特集 肛門疾患診療のすべて
8.痔瘻
複雑痔瘻(坐骨直腸窩痔瘻,骨盤直腸窩痔瘻)に対する治療
岡本 欣也
1
,
佐原 力三郎
1
Kinya OKAMOTO
1
1社会保険中央総合病院大腸肛門病センター
pp.219-234
発行日 2008年10月22日
Published Date 2008/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102338
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要旨 複雑痔瘻(坐骨直腸窩痔瘻,骨盤直腸窩痔瘻)の診断は問診,視診,触診の順で行っていくが,最も重要なのは触診である.術式を考えるうえでは隅越分類のどの型に属するかを判断することにより方針を立てる.さらにMRIを追加することで瘻管走行や膿瘍の深さをより細かく把握しておく.複雑痔瘻の術式には根治性,機能温存,早期治癒を完全に満たすものはないため,重要視するポイントで術式を選択することとなる.
現在当センターの主な術式は括約筋温存術式―外側アプローチ術,Hanley変法,seton法などである.なかでも括約筋温存術式―外側アプローチ術は括約筋へのダメージがほとんどなく当センターのスタンダード術式となっており,初発例のように原発口の比較的小さく周辺括約筋の軟らかい症例に対して積極的に行い,満足のいく結果を得ている.ただし筋肉組織が瘢痕化しているような再発例や巨大な原発口を有する症例では原発口の閉創が難しく適応でない.このような症例にはHanley変法あるいはseton法を選択している.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.