臨床泌尿器科 64巻4号 (2010年4月)

特集 泌尿器科検査のここがポイント

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 毎年4月の日本泌尿器科学会総会にあわせて,『臨床泌尿器科』では毎年増刊号が発行されています。医学書院の方によりますと,毎年評判は上々で,学会場で増刊号を手にとり買い求めていただく先生が多いそうです。ありがたく感謝いたしております。今年の増刊号は「泌尿器科検査」をテーマとして取り上げ,Q and A形式で84項目を解説しています。

 すでにお気付きの先生も多いかと思いますが,実は4年前の増刊号も同じテーマでした。にもかかわらず,あえて今回も「検査」を取り上げたのは,4年前の増刊号の評判が良く,続編の要望が多く寄せられたからです。

A 問診

A 問診 泌尿器科領域の問診

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要旨 泌尿器科外来診療において,問診はそのスタートラインに位置し,非常に重要なものである。問診に際しては患者の訴えに耳を傾ける姿勢を保ち,知的ゲームを楽しむ感覚で臨む。主訴をきちんと把握し,現病歴を的確に聞いていく。併せて,既往歴,家族歴,生活・職業歴をきちんと押さえる。問診を行う医師はその責任を十分認識するとともに,患者から信頼を得るように努力していく必要がある。

A 問診 泌尿器科領域の遺伝性疾患に関する問診

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要旨 患者の診察において十分な問診・病歴聴取は非常に重要であることは,いうまでもない。一部の紹介患者などを除いて,初診時から遺伝性疾患であると診断がついている症例は極めて稀である。日常外来の短時間で,問診を通して遺伝性,非遺伝性疾患の鑑別診断を判断する必要がある。もちろん,おのおのの遺伝性疾患における特異的な遺伝形式,症状,所見を理解しておくことは極めて重要であり,それを知らなければ,いくら典型的な所見が揃っていても診断には至らず,患者の損失は,はかりしれない。本稿では泌尿器遺伝性疾患の問診について述べる。

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要旨 EDに関連する疾患は多岐にわたるうえ,性機能を話題とすることに対する羞恥心に配慮するためにも,自己記入式問診票は有用である。心因性EDの治療は精神科医にゆだねるべきであり,器質性因子について明らかにしておくことが泌尿器科医の役割であるだろう。PDE5阻害剤による治療の適応となる患者に対しては,性に関する問診よりも既往症や身体状況を問診することのほうが重要である。若い患者や未完成婚の患者など,根治的な治療をめざすべき患者に対しては病因の診断につながる問診を行うことが重要である。患者のプライバシーや診療時間を考えると,問診票でスクリーニングし,治療法を念頭に置いて問診内容を掘り下げるという方法が推奨される。

A 問診 射精障害患者への問診

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要旨 射精障害は,①自慰・腟内射精とも不能(逆行性射精とemission lessの2型),②腟内射精のみ不能,③射精時間の異常(早漏・遅漏),④その他,に分類される。射精障害患者の問診では,この病型分類を念頭に置きながら,初めてマスターベーションをした時期など13項目のポイントを漏れ落としなく患者より聴取することが重要である。射精障害用の問診票はMSHQ 25やその簡易版のMSHQ-EjD Short Formが国際的に使用されているが,validationされた日本語版の作成が期待されるところである。

B 身体診察

B 身体診察 腹部の診察

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要旨 腹部診察により得られる理学的所見は,近年広く普及した超音波検査,CTスキャンなどにより軽視される傾向にある。しかし,いまだに理学的所見により,治療方法,手術適応などが判断されることもあり,重要な意義を持つ。このため,腹部診察方法を系統的に理解することが重要である。視診,聴診,打診・叩打診,触診の手順で,それぞれのポイントを確認しながら行うことが重要であり,研修医はもちろん,熟練した医師においても,ときどきそのポイントを再確認しておくことが必須である。

B 身体診察 陰茎の診察

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要旨 陰茎の診察に関する私見を述べる。陰茎の診察はプライベートな部分の診察なので,十分な説明と同意が必要である。成人と小児では診察法も対象疾患も異なってくるので,それぞれ工夫が必要となってくる。また,最近症例が増えているEDに関しても,プロスタグランディンなどの血管作動薬を用いた検査を行う必要があり,正しい手技を身につけるべきである。さらに,陰茎の生理的な徴候を病変と判断すると患者の利益を大きく損なうので,正しい判断を行うように心掛ける。

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要旨 女性が外陰部に痛みや出血といった違和感を覚えた場合,さらにそれらの症状が排尿に伴って認識される場合には,患者は婦人科でなく泌尿器科を受診する可能性も高い。

 このため,泌尿器科医が婦人科関連疾患についての知識を持つことは重要である。そこで,本稿では,泌尿器科医にとって,外陰部の診察において役に立つ情報を解説する。

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要旨 陰囊,鼠径部の診察は問診に続いて,視診,触診が行われる。手順として小児であるか成人であるか,緊急性の有無,全身性疾患の局所所見か局所性疾患かを常に念頭に置くことが肝要である。視診では,陰毛および外性器の発育状態,手術瘢痕,皮膚の性状,静脈怒張の有無,瘻孔の有無などを観察し,触診では,表層だけでなく深部も十分に触知する。鼠径部ではヘルニアやリンパ節,陰囊では精巣,精巣上体,精管,精索の大きさ,硬さ,腫脹などについて触知する。精巣挙筋反射も必ず行う。鑑別すべきものには,腫瘍,炎症,血管病変,奇形などがあり,疾患は多彩である。

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要旨 直腸診は,比較的簡単に行える前立腺の状態をチェックする方法であり,前立腺肥大症の重症度や前立腺癌の病期診断にも有用である。したがって,正しく前立腺の所見を記載することは,前立腺疾患の診断・治療に重要である。

B 身体診察 泌尿器科領域の神経系検査

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要旨 神経学的検査の役割は,下部尿路機能障害や性機能障害の原因となる神経障害の有無をスクリーニングすることにある。歩行,表情,発語,腰仙部の皮膚の異常にも注目する。表在知覚,肛門トーヌス,肛門随意収縮,挙睾筋反射,球海綿体反射を検査する。挙睾筋反射は,反射弓(大腿神経→L1-2→陰部神経),錐体路に障害があるときに減弱,消失する。球海綿体反射は仙髄や末しょう神経の障害で反射が減弱,消失し,脳または仙髄よりも高位の脊髄の障害で反射が亢進する。

C 尿検査

C 尿検査 尿一般検査

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要旨 尿検査は被検者への負担が少なく,腎・尿路系疾患のみならず,糖尿病などの代謝性疾患,肝・胆道疾患,溶血性疾患の早期発見,病態理解のために欠かせない検査である。採尿にあたっては随時尿(新鮮尿),早朝尿,カテーテル尿,蓄尿がある。試験紙で判定が可能な異常尿には尿蛋白,血尿,尿糖,ビリルビン尿,ケトン尿,ウロビリノゲン尿などがあり,スクリーニング検査として有用であるが,一方では偽陽性と偽陰性に注意を払うことも必要である。

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要旨 血尿は尿路疾患の重要な症候の1つであるが,その原因は多岐にわたる。検査に用いる試験紙には過酸化物と還元型色原体が含有されており,試験紙上で赤血球を溶血させて,ヘモグロビンのペルオキシダーゼ反応を検出して発色をさせる。尿潜血反応検査にはスクリーニング検査としての意味が大きいが,陽性の場合の高次検査には,生命に危険を及ぼす疾患を発見できること,広い範囲の病変発見に寄与すること,侵襲が低いことを条件とすれば,超音波検査,血清免疫グロブリン測定,尿細胞診検査,50歳以上の男性の前立腺特異抗原(PSA)測定と前立腺の直腸指診が挙げられる。

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要旨 尿は人体の排泄物として,患者に苦痛を与えずに,最も容易で多量に,かつ繰り返し採取できるため,検査材料として好適のものである。

 尿沈渣中に見られる有形成分は,腎に由来する各種円柱,尿路の各部から混入する血球,上皮細胞,異型細胞(癌細胞),細菌,その他,尿中に析出する各種結晶など多様である。尿沈渣成分の種類とその量を観察することは,腎・尿路系疾患の鑑別と,その程度を知るうえで極めて重要である。また,多項目尿試験紙による尿定性検査ですべて正常だった例の20%の患者尿が沈渣陽性であり,その検査法と所見の判読に習熟しておきたい。

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要旨 尿細胞診は患者に余計な侵襲を加えることなく,何度でも採取できるという点で有用な検査方法である。しかし,標本作製時に塗抹細胞がスライドガラスから剝離しやすく,適切な細胞採取や検体処理が行われないとアーチファクトが加わりやすいといった問題点がある。そのため,適切な方法で標本を作製することが望まれる。

 尿細胞診の検鏡方法は,まず低倍率にて細胞成分の多さと背景を確認し,高倍率で個々の細胞と集塊を観察していく。出現細胞の形状は尿検体の種類,標本作製方法によって影響を受けることを念頭に置きながら,核形,N/C比,核クロマチン量などを判読し,核溝の存在やpair cellの出現を考慮しながら良悪性の鑑別を行っていくことが重要である。

C 尿検査 細菌検査

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要旨 尿路感染症の起炎菌においても耐性菌分離の頻度が高くなりつつあり,尿培養検査で起炎菌を分離し,抗菌薬感受性試験を行うことは,適切な治療を行ううえで重要である。また,尿道炎においては,正確な起炎微生物の診断が適切な治療を行ううえで重要であり,性感染症の感染制御という点からも,より高感度で診断が可能な核酸増幅法の活用が必要である。

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要旨 尿道炎における尿道分泌物は特徴的な臨床所見として,さらに,病原微生物の検出を可能にすることにより診断と治療に役立つ。慢性前立腺炎における前立腺圧出液は,その性状の分析と疾患の分類により治療法の選択に役立つ可能性があり,前立腺の診察とともに重要な泌尿器科的手技である。

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要旨 男性不妊症の診断の基本は精液検査である。検査方法には,血球計算盤から精子濃度自動分析(CASA)などがあるが,同一検体を用いても検査法により結果が異なることが問題である。特に,Makler計算盤は,原液で精子濃度と運動率が測定できることより簡便であるが,正確性に欠けることより推奨されていない。本稿では,精液検査標準化ガイドラインを基に精液検査の方法と注意点を記す。ガイドラインでは,精子運動率はスライドグラスを,精子濃度は希釈・不動化後に血球計算盤を用いて測定することが推奨されている。精液検査のポイントとしては,複数回施行すること,禁欲期間や搬送方法などの影響を加味すること,検査技師は定期的に精度管理することなどが挙げられる。

D 器械的検査

D 器械的検査 カテーテル 尿道カテーテルの挿入

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要旨 尿道カテーテルの挿入に際しては,下部尿路の解剖を理解し,そのイメージを念頭に置いて施行する。一般に比較的安全に施行できるが,十分な知識と適切な技術がなければ,尿道損傷などの合併症を生じる可能性がある。また,男性の導尿法の基本は,カテーテル挿入時に陰茎をしっかりと把持して尿道を十分に伸展させることである。挿入困難な症例を早期に診断し,必要に応じて挿入方法を変更すべきである。

D 器械的検査 カテーテル 尿道カテーテルが挿入困難なとき

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要旨 尿道カテーテルが挿入困難なときには,下部尿路の解剖を理解し,そのイメージを念頭に置いて施行する。挿入困難な症例を早期に診断し,必要に応じて挿入方法を変更すべきである。また,挿入困難が予想される場合には,対応可能な準備を行う。尿道損傷症例では膀胱瘻造設を躊躇せずに行う。

D 器械的検査 カテーテル 尿管カテーテルの挿入

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要旨 尿管カテーテル法は,日常診療の中で頻繁に行われる最も重要な手技の1つである。この手技は泌尿器科医にとって必須の手技であるが,患者の苦痛に配慮しつつ,安全かつ迅速に行うことは意外に難しい。最近普及が進んでいる軟性膀胱鏡を用いた尿管カテーテル法は,特に男性においては疼痛緩和効果が高く有用である。尿管カテーテル法の多くは外来ベースで行われており,安全かつ迅速に行うためのポイントを解説する。

D 器械的検査 カテーテル 尿管ステントの留置・管理

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要旨 尿管閉塞による上部尿路の通過障害に対する処置としては,腎瘻造設と尿管ステント留置術が行われる。①嵌頓尿管結石,②悪性腫瘍やリンパ節腫大による尿管外からの圧迫,③尿管狭窄,④膿腎症などがこれらの適応となるが,尿管ステントは腎瘻と比較して低侵襲であり,日常的なカテーテル管理が不要など,さまざまな面でQOLが維持されるというメリットがある。留置時に最も注意すべき合併症は,尿管損傷とステントの尿管内迷入であり,長期留置例では結石形成や閉塞,そして,稀ではあるが尿管動脈瘻の形成に注意が必要である。

D 器械的検査 カテーテル 腎盂カテーテルの挿入・管理

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要旨 腎瘻造設術は,尿管ステント留置術とともに尿管の閉塞時の対処法として身に付けておくべき手技である。特に腎後性急性腎不全をきたしている患者で尿管ステント留置が行えない,または不成功に終わった場合は,緊急処置として行う必要がある。尿管ステント留置と比較して,出血や他臓器損傷などの合併症の危険性が高く,十分な知識と確実な技術を習得し,トラブル時の対処法を熟知しておくことが重要である。

D 器械的検査 尿道ブジー 尿道ブジーの挿入

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要旨 尿道ブジーは,尿道通過障害に対して,特に尿道炎,外傷や尿道になんらかの処置を受けた既往のあるものに対して,狭窄の計測ないしその拡張のために施行されてきた。軟性内視鏡の発達により種々の方法が開発されている。本稿では,尿道ブジーの種類,その手技のコツについて述べる。

D 器械的検査 尿道ブジー 尿道狭窄術後の尿道ブジー

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要旨 尿道狭窄は,前部尿道の瘢痕化による内腔の狭小をいい,その原因は大きく先天性,後天性に大別できる。多くは後天性で,最近は医原性のものが多い。これに対して尿道ブジーを行うが,その頻度,間隔については明確なエビデンスが確立されていない。だが,定期的,長期的経過観察が必要である。本稿では,尿道狭窄術後の管理について解説する。

D 器械的検査 膀胱瘻 膀胱瘻の造設

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要旨 尿閉状態で経尿道的に導尿できない場合や,脊髄損傷,脊髄腫瘍,二分脊椎などによる神経因性膀胱に対して恒久的な膀胱瘻造設が行われる。最近は市販の膀胱瘻設置用セットが利用でき,比較的簡単に膀胱瘻造設ができる。しかし,合併症が皆無とはいえず,いくつかの注意点がある。本稿では膀胱瘻造設の方法と注意点を解説する。

E 内視鏡的検査

E 内視鏡的検査 膀胱尿道鏡 硬性鏡の種類と特徴

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要旨 最近では,男性の膀胱尿道鏡検査は,軟性膀胱鏡による検査が主流となっており,硬性鏡が使用される頻度は下がってきている。しかし,硬性鏡検査は経尿道的切除術をはじめとする内視鏡手術における内視鏡の扱い方の基礎となるものである。男性と女性では尿路の解剖が異なり,特に男性の尿道挿入時には立体的解剖学的理解が必要である。硬性鏡検査は被験者に負担がかかる検査であり,検査時間を短時間にするためにも,事前の準備と習熟を怠らないようにすることが大切である。

E 内視鏡的検査 膀胱尿道鏡 硬性鏡での観察

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要旨 硬性膀胱尿道鏡検査のコツは,短時間に要領よく検査を終わらせることである。被験者にあらかじめ検査の必要性と疼痛,不快感などについてよく説明し,初心者のうちは指導医のもとで,時間をかけずに見落としなく検査を行うことが大切である。

E 内視鏡的検査 膀胱尿道鏡 軟性鏡の種類と特徴

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要旨 軟性膀胱鏡は柔軟性があるため,患者に対する侵襲が少なく,外来での検査に適している。光学ファイバーを用いた軟性膀胱鏡と先端にCCD(charged coupled device)のついたビデオスコープがある。軟性膀胱鏡のほうが低価格だが,患者や介助者も画像を参照できること,画像の保存が可能なこと,解像度が優れていることなどから,今後はビデオスコープが主流になっていくと思われる。軟性鏡は洗浄や消毒で不適正な扱いをすると,硬性鏡に比較して破損しやすいため十分な注意が必要である。

E 内視鏡的検査 膀胱尿道鏡 軟性鏡での観察

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要旨 軟性膀胱鏡検査の基本手技について述べる。灌流液は生理的食塩水を用い,患者は仰臥位とする。内視鏡は利き手に持ち,ゼリーの尿道内への注入は必要ない。尿道内で内視鏡を進める場合は,尿道内腔が必ず画面の中央に来るように屈曲・回転させる。まず右の尿管口をダウンで観察,尿管間靱帯に沿って左尿管口を観察する。尿管口がみつかりにくい場合は,頂部の気泡や頸部を目安にオリエンテーションをつける。軟性鏡に不慣れな人は内視鏡の屈曲・挿入・回転を別々に行うとよい。“見返り”で膀胱頸部や三角部を観察する。血尿が強い場合は気体を注入する。ビデオ内視鏡や内視鏡用カメラヘッドを使えば画像の記録・保存は容易である。

E 内視鏡的検査 尿管鏡 硬性尿管鏡

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要旨 硬性尿管鏡は下部尿管の観察・処置が絶対的適応であるが,症例によっては腎盂,上腎杯までの観察が可能である。硬性尿管鏡の処置にあたっては,①ガイドワイヤーをセーフティワイヤーとして用いること,②常にガイドワイヤーを視野に入れ,尿管の内腔を確保しながら尿管鏡を上行させ,「尿管鏡を押すのではなく,引きながら挿入する」という意識で行うこと,③尿管の可動性が悪い場合は無理をしない,ということが重要で,「硬性尿管鏡は尿管の可動性があって初めて挿入可能である」という原則を考慮して行わねばならない。

E 内視鏡的検査 尿管鏡 軟性尿管鏡

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要旨 最近の軟性腎盂尿管ファイバースコープは,①スコープの細径化,②大きな先端彎曲角,③3Frサイズの処置具が使用可能なワーキングチャンネルを装備,と進化し,またガイドワイヤー,アクセスシースなどの補助機器の改良,進歩によって適応が広がっている。いかに手元の操作を先端に伝えられるかが観察,処置のポイントである。①操作部は左手で持ち,スコープ本体は右手で持つ,②男性の場合は膀胱鏡外筒を尿道,膀胱に留置し,手元の操作をスコープ先端にうまく伝えるようにする,③透視を併用し,上腎杯,中腎杯,下腎杯の順に系統だった観察を行う,④スコープの出し入れを行う処置の際はアクセスシースを用いる,などが要点である。

F 尿路機能検査

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要旨 尿流測定は,尿排出機能の評価を必要とする場合に適応となる。通常の青壮年においては,少なくとも150ml以上の排尿量であれば,男性では最大尿流率15ml/s,女性では20ml/s以上を正常とすることが多い。膀胱容量(排尿量)によって影響を受けるため,より正確な評価を行いたい場合には,Sirokyのノモグラムを使用する。尿流測定の結果は下部尿路機能評価の1つに過ぎず,多くの因子が関係するデータであり,幅のあるデータとして,経時的な推移の評価やスクリーニング評価として捉えるほうがよい。

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要旨 検査環境などによって排尿ができない場合には,環境の整備が重要である。ほぼオムツ状態・寝たきり状態での評価は,残尿測定により,排出機能障害の程度を評価せざるを得ない。排尿のタイミングを知るため,場合によってはオムツセンサーなどの併用も考慮する。残尿量の評価であるが,臨床的には50ml以下であれば残尿はなしとみなし,100ml以上であれば明らかな残尿があると判断する。

 尿量が少ない場合の評価には,膀胱容量によって最大尿流率の標準値を示したSirokyのノモグラムが参考となる。

F 尿路機能検査 尿流動態検査法 プレッシャーフロースタディ

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要旨 プレッシャーフロースタディは,尿流測定時に膀胱内圧を同時に記録して,膀胱出口部の閉塞の程度や,膀胱収縮力などの評価が必要な場合に適応となる。評価法としては,膀胱内圧と最大尿流率の関係をグラフにしたAbrams-Griffithsのノモグラム,Schäferのノモグラムを用いて,個々の症例の結果を当てはめて診断を行う。実際には,前立腺肥大症に対する術前の手術効果予測に用いられることが多い。

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要旨 膀胱内圧測定は,圧トランスデューサーを用いて膀胱内圧を経時的に測定する検査である。通常,膀胱内圧測定を単独で行うことは少ない。直腸内圧測定,尿道括約筋筋電図,尿流測定と同時に行い,プレッシャーフロースタディとして評価することが多い。排尿筋過活動とは,膀胱注入相の不随意な排尿筋収縮を特徴とする尿流動態検査所見である。排尿筋低活動では,排尿筋収縮力の低下または収縮時間の短縮により排尿時間が延長したり,正常な時間内では膀胱を空にできなくなったりする。

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要旨 尿道内圧測定(urethral pressure measurement)は尿道内腔を押し広げる圧力に対する抵抗値を連続的に測定する検査で,この検査で得られる尿道全長にわたる尿道内圧を示す曲線を尿道内圧曲線(urethral pressure profile:UPP)といい,膀胱内圧測定検査の際に付随して行われることが多い。最大尿道閉鎖圧が低値の場合,括約筋機能不全が疑われる。しかし,尿道内圧曲線は静的な状態で測定されるものであるので,動的な下部尿路閉塞を評価するにはプレッシャーフロースタディを行うべきである。

F 尿路機能検査 尿流動態検査法 外尿道括約筋筋電図検査

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要旨 外尿道括約筋筋電図検査は,蓄尿,排尿時に外尿道括約筋の筋活動が保たれているか否か,障害されている場合にはどのように障害されているかを診断するために行われる。通常,それ単独で行われることはなく,膀胱内圧測定やプレッシャーフロースタディと同時に行われる。簡便性を考慮し,表面電極が用いられることが多い。外尿道括約筋の筋活動が消失している病態を無抑制括約筋弛緩といい,排尿時に外尿道括約筋の筋活動が増強する病態を排尿筋外括約筋協調不全という。

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要旨 腎盂の拡張(水腎症)は必ずしも尿路閉塞によるものとは限らないことから,定量的に閉塞を評価する方法としてウィタカー試験が提唱された。水腎症の診断で重要なのは,腎機能障害(または症状)の原因となるか,あるいは今後腎機能障害を引き起こす可能性はあるか,閉塞を解除することにより腎機能が回復できるか,腎機能障害の進行を予防できるか(外科的療法の適応),にある。ウィタカー試験(変法を含む)は尿路閉塞の評価には優れているが,こうした疑問に対する回答手段としての有用性は低い。この検査法が活躍できるのは,痛みや尿路感染(時に尿路結石)で発症した年長児以降の水腎症と考えられ,閉塞の有無や閉塞部位の特定に有用である。

G X線検査

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要旨 腎尿管膀胱単純撮影は腹部単純撮影の1種であり,腎臓,尿管,膀胱を特に意識するために腎尿管膀胱単純撮影と呼ばれる。検査の対象は尿路結石,血尿,腹痛,後腹膜腔疾患,骨盤内臓器疾患,腹部外傷,尿路異物であり,ステント・カテーテル・ドレーンの位置確認にも使用される。尿路疾患以外では腸管閉塞,腹腔内液体貯留,骨格の異常などの情報が得られる。上腹部の肋軟骨の石灰化像や動脈石灰化像,リンパ節石灰化像,あるいは骨盤内の静脈結石像は尿路結石と鑑別する必要があり,それらの石灰化像の特徴を説明した。

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要旨 造影剤が腎臓から排泄されるので,排泄性尿路造影と呼ばれる。静脈注射した造影剤が腎より排泄される状態を撮影するので,尿路の解剖学的,機能的な情報が得られる。以前は尿路腫瘍や血尿のスクリーニング検査であったが,現在はその役割は終えた。CTと比較して,排泄性尿路造影では腎杯や腎髄質乳頭部の微細な変化が敏感に検出される。また尿路の全体像を一目で確認でき,左右の腎機能が比較できる。尿路結石の存在部位や尿路の閉塞状態の把握に排泄性尿路造影は最適である。

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要旨 排泄性尿路造影では非イオン性ヨード造影剤が使用され,軽症副作用の発現頻度は3.1%,重症副作用は0.04%と報告されている。造影剤による副作用を事前に予知する方法はないので,重症な副作用が生じたら即座に対応できる体制で検査を実施する。造影剤の投与によって腎機能障害が進行することがあり,検査前の腎機能評価は重要である。安易に造影剤を使用すべきではなく,その使用適応を明確にする。医療事故につながる危険もあり,患者には副作用も含めて十分なインフォームド・コンセントを行う。

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要旨 逆行性腎盂造影(retrograde pyelography:RP)は,近年CTやMRI,内視鏡検査などの画像診断技術の発達により,適応とされる機会が少なくなってきている。しかし,上部尿路の通過障害や血尿の原因を調べるだけではなく,分腎尿細胞診の採取による上部尿路悪性腫瘍の診断確定にも応用するこができる。また同時に,尿管カテーテル留置を行うことで通過障害の解除を行うことも可能であり,本法は泌尿器科領域において非常に重要な役割を占める手技である。本稿では,本法の適応や方法のコツ,基本的読影法について報告する。

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要旨 経皮的順行性腎盂造影(percutaneous antegrade pyelography:PAP)は腰背部より直接腎盂・腎杯に穿刺し,そこより造影剤を注入し,腎盂・尿管を描出する方法である。超音波検査や排泄性尿路造影(IVU),CT,MRI施行も腎盂・尿管の描出が不良であり,逆行性腎盂造影(RP)にても,病変部より上方の造影が不可能なときや,子宮癌の浸潤などで尿管口がわからないときなどが適応となる。しかし,近年のMRIやCTの進化にて,適応は減少していると考えられる。体位は腹臥位で,超音波診断装置を用いて腎杯に向けて穿刺する。造影前に,必要に応じて尿培養や尿細胞診を提出する。読影は,RPと基本的に同じであり,狭窄部位の特定や陰影欠損像などを確認する。

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要旨 泌尿器科でのX線検査(造影検査)において,逆行性膀胱造影および排尿時膀胱尿道造影は,外尿道口よりカテーテル挿入という侵襲的な手技が必要となる。また排尿時の撮影が必須となるが,患者に苦痛・負担を与えやすい検査である。しかし,この検査を行うことで,下部尿路の形態・機能の異常の有無,先天性疾患の有無を精査することが可能であり,水腎症(特に胎児期診断)を認めた患児,尿路感染症を繰り返す患児では,VUR(vesicoureteral reflux:膀胱尿管逆流症)の有無などを検討するために必須の検査である。

 この検査を行ううえで,患者の負担を軽減しながら,必要な検査を行うために必要と思われる工夫などを含め,われわれが行っている検査方法を明記した。

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要旨 逆行性尿道膀胱造影は尿道外傷や尿道狭窄の診断に必須の検査であり,検査方法や読影方法を熟知する必要がある。方法は,陰茎を牽引しながら造影剤を緩徐に注入し,斜位と仰臥位の2方面から撮影を行い,造影剤の尿路外への溢流や狭窄部位を確認する。この病変部が振子部尿道,球部尿道,膜様部尿道,前立腺部尿道,膀胱頸部のどの位置にあるかを読影する。尿道損傷が疑われない場合は,造影を行う前にネラトンカテーテルを膀胱内に挿入し,残尿を抜いた後,カテーテルから空気を膀胱内に注入し,カテーテルを抜去する方法がよい。また,前立腺肥大症では,前立腺部尿道の延長像,前傾,鞘状拡張,膀胱頸部挙上が認められる。

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要旨 鎖膀胱尿道造影は,チェーンを尿道に留置しながら膀胱を造影し,尿道・膀胱の形態を調べ,腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱の診断に用いられる検査である。実際には,金属製の鎖を尿道から専用の器具を用いて膀胱内に挿入・留置し,膀胱内に200~300mlの尿路系造影剤を注入したうえ,立位での安静時と怒責時の側面像,正面像を撮影する。当院では,骨盤臓器脱症例には,膀胱だけでなく腟管,場合により直腸や小腸も同時に造影し,鎖膀胱尿道造影を施行している。

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要旨 精管欠損を除く閉塞性無精子症に対しては,精路再建手術が第1選択である。精管精囊造影は,精巣上体管を除く精路閉塞部位を確定するために行われるが,同時に精管内溶液の精子の有無も検査する。精管精囊造影が不注意に行われたなら,精管狭窄や精管閉塞の原因になり,精路再建手術を難しくする。最近この検査が減っている理由には,経直腸的超音波検査の普及,鼠径ヘルニア手術による医原性の精管閉塞の減少の可能性,妻の高齢化,産婦人科医の適切なインフォームド・コンセントの不足,男性患者が入院治療を避ける,などが考えられる。

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要旨 画像機器の進歩に伴って,診断のみを目的とした腎血管造影を行う機会は減少している。現在は腎動脈狭窄部位の詳細な把握,腎腫瘍・術後出血などで出血部位の確認,腎動脈瘤,腎動静脈奇形の形態や分枝血管の把握など,IVRの前段階としての役割が大きくなっている。本稿では,腎血管造影の種類,適応,画像所見について概説する。

H CT検査

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要旨 泌尿器科領域でのCTの適応は,尿路結石,尿路上皮腫瘍,腎腫瘤,副腎腫瘤,血管性病変(動静脈奇形,動脈瘤,動脈狭窄,動脈解離),腎梗塞,腎盂腎炎(膿瘍形成の有無),腫瘍性病変の転移検索などが挙げられる。尿路結石の診断には,単純CTが第1選択となる。腎腫瘤にはダイナミックCTが病変の鑑別に有用である。尿路上皮腫瘍に対してはCT urographyが有用とされており,血尿を主訴とするハイリスク群の患者に対し第1選択の検査となりつつある。

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要旨 充実性腎腫瘍のうち,最も頻度の高いのは腎細胞癌であるが,病期分類はCT,MRIによる評価が中心である。腫瘍の浸潤範囲,静脈内進展の有無,リンパ節転移の有無,遠隔転移の有無がポイントとなる。T2とT3aの鑑別は困難とされているが,マルチスライスCTを用いた1mm厚の評価では脂肪浸潤の有無を高い感度,特異度で指摘できる。一方,MRIのT2WIで偽被膜を確認することも有用である。また,マルチスライスCT,MRIではいずれも任意の断面で評価することで周囲組織への浸潤も評価できる。静脈進展の有無について,造影CT,造影MRIは同等の診断能を有する。局所浸潤の評価はCT,MRIで任意の断面で評価できる。

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要旨 膀胱腫瘍のステージ診断(ステージング)はMRIが有用とされるが,近年マルチスライスCTの普及により,従来よりも薄いスライスでのデータ収集が可能となり,CTにおいてもMRIと同様の多方向からの断層面の情報を再構成画像で得ることができる。造影CTでは腫瘍は濃染され,腫瘍のコントラストがより明瞭となる。また,CTは広範囲を高速に撮像可能なために,転移検索と同時に原発巣の評価を行うことができる。

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要旨 3次元CTはマルチスライスCTの普及と画像処理ワークステーションの発達によって可能となり,MPR(multi planar reformat)画像は通常のCT診断時にごく普通に利用されるようになった。また,泌尿器科領域においてはCT angiographyとCT urographyが一般化し,血管造影,経静脈的尿路造影は減少するに至った。いずれも,良好な画像を得るためには,造影剤投与と撮像タイミングが重要である。読影の際には,元画像で描出されている病変が処理の過程で欠落してしまうことがあり,3次元CT画像は補助的な画像としての位置付けである。

I MRI検査

I MRI検査 泌尿器科領域のMRI

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要旨 MRIは,その卓越した画像コントラストから,泌尿器科領域においても非常に有効な画像診断方法である。ただし,強力な磁場と電波を使用するために体内金属には注意が必要であり,ガドリニウム造影剤も高度な腎障害患者には使用できない。近年では,高磁場MRIと高速撮像法が一般化し,T2強調像,T1強調像といった基本的な画像コントラストのみならず,新しいコントラストである拡散強調像も利用され,診断能が向上している。MRIの適応に加えて,基本的な撮像方法と読影方法を理解することは,泌尿器診断学においても重要な要素である。

I MRI検査 腎腫瘍のMRI

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要旨 腎癌の中でも淡明細胞癌と乳頭状腎癌の画像を呈示し,それぞれのMRI画像の特徴を述べた。腎癌は,一般的に非特異的かつ不均一な像を呈し,腫瘍に圧迫された腫瘍周囲の腎実質の反応性の変化である偽被膜を有するものが多い。偽被膜は線維組織が多いので,T2強調画像で腫瘍を取り巻く低信号帯として描出される。鑑別診断として,腎血管筋脂肪腫,腎盂腫瘍,リンパ腫などがあり,それぞれのMRI画像の特徴も記載した。腎血管筋脂肪腫との鑑別診断には,脂肪抑制T2強調画像も参考になる。しかし,脂肪成分の乏しい腎血管筋脂肪腫やオンコサイトーマとの鑑別診断は現時点では困難である。

I MRI検査 前立腺癌のMRI

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要旨 前立腺癌は,①T2強調画像で低信号,②造影MRIで早期濃染,③拡散強調画像で拡散低下を示す。しかし,そのMR画像には,さまざまなパターンがあり,辺縁域と移行域の癌でもかなりの違いが認められる。MRI-targeted transperineal template prostate biopsy(MTTB)によって得られた知見を基に,前立腺癌のMR画像を5群に分けた。このパターン分類により,前立腺癌のMR画像をよりよく理解できるものと思われる。

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要旨 膀胱癌の病期診断において,MRIは,高いコントラスト分解能と自由度の高い撮像断面が特長であり,特に壁深達度診断において中心的役割を担う。しかし,MRIは,空間分解能の限度から小さな腫瘍の描出は困難であり,スクリーニング検査としての有用性は膀胱鏡に比べて劣っている。診断に際しては,MRIの有用性と限界を認識したうえで総合的に判断する必要がある。本稿では膀胱癌各ステージのMRI画像を提示し,鑑別診断についても解説する。

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要旨 腎・副腎領域においてMRIがCTに比べ優れている点は,①微量な脂肪成分の検出,②偽被膜の描出,③出血の観察,④非造影下での尿路病変の評価,⑤拡散運動の画像化(別稿に譲る)がある。In-phaseからopposed-phaseにおける信号低下により微量な脂肪の存在を検出する方法は,副腎皮質腺腫の有力な診断法である。T2強調画像で腫瘤と非腫瘤部との間に線状の低信号帯(偽被膜)があれば,腎細胞癌やオンコサイトーマを考える一助となる。また,腎囊胞の内部に出血や感染を生じたcomplicated cystの診断にもMRIは有用である。さらに,MRIであれば非造影下でも尿路病変の評価をある程度行うことが可能である。

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要旨 拡散強調画像(DWI)は,従来脳神経領域の診断に利用されてきた撮像法であるが,細胞密度が高い組織でプロトンの拡散が抑制される現象を利用して,体幹部悪性腫瘍の検出,質的診断,病期診断に近年使用されるようになってきた。DWIではいくつかの正常組織,腫瘍,膿瘍,血腫などが高信号を呈する。膀胱癌では有茎性腫瘍の茎がDWIで低信号として描出されるため,筋層浸潤の有無の評価に有用である。DWIでは前立腺癌と正常組織とのコントラストが高いため,T2強調画像と併用することで検出率が向上する。腎腫瘍の鑑別診断への寄与には一定の見解が得られていないが,有用性を報告した文献が散見される。化学療法や放射線治療の効果判定への有用性も期待されている。

J 核医学的検査

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要旨 腎シンチグラフィは,使用する核種と検査内容によって動態シンチグラフィと静態シンチグラフィとに大別される。

 腎動態シンチグラフィはRIを注入直後より腎~尿管を経時的に連続撮像する検査法で,使用する核種は99mTc-MAG3と99mTc-DTPAの2種類がある。いずれもレノグラムにより,血管相,分泌相,排泄相を描出して,腎機能や上部尿路の閉塞の有無を左右別に表示する。さらにMAG3では有効腎血漿流量を,DTPAでは糸球体濾過率を知ることができる。

 腎静態シンチグラフィは核種として99mTc-DMSAを用い,分腎機能検査として皮質の形態把握(腎瘢痕の有無)と機能の定量評価(摂取率をカウント)が可能である。

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要旨 副腎シンチグラフィは,使用する核種と検査内容によって副腎皮質シンチグラフィと副腎髄質シンチグラフィとに大別される,臨床上重要な副腎核医学検査である。

 副腎皮質シンチグラフィは,RI標識したコレステロールの副腎皮質への取り込み度合い(集積)を画像化する検査法である。患側の集積増強だけでなく対側の集積抑制も重要な所見となる。使用する核種は131I-アドステロール®で,クッシング症候群,サブクリニカルクッシング症候群の診断に主として用いられる。

 副腎髄質シンチグラフィは交感神経終末細胞の中のクロム親和性細胞へ特異的に取り込まれる131I-MIBGを用いることにより,副腎原発褐色細胞腫や(副腎外)パラガングリオーマを描出する検査法である。

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要旨 泌尿器科疾患,特に悪性腫瘍においては,術前の骨転移の有無の評価および化学療法の効果判定において,骨シンチグラフィは非常に有用な検査手段である。骨シンチグラフィ読影においては,専門家である放射線科医と協力して評価するのは当然のことであるが,泌尿器科医としても骨シンチグラフィの基礎的な読影技術を身に付けることは非常に有益である。本稿では骨シンチグラフィの集積原理,読影の基礎になる正常像の評価ならびに生理的に集積が増加する部位について解説を試み,実際の骨シンチグラフィ像の読影を,転移を有する症例および転移を有さない症例について具体的に解説を試みた。

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要旨 泌尿器科診療における副甲状腺疾患としては,原発性副甲状腺機能亢進症・二次性副甲状腺機能亢進症に伴う腺腫・過形成・癌などが考えられる。これらの副甲状腺疾患は大きさが小さいこと,および異所性に存在する頻度が高いことから,副甲状腺シンチグラフィを用いた局在診断が有用な疾患と考えられてきた。最近のCT,MRI,エコーなどの画像診断技術の進歩により,副甲状腺においてもかなりその検出率が向上してきているが,異所性のものについてはシンチグラフィが必要になることが多い。また,99mTc-MIBI(methoxyisobutylisonitrile)シンチグラフィでは従来用いられていた201Tl-99mTcサブトラクションシンチグラフィよりも検出率が向上してきている。本稿では副甲状腺シンチグラフィの集積原理,読影の基礎と,症例に基づく実際の副甲状腺シンチグラフィ像の読影を解説する。

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要旨 膀胱機能障害を生じる神経疾患の中でパーキンソン病(PD),多系統萎縮症(MSA)は重要である。これらの疾患は自律神経系に変性・障害を起こすが,その進展様式には差異がある。[123I]MIBG心筋シンチグラフィーは心臓交感神経の節後線維の障害を反映し,PDでは早期から心臓への集積が低下・欠損する。しかし,中枢性・節前性障害を主体とするMSAでは集積は保たれる。これらは,膀胱機能障害が交感神経系,副交感神経系のいずれを主体とするか,また末しょう性,中枢性のいずれであるかという点を鑑別するうえでも有用である。

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要旨 FDG-PET検査は,全身のあらゆる領域の腫瘍診断の検査ツールの1つとして重要な役割を果たしている。しかし,泌尿器科系の悪性腫瘍においては腫瘍への集積頻度・集積程度が低く,初発時のルーチン検査としてFDG-PETを行うのは適切でない。だが,治療方針の変更を伴う場合のstagingの補助診断や,治療効果判定・再発早期診断などにはCTやMRIなどの形態画像検査では得られない貴重な情報を得られる可能性があり,FDG-PET検査の施行を検討する価値があると考えられる。FDG-PET検査の施行にはさまざまな注意点があるので,それらを理解して適切な条件下で検査を行う必要がある。

K 超音波検査

K 超音波検査 各種臓器の超音波検査 腎への超音波検査

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要旨 被検者の体位や呼吸法,探触子の扇動走査,平行走査,多方向アプローチなど重要なポイントがある。チェック項目は腎の大きさ,形,エコーレベル,中心部エコーの変化,さらにカラードプラ法の使用などである。腎囊胞は境界明瞭で球形,内部は無エコーになり,後方エコーは増強する。腎腫瘍には良性,悪性があるが,前者では腎血管筋脂肪腫が最多で,悪性の代表は腎細胞癌で多くは境界明瞭の充実性腫瘤である。カラードプラ法では,腫瘤内に豊富な血流シグナルを認める。水腎症は中心部エコー像の解離が特徴で,高度な水腎症では腎囊胞との鑑別が困難である。拡張した腎盂・腎杯と尿管との連続性を確認し,鑑別する。

K 超音波検査 各種臓器の超音波検査 膀胱への超音波検査

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要旨 尿を十分に貯留させた状態で検査を行うことが最も重要である。膀胱腫瘍の診断には内視鏡が最も優れているが,抗凝固薬使用中や前立腺肥大が重度で内視鏡的な観察が困難な場合は,超音波検査を初めに行うことは非常に有用である。膀胱腫瘍は不整な膀胱壁の肥厚として描出される。多くは膀胱内に突出する腫瘤で表面に石灰化を伴うこともある。表在性の非浸潤性腫瘍は膀胱粘膜内に留まっていることが多く,有茎性腫瘍として描出されることが多い。浸潤性腫瘍は広基性のことが多い。腫瘍部分における膀胱壁の肥厚・不整などから壁外への浸潤を確認する。腫瘤部分はカラードプラで血流を認めることもある。

K 超音波検査 各種臓器の超音波検査 超音波検査による残尿測定

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要旨 超音波診断装置を用いた残尿測定法としては,経腹的超音波操作による測定のほかに,残尿測定専用の携帯型3次元超音波装置(Diagnostic Ultrasound社製Bladder ScanTM BVI 6100)が挙げられる。いずれも診断装置で計測した値を用い,近似式で推定残尿量を算出する方法である。『前立腺肥大症診療ガイドライン』や『過活動膀胱診療ガイドライン』,『男性下部尿路症状診療ガイドライン』では,残尿量(ml)=(長径×短径×前後径)/2の近似式が示され,誤差率は60%とされる。残尿量の判定については,前述のガイドラインに照らし合わせた場合,有意な残尿量として50ml以上,前立腺肥大症の領域別重症度判定に必要な測定値は50ml以上と100ml以上である。この基準の判定であれば超音波計測の誤差範囲内で十分評価可能であり,臨床現場においては侵襲性の面からも推奨される測定法である。

K 超音波検査 各種臓器の超音波検査 前立腺への超音波検査

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要旨 前立腺疾患の診断超音波検査は,簡易で低侵襲に施行可能な検査方法である。また,そこから得られる情報も多いため,患者にとって非常に有益であるといえる。一方で,針生検時には必須なガイダンスツールとなり,その技術・診断方法などの習熟は泌尿器科医にとって必須である。経直腸的と経腹壁的操作のそれぞれに長所短所があり,用途に応じて適宜使い分けるために,その特徴や限界を理解して施行する必要がある。診断は主にMcNealによるzonal anatomyに基づいて,大きさ・内部エコー像・皮膜の状態などの疾患ごとの特徴を考慮し,最終的な診断に至る。

K 超音波検査 各種臓器の超音波検査 超音波検査による前立腺体積測定

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要旨 前立腺診療において,前立腺容積の計測は重要である。超音波を用いた前立腺容積測定法としては,経腹壁的測定法と経直腸的測定法がある。経腹壁的測定法は非侵襲的で簡便である利点があるが,膀胱壁が恥骨部に張り出している場合には前立腺の描出が困難となることがあり,また前立腺内部の情報を得るには不十分である。経直腸的測定法も低侵襲でかつ前立腺の内部構造を精査することができるが,特殊な超音波プローブが必要となることと肛門からの挿入が必要となるため,肛門が閉鎖された患者には実施不可能である欠点がある。正確な計測を行えば,両測定法は前立腺体積の測定としては誤差の少ない方法である。

K 超音波検査 各種臓器の超音波検査 陰囊への超音波検査

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要旨 陰囊疾患の診断には超音波検査は欠かせないもので,皮膚に近い臓器であることと陰囊内容物のサイズからも超音波検査は有利である。さらに,精巣捻転の場合は,発症から治療までの時間が精巣温存可能かのカギを握ることから,迅速・非侵襲性の超音波検査が威力を発揮することとなる。検査を行うにあたり,高周波数プローブの選択,ドプラの併用を行い,病変側のみならず健側も含めた両側の評価を行い,比較することで診断の質を高め,両側発性の病変を見逃さないことも重要である。

K 超音波検査 超音波ドプラ 超音波ドプラ

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要旨 超音波断層法に加え,超音波ドプラによる解析は,多くの泌尿器科疾患の診断,治療に貢献する。特に,急性陰囊症の診断,腎腫瘍の質的診断に威力を発揮するが,診断のみならず,動脈瘤や精索静脈瘤などの血管性病変の治療効果判定にも有用である。さらに,超音波ガイド下穿刺,腎生検や腎部分切除での術中において,治療の安全性と確実性に貢献する。ドプラ使用での副作用や患者への侵襲もないことから,ドプラ使用が躊躇されることはない。超音波断層法に加え,超音波ドプラ併用による診療は,泌尿器科疾患の多岐にわたり有用と思われる。

K 超音波検査 超音波穿刺術 超音波穿刺術

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要旨 腎病変(水腎症,腎囊胞)を中心に述べる。体位は腹臥位とする。ただし,腎瘻造設の場合,側腹部からのアプローチも考慮する(腸管の損傷に注意する)。皮膚を数mm切開し,超音波ガイド下に穿刺,造影して位置を確認する。腎囊胞の単回薬剤注入でも,穿刺針をsingle-Jなどに入れ替えておいたほうが無難である。1回目の穿刺が最も条件がよく,2回目以降は,より条件が悪い,ということを肝に銘じるべきである。穿刺針の先がよく見えなくなったときは,プローブや穿刺針を少し内側にずらす,穿刺針を軽くつっつくなどすることで見つけることができる。いずれにせよ頻回の穿刺は臓器の損傷につながるので,1人でねばらずに術者交代の勇気も必要である。

K 超音波検査 超音波穿刺術 腎囊胞への超音波穿刺術

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要旨 単純性腎囊胞の穿刺,注入治療について概説する。多くの種類の薬剤の報告があるが,最も多く行われ,成績もよいものはエタノールであろう。穿刺・囊胞内容を排液して造影,エタノールを20~30分注入し排液する。複数回の投与が,より効果的のようである。ただし,適応は慎重に議論すべきで,安易な適応拡大には十分注意すべきであると思う。

L 腎機能検査

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要旨 総腎機能の一部である腎血流量,腎血漿流量を測定するためには,パラアミノ馬尿酸(PAH)のように腎動脈から血液によって腎臓に運ばれて,糸球体および尿細管から全量が尿中に排泄され,腎静脈中にはまったく検出されないような物質のクリアランスを計測すればよい。また,腎機能を左右別に評価する分腎機能検査としては,簡便法としての静脈性尿路造影,インジゴカルミン排泄試験,アイソトープを用いたレノグラムなどによる評価が一般的に行われる。

M 生検

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要旨 腎生検によって得られる組織学的所見により,腎疾患の診断・治療に関する情報が得られるのはいうまでもないが,侵襲的検査であり100%安全とはいえない。したがって,患者に十分な説明を行い,同意と協力を得て腎生検を施行することが重要である。腎生検の適応と禁忌は以下のとおりで,診断の確定や治療法の選択に悩む症例であれば,基本的には適応となる。

 適応は,①検尿異常,②ネフローゼ症候群,③急速な腎機能低下,④腎腫瘤の鑑別,⑤全身性疾患に伴う腎病変,⑥移植腎,などである。一方,禁忌は,①出血傾向,②片腎および機能的片腎,③高度の萎縮腎,④腎実質内感染,⑤腎動脈瘤,⑥囊胞腎,水腎症,⑦管理困難な全身合併症,⑧安静臥床が困難な場合,⑨高度の肥満,などである。

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要旨 PSA 10未満で,他に癌を疑う所見のない場合,前立腺生検の適応は相対的である。ノモグラムなどの診断ツールを活用して適応症例を絞り込むことで,不必要な生検を可及的に回避することが可能である。生検が必要と判断される症例では,癌のグレード,大きさ,位置に関するより正確な情報が得られる,精度の高い生検法を選ぶことが重要である。多カ所生検は,個々の患者のリスクを正確に評価し,最適の治療を選択するうえで中心的な役割を担っている。経会陰生検のための確実な局所麻酔法が開発され,経直腸,経会陰の両経路を組み合わせた立体生検が,外来ベースで施行可能となり,より多くの施設で,より精度の高い生検が安全に簡便に実施可能となった。

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要旨 経尿道的膀胱生検は,膀胱癌の確定診断を得るうえで必須である。腫瘍の存在する部位では,経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)となり治療を兼ねる。TURでは一般的に筋層浅部まで切除するのでT1以下の診断は容易であるが,T2以上の深達度をすべて診断するのは困難である。ランダム生検は,上皮内癌を疑うときや,多中心性発育を示す膀胱癌を疑うときに行う。一般的に三角部,左右側壁,後壁,頂部,前壁,頸部,前立腺部尿道(精阜の左右)などを一定の順序で系統的に生検する。本稿では経尿道的膀胱生検の適応,方法,合併症について述べる。

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要旨 精巣生検の適応となる病態は,病理組織学的に造精機能を評価する必要性があると考えられる症例であり,閉塞性無精子症,非閉塞性無精子症(特発性造精機能障害),高度乏精子症が挙げられる。ただ,精巣生検の所見は精巣容積や血中FSH値と同様に精子回収の予測因子とはならず,精巣への侵襲も考慮して,現在では精巣内精子採取術(testicular sperm extraction:TESE)と同時に施行されることが多い。本稿では単純に精巣生検の手技,方法について述べる。

N 内分泌機能検査

N 内分泌機能検査 間脳-下垂体-性腺(精巣)系の内分泌機能検査

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要旨 間脳-下垂体-性腺(精巣)系の概要を解説し,各ホルモンの基準値を示した。また,内分泌機能検査の方法および判定基準を記し,考えられる病態,疾患を示した。さらに,測定値に影響を与える因子について触れた。

N 内分泌機能検査 間脳-下垂体-副腎皮質系の内分泌機能検査

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要旨 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)は視床下部より分泌され,下垂体前葉において副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の合成,分泌を促進することで,副腎からの副腎皮質ホルモン(特にコルチゾール)の分泌を促進している。また,コルチゾールはfeed back機構により,CRH,ACTHの分泌を抑制的に調節している。

 間脳-下垂体-副腎皮質系疾患は,これら正常なホルモン調節機構に異常をきたしており,その鑑別には,ACTH,コルチゾールの基礎値が重要で,これらのみで鑑別できない場合に,CRH試験,デキサメタゾン抑制試験を併用する必要がある。

N 内分泌機能検査 副腎髄質の内分泌機能検査

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要旨 副腎髄質の内分泌機能検査は,主に褐色細胞腫などカテコールアミンが上昇する疾患を診断するために必要な検査である。本稿では,褐色細胞腫の診断における血中・尿中カテコールアミン測定について,方法,注意点を中心に概説する。

N 内分泌機能検査 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の内分泌検査

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要旨 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(R-A-A系)は,血圧調節,体液および電解質バランスの維持,心血管細胞の増殖・肥大など,多彩な作用を持つ。R-A-A系が直接,昇圧機序に関与する高血圧としては,腎血管性高血圧,悪性高血圧,レニン産生腫瘍などがある。本稿では,R-A-A系の臨床での意義と検査法,検査における注意点を概説する。

N 内分泌機能検査 カルシウム代謝調節ホルモン検査

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要旨 カルシウム(Ca),リン(P)代謝は副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)や活性型ビタミンD,カルシトニンの協調的作用などにより腸管や腎臓,骨でのCaとPの吸収や排泄が調節され,血清Ca値,血清P値が狭い範囲に維持されている。種々の疾患によりこのバランスが崩れると,この正常範囲から逸脱し,高Ca血症,あるいは低Ca血症となり多彩な臨床症状が出現するようになる。本稿では,泌尿器科疾患の臨床にかかわる高Ca血症と低Ca血症を中心に,関連するホルモン検査について概説する。

O 遺伝子検査

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要旨 染色体分析は,一般に先天異常や生殖障害などの診断の際に行う核型分析が主たるもので,泌尿器科領域では性分化疾患や男性不妊症の鑑別診断に用いる。いずれの疾患でも,異常核型が検出される場合,多くは性染色体異常で,それぞれ混合性性腺異形成(45,X/46,XY),Klinefelter症候群(47,XXY)などが代表である。染色体分析では,生涯変化しない個人の重要な遺伝学的情報が扱われるため,検査適応や診断結果について倫理的配慮を十分にとるべきである。

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編集後記

基本情報

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臨床泌尿器科
64巻4号 (2010年4月)
電子版ISSN:1882-1332 印刷版ISSN:0385-2393 医学書院

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