特集 肛門疾患診療のすべて
16.肛門疾患と混同しやすい疾患
粘膜脱症候群の診断と治療
久留島 徹大
1
,
工藤 泰崇
1
,
吉川 徹
1
,
十倉 知久
1
,
大柄 貴寛
1
,
井川 明子
1
,
青木 計績
1
,
梅原 豊
1
,
西川 晋右
1
,
森田 隆幸
1
,
貝森 光大
2
Tetsuhiro KURUSHIMA
1
1青森県立中央病院外科
2青森県立中央病院病理部
pp.321-327
発行日 2008年10月22日
Published Date 2008/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102350
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要旨 直腸粘膜脱症候群は直腸に潰瘍や隆起性病変を呈し,病理組織学的に粘膜固有層の線維筋症(fibromuscular obliteration)を特徴とする疾患群で,血便,粘液排泄,テネスムスなど多彩な症状を示す.顕性ないし不顕性の直腸粘膜脱が病因と考えられており,排便時間が長く,過度の「いきみ」によって排泄するstrainerが多い.診断のうえでは直腸癌との鑑別が,治療のうえでは異常な排便習慣の是正が重要である.保存的な治療で改善のみられない場合には低侵襲の手術が行われるが,排便時間を短くし,「いきみ」を控える排便習慣の改善が重要であり,排便習慣が正常化しなければ再発しやすい点に留意する必要がある.
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