臨床外科 63巻11号 (2008年10月)

特集 肛門疾患診療のすべて

特集にあたって 畠山 勝義
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 肛門部は消化管の出口であり,内胚葉と外胚葉の接合部(歯状線:dentate line)があり,内・外肛門括約筋機能を有している複雑な形態を呈している.したがって,この歯状線から直腸側は自律神経系,門脈系,臓側リンパ系に支配され,一方,歯状線から肛門側は体性神経系,大静脈系,体壁リンパ系に支配されるという特徴を持っている.肛門管(anal canal)には解剖学的肛門管と外科的肛門管があり,前者は肛門縁(anal verge)から歯状線までと定義され,後者は肛門縁から恥骨直腸筋付着部上縁までの管状部を指している.そして,肛門とは狭義には肛門縁を指し,広義には外科的肛門管を指している.この外科的肛門管は2.5~3.5cmの長さがあり,普段は内肛門括約筋や外肛門括約筋,恥骨直腸筋によって絞められて閉じており,漏便・漏ガスはない.

 一方,肛門の生理機能は意識的排便機能に集約される.排便は種々の反射機構と大脳による随意的要素によって複雑に制御されている.便塊やガスが直腸に達し,直腸が伸展されると反射的に内肛門括約筋は弛緩するが,ほぼ同時に起こる随意の外肛門括約筋の収縮によって漏便・漏ガスは意識的に防止される.排便しようとしてしゃがむことよって肛門直腸角(anorectal angle:肛門管と直腸との軸の角度)は拡大し,腹圧(いきみ)をかけると骨盤底筋群が弛緩して下降し,この角度はさらに拡大して直腸と肛門管が直線化する.さらに腹圧をかけたり,直腸の収縮によって直腸内圧が50mmHg以上に高まると,反射的に肛門括約筋が弛緩して糞便やガスが排泄される.排便が終了すると骨盤底は元の位置に戻り,内肛門括約筋が再び収縮して肛門管は閉鎖する.直腸や肛門管の炎症や腫瘍などの刺激によって裏急後重(いわゆる「渋り腹」:tenesmus)をきたすことになる.

1.直腸肛門の解剖

直腸肛門の解剖 寺本 龍生
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要旨 直腸・肛門部は消化管の最下端にあり,糞便の保持と排泄という日常生活を正常に維持するために重要な機能を有する臓器である.肛門管は発生学的に外胚葉性の原始肛門と内胚葉性の原始直腸が癒合して形成された部位であり,筋肉は平滑筋である内肛門括約筋と横紋筋である外肛門括約筋の二重構造である.上皮は,肛門管上部は腸管の単層円柱上皮,下部は重層扁平上皮,その境界の歯状線部は移行部で両者の上皮が混在している.同様に,平滑筋は自律神経が,横紋筋は体性神経により支配されており,これらの解剖学的構造の協調作用によって肛門機能は微妙に維持されている.したがって,各種肛門疾患に対しては,これらの特性を把握して的確な治療法が選択されねばならない.

2.肛門直腸の生理

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要旨 排便は多岐にわたる機能の協調作用によってなされる.そのなかで最も重要なのは排便反射であり,通常,直腸が糞便によって伸展し刺激を受けると,直腸収縮反射と内肛門括約筋弛緩反射が起こる.これには壁内神経系を介した内反射と骨盤神経や結腸神経を介した脊髄反射がある.また,この排便反射に加えて意識的排便動作として陰部神経を介した外肛門括約筋弛緩や,間脳や大脳など高次中枢の排便制御による横隔膜や腹筋の収縮,声門閉鎖,吸息位での呼吸停止,さらには息みが排便を促進する.これらの排便のメカニズムや大腸の運動,吸収,分泌などの生理機構を熟知することは直腸肛門疾患を診療するために必要不可欠である.

3.肛門疾患の診察法

肛門疾患の診察法 岩垂 純一
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要旨 肛門診察は問診,肛囲視診,肛囲触診,指診,そして肛門鏡診の順に行われるが,診察に際しては患者の心理を理解し,羞恥心や苦痛を与えず速やかな診察を心がけ,肛門病変にのみとらわれないようにする.新しい試みとして,電子カルテと肛門ビデオを用いた肛門診察でデジタル問診システムを用いて効率化をはかり,また,デジタルアノスコープを用いた肛門ビデオで診察と撮影を行い,撮影した映像を大画面液晶タブレットの電子カルテ上に再生し,かつ病変のシェーマを書き加えて説明を行っている.以上の診察法は患者へのインフォームド・コンセントに優れており,肛門ビデオを用いた診察は苦痛なく速やかに行うことができ,小病変の発見が容易で,繰り返し再生しての検討や病変の経時的推移を確認することが可能である.

4.肛門疾患の検査法

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要旨 肛門の治療にあたっては病態を正確に把握することが前提条件で,これには正しい手順で肛門の診察を行わなければならない.肛門鏡診は視診,指診のつぎに3番目に行われる最も重要な検査法の1つである.肛門は括約筋で閉鎖され肛門鏡で開いて見るのであるが,これによってくまなく観察し正しい診断をつけることは決して容易ではない.多くの肛門疾患の知識と豊富な経験に基づいて行うべきである.まずは患者の恐怖心を取り除き,肛門にはいくつかの病変が存在し,しかも奥から手前へと因果関係を持って連なっていることが多いため,それをつぶさに観察する.直腸鏡診は直腸病変の位置や肛門からの距離を正確に把握する役割があり,重要な検査法である.ただし,施行にあたっては,医師によっては知識と経験の不足で危険性を伴うので,この方法を十分に熟知しなければならない.内視鏡は,さらに奥の直腸・結腸を観察すると同時に反転法によって肛門鏡が観察しがたい最上部を観察するのに最適であり,これも欠かすことのできない手技である.

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要旨 肛門の診察は視診,触診,肛門指診,肛門鏡診が基本である.しかし,治療上さらに詳しい病態の把握を要するときは,つぎのような検査が適している.たとえば,痔瘻や膿瘍の位置,深さ,大きさ,瘻管の走向,単発,多発の区別,一次口の確認にはラジアルタイプの経肛門超音波検査が最適である.また,便失禁,ガス漏れ,排便困難などの肛門機能障害の程度を確認するためには直腸肛門内圧検査がよい.肛門が狭く排便困難の症状があったり,肛門の締りが悪く緩い感じがあるなどの症例に対しては新しい検査法である肛門伸展張力検査(アノスケール®使用)が必要となる.本稿では,これらの検査の特徴と応用などについて説明する.

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要旨 これまでのわが国の論文では,坐骨・骨盤直腸窩痔瘻の原発巣膿瘍は,後方の肛門挙筋の下方,尾骨に付着する浅外肛門括約筋の上方に存在する深肛門後隙(Courtney腔)に存在するとされてきた.しかし,ジャックナイフ位MRI法による検討では浅外肛門括約筋の筋束は直接には尾骨に付着せず,実際には深肛門後隙と呼べる領域は存在しなかった.109例の坐骨・骨盤直腸窩痔瘻の全症例で原発巣膿瘍は後方の内外肛門括約筋間,あるいはこれに連続する破壊された外肛門括約筋内に存在していた.ジャックナイフ位MRI法によって明らかとなった肛門括約筋の構造,深部痔瘻の原発巣膿瘍の存在部位,痔瘻癌との鑑別診断について報告する.

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要旨 外痔核は一般に(1)血栓性外痔核(急性に発症),(2)皮垂(慢性に経過),(3)皮下静脈瘤の3型に分類され,それぞれ症状・経過・治療法が異なる.診断には視診,肛門直腸指診,肛門鏡診,また,時には怒嘖診が有効である.治療は対症的な保存療法が主であるが,病悩度の高い例には手術を行う.その際には内痔核や裂肛の有無,狭窄や肛門管内圧亢進などに十分に留意し,創の難治化(裂肛化)や腫脹・再発などの術後合併症をきたさないように努めなければならない.

5.痔核 内痔核

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要旨 痔核は肛門疾患のうち最も多い疾患であるが,最近になって治療面で発想の異なった新しい方法が実施され,標準的治療に大きな混乱をもたらしている.しかし,今日まで痔核の治療はGoligher分類に準拠して実施されている.Goligher分類は普遍性のある優れた分類であると思われる.ただし,内痔核の病変をより正確に知るためには,痔核の大きさや痔核の占める範囲,痔核が血管性か粘膜性か,そして急性期か慢性期かを正確に判断する必要がある.

 Goligher分類にもいくつかの疑問点はあるが,初心者でも病変が理解しやすい分類である.病期の分類は普遍的で簡便なものが理想である.その意味からGoligher分類は応用の利く優れた内痔核分類であろう.

内痔核の保存療法 平田 雅彦
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要旨 内痔核は成人の約8割が罹患している疾患である.また,内痔核は生活習慣病と定義される.そのため,内痔核の治療は生活指導を中心として保存的に行い,手術をせずに内痔核と患者が共存できる道を探るべきである.実際,欧米の内痔核の手術率は10%以下である.内痔核を発生させ,かつ悪化させる原因となる生活習慣を検証し,その1つ1つを改善するという地道な治療が求められる.正すべき生活習慣は(1)排便の異常(便秘と下痢),(2)肉体の疲れ,(3)精神的ストレス,(4)長時間の座業,(5)生理,(6)体の冷え,(7)飲酒などが挙げられる.生活指導と適切な薬剤の使用により,初診から3か月で87%の患者は手術せずに内痔核と共存できる.

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要旨 内痔核に対するゴム輪結紮療法は,内痔核の根部にゴム輪をかけることによって痔核に阻血性の変化を起こし痔核を壊死脱落させるものであり,外来で行うことのできる簡便で低侵襲な手技である.その適応はGoligher分類第Ⅱ度,第Ⅲ度の内痔核である.外痔核成分の大きい内外痔核(混合痔核)に応用する場合は,その程度や症状を十分に考慮して適応しなければならない.一般的な合併症として疼痛や出血が挙げられるが,臨床的に問題となることは少ない.治療効果も十分に満足のいくものであり,手術治療を行う前に選択される治療法の1つである.

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要旨 本稿では痔核硬化療法の(1)適応,(2)投与薬剤の種類および作用機序,投与(注射)方法,(3)大阪北逓信病院におけるaluminum potassium sulfate/tannic acid(ALTA)の臨床と成績を詳述した.ALTAの施行には基本に忠実な四歩注射法が必須であるため,特に実技の内容を詳しく記載した.

 当院では597例にALTAを施行し,再発を認めたのは28例(4.7%)であった.投与量の少ない症例と適応の限界に近い症例がほとんどであった.合併症を84例に認め,有害事象は97項目であった.痛みが43例と最も多く,腫脹を30例,発熱を10例,出血を6例に認めた.しかし,重篤な副作用は認めなかった.入院期間が短く,料金が安く,痛みが小さく,また,再発率も低いので,ALTAを希望する症例が増加している.

内痔核の結紮切除法 松田 保秀
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要旨 筆者の結紮切除術の概念は肛門周囲の皮膚や上皮を過不足なく切除し,痔核組織は十分に郭清することによって,術後の浮腫や皮垂形成のない軟らかな肛門に仕上げることである.目指すところは,いわゆる美的感覚を重視したanal plastic surgeryである.このコンセプトは変わらないが,最近の2年間は剝離剪刀の代わりに先端のきわめて細い鑷子型モノポーラ電気メス(針状電気メス)を用いた剝離・切開手術を行っている.その結果,止血に要する時間がほとんどなくなったため,手術時間が従来から7分間短縮して平均23分となった.この結紮術は大きな痔核や,硬くて流入血管が豊富,易出血性の症例に有効で効率的な剝離法である.

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要旨 Procedure for prolapse and hemorrhoids(PPH)の器具が発売され,日本で使用されることになって10年となる.PPHは痔核脱肛や直腸粘膜脱などの手術法の選択肢と認められるようになった.痔核クッションはそのままとし,その口側の直腸下部粘膜を環状切除して,脱出する痔核を吊り上げ固定して症状を治癒させる.従来の痔核そのものを切除・削除するという概念とはまったく治療原理が異なっており,当初は誤解も多かったが,いまや保険治療にもなった.本稿では手術法,合併症,成績などの約10年間の経験を述べた.

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要旨 インドシアニングリーンを痔核内に注入して805nm波長の半導体レーザーを照射する治療法は低侵襲である.レーザー光はICGに吸収されてブロックされるため,肛門括約筋に侵襲を与えず,痔核内の色素部分だけを焼灼・凝固できる.照射面はびらんを作るが潰瘍化や壊死化することはなく,2~4週の間には外観上,正常化する.本手術法による再発率は7.5%であった.しかし,Goligher分類でⅠ度程度の痔核が非再発例の約80%に認められた.安全性はきわめて高く,今日まで副作用の報告はみられていない.本稿では,当院で4年間に行った123例の半導体レーザー手術の再発率などを調べ,今後のICG併用半導体レーザーの方向性についての考察を述べた.

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要旨 嵌頓痔核は,それまで徐々に進行していた痔核が何らかの誘因で肛門管外に脱出してその状態が持続し,肛門括約筋の痙攣によって絞扼されて循環障害をきたし整復が困難となったものである.患者の多くは肛門部の耐えがたい疼痛を伴った大きな腫脹を主訴に来院するが,普段は自覚症状のないものもあれば,ときにⅡ~Ⅲ度のレベルから発症するものもある.嵌頓痔核の治療法として保存的治療か手術治療のいずれを選択すべきか,また,手術治療であれば待機的手術か早期手術かに関しては議論のあるところである.嵌頓痔核が初回整復が可能で保存的治療に反応すれば,経過をみたうえで手術適応を考える.整復不能で手術を考慮した場合は,嵌頓前後の状態や患者の社会的背景を把握しインフォームド・コンセントを行って早期手術か待機的手術かの適応を臨機応変に決定する.

6.裂肛

裂肛の診断と分類 渡辺 賢治
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要旨 裂肛は日常の診療でよく遭遇する疾患で,内痔核や痔瘻とともに肛門の三大疾患の1つとされている.女性では30歳未満に最も多くみられるのに対して,男性では40歳代にピークを認める.発生部位は男女とも肛門の後方と前方に多く,男性では後方に,女性では前方に多くみられる.肛門ポリープやskin tagの合併は女性に有意に多かった.最大肛門静止圧は男女とも年齢を問わず高値である.裂肛は(1)単純性裂肛,(2)脱出性裂肛・随伴性裂肛,(3)症候性裂肛に分類され,それぞれ急性期と慢性期に分けられる.裂肛は排便による肛門上皮の外傷から始まるが,これを繰り返していくうちに慢性化していく.早期の原因の除去や治療が必要と考えられる.

裂肛の保存的治療 東 光邦
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要旨 裂肛はよくみられる痔疾患で,特に若い女性に多い.排便習慣や排便障害が原因になることが多いので,生活指導を行うなどの保存的治療が優先される.急性期・慢性期に分類すると,急性期は比較的早期に治癒するが,慢性期に移行して肛門狭窄や肛門ポリープなどを呈するようになると外科的治療が必要となることもある.通常の坐剤・軟膏だけでなくニトログリセリン軟膏,カルシウム拮抗剤,ボツリヌス菌毒素の局所投与などの新たな治療法が提示されているが,副作用などの問題もあり,裂肛の治療法としては確立していない.

裂肛の手術療法 野垣 正宏 , 桐山 幸三
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要旨 裂肛で手術が適応になる症例は保存的治療の限界症例であり,多くの場合,患者は便秘,肛門狭窄,肛門痛による悪循環に悩んでいる.手術療法は厳密に適応を守って行えば病状の改善が劇的に得られることが多く,非常に有効な治療法である.現在,標準的に行われている術式には肛門拡張術,内肛門括約筋側方切開術(LIS),肛門形成術(SSG法,V-Y形成術)があり,内括約筋のspasmの程度や裂肛による肛門上皮の瘢痕狭窄の程度によってその手術適応が決められる.いずれも肛門括約筋に何らかの影響を与える術式であって,術後のincontinenceの問題もあり,手術に際してはインフォームド・コンセントを十分に行い,慎重に症例を検討する必要がある.

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要旨 肛門周囲膿瘍は直腸肛門周囲に膿瘍を形成し,疼痛,腫脹,発赤,発熱を呈する疾患である.病態は,細菌が肛門陰窩から侵入し,肛門腺に感染して膿瘍が形成され(crypt-glandular infection theory),さらには直腸肛門周囲の間隙に炎症が急性に波及し膿瘍を形成するものである.診断には直腸肛門診(双指診)が最も有用である.CT,MRI,肛門エコーは補助診断として参考となる.疼痛が激しく直腸診ができない場合には,腰椎麻酔下に直腸肛門診,肛門エコーを行って診断することも必要である.膿瘍が形成された部位によって皮下膿瘍,粘膜下膿瘍,低位筋間膿瘍,高位筋間膿瘍,坐骨直腸窩膿瘍,骨盤直腸窩膿瘍と分類される.

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要旨 直腸肛門周囲膿瘍に対する治療は抗生剤による保存治療と,切開排膿または痔瘻根治術による外科療法とがある.抗生剤の投与は膿瘍が完成していないごく初期や膿瘍の自壊後もしくは切開排膿後に補助的目的で行う以外に効果は期待できない.膿瘍形成が明らかであれば速やかな切開排膿およびドレナージが第一選択である.これまでの考えでは直腸肛門周囲膿瘍は痔瘻の急性期であり,いずれは痔瘻へ移行するとされ,診断がつけば一期的または二期的に痔瘻根治術を行うのが一般的であった.しかし最近,諸家の報告では直腸肛門周囲膿瘍の切開排膿後の再発率は平均35%程度とあり,これまでの概念を改める必要性を感じる結果である.肛門機能保全の意味からも早まった根治術は慎み,根治性を求めた効果的かつ速やかな切開処置を行うことが重要と考える.

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要旨 痔瘻は痔核に次いで頻度の高い肛門疾患であり,手術治療の適応となるものが多い.痔瘻の診断は,その病態を十分に理解してまず痔瘻か否かを判断し,次にどのようなタイプの痔瘻かを診断・分類のうえ,それぞれに適切な治療方法を選択し施行する.治療の主体は観血的治療であるが,病型の複雑さや機能障害のリスク,再発に対する不確実性などの点で症例によっては肛門科専門医であっても難渋する例が少なくはない.術前・術中の経肛門的超音波検査や術前MRIなどでより正確な診断を行うことが重要である.痔瘻の分類は諸家によって報告されており,海外においてはParks分類が用いられることが多いようだが,わが国では病変の部位・進展方向・複雑性を立体的に表現できるという点から隅越分類が主に用いられている.

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要旨 日常臨床で出会うことの多いⅠ型およびⅡLS,ⅡLC,ⅡHSの手術療法に関して,手術適応も含めて述べる.痔瘻の手術に際してわれわれが考える基本姿勢を示し,それに基づいた術式の要点をまとめた.特に大事なのは「切りすぎた肛門は元に戻らない」という点である.後々のQOLの低下をもたらさないように考慮した術式の選択が必要である.また,原発口の同定,瘻管の完全な切除,十分なドレナージ創の形成といった痔瘻手術のコツに関してもまとめた.日常臨床の一助となれば幸いである.

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要旨 複雑痔瘻(坐骨直腸窩痔瘻,骨盤直腸窩痔瘻)の診断は問診,視診,触診の順で行っていくが,最も重要なのは触診である.術式を考えるうえでは隅越分類のどの型に属するかを判断することにより方針を立てる.さらにMRIを追加することで瘻管走行や膿瘍の深さをより細かく把握しておく.複雑痔瘻の術式には根治性,機能温存,早期治癒を完全に満たすものはないため,重要視するポイントで術式を選択することとなる.

 現在当センターの主な術式は括約筋温存術式―外側アプローチ術,Hanley変法,seton法などである.なかでも括約筋温存術式―外側アプローチ術は括約筋へのダメージがほとんどなく当センターのスタンダード術式となっており,初発例のように原発口の比較的小さく周辺括約筋の軟らかい症例に対して積極的に行い,満足のいく結果を得ている.ただし筋肉組織が瘢痕化しているような再発例や巨大な原発口を有する症例では原発口の閉創が難しく適応でない.このような症例にはHanley変法あるいはseton法を選択している.

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要旨 肛門管癌は組織型が多彩で,組織型によって治療法が異なる.腺癌および粘液癌では手術が治療の中心で,わが国では直腸間膜内リンパ節の完全郭清と排尿機能や性機能に配慮した全自律神経温存側方リンパ節郭清が行われている.また腹会陰式直腸切断術が行われる機会が多いが,一部の施設では自然肛門機能温存を目指した内肛門括約筋温存手術も行われている.痔瘻癌では会陰創が広範な欠損となることが多く,皮弁による再建術も行われている.扁平上皮癌に対する欧米の標準治療はマイトマイシンCと5FUを用いた化学放射線治療であり,わが国では腹会陰式直腸切断術が行われる機会が多かったが,今後は化学放射線治療の割合が増加することが予想される.

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要旨 基底細胞癌は転移する危険がきわめて少ない局所的な癌であるが,これに類似する類基底細胞癌は扁平上皮癌の亜型と考えられており,転移の頻度の高い癌である.一方,Paget病は表皮内に発生する腺癌であり,真皮内に浸潤すると転移をきたしやすく予後不良となる.Bowen病は浸潤癌に移行することがきわめて稀な表皮内の扁平上皮癌である.これらの癌は患者にとってはほかの消化器癌に比して最も早く症状を呈する癌であり,医師にとっても肛門をみれば明らかに「何かある」とその存在が感じられ診断の容易な癌であるにもかかわらず,発見時には数cm大となっていることが多い.その原因として,1つには患者の羞恥心,あるいは湿疹ではないかとの誤った自己診断による受診回避がある.もう1つは第一線の医師の肛門診―視診・指診・肛門鏡診―に対する軽視が挙げられる.今回の特集では肛門疾患診療のすべてが網羅されている.「肛門」がいかに重要な臓器であるかを知らしめるとともに,「稀な肛門癌」の存在を念頭に置いて肛門をみることがいかに重要であるかがいっそう明らかにされることと思う.

10.術後後遺症

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要旨 ホワイトヘッド手術は,連合縦走筋や肛門粘膜の支持組織を破壊してしまう侵襲の大きな術式であり,肛門狭窄・粘膜脱・肛門機能不全などの重篤な後遺症を引き起こしやすい.特に,粘膜脱・出血・便失禁・肛門掻痒などの症状を伴うWhitehead anusは,後遺症のなかでも最も重篤かつ治療に難渋するものである.Whitehead anusの治療法については,その程度に応じて保存療法もしくは手術療法を選択する.手術療法については,結紮切除術・皮膚弁移動術などが一般的であるが,Whitehead anusの成因機序を考慮すると,ALTA注射療法も低侵襲な治療法として有効であると考えている.

術後肛門狭窄の診断と治療 彦坂 興博
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要旨 術後肛門狭窄は痔核手術後に多く,肛門上皮の過剰切除によるものが多い.この場合,狭窄はそれほど高度であることは少なく,保存的療法やブジーを術後早期から行えば軽快する.しかし狭窄が高度な場合は手術が必要となり,肛門後方で瘢痕切除して狭窄を解除し,切除部を上皮で被覆するSSG法が行われる.術式として確立されたSSG法であるが,長期経過でみると肛門縁に輪状瘢痕が生じ,これが術後愁訴のもとになったり,強度狭窄例では拡張効果も不十分なことがある.この問題を解決するために,複数箇所SSG法,Y-VまたはV-Y型肛門形成術などが行われて良好な結果となっている.

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要旨 術後後遺症としての肛門括約筋機能不全は,肛門周囲膿瘍,痔瘻手術の際の不用意な内外括約筋の切断が原因で起こることが多い.肛門括約筋機能不全に陥ると,便失禁,ガス失禁,下着の汚れ,便の偏位など不快な症状に悩まされ,QOLが低下する.診断には,肛門管超音波検査および肛門内圧測定検査が肛門機能を客観的に評価でき有用である.治療は,排便のコントロールや括約筋の自己トレーニングなどの保存的治療で改善しない場合には手術を行う.手術は肛門括約筋修復術や後方形成術が有用である.何より,肛門疾患は良性疾患であるため術後に後遺症を残しQOLを低下させるようなことは避けるべきであり,手術の際,肛門括約筋の操作には細心の注意を払うことが大切である.

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要旨 肛門掻痒症は肛門領域において比較的頻度の高い疾患であり,原因不明の特発性掻痒症と原疾患を有する二次性の掻痒症に分類される.重篤な疾患ではないが,掻痒のため集中力の低下や不眠などに陥ることもある.また引っ掻くことによりびらんをきたし,さらに掻痒が増すという悪循環に陥り慢性化することも多い.以上より掻痒感の症状を改善することがまず必要となる.治療は薬物療法が主体である.二次性の掻痒症では原疾患の治療とともに掻痒に対する対症療法を行う.特発性の場合は原因となり得る生活に対する指導が重要である.

12.直腸肛門痛の診断と治療

直腸肛門痛の診断と治療 壬生 隆一
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要旨 直腸肛門痛はROME Ⅲでは機能性直腸肛門障害のなかで機能性直腸肛門痛として取り上げられ,慢性直腸肛門痛と消散性直腸肛門痛に分類されている.慢性直腸肛門痛は肛門挙筋症候群と非特異的機能性直腸肛門痛に細分類されている.この疾患では会陰神経の走行部位と肛門括約筋に自発痛を発症し,直腸肛門部に圧痛がある.診断に際して特別な検査法はなく,器質的疾患を除外することが求められる.治療ではまずこの疾患に対する正しい知識を与え,安心感を得てもらう.日常生活では腰を冷やさないようにして,入浴により温まることを勧める.非侵襲的治療としては特別な方法はないので,有効であると報告された方法のうち各施設で可能なものを行うとよい.

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要旨 フルニエ症候群は1883年フランス人医師J. A. Fournierが肛門,会陰に発症した壊死性筋膜炎を最初に報告したことがその由来である.壊死性筋膜炎そのものは全身のあらゆる部分に発症し得る皮膚軟部組織感染性疾患で,感染炎症が筋膜沿いの広範囲に波及し,肉眼的な皮膚観察のみでは診断が難しいため対応が遅れる.死亡率は7~75%と低くなく(自験25%),慎重な態度で迅速に対応しなければならない.消化器外科医であれば念頭に置いて疑うべき疾患である.

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要旨 Crohn病に合併する肛門病変の特徴は,痔瘻,膿瘍を中心に裂肛・潰瘍,皮垂など多岐にわたる病変が多発混在することにあり,特に痔瘻・膿瘍は若年で発症することも多く,Crohn病の初発症状としても重要となる.外科治療の対象は難治性の痔瘻・膿瘍となるが,易再発性であるため確かな病変の評価を行い,長期的には肛門機能の保持を考慮した対応が肝要で,安易に完治を求めるべきではない.また,局所治療とともに腸病変の評価も欠かせぬものであり,特に直腸の活動性病変のコントロールは必須である.長期経過例に対しては常に癌合併を念頭に置いた検索を忘れてはならない.

15.小児の肛門疾患の診断と治療

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要旨 新生児期の代表的な肛門疾患は鎖肛(直腸肛門奇形)である.鎖肛は直腸肛門の形成異常の総称で,会陰・肛門部に肛門が開口していないものから肛門の位置異常まで含まれる.鎖肛の診断と治療にあたっては病型と肛門挙筋群の関係を十分に把握することが重要である.乳児期に多く認められる肛門疾患は肛門周囲膿瘍と痔瘻で,幼児期には裂肛と肛門直腸脱の頻度が増してくる.いずれの疾患も成人でも認められるが,小児では難治性になることは少なく,保存的治療で十分に治癒が期待できるため,安易に手術を行うべきではない.

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要旨 直腸粘膜脱症候群は直腸に潰瘍や隆起性病変を呈し,病理組織学的に粘膜固有層の線維筋症(fibromuscular obliteration)を特徴とする疾患群で,血便,粘液排泄,テネスムスなど多彩な症状を示す.顕性ないし不顕性の直腸粘膜脱が病因と考えられており,排便時間が長く,過度の「いきみ」によって排泄するstrainerが多い.診断のうえでは直腸癌との鑑別が,治療のうえでは異常な排便習慣の是正が重要である.保存的な治療で改善のみられない場合には低侵襲の手術が行われるが,排便時間を短くし,「いきみ」を控える排便習慣の改善が重要であり,排便習慣が正常化しなければ再発しやすい点に留意する必要がある.

直腸脱の診断と治療 梅枝 覚
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要旨 直腸脱(rectal prolapse)とは,直腸壁の一部または全層が肛門外に脱出することである.脱出したものが粘膜のみであれば不完全直腸脱,全層であれば完全直腸脱と呼ぶ.直腸脱疾患は乳幼児から高齢者まで広くみられるが,最近では高齢化に従い高齢者の直腸脱が増加している.病態生理も様々であるため,術前の病態の十分な精査・把握が必要である.様々な術式が行われているが,病状に対する治療方式が解剖学的に異なり,また根治性や侵襲の程度も異なってくる.直腸脱は良性疾患であることから,患者の年齢,全身状態,術式の難易度,術後再発率,合併症,術後排便障害などを考慮して個々の患者に適した術式を決める必要がある.

直腸瘤の診断と治療 味村 俊樹
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要旨 直腸瘤とは,直腸腟隔壁の脆弱化によって排便時に直腸前壁が腟腔内に膨隆する病態であり,排便困難感,残便感,頻回便,腟部不快感などの原因となる.診断には直腸指診と排便造影検査が有用である.治療法としてバイオフィードバック療法もある程度は有効であるが,根本的治療法は手術による直腸腟隔壁の修復・補強である.手術適応として①大きな直腸瘤,②排便造影検査でbarium trapping陽性,③vaginal digital supportが有効の3条件が挙げられる.術式は経肛門,経腟,経会陰,経腹と多数存在し,施設や術者の方針,経験によって選択されているのが実情であるが,経腟的恥骨直腸筋縫合術と経肛門的直腸筋層重層縫合術が主流である.

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要旨 毛巣疾患は,肛門後方の正中仙骨部に発生する毛髪と関連した慢性炎症性疾患で,比較的若い男性に多く発症する.仙骨部の陥凹,毛髪,頭側皮膚の二次口などの所見が特徴的で,痔瘻や肛門周囲膿瘍との鑑別が重要である.炎症が強い場合には切開,排膿によって囊胞のなかの毛髪,膿と組織片を一掃し,ガーゼなどを充塡して創の底部からの治癒を促す.切開排膿と根治術の中間的な術式として,正中陥凹部,二次口の開口部を切除したうえで切開排膿を行う手術がある.根治術は閉鎖術式と開放術式があるが,通常,正中単純閉鎖法で正中陥凹部,二次口部,囊胞を含めて紡錘形に皮切をおき,洞を含み,仙尾骨の筋膜付近まで十分に切除する.

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要旨 化膿性汗腺炎はアポクリン汗腺の閉塞,感染が原因で発症する汗腺炎である.難治性で瘻孔形成・瘢痕化を伴って周囲に拡大し,病悩期間は十年以上に及ぶこともある.発症部位は腋窩,陰部,鼠径部に最も多く認められる.女性に多く発症するが,臀部の化膿性汗腺炎は圧倒的に男性に多く認める.わが国では臀部・陰部周囲に発症する化膿性汗腺炎を慢性臀部膿皮症としている.初期病変はほかの感染性皮膚炎との鑑別が困難なことも多く,その後の経過で診断することもある.治療は外科的切除が基本で,局所切除~広範囲切除,皮膚移植,unroofing of sinus tract,coring out法など様々ではあるが,病態の部位や範囲,手術方法の長所・短所を十分考慮し治療を行う必要がある.

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要旨 尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)のなかの低リスク粘膜型HPVのうち6型,11型の感染で起こる.成人は通常性行為による直接感染が原因である.小児では親から感染することが多い.治療の原則は切除で,電気メスやレーザーが用いられる.肛門部の真菌症はカンジダ,特にCandida albicansによる感染症である.診断は水酸化カリウム標本で菌糸と桑の実状の胞子集団を発見することによる.治療は抗真菌剤と低強度のステロイド剤の等量の外用および局所の洗浄,乾燥を原則とする.肛門ヘルペスの診断は原則,水疱底の細胞搾過によるTzanck試験で巨細胞を発見することによる.成人の初感染は性感染である.

17.肛門疾患用薬剤の使い方

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要旨 3大肛門疾患に対する薬物療法の実際と最近の知見について述べる.痔核では,急性期症状の緩和を目的とした対症療法として副腎皮質ホルモンや局所麻酔剤含有の外用薬を適宜選択する.裂肛では従来の対症療法に加え,内肛門括約筋弛緩による治癒的治療法としてのchemical sphincterotomyが登場している.痔瘻に対する薬物療法は,膿瘍期の感染制御や術後の便通調整を目的とするもので,本稿ではクローン病性痔瘻に対するインフリキシマブ治療についての成績も合わせて示す.いずれの疾患においても,正しい診断と病態理解のうえに安全で適切な薬物を選択することが重要である.

外科医局の午後・50

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 このコラムを担当させていただいてから,知らぬ間に50回目を迎えることとなった.思えば4年前に急に編集室から病院へ電話があって「定期的になにか書きませんか」という依頼があり,当初は2年間の予定という話であった.医学論文以外の文章はそれまでほんの数編書いていただけであったが,自分の書いた文章を多数の人に読んでいただくという機会はそうあるものでなく,ふたつ返事でOKした.

 当初は手術に明け暮れた前々勤務地での9年間の出来事や思い出を中心に,最初の20篇くらいは短期間に書くことが容易であった.しかし,それが一段落すると,題材を考えるのに苦労しだした.医療や外科治療をまったく抜きにしては表題に反するし,また,あまりにも常識的なことや単なる論調でも面白くない.しかし,日頃,少し気をつけていると医療は変化に富んでいて,医療崩壊など次々に問題が生じており,また,実際の日常の臨床でも問題点は山積していた.1回につき原稿用紙3枚分くらいであるが,あることを書こうとすると,書き出すまでは頭のなかでぼんやりと考え,いざ書き出すとパソコンに向かい,とにかく一気に書くように努めた.文章の推敲はそのあとにゆっくり行った.

コーヒーブレイク

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 外科医となって手術をしていれば,自分が行う手術すべてで失敗は皆無にしたいものだと願うのは当然でしょう.ただ,凡人であるわれわれ(私?)であれば,大小は別として何らかのトラブルが起こることは残念ながら避けられないことではあります.ただ,端から「人間は過ちを犯すもの」だと開き直ってしまえば,誰もその外科医の手術を受けようとは思わなくなるのも事実でしょう.

 ある日,医局の先生方とそんな話をしているなかで,それでは「よい外科医,上手な外科医,さらには本物の外科医ってどんな先生なのか」という議論になりました.よくある一般的な話が続いたあとに,誰とはなく「トラブルシューティングのできる人ではないか」ということになり,その日の議論は「それで決まり」ということで落ち着きました.

ひとやすみ・39

外科学教室 中川 国利
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 わが国における歴史ある医学部においては,創立以来2つの外科学教室があるのが一般的である.そして,同じ大学とは言え,互いに伝統を重んじて競い合い,派遣先病院を含めて人事交流がないのが通常である.

 私は大学卒業後,某国立病院で初期研修を受けた.将来のことは余り考えずにたまたま寄宿先の先輩の縁で病院を選択したが,指導医はすべてK教室の出身であり,2年間の研修後はK教室に入局するのが慣例であった.私も漫然とながらK教室に入局するつもりでいた.しかし,臨床が楽しくて4年間も研修していたら,K教室には同級生が15人も入局していた.今さら彼らの後塵を拝する気にはなれず,もう一方のS教室を選択することにした.恐る恐る外科のボスに相談したら,「前例はないが,それもよいだろう」と,快くS教授への懇切丁寧な推薦状を書いてくれた.

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あとがき 島津 元秀
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 「天災は忘れた頃に来る」という警句で有名な,物理学者であり随筆家でもある寺田寅彦の随筆に「科学者とあたま」と題するものがある.

 ある老科学者が次のようなことを彼に語って聞かせたという.「『科学者になるにはあたまがよくなくてはいけない』これは普通世人の口にする一つの命題である.これはある意味ではほんとうだと思われる.しかし,一方でまた『科学者はあたまが悪くなくてはいけない』という命題も,ある意味ではやはりほんとうである.そうしてこの後のほうの命題は,それを指摘し解説する人が比較的に少数である.」

基本情報

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臨床外科
63巻11号 (2008年10月)
電子版ISSN:1882-1278 印刷版ISSN:0386-9857 医学書院

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