特集 肛門疾患診療のすべて
4.肛門疾患の検査法
肛門疾患の基本的な検査―肛門鏡,直腸鏡,大腸内視鏡
高野 正博
1
Masahiro TAKANO
1
1高野会高野病院
pp.45-51
発行日 2008年10月22日
Published Date 2008/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102318
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要旨 肛門の治療にあたっては病態を正確に把握することが前提条件で,これには正しい手順で肛門の診察を行わなければならない.肛門鏡診は視診,指診のつぎに3番目に行われる最も重要な検査法の1つである.肛門は括約筋で閉鎖され肛門鏡で開いて見るのであるが,これによってくまなく観察し正しい診断をつけることは決して容易ではない.多くの肛門疾患の知識と豊富な経験に基づいて行うべきである.まずは患者の恐怖心を取り除き,肛門にはいくつかの病変が存在し,しかも奥から手前へと因果関係を持って連なっていることが多いため,それをつぶさに観察する.直腸鏡診は直腸病変の位置や肛門からの距離を正確に把握する役割があり,重要な検査法である.ただし,施行にあたっては,医師によっては知識と経験の不足で危険性を伴うので,この方法を十分に熟知しなければならない.内視鏡は,さらに奥の直腸・結腸を観察すると同時に反転法によって肛門鏡が観察しがたい最上部を観察するのに最適であり,これも欠かすことのできない手技である.
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