特集 肛門疾患診療のすべて
5.痔核
内痔核
嵌頓痔核の治療
松田 好雄
1
,
町田 智幸
1
,
大高 京子
1
,
荒井 武和
1
,
松田 大助
2
Yoshio MATSUDA
1
1荒川外科肛門科医院
2東京医科大学第3外科
pp.147-155
発行日 2008年10月22日
Published Date 2008/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102329
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要旨 嵌頓痔核は,それまで徐々に進行していた痔核が何らかの誘因で肛門管外に脱出してその状態が持続し,肛門括約筋の痙攣によって絞扼されて循環障害をきたし整復が困難となったものである.患者の多くは肛門部の耐えがたい疼痛を伴った大きな腫脹を主訴に来院するが,普段は自覚症状のないものもあれば,ときにⅡ~Ⅲ度のレベルから発症するものもある.嵌頓痔核の治療法として保存的治療か手術治療のいずれを選択すべきか,また,手術治療であれば待機的手術か早期手術かに関しては議論のあるところである.嵌頓痔核が初回整復が可能で保存的治療に反応すれば,経過をみたうえで手術適応を考える.整復不能で手術を考慮した場合は,嵌頓前後の状態や患者の社会的背景を把握しインフォームド・コンセントを行って早期手術か待機的手術かの適応を臨機応変に決定する.
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