特集 肛門疾患診療のすべて
10.術後後遺症
括約筋機能不全の診断と治療
石山 勇司
1
Yuji ISHIYAMA
1
1藻友会札幌いしやま病院
pp.271-275
発行日 2008年10月22日
Published Date 2008/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102343
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要旨 術後後遺症としての肛門括約筋機能不全は,肛門周囲膿瘍,痔瘻手術の際の不用意な内外括約筋の切断が原因で起こることが多い.肛門括約筋機能不全に陥ると,便失禁,ガス失禁,下着の汚れ,便の偏位など不快な症状に悩まされ,QOLが低下する.診断には,肛門管超音波検査および肛門内圧測定検査が肛門機能を客観的に評価でき有用である.治療は,排便のコントロールや括約筋の自己トレーニングなどの保存的治療で改善しない場合には手術を行う.手術は肛門括約筋修復術や後方形成術が有用である.何より,肛門疾患は良性疾患であるため術後に後遺症を残しQOLを低下させるようなことは避けるべきであり,手術の際,肛門括約筋の操作には細心の注意を払うことが大切である.
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