位は前眼部に多く,またプレドニゾロン1日投与量を10mg前後にまで減量した時期に多かった。

  • 文献概要を表示

(18-レセ1-32) 当科で交感性眼炎と診断された16症例を,外傷後発症群と術後発症群に分類し,その臨床像について比較検討を行った。16症例の内訳は,外傷後発症群が4例,術後発症群が12例であり,年次別推移でみると術後発症例の増加傾向がみられた。年齢,性別,発症までの期間,眼所見,眼外症状,髄液所見,HLAなどを比較したところ,いずれも両群間に有意差はなく,発症の契機の違いによる病像の差異はなかった。両群とも副腎皮質ステロイド薬の全身投与を中心とした治療を行い,予後はおおむね良好であったが,9例で炎症が遷延化した。

  • 文献概要を表示

(18-レセ2-10) 原発開放隅角緑内障(POAG)14例25眼と,年齢を適合させた正常眼圧緑内障(NTG)15例27眼を対象に,Nerve Fiber Analyzerによる網膜神経線維層厚の評価とHumphrey Field Analyzerによる視野の評価を1年の間隔をおいて2回施行した。POAG群とNTG群ともに,1年の間に網膜神経線維層厚は有意に減少していたが,視野に有意な変化はなかった。どちらの群においても,網膜神経線維層厚の減少と視野障害の進行の間に有意な相関はなかった。緑内障眼における網膜神経線維層厚の減少と視野障害の進行は必ずしも一致していない可能性が推定された。

  • 文献概要を表示

(18-レセ2-21) 炭酸脱水酵素阻害剤の副作用の1つである低カリウム血症の予防のためにカリウム製剤の併用が一般的であるが,場合によっては高カリウム血症を生ずる危険性がある。筆者らは長期に炭酸脱水酵素阻害剤とカリウム製剤を内服している緑内障患者38名(55.7±16.8歳)に対してカリウム製剤の併用を約2か月中止し,血清カリウム濃度の変化を検討した。カリウム製剤中止前後の血清カリウム値は,中止前4.00±0.3/mmol/1から中止後4.00±0.35mmol/1と有意差はなく,炭酸脱水酵素阻害剤の投与に際してカリウム製剤の投与はおおむね必要ないと考えられた。

  • 文献概要を表示

(18-D-16) 加齢黄斑変性の中心窩下脈絡膜新生血管に対する放射線治療の長期経過(10Gy30か月,20Gy24か月)を報告する。6か月以内に悪化傾向のみられた60歳以上の症例で,螢光造影で証日月された中心窩にかかる新生血管板に対し,10Gy (2Gy×5日間),20Gy (2Gy×10日間)を各々15眼に照射し1同条件をみたす無治療症例16眼とretrospectiveに比較した。血管板の変化は無治療群よりも治療群で良好な傾向がみられた。最終視力が0.1を超える率は10Gyで20%,20Gyで53%,対照群で0%と,治療群で有意に高く(p<0.01),視力の悪化をvisual angleの2倍以上の変化とするとき,20Gy群で視力不変以上の率が47%と,対照群の13%に比べて有意に高かった(p<0.01)。

  • 文献概要を表示

(18-D501-7) 中心性漿液性網脈絡膜症の90例91眼にインドシアニングリーン(ICG)螢光造影を行った。本症のICG造影の所見は,造影早期の螢光漏出点周囲の低螢光を75%,脈絡膜静脈の拡張を21%,網膜下への螢光漏出を85%に認め,造影中期以降の脈絡膜の著しい異常過螢光を87%に認めた。各所見の陽性率は,年代間には有意差をみなかったが,急性群と慢性群を比べると造影早期の低螢光が慢性群に有意に高かった。以上の成績から,本疾患の原発病巣は脈絡膜血管の透過性亢進であり,血液の液性成分が血管外に漏出して脈絡膜に組織液が貯留し,その結果二次的に網膜色素上皮が傷害されると思われた。

  • 文献概要を表示

(18-D501-11) 網膜動脈瘤が疑われた15例16眼にICG螢光眼底造影とフルオレセイン螢光眼底造影(フルオ造影)を行い,その所見を検討した。網膜動脈に連なる動脈瘤を検出できたのは,ICG造影では16眼中15眼(93.7%),フルオ造影では2眼(12.5%)であった。動脈瘤の拍動は,フルオ造影では検出困難であったが,ICG造影では16眼中10眼(62.5%)に検出できた。動脈瘤の拍動は,出血後,比較的早期の新鮮な症例に著明であった。ICG造影では,フルオ造影で出血に被われて検出不能な動脈瘤も,造影早期から動脈瘤の輪郭が造影された。造影晩期では動脈瘤からICG色素の漏出がみられたが比較的軽度,限局性で,動脈瘤の輪郭が明瞭に検出された。動脈瘤を被う高度の出血を生じた例では,ICG造影による動脈瘤の検出にはICG造影のほうがフルオ造影よりも有用で,正確にその輪郭と部位を同定することができた。

  • 文献概要を表示

(18-D501-18) 裂孔原性網膜剥離患者におけるニューキノロン系抗菌薬スパルフロキサシンの,網膜下液中および血清中への移行性について検討した。裂孔原性網膜剥離手術を施行した20症例20眼を対象とした。患者は手術施行2日前からスパルフロキサシン100mgを1日1回夕食後に内服し,手術当日は手術施行約4時閻前に同剤100mgを内服した。手術時に採取した網膜下液中および血清中のスパルフロキサシン濃度は,高圧液体クロマトグラフィーにより測定した。網膜下液濃度の中間値は0.41μg/ml,血清濃度の中間値は0.71μg/ml,血清から網膜下液への移行率は中問値で67%であった。本薬剤の良好な眼内組織移行性が示された。

  • 文献概要を表示

(18-D501-31) 後部硝子体牽引が関与していると推定される糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術の成績を検討した。対象は過去8年間に手術を行った21例26眼である。年齢は平均56.2歳,術後観察期間は7〜61か月,平均23.4か月であった。術後最良視力が3段階以上上昇した症例を著効例とすると,術前に格子状光凝固が行われていた症例では14%,行われていない症例では58%で顕著な視力改善があった(p<0.05)。新生血管を伴う症例では27%,伴わない症例では60%が著効と判定され,黄斑部に顕著な硬性白斑がある症例の55%,ない症例の40%が著効と判定された。嚢胞様黄斑浮腫と黄斑上膜の有無は,視力予後に影響しなかった。症例数が少なく,今後の検討を要するが,硝子体手術は新生血管がない症例と格平状光凝固が行われていない症例より有効である可能性が示された。

  • 文献概要を表示

(18-G402-1) 長期間放置され,偏位角の大きい35歳男性の外斜位近視に斜視手術を行った。良好な眼位が得られ,片眼視下の近視性乱視の球面度数も軽減した。斜位近視の発症機序について,輻湊を初期の急速反応とその後の緩徐な緊張性反応に分けるSchoの説を引用し,成長過程での正位化に必要な両眼の像のズレを求めて緊張性反応を自己抑制し,このために生じた外斜偏位を急速反応で打ち消そうとして輻湊性調節が惹起されて近視化すると考察し,本例では加齢による輻湊力の低下も加わってより強い近視化が生じたと考えた。

  • 文献概要を表示

(18-G402-6) 地図状脈絡膜炎様の所見を呈したサルコイドーシス(以下,サ症)の1例を経験した。症例は22歳男性で,サ症の組織診断例。両眼後極部の網膜深層に散在する滲出斑,周辺部に広範な網脈絡膜萎縮層がみられた。螢光眼底造影では,後極部では病巣部は初期には低螢光,晩期には過螢光を示し,周辺部の網脈絡膜萎縮巣では晩期でも低螢光が持続し,病巣の辺縁のみ過螢光を示した。インドシアニングリーン造影では病巣部は全経過を通して低螢光であった。地図状脈絡膜炎の一因として,サルコイドーシスの関与が考えられた。

  • 文献概要を表示

(18-G402-12) 網脈絡膜炎型ベーチェット病患者37例61眼をultrasound biomicroscopyを用いて観察し,毛様体扁平部厚について検討した。ベーチェット病眼の毛様体扁平部厚は正常眼と比べ有意に厚く(p<0.0001),発作後2週未満の眼は2週以上の眼よりも有意に毛様体厚は厚かった(p=0.0003)。毛様体扁平部厚は測定前1年間の平均眼スコアとの問に正の相関があった(r=0.747,p<0.0001)。前部硝子体内に点状反射像のみられた眼は,みられなかった眼や正常眼と比べ毛様体扁平部厚は有意に肥厚していた(p=O.OO3,p<0.0001)。Ultrasound biomicroscopyによる毛様体扁平部厚の測定は,毛様体扁平部炎の新たな評価法として臨床的価値が大きい。

  • 文献概要を表示

(18-G409-12) 角膜切開超音波白内障手術で問題とされている術後眼内炎の発生頻度と,術中合併症の対処法および予後について検討した。術後眼内炎は1991年から1996年の9,050 眼中9眼で発生し,頻度は0.1%で,強角膜切開によるものと同等だった。9眼中4眼で腸球菌が検出されたため,1996年より術中の眼内灌流液にイミペネム/シラスタチンの添加を始めた。以後,4,841眼で眼内炎の発生はない。後嚢破損は1996年の2,710眼中97眼(3.6%)で生じたが,IOL挿入中断や瞳孔偏位はなかった。角膜切開は前部硝子体切除が容易で後嚢破損時には有利であると思われた。創口の熱損傷は16眼(0.6%)で生じたが,創の閉鎖不全はなかった。

  • 文献概要を表示

(18-G409-18) 1985年6月から1997年4月までに埼玉医科大学総合医療センターにおいて施行した,吹き抜け骨折整復術300例の予後を検討した。予後は複視が消失した治癒217例(73%),複視の一部が消失した改善73例(24%),術前と変わらなかった不変10例(3%)であった。術前下転障害を伴った骨折は132例で,治癒は66例(50%)と予後不良であった。受傷後1か月以内に整復術を行った群は218例で,178例(82%)に治癒を得たが,1か月〜2か月の群では57例中36例(63%),2か月以上経過した群では25例中3例(12%)に治癒を得られたのみで,整復術は受傷後早期のものほど予後良好であった。

  • 文献概要を表示

(18-G409-29) 有痛性眼球癆をきたした2症例に対して眼球摘出術を行い,病理組織学的検討を加えて報告した。症例1は61歳,男性。左眼の穿孔性眼外傷によって眼球癆となってから17年後に眼痛を自覚した。摘出した眼球内に多量の骨組織がみられ,病理組織学的にも脈絡膜から毛様体に著明な骨形成がみられた。症例2は58歳,男性。左眼の外傷後,続発性網膜剥離および緑内障をきたして有痛性眼球癆となった。摘出した眼球内にシリコンオイルと眼内レンズがみられ,病理組織学的には虹彩・毛様体に著明な炎症細胞の浸潤がみられた。

 症例1は骨形成による毛様体への刺激,症例2は炎症による毛様体への刺激が原因で有痛性眼球癆をきたしたものと考えた。

  • 文献概要を表示

(18P1-11) 症例は66歳の男性。右眼飛蚊視を主訴に当科を受診した。初診時,右眼鼻上側周辺部に限局性の滲出斑と軽度斑状出血がみられた。やがて滲出斑は増大し,白線化した血管もみられ,炎症所見は増悪した。当初桐沢型ぶどう膜炎を疑い,アシクロビルなどの投与を開始したが,採取した前房水のPCR法によるウイルスDNA検索の結果,サイトメガロウイルスが検出された。ガンシクロビル投与に切り替え,炎症所見は鎮静化した。全身検査の結果,免疫不全を示唆するものはなかった。ガンシクロビル投与中止後9か月経過した現在でも再燃はなく,良好な視力を維持している。

  • 文献概要を表示

(18P1-34) 片眼は検眼鏡的に網膜色素変性症に一致する所見を呈するものの,他眼は検眼鏡的所見のみならず,視機能検査などに異常のない片眼性網膜色素変性症の2症例を経験した。両症例における患眼の螢光眼底所見では色素沈着部の脈絡膜充盈欠損がみられ,視野ではそれぞれ中心性狭窄を示した。暗順応検査では症例1の患眼は第二次暗順応曲線が著しく障害され,また症例2では患眼の暗順応閾値が上昇していた。さらにERGではいずれの症例でも患眼は明らかな異常所見を示し,EOG検査でもL/D比は各々低下していた。しかし,両症例の他眼には異常な検査所見は全くみられなかった。また発症に遺伝的因子が関与しているか否かについては,2症例とも明らかではなかった。以上のことから筆者らが経験した2症例は,両眼性の定型的網膜色素変性症とは異なる,片眼性の非定型例と考えられた。

  • 文献概要を表示

(18-P2-44) 症例は79歳男性で,約20年前に右眼の翼状片手術を他院で受けたが,再発したため翼状片手術とβ線照射を行った。2年後の再診時,右眼鼻側に強膜軟化病巣を生じていたため,強膜被覆の目的で右眼表層角膜移植を行った。しかし,術後3週には移植片が融解し,ホスト角膜融解も進行し,角膜穿孔創が出現したため,強角膜被覆の目的で本人の大腿筋膜片を右眼に移植した。現在まで術後5か月の経過観察で,移植片の生着は良好で強膜軟化症の進行はない。大腿筋膜移植は強膜軟化症に効果的な方法と思われた。

  • 文献概要を表示

(18-P3-12) 上下半視野いずれかに局所性の視野障害を示す正常眼圧緑内障(NTG)17例17眼と正常人9例9眼を対象に,Heidelberg Retina Flowmeter (HRF)を用いて,乳頭周囲網膜組織血流量の測定を行った。正常眼の網膜上下の血流量には差がなかったが,NTG眼では,耳側上下,上下鼻側において視野障害側に一致する網膜は非障害側と比較し有意に血流が低下し(p<0.002),上下耳側ではFlow,Velocityでのみ認められた(p<0.028)。その血流量の低下と網膜感度低下量には有意な相関関係がみられた(p<0.05)。以上の結果より,NTG眼では視野障害進行と網膜組織血流障害に密接な関連があることが示唆された。

  • 文献概要を表示

(18-P3-13) 緑内障では網膜神経線維層厚(NFLT)の菲薄化が視野欠損に先行する。筆者らは,網膜厚測定装置(RTA)を用いて緑内障症例の網膜厚を測定し,間接的にNFLTを評価した。症例は66歳の女性。7年前より両眼緑内障の診断で加療されていたが,眼圧コントロール不良であった。右眼視野障害が進行したので当科を受診した。視神経乳頭より耳側下方へ拡がる神経線維層欠損があり,ハンフリー静的視野検査でマリオット盲点より鼻側上方へ拡がる視野欠損を認めた。RTAで網膜厚を測定したところ,上方視野欠損に一致して黄斑部耳側下方網膜の菲薄化があった。RTAは緑内障におけるNFLTの評価に有用である可能性が示唆された。

  • 文献概要を表示

(18-P3-15) 緑内障が併発した網膜静脈分枝閉塞症5眼の視神経乳頭の形状解析を行った。解析にはscanninglaser tomographyを用いた。視神経乳頭縁では,網膜静脈分枝閉塞症の発症範囲と網膜表層の形状には相関はなかった。乳頭周辺部では,網膜静脈分枝閉塞症の発症からの時間経過とともに,その範囲に一致して網膜表層が陥凹する傾向があった。これは視神経萎縮を反映する所見と解釈された。

  • 文献概要を表示

(19-レセ2-6) 長崎大学眼科にて手術を行った水晶体脱臼患者14名14眼の水晶体脱臼原因,視力変化,眼圧,合併症などを修復手術術式の変遷に応じて検討した。原因は特発性8眼,外傷性5眼,先天性1眼で,部位は後方亜脱臼9眼,硝子体内完全脱臼は5眼であった。平均年齢は62.6±21.8歳であった。手術術式として冷凍子や輪匙による水晶体全摘出術,前部硝子体切除術,硝子体切除術,眼内レンズ毛様溝縫着術を行った。術前合併症は虹彩炎,高眼圧が多く,6眼にみられた。術後合併症は高眼圧6眼,網膜剥離3眼であったが,高眼圧および出血は一過性であった。水晶体脱臼の治療は硝子体手術,眼内レンズ毛様溝縫着術の導入により,重篤な術後合併症が少なく,視力は向上した。

  • 文献概要を表示

(19-レセ2-1) 超音波乳化吸引手術(Phacoemulsification and aspiration:PEA)を安全に進めていくうえでの重要なリスク項目をあげ,スコア化してチェックした。チェック項目は,①前房深度,②チン小帯強度③核硬度,④散瞳状態,⑤角膜状態,⑥患者・術者の要素の6項目で,点数方式で4段階に分け,6点から24点で採点した。チェックは執刀医が術前と術中に行った。297眼をチェックした結果,15点以下は術前と術中とも271眼(91.2%)を占め,そのうち1眼に合併症がみられた。しかし16点以上の21眼中7眼(33.3%)に合併症を認め,術式選択のうえで課題を残した。術者間による差は考えられるものの,リスクスコアチェックはPEAを安全に進めていくうえで有用と考えられた。

  • 文献概要を表示

(19-C-1) 1996年までの6年間に,名古屋市立城北病院新生児集中治療室で管理された,出生体重1,500g未満の160例を対象とし,前半の60例と後半の100例に分けて比較検討した。後半で未熟児網膜症(ROP)の発症,重症化率は少なく,生後早期に低血圧を示した症例の割合も減少していた。低血圧がROPに与える影響を検討したところ,全症例において低血圧例にROPの発症,重症化が有意に多くみられた。以上から,近年の未熟児の循環管理の向上が,ROPの発生,進行を抑制しており,また低血圧はROPの危険因子であることが示された。

  • 文献概要を表示

(18-P1-26) 黄斑部に1/2乳頭径以上の硬性白斑の沈着がある重症糖尿病黄斑浮腫に対し,硝子体手術にて後部硝子体剥離を作成し,術後視力と眼底所見について検討した。黄斑部硬性白斑の直接除去は行っていない。対象は,1995年4月〜1997年3月に手術を行い,術後6か月以上経過観察可能であった7例8眼である。

 術前と術後最高視力の比較で2段階以上の視力改善は,8眼中6眼(75%)でみられた。術後12か月以上経過観察可能であった5眼では,全例で硬性白斑は縮小傾向にあった。術前視力0.1以上の症例と比べて,術前視力0.1未満の症例では術後視力が不良であった。

  • 文献概要を表示

(18-P1-36) 片眼に星状硝子体症(AH)を合併したインスリン非依存性糖尿病網膜症患者8例16眼における後部硝子体剥離の網膜症の進行への影響をretrospectiveに検討した。AH眼では完全後部硝子体剥離の発症は3眼と少なかった。完全後部硝子体剥離を生じた眼では全例網膜症の進行をみなかった。AH眼で,後部硝子体未剥離は5眼と多く,黄斑症の発生や網膜症の増悪をみた。AHは後部硝子体の状態を介して網膜症に影響を与える。

  • 文献概要を表示

(18-P2-17) メルケル細胞癌は高齢者の頭頸部,特に頬部に好発する比較的稀な腫瘍である。今回筆者らは,早期に診断,加療できたメルケル細胞癌を経験した。

 症例は67歳の女性。左上眼瞼縁の3×5mm径の暗赤色腫瘤を主訴として受診し,生検でメルケル細胞癌が疑われたため,瞼板を含めた眼瞼腫瘍切除術および眼瞼形成術を行った。また全身検索の結果,画像上縦隔リンパ節への転移が疑われた。術後経過は現在機能障害,醜形も見られず良好である。

 メルケル細胞癌は稀ではあるが,悪性度が高い。しかし生検による早期発見で,早期治療が可能と考身られる.

  • 文献概要を表示

〈撮影データ〉

 症例は円錐角膜の18歳男性です。眼痛と開瞼困難を主訴に受診し,矯正視力は0.07でした。デスメ膜破裂直後で,角膜混濁をきたしていました。

 フォトスリットは通常,正面から撮影していますが,今回初めてカメラ本体を横一杯に動かし,突出部を強調するように工夫して撮影しました。

連載 今月の話題

  • 文献概要を表示

はじめに

 近年,特発性黄斑円孔や加齢黄斑変性などの黄斑疾患が硝子体手術の適応となり,硝子体手術の様相も大きく変貌した。しかし糖尿病網膜症は,依然として硝子体手術の主要な適応疾患であることに変わりはない。本稿では,糖尿病網膜症に対する硝子体手術について,現在まで蓄積されてきた知見を整理し,より良い手術成績を得るためのポイントを筆者なりに述べてみたい。

連載 眼の組織・病理アトラス・138

角膜内皮の創傷治癒 猪俣 孟
  • 文献概要を表示

 角膜内皮細胞corneal endotheliumは角膜の透明性維持に最も大切な細胞である。角膜内皮細胞は神経堤由来であり,ヒトでは一般に増殖能がないといわれている。しかし,in vitroでもin vivoでも,角膜内皮細胞には増殖能があることが実証されている。すなわち,死後の角膜内皮に傷をつけて器官培養すると,3H-thymidineの取り込みが起こり,細胞分裂のためのDNAが合成される。また,角膜中央部を冷凍凝固して内皮細胞を損傷させた後,眼球を摘出して器官培養すると,内皮細胞は3H-thymidineの取り込みや細胞分裂像を示し,増殖能があることがわかる。

 家兎角膜は内皮細胞の再生が活発であるので,角膜内皮の創傷治癒機構の研究は,もっぱら家兎眼を用いて行われてきた。家兎角膜中央部に鋭利な刃物で貫通した切創を作り,創傷治癒の状態を観察すると,角膜上皮細胞側では切創の中に上皮細胞が増殖侵入して2日以内に創面を埋める。角膜実質は実質細胞の増殖によって膠原線維が増生され,創面が接着する。しかし内皮細胞側では角膜実質細胞が侵入せずに,フィブリンが充満する。切創縁に残っている内皮細胞が創傷後24時間で増殖を開始し,創傷後4〜8日で後面の傷を完全に覆う(図1)。再生した角膜内皮細胞は細胞の実質側に新たにデスメ膜を形成する。全層角膜移植でも同様の創傷治癒反応が起こる。

連載 眼科手術のテクニック・101

  • 文献概要を表示

 今回は手術後の前房出血の量とその処置について解説する。

 正しくシュレム管が切開されると,前房への血液の逆流は結膜縫合の頃に起こりだし,手術終了時にはかなりの量の血液が前房内に逆流していることもある(図1-1,2)。

  • 文献概要を表示

 4年前から肝硬変症を合併した肝細胞癌に罹患している40歳の男性が,2週間前からの左眼視力障害と眼痛で受診した。高眼圧と前房出血があった。前房出血の消退後,鼻側の虹彩に灰黄色の血管が豊富な結節状の腫瘤が発見された。39日後に死去した。腫瘤部の組織学的検索で,肝細胞癌由来の虹彩転移癌であることが判明した。

  • 文献概要を表示

 眼ベーチェット病患者に対するステロイド薬の全身投与による治療効果について再評価を試みた。対象はベーチェット病と診断された61例で,平均診察期間は6年4か月,そのうちステロイド投与群は20例,非投与群は41例である。視力の転帰で比較すると,経過観察期間の長短にかかわらず,ステロイド投与群で有意に視力低下,不良例が多くみられた。眼炎症発作回数でもステロイド投与群2.5±2.0回に対して非投与群1.5±2.7回と,投与群に発作回数が有意に多かった。しかし,ステロイド非投与群のなかでも視力低下群に限れば,徐々に発作回数が増加していた。視力と発作回数で判断する限り,眼ベーチェット病の治療にステロイド薬の全身投与はふさわしくないことが再確認された。

  • 文献概要を表示

 8か月前に右眼白内障手術を受けた尿崩症を有する79歳の女性が,霧視を訴えて来診した。矯正視力は術後0.6から0.2へ低下し,右眼圧は0mmHgであった。眼底に脈絡膜皺襞と黄斑浮腫がみられ低眼圧黄斑症と診断した。バゾプレシン投与を開始して尿量が正常化し,血液および尿浸透圧が改善するにつれ,眼圧は回復し視力も上昇した。尿崩症という多量の尿排泄がいわば高浸透圧利尿薬のように作用し,白内障手術眼に低眼圧黄斑症をきたしたと考えられた。内眼手術後の晩期合併症として生じる低眼圧の原因として稀ではあるが尿崩症も鑑別し,患者の尿量にも注意を要する。

  • 文献概要を表示

 自動非接触眼圧計(CT-70,トプコン)の臨床評価を行った。外来初診患者259例の378眼を対象とし,本装置とゴールドマン圧平眼圧計(GAT)で眼圧を測定した。本装置による眼圧値は,連続3回の値の平均値を採用した。両装置による眼圧値には有意に高い相関があった(p<0.0001)。本装置による眼圧値はGATによるよりも低く出る傾向があった。一次回帰式として,CT−70=0.823+0.911×GATが得られ,相関係数は0.819であった。両者の眼圧差は+6〜−7rnmHgの間にあり,その標準偏差は2.1mmHgであった。本装置による眼圧値の97.4%は,非接触眼圧計に規定されている基準の許容範囲内にあった。

  • 文献概要を表示

 1週間前から左眼に違和感があり,前日から視朦を自覚した54歳女性が受診し,左眼のPosner-Schlossman症候群と診断した。グリセリンの急速点滴の後,アセタゾラミド250mgを内服させた。その日の午後,フルオレセインによる螢光眼底造影を行った。夕方帰宅後にアセタゾラミド250mgを内服した。その1時間後から発熱し,全身の掻痒感が出現した。翌朝,腹部と両上肢屈側に紅皮症が生じていた。嘔気があり,血圧低下があった。患眼の眼圧は下降していた。プレドニゾロンとグリチルリチン製剤の全身投与を行い,1週間後には紅皮症は消退した。誘発試験は行わなかったが,アセタゾラミドの内服が紅皮症の誘因となった可能性がある。

第51回日本臨床眼科学会専門研究会1997.10.17東京

  • 文献概要を表示

 さる1997年10月17日,第51回日本臨床眼科学会に併せて,専門別研究会の1つとして『東京国際フォーラム・ホールD』で,第31回日本ぶどう膜炎・免疫研究会が開催された。演題内容はベーチェット病,原田病,サルコイドーシスに関する演題が約半数を占めたが,ウイルス性眼内炎の報告,あるいはHIV感染や仮面症候群などの免疫不全に関連した話題も多かった。世話人である東京医大の臼井正彦教授の辞で会は始まり,座長として藤田保健衛生大の原田敬志講師(第1〜5席),東大の藤野雄次郎助教授(第6〜9席),秋田大の桜木章三教授(第10〜14席),国立大阪南病院の春田恭照部長(第15〜19席),北大の小竹聡講師(第20〜24席)がそれぞれ担当された。以下に演題を振り返るが,字数制限のため要旨を述べるにとどめ,また敬称も省略した。

色覚異常 市川 一夫
  • 文献概要を表示

 色覚異常に関する教科書の記載や名称についての討論の要望があったので,小シンポジウムを企画した。

 1.高校生物教科書における色覚異常の記述の問題  点      岩崎雅行(福岡大,理,生物) 高校生物の教科書における「先天赤緑色覚異常」についての記載は,不正確であったり,正しいものでも必要十分なものではないことを実例をあげて報告した。その多くは,先天赤緑色覚異常の中には第1色覚異常と第2色覚異常があり,また色盲と色弱の区別,色弱にも程度差があるのに,赤緑異常の中でも最も程度の重い色盲を代表的な用語として用いることが原因であると報告した。

眼科と東洋医学 仲河 正博
  • 文献概要を表示

 第51回日本臨床眼科学会専門別研究会「眼科と東洋医学」部門が東京国際フォーラムにて開催された。

 今回は一般演題7題と教育講演「眼科の充血と漢方」にて会が催された。

基本情報

03705579.52.4.jpg
臨床眼科
52巻4号 (1998年4月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

文献閲覧数ランキング(
3月23日~3月29日
)