臨床外科 80巻3号 (2025年3月発行)

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特集　領域横断！見てわかる膵周囲リンパ節郭清

扉 80巻3号 , 2025年3月 , pp.253

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　消化器癌におけるリンパ節郭清において，膵周囲のリンパ節郭清は胃外科，大腸外科，膵臓外科いずれの領域においても欠かせないリンパ節郭清手技である．特に消化管癌の手術は基本的には膵臓を温存しつつ根治的リンパ節郭清を行う必要がある一方で，膵癌手術は膵臓切除とともにリンパ節郭清を行う必要があるというように，両者はある意味異なるコンセプトのように思える．膵臓にまつわるそれぞれの臓器に対するさまざまなアプローチや癌に対するリンパ節郭清手技は難度が高く，若手医師にはハードルの高い手技かもしれない．本特集は，それぞれの分野のエキスパートに，図説を交えて膵臓にまつわるリンパ節郭清手技を解説いただき，若手医師が“見てわかりやすい”手術書となるよう企画した．

総論

膵周囲組織の解剖に関する修正モデル篠原　尚 , 中村　達郎 , 村上　幹樹 , 晃野　秀梧 , 北條　雄大 , 中尾　英一郎 , 倉橋　康典 , 石田　善敬 80巻3号 , 2025年3月 , pp.254-259

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【ポイント】

◆膵背面とGerota筋膜の間にある癒合筋膜は，しっかりした膜構造ではなく，疎性結合組織からなる層構造である．

◆膵後筋膜は膵を内包する胃間膜の背側境界面であり，癒合筋膜の剝離によって顕在化する．

◆膵前筋膜は十二指腸間膜の腹側境界面であり，大網や横行結腸間膜と癒合する膵頭部にのみ存在する．

胃癌手術

膵頭部リンパ節（No. 6）郭清—腸間膜化理論に基づくNo. 6リンパ節郭清川田　洋憲 80巻3号 , 2025年3月 , pp.260-265

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【ポイント】

◆生理的癒着を徹底的に剝離することで，胃・十二指腸間膜の腸間膜化が可能となる．

◆十二指腸1st portionと2nd portionの間の間膜付着部に，特徴的な「くぼみ」が認められ，郭清の際のメルクマールになる．

◆間膜の腹側剝離の際には，右胃大網動静脈のペディクルを患者左側に，背側剝離の際には患者右側に大きく展開する．

◆間膜の腹側と背側を処理すると，自然と処理すべき血管根部が露出され，critical viewが得られる．

＊本論文中、［▶動画］マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます（公開期間：2028年3月末まで）。

膵上縁リンパ節（No. 8a，No. 9，No. 11p，No. 12a）郭清大森　健 , 中原　裕次郎 , 西川　宏和 , 宮田　博志 80巻3号 , 2025年3月 , pp.266-277

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【ポイント】

◆脂肪と膵臓の境界を見極めることが重要．

◆カラーエンハンス手術で微細構造を理解し，剝離層を一手に保つ．

◆術野展開とカウンタートラクションが重要．

脾門リンパ節（No. 10）郭清木下　敬弘 , 梅宮　亜弓 , 山田　衣里佳 80巻3号 , 2025年3月 , pp.279-286

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【ポイント】

◆脾門周囲の血管走行は個体差が大きいため，術前3D-CTを用いた解剖再構築が有用となる．

◆脾門を尾側から剝離し，膵尾部近傍で脾動静脈下枝の走行を脾臓流入部まで確認することで，左胃大網動静脈の根部を同定しやすくなる．

◆胃脾間膜を中枢側に牽引し伸展させることで，左胃大網動静脈や短胃動静脈の走行が同定しやすくなる．

◆脾動脈頭側でGerota筋膜を同定し郭清の深さを決定する．

＊本論文中、［▶動画］マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます（公開期間：2028年3月末まで）。

進行胃癌に対するNo. 13リンパ節郭清赤川　進 80巻3号 , 2025年3月 , pp.288-296

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【ポイント】

◆十二指腸浸潤を有する胃癌はNo. 13リンパ節も領域リンパ節と考えられているが，全例でNo. 13リンパ節郭清を行うべきかはcontroversialである．

◆腹腔鏡下でのNo. 13リンパ節郭清は定型化されておらず，当科で行っている手技を紹介する．

◆No. 13リンパ節郭清を行うことで膵液漏などの合併症につながることは避けねばならず，膵や十二指腸に対する愛護的な展開と適切なカウンタートラクションを意識する必要がある．

＊本論文中、［▶動画］マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます（公開期間：2028年3月末まで）。

胆膵癌手術

膵頭十二指腸切除におけるリンパ節郭清の基本松本　萌 , 権　英毅 , 西山　航平 , 末松　友樹 , 木谷　嘉孝 , 刑部　弘哲 , 瀧下　智恵 , 金沢　景繁 , 永川　裕一 80巻3号 , 2025年3月 , pp.297-305

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【ポイント】

◆膵頭十二指腸切除の郭清を行うにあたり，上腸間膜動脈（SMA）周囲神経叢の把握しやすいポイント（SMAⅠ・Ⅱ・Ⅲ）を特定し，郭清のガイドとする．

◆小腸間膜を平面化し，Area A〜Dを段階的に切除することで過不足ない郭清を実現できる．

◆特にロボット支援下膵頭十二指腸切除術では，適切なアプローチ法の選択をすることで安全性と効率を向上することができる．

膵体尾部切除におけるリンパ節郭清—解剖学的Layerを意識した郭清手技田中　公貴 , 野路　武寛 , 平野　聡 80巻3号 , 2025年3月 , pp.306-314

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【ポイント】

◆膵体尾部癌のリンパ節郭清では，局所の進行度によって総肝動脈周囲の神経叢温存か合併切除かを適切に選択する必要がある．

◆手術の安全性向上のため，脾動脈幹リンパ節の間膜化による視認性確保と，脾門部での慎重な短胃動静脈処理が重要である．

◆膵体尾部切除術では，腫瘍の後方進展度に応じてanterior (副腎温存）からposterior (副腎合併）まで，適切な後腹膜郭清深度の選択が必要である．

＊本論文中、［▶動画］マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます（公開期間：2028年3月末まで）。

胆囊癌手術における標準的リンパ節郭清—膵頭部周囲の郭清手技牧野　勇 , 八木　真太郎 80巻3号 , 2025年3月 , pp.315-323

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【ポイント】

◆胆囊癌手術においては，肝十二指腸間膜だけでなく膵上縁から膵頭背側領域のリンパ流域郭清が重要である．

◆上記のリンパ流域をen blocで郭清するためには，詳細な解剖把握と適切な術野展開が必須である．

◆最も標準的な郭清手技として，胆囊癌症例に対する開腹での胆管切除を伴うリンパ節郭清手技を提示する．

＊本論文中、［▶動画］マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます（公開期間：2028年3月末まで）。

横行結腸癌手術

ロボット支援下横行結腸癌手術の難しさと攻略のコツ—多彩な動静脈バリエーションに対応できる頭側アプローチ法絹田　俊爾 , 力丸　由衣 , 新田　大地 , 木村　聡志 , 佐藤　弘隆 , 小針　大輝 , 小林　弘幸 , 本多　正樹 , 林　嗣博 , 萩尾　浩太郎 80巻3号 , 2025年3月 , pp.325-332

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【ポイント】

◆横行結腸間膜は，副右結腸静脈・中結腸静脈・中結腸動脈で頭側縁が規定されており，患者右側から順番に血管を処理して中結腸動脈を頂点とする三角形に間膜化することが重要である．

◆頭側アプローチに難しい展開は必要なく，小腸も視野に現れないため，体型によらず再現性が高いコンセプトである．

◆上腸間膜静脈は血管を完全に露出する層を，上腸間膜動脈は周囲の神経線維前面の層を保って剝離を行うことで安全かつ確実に郭清を行うことができる．

＊本論文中、［▶動画］マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます（公開期間：2028年3月末まで）。

横行結腸癌に対する膵周囲リンパ節郭清を安全に行う方法—embryological planeを大切にした剝離層の選択とpincer approach (頭側尾側混合アプローチ）惠木　浩之 , 向井　正一朗 , 千野　慎一郎 , 中馬　基博 , 丸山　正裕 , 藤尾　俊允 , 太田　凌 , 近藤　康史 , 海津　貴史 , 近藤　泰人 , 佐藤　之俊 , 佐藤　武郎 , 内藤　剛 80巻3号 , 2025年3月 , pp.333-339

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【ポイント】

◆横行結腸癌に対する膵周囲リンパ節郭清を安全に行うためには，発生学，特に腸回転に基づいた計画的な操作が重要．

◆頭側・尾側の両方向から操作する方法（pincer approach）が有用である．

横行結腸癌に対するロボット支援手術のアプローチ法と膵周囲の郭清手技—尾側アプローチ法髙岡　亜弓 , 絹笠　祐介 80巻3号 , 2025年3月 , pp.340-345

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【ポイント】

◆適切なポート配置を心掛け，術式の定型化を行うことで，よりスムーズな手術が可能となる．

◆膵や横行結腸の損傷に注意が必要であり，適切な牽引と視野展開を意識する．

◆膵周囲の郭清は不用意に血管を中枢まで追わず，膵下縁までにとどめている．

FOCUS

外科医にすすめる効果的な休み方—ストレスと自律神経のバランスを整える雪下　岳彦 , 小林　弘幸 80巻3号 , 2025年3月 , pp.347-352

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はじめに

　日々，患者さんの生命を守るために，難しい決断と高度な手術に取り組んでおられる外科医の先生方には，深い敬意を表します．しかし，そうした大切な職務には避けられないストレスが伴うことも事実です．長時間労働や責任の重さ，常に最新の医療知識を求められることが，外科医にとって大きな心身の負担となっています．

　本稿では，外科医特有のストレス要因が自律神経に与える影響と，効果的な休息の取り方について解説します．心身の健康を保ちながら，高度な医療を提供し続けるために，お役立ていただければ幸甚です．

交見室

内精筋膜の続きについて川満　富裕 80巻3号 , 2025年3月 , pp.354-355

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　鼠径解剖では人体を体壁と内臓に分ける分類が重要である．この視点から，鼠径解剖で見落とされていた明白な誤りに気づいたので報告する．なお，本稿の趣旨は第22回日本ヘルニア学会で報告した．

　精索鞘膜が腹膜組織（内臓）の続きであることは，Winslow (1632）やCooper (1804，1807，1827）^1）が述べた．また，内精筋膜が横筋筋膜（体壁）の続きであることは，1841年にCooperが述べている（図1）^2）．

病院めぐり

徳島市民病院外科金村　普史 80巻3号 , 2025年3月 , pp.356

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　徳島市民病院は，1928年に徳島市立実費診療所として開設され，1949年に徳島市民病院に改称となり，徳島県東部の徳島市を中心とした地域医療を担っています．

　当院が立地する徳島市は，「阿波おどり」で有名な徳島県の県庁所在都市であり，東は紀伊水道に臨み，南は山々の緑を背にした自然豊かな都市で，市中心部には市の象徴ともいうべき眉山（標高290 m）があります．また市内には四国一の大河である吉野川をはじめ，大小合わせて134本の河川が流れており，古くから発達した水運を活かした藍産業を中心に全国有数の商業都市として発展してきた，都市と自然が調和した「水の都」です．

臨床報告

腹腔鏡下胆囊摘出術により腹部症状が軽快したきわめて稀な小児のADMの1例金城　尚樹 , 亀井　滝士 , 中津　宏基 80巻3号 , 2025年3月 , pp.357-360

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要旨

症例は14歳，女児．3か月ほど前からの食後に増悪する心窩部痛を主訴に当院小児科を受診．腹部超音波検査で胆囊線筋腫症（ADM）が疑われ，精査加療目的に当科紹介となった．腹部超音波検査および腹部CT，MRCPのいずれにおいても胆囊体部から底部にかけて全周性に15 mmの胆囊壁の肥厚およびRokitansky-Aschoff sinus (RAS）を認めたことからADMと診断し，食後の心窩部痛の原因と考え，腹腔鏡下胆囊摘出術を行った．病理検査所見においてもADMと確定診断された．術後，食後心窩部痛は消失した．ADMの好発年齢は40〜60歳台であり，小児のADMはきわめて稀である．今回われわれは腹腔鏡下胆囊摘出術により症状の改善が得られた小児のADMの1例を経験したので，報告する．

胆石の十二指腸壁内迷入により十二指腸狭窄をきたした1例山崎　祐樹 , 真智　涼介 , 南　宏典 , 山口　紫 , 石井　要 , 尾山　勝信 80巻3号 , 2025年3月 , pp.361-365

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要旨

症例は70歳，男性．上腹部膨満感を主訴に近医を受診し，幽門狭窄が疑われ当院へ紹介となった．上部消化管内視鏡検査では，十二指腸球部に隆起した炎症性粘膜を認め，通常径スコープは通過不可能であった．CT検査では，十二指腸球部に層状の高吸収結石を認めた．胆囊十二指腸瘻を伴う十二指腸壁内結石による十二指腸狭窄と診断し，手術を行った．胆囊の部分切除を行い，胆囊の内腔から十二指腸壁内に迷入した胆石を摘出した．胆囊十二指腸瘻を通じて胆石が十二指腸へと排出され，腸閉塞の原因となることは時折経験するが，本症例では胆石が十二指腸壁内に迷入し，十二指腸狭窄の原因となっていたものと考えられた．

左腋窩副乳癌の1例青木　優大 , 神谷　里明 , 川井　覚 , 清板　和昭 , 大原　規彰 , 緒方　諒仁 80巻3号 , 2025年3月 , pp.366-370

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要旨

副乳癌は乳癌の0.3〜0.6%を占めるとされる稀な疾患である．症例は50歳女性で，左腋窩の副乳部に腫瘤を自覚し，当院を受診した．身体所見では，左腋窩に皮膚のひきつれを伴う1 cm大の腫瘤を認めた．超音波検査では，左C'区域の皮下に長径15 mmの境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた．造影CTでは，左腋窩に長径15 mmの腫瘤を認め，腋窩リンパ節腫脹や遠隔転移を示唆する所見を認めなかった．針生検による病理検査では，異型上皮が管状に増殖し，その周囲には正常な乳腺組織を認めた．副乳由来のinvasive ductal carcinomaと診断し，腫瘍切除＋腋窩郭清を行った．術後経過は良好で術後6日目に自宅退院した．術後補助療法は行わず，術後3か月時点で無再発生存中である．

学会告知板

第8回日本臨床肛門病学会学術集会開催案内 80巻3号 , 2025年3月 , pp.277

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目次 80巻3号 , 2025年3月 , pp.250-251

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原稿募集　私の工夫—手術・処置・手順 80巻3号 , 2025年3月 , pp.259

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原稿募集　「臨床外科」交見室 80巻3号 , 2025年3月 , pp.355

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バックナンバーのご案内 80巻3号 , 2025年3月 , pp.374

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次号予告 80巻3号 , 2025年3月 , pp.375

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あとがき稲木　紀幸 80巻3号 , 2025年3月 , pp.376

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　異業種交流は，企業や個人がみずからの業界の枠を超えて知識や経験を共有し，新たな価値を創造する取り組みです．近年，ビジネス環境の急速な変化や技術革新に伴い，その重要性がますます高まっています．異業種交流によって，参加者は自社や自身の強みや課題を客観的に認識し，新たな視点や発想を得ることができます．また，異なる分野の専門家との対話を通じて，イノベーションの種が生まれる可能性も秘めています．

　このような異業種交流の概念は，外科手術の世界にも適用できるといえます．外科医療における「領域横断」は，異業種交流の医学版とも言えるでしょう．特に，膵臓周囲の手術は，この領域横断的な考え方が重要だと言えます．膵臓周囲の解剖は複雑で，他の重要な臓器や血管と密接に関連しているため，その手術には高度な技術と知識が要求されます．特に膵癌に対する手術では，消化管外科，肝胆膵外科，血管外科など，複数の専門領域の知識と技術を組み合わせる必要があります．膵頭十二指腸切除術では，膵臓だけでなく，胃・十二指腸，胆管，場合によっては血管の処理も必要となります．胃癌や横行結腸癌の手術でも，膵臓周囲の解剖に精通していることが必要ですし，浸潤を伴っていれば膵切除を行う必要があります．このような領域横断的アプローチは単に手術技術の向上だけでなく，何よりも患者さんにとってより良い治療成績につながることになります．

基本情報

臨床外科
80巻3号
(2025年3月発行)

電子版ISSN：1882-1278 印刷版ISSN：0386-9857 医学書院

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