特集 肛門疾患診療のすべて
16.肛門疾患と混同しやすい疾患
毛巣疾患の診断と治療
橋口 陽二郎
1
,
上野 秀樹
1
,
長谷 和生
1
,
山本 順司
1
,
栗原 浩幸
2
,
望月 英隆
1
Youjiro HASHIGUCHI
1
1防衛医科大学校外科
2所沢肛門病院
pp.351-358
発行日 2008年10月22日
Published Date 2008/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102353
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要旨 毛巣疾患は,肛門後方の正中仙骨部に発生する毛髪と関連した慢性炎症性疾患で,比較的若い男性に多く発症する.仙骨部の陥凹,毛髪,頭側皮膚の二次口などの所見が特徴的で,痔瘻や肛門周囲膿瘍との鑑別が重要である.炎症が強い場合には切開,排膿によって囊胞のなかの毛髪,膿と組織片を一掃し,ガーゼなどを充塡して創の底部からの治癒を促す.切開排膿と根治術の中間的な術式として,正中陥凹部,二次口の開口部を切除したうえで切開排膿を行う手術がある.根治術は閉鎖術式と開放術式があるが,通常,正中単純閉鎖法で正中陥凹部,二次口部,囊胞を含めて紡錘形に皮切をおき,洞を含み,仙尾骨の筋膜付近まで十分に切除する.
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