臨床眼科 53巻5号 (1999年5月)

特集 第52回日本臨床眼科学会講演集(3)

特別講演

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はじめに

 脳は身体を構成する臓器の1つであるが,他臓器と異なる点は,身体全体の機能的調和を維持するのに重要な働きをしていることである。さらに,聴覚,視覚,触覚を介して外界の情報を得るための装置を備えるとともに,口腔を利用した発声により,他個体へと情報を伝える機能も獲得した。すなわち,生命体は脳神経系を獲得したことにより個体内の恒常性を維持しながら他個体とのコミュニケーションを行う術を得て集団としての生存を可能にしたといえる。

 脳神経系とは,どのようなものであろうか。どのようにして作られてきたのであろうか。これまでに多くの人たちがその解明に携わってきた。

 本稿では私たちの研究室で発見した機能分子や現象についての研究成果の一部を紹介する。

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(B2-1-15) 浜松医科大学の関連病院14施設において,1993年3月から1998年2月までの5年間に経験した白内障術後眼内炎とその関連事項について調査した。約11,000件の白内障手術において5件(0.045%)の術後眼内炎が発生した。そのうち3件で原因菌が同定され,糖尿病患者が2件,鼻涙管閉塞の患者が2件あった。術前の抗菌薬点眼,涙嚢洗浄,睫毛切除,ポピドンヨードによる眼瞼消毒と結膜嚢洗浄の有無にかかわらず眼内炎の発症をみた。全例に硝子体切除術を行い,3例で眼内レンズの摘出を行った。術後視力は0.1から1.5であった。失明につながる白内障術後早期眼内炎に対処するためには,術後最低4日間は毎日の診察が望ましいと考えている。安易な抗菌薬の使用は慎むべきである。

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(B3-2-17) 原田病の治療で難治に至る原因や背景は,処方される副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)に対して,個々の患者で感受性が相違するためではないかと考えた。12例の原田病患者を対象に薬剤感受性試験を行い,感受性と治療経過を検討した。患者はステロイドに対し4例が感受性(+)で,8例が感受性(−)であった。全身的なステロイド投与量は感受性(−)群に多かった。また全身投与期間,および30mg/日からの漸減期間も感受性(−)群では長期に及ぶ傾向がみられ,その期間と投与量に強い相関がみられた。したがって,薬剤感受性は治療経過に影響すると考えられ,事前にそれを把握することは治療期間の短縮や遷延化の回避につながるのではないかと考えられた。

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(B3-2-19) 併発白内障と続発緑内障を合併した原田病の4症例6眼において,白内障と緑内障の同時手術の臨床的有用性を知る目的で、術後の眼圧,矯正視力および炎症について検討した。全症例において,術後の眼圧は抗緑内障薬を使用せず,術後15か月間にわたり眼圧は20mmHg以下に安定していた。術後の矯正視力は全症例で改善した。術後,炎症が増悪した症例はなかった。重篤な合併症はなかった。原田病における白内障と緑内障の同時手術は有用であると考えられた。

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(B3-2-22) 1994年1月〜1997年12月に自治医科大学眼科を受診した患者のうち,サルコイドーシスと組織診断された81例(組織診断群)と臨床所見から診断された12例(臨床診断群),および眼サルコイドーシス診断基準を満たすが,確定診断には至らなかった86例(疑診群)における眼科的所見と全身検査所見,最終観察時視力について比較検討を行った。その結果,3群間における眼所見,最終観察時視力に有意差はみられなかった。全身検査所見では,確定診断群は疑診群と比較して,血清ACE上昇と67Gaシンチ陽性の出現率が有意に高かった。また,眼所見にかかわらず,検査所見が診断基準を満たす症例では,組織陽性率が高い傾向がみられた。

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(B3-2-28) 内眼手術を受けた内因性ぶどう膜炎患者の臨床像,手術の種類と,その術後結果および合併症について検討した。対象は1993〜1998年の期間に内眼手術が行われた内因性ぶどう膜炎患者35名51眼である。後ろ向き研究で病因,手術の種類,術後経過と合併症について検討した。その結果,内眼手術の8割が白内障手術で,眼内レンズ挿入眼と非挿入眼では術後視力に差はなく,炎症がおさまってから2か月未満と2か月以上では術後視力は後者で有意に良好であった。しかし,前房の消炎が不十分な状態での手術や,炎症が再燃しやすいぶどう膜炎を基礎疾患にもつ眼では予後不良なものが多かった。

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(B5-1-9) 網膜色素線条症8例16眼に,走査型レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)を使ったmicroperimetryによって,網膜感度を検討した。視神経乳頭周囲の網脈絡膜萎縮部,網膜下出血部,円板状萎縮部において,絶対暗点が検出された。ブルッフ膜断裂のみがみられる部位では,いずれの輝度においても暗点は検出されなかった。ブルッフ膜断裂のみでは網膜への影響は少なく,脈絡膜新生血管やそれに伴う出血性変化,増殖性変化により網膜機能障害をきたすと考えられ,本症においては,脈絡膜新生血管に対する治療が重要であると思われた。

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(B5-2-3) アレルギー性結膜疾患25症例(アレルギー性結膜炎9例,アトピー性角結膜炎7例.春季カタル9例)を対象に,少量の全血で測定可能なグラスファイバー法を用いた末梢血白血球ヒスタミン遊離試験(HRT)の有用性を検討した。患者についてRAST (radioallergosorbent test)法および結膜誘発試験(CPT)との比較を行った。HRTとRASTの判定一致率は72%から90%であった。HRTのCPTによる確定診断に対する判定一致率および陽性一致率(感度)は85%および78%であり,RASTはそれぞれ70%および55%であった。しかし感度はRASTがHRTよりも高かった。これらの結果から,RASTは原因抗原のスクリーニングに,HRTは原因抗原の確定に有用であることが示された。

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(B5-2-11) 走査型レーザー検眼鏡を用いて,上皮型単純ヘルペス角膜炎の初期病変を検索した。角膜をフルオレセインナトリウムで染色した後,アルゴンレーザーで励起しバリアフィルターを入れて観察する方法を用いた。ウイルスDNAの同定ができた50眼中,樹枝状角膜炎は20眼,辺縁部角膜炎は13眼,その他は17眼であった。これらの前眼部螢光所見で特徴的なことは,過螢光部の中に20〜50μmの低螢光点がみられたことである。さらにその配列は微細な枝状や列島状であり,微小樹枝状角膜炎ということができた。この検査方法は,本症の細胞レベルの解析に役立つだけでなく,今後の角膜疾患の研究に寄与することが期待される。

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(B6-1-17) 56歳男性が数週前からの両眼の霧視で受診した。虹彩炎の所見と,硝子体混濁を伴う眼底の乳白色隆起性病変があり,検眼鏡的に原発または転移性脈絡膜腫瘍を疑った。頭部MRI検査で脳梁にガドリニウムが造影され,悪性リンパ腫が疑われた。両眼に硝子体手術を行い,細胞診から幼弱な腫瘍細胞が検出された。切除した硝子体のフローサイトメトリー法での細胞表面マーカー検索で,悪性リンパ腫の診断が確定した。手術後の放射線照射と化学療法で眼底病変は瘢痕治癒し,視力が回復した。

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(B6-1-14) IgA腎症として加療中に,上気道感染を契機に抗好中球細胞質抗体関連腎炎(ANCA関連腎炎)を併発し,腎障害が進行する経過で両眼視神経乳頭浮腫が観察された1例を報告した。眼所見はステロイドと免疫抑制剤を中心としたカクテル療法開始後,腎機能・尿所見の改善と時期を同じくして徐々に改善した。以上より,ANCA関連血管炎が視神経乳頭表層毛細血管レベルに生じていた可能性が推定された。

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(B6-1-20) パーソナルコンピュータのディスプレイ画面上で,網膜中心部の直径30度の範囲内の25点での矩形波フリッカー光に対する時間変調閾値を4周波数(5〜20Hz)で測定するプログラムを開発した。これを10歳台から70歳台までの正常な49眼に応用し,測定値の測定部位,年齢による変動,測定法による差を検討した。フリッカー感度は中心から周辺に向かうにつれて低下し,年齢とともに感度が低下した。上昇系列極限法は,上下法よりも短時間で測定でき,疲労が少なく,しかも両者で測定結果に差がなかった。高眼圧症24眼中,10眼でフリッカー感度の低下が検出された。このプログラムは,短時間でフリッカー視野が測定でき,緑内障早期の軽度の視神経障害検出が可能と思われる。

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(B6-2-14) 超音波カラードップラー法を用いて,加齢黄斑変性症の脈絡膜新生血管に対する低線量放射線治療前後で,治療眼および僚眼の短後毛様動脈,網膜中心動脈および眼動脈の時間平均血流速度(Vmean)と血管抵抗指数〔resistive index (RI)〕を解析した。低線量放射線の後極部照射前と照射後では,これらの動脈のVmeanとRIに統計学的有意差はなかった。したがって,低線量放射線照射の眼循環に対する明らかな影響はない。

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(B6-2-22) 慢性アルコール中毒に伴う低栄養状態が原因となり,意識障害で発症したWernicke脳症の患者に特異な眼球運動障害を経験し,電気眼球運動図を含む検討を行ったので報告する。症例は,両側外転神経麻痺,水平と垂直の衝動性眼球運動のdysmetria,水平と上方への滑動性追従運動障害,下向きの衝動性眼球障害,および第一眼位にて大振幅,上転で増強,下転で減弱する上眼瞼向き眼振を認めた。Wernicke脳症の早期診断には,眼球運動障害の検出が有用である。上眼瞼向き眼振は稀であるが,本眼振の出現したときにはWernicke脳症も考慮に入れる必要がある。

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(B9-1-4) 6か月以上経過を追えた滲出型加齢性黄斑変性15例185眼(自然経過観察群:男性48例59眼,女性23例29眼、レーザー治療群:男性50例60眼,女性30例37眼,平均経過観察期間は17.4±11.2か月,平均年齢は69.8±8.6歳)において,経過中に6段階以上の視力低下をきたしたのは自然経過群の13例13眼(14.8%),レーザー治療群の14例15眼(15.5%)であった。年齢性別,新生血管のタイプ,新生血管の位置に関する検討からは視力低下要因は見いだせなかった。症例ことの検討から,レーザー光凝固治療による中心窩網膜機能障害,新生血管診断の不備,インドシアニングリーン螢光造影での斑状過螢光(plaque)と限局性過螢光(hot Spot)の混在病巣に対するレーザー治療方法の是非などが反省点として挙げられた。

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(B9-1-15) 硝子体出血に対し硝子体手術を施行し,5乳頭面積以上の網膜下出血のみられた12例12眼(男性9例,女性3例,平均年齢67歳)の臨床的特徴を検討した。原疾患は加齢黄斑変性症(AMD)が6例,網膜細動脈瘤が1例,原因不明例が5例だった。術前視力は12例中11例が手動弁以下で,最終視力は光覚なし〜0.8だった。AMDに比べ原因不明例は,若年で視力予後良好だった(p<0.05)。また片眼性で性差がなく,急性ないし亜急性の経過を示し黄斑部病変が軽度という特徴があり,AMDとは異なった疾患が原因である可能性が高いと考えられた。

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(B9-2-4) 2%カルテオロール点眼液の血清脂質に及ぼす影響について,原発開放隅角緑内障の24例48眼について調べた。点眼していたうちβ遮断薬点眼剤のみを2%カルテオロールに変更し,投与後から4週間隔で16週間血清脂質の変化を経時的に観察した。血清脂質は高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C),総コレステロール(TC),トリグリセライド(TG)について測定を行った。その結果,HDL-Cは投与前の値に比較し投与8週目まで有意の上昇をみたが,その後は投与前の値と有意の変化をみなかった。TCはどの時期においても有意の変化をみなかった。TGはどの時期においてもその値は有意に減少していた。眼圧は投与前に比較し有意の変化はなかった。2%カルテオロール点眼は血清中のHDL-C,TCに影響を与えずTGの値を下げることから,高脂血症のある緑内障患者においても安全に使用できると考えられた。

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(B9-2-12) Tendency Oriented Perimetry(TOP)はオクトパス視野計に備えられた新しい閾値測定法である。今回TOPによる視野計測を行い,その臨床評価を行った。対象は正常者40例40眼,高眼圧症患者9例9眼,緑内障患者40例64眼で,全症例に対してOCTOPUS1-2-3のG1XプログラムをNormal strategy (NS)とTOPで行った。NSと比べたTOPの測定時間短縮率は平均86.9%であった。Mean defect (MD),loss vaiance (LV)の比較では,MDに差がなく,TOPのLVが有意に小さくなった(p<0.0001)。TOPは短時間で閾値計測が可能で検査効率が高いが,視野の形状を捉らえにくい検査法と思われた。

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(B9-2-22) 糖尿病黄斑症に行った光凝固146例199眼の結果を検討した(平均観察期間は40.9か月)。凝固後1年以内に黄斑部のびまん性浮腫は42.2%,局所浮腫は36.1%の症例で,2段階以上の視力改善が得られた。中心窩外の局所浮腫は凝固後3年で,74%の症例で視力維持または改善が得られた。汎網膜光凝固後の黄斑浮腫に対する光凝固は,びまん性浮腫で49%,局所浮腫で61%の症例で改善が得られた。黄斑凝固の後に汎網膜光凝固を行った症例は改善は少ないものの,視力が維持された。腎障害の高度の症例(尿蛋白++以上)では凝固後の視力低下が有意に多かった。黄斑光凝固は,汎網膜光凝固後の黄斑浮腫に対しては極めて有効である一方,腎障害の程度によっては無効例も多いことが確認された。これらの結果をもとに,黄斑部光凝固の治療適応を決定すべきと考えた。

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(C1-1-12) 1998年3月から8月までの期間に,長崎大学医学部附属病院眼科で,12例12眼の特発性黄斑円孔の硝子体手術に際し,意図的内境界膜除去を行った。術前対数視力は−0.88±0.31,術後対数視力は−0.39±0.44であった。除去した内境界膜を透過形電子顕微鏡で観察したところ,2種類に大別された。1つはグリアと考えられる細胞を含んだもの,もう1つは内境界膜だけのものであった。内境界膜の網膜側の面は粗であり,神経線維層の障害も懸念された。視力の回復は悪くなかったが、長期的には何らかの障害を網膜に与えている可能性は否定できない。

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(C2-3-7) 東京医科大学眼科学教室では過去7年間に穿孔部が広範囲で重篤な角膜穿孔の4例に緊急手術として全層角膜移植術を行った。穿孔した症例はヘルペス性壊死性角膜炎,細菌性角膜潰瘍,重度全身熱傷に合併した角膜熱傷,リウマチ性角膜潰瘍であり,最初の3症例は角膜移植術後であった。穿孔から角膜移植までは4日から16日であった。移植片は1例で術後2年3か月のあいだ透明性を維持し,2例は軽度混濁のみ,1例はヘルペス性角膜内皮炎により水疱性角膜症となった。術後合併症として続発性緑内障が3例に生じた。広範囲な角膜穿孔であっても全層角膜移植により眼球の保存が可能であったが,視機能を保つためには術後に生じる続発性緑内障に対して積極的な治療が必要であると思われた。

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(C1-2-4) 症例は40歳女性。初診時,眼圧は両眼とも68mmHgで,小角膜,浅前房,隅角の全周閉塞を認め,眼軸長は両眼14.2mmで眼底にはuveal effusionが認められた。小眼球症に伴う閉塞隅角緑内障発作と診断し,両眼にレーザー虹彩切開術を施行した。しかし,眼圧が下降しないため,両眼ともまずuveal effusionを軽減する目的で4象限に対して強膜開窓術を行い,その後約2週間目に隅角癒着解離術と超音波白内障手術+眼内レンズ挿入術を施行した。手術は両眼とも併発症なく行え,さらにレーザー隅角形成術を行い良好な眼圧コントロールを得た。小眼球症の閉塞隅角緑内障の内眼手術には,強膜開窓術を併用する2段階手術が有用と考えられた。

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(C2-1-3) 眼球周囲MALT (mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫4例の臨床的特徴について検討した。男性2例,女性2例で,年齢は40〜81歳であった。発生部位は眼瞼1例,球結膜下のみ1例,球結膜から瞼結膜にかけてみられたものが2例であった。いずれの症例も病理組織学的にMALTリンパ腫の特徴を有していた。免疫組織化学染色ではL−26陽性反応によりB細胞悪駐リンパ腫と診断された。治療は,1例に化学療法と放射線療法を行い,他の3例には化学療法のみを行った。いずれの症例も腫瘍の縮小効果がみられ,経過良好である。

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(C4-1-11) 原発緑内障に対するマイトマイシンC併用線維柱帯切除術直後の眼圧調整が,長期予後に及ぼす影響について検討した。術後7日間,および術後8〜10日の3日間の2つの時期における平均眼圧8mmHg以上を高眼圧群,8mmHg未満を低眼圧群と分類し比較した。術後7日間における高眼圧群と低眼圧群のKaplan-Meier法による手術生存率に差はなかった。術後8〜10日における低眼圧群の手術生存率は,高眼圧群と比べ有意に高かった。術後合併症発生率はどちらの時期においても両群の間に差はなかった。マイトマイシンC併用線維柱帯切除術では術後9日前後の眼圧を十分に下降させることが手術成績を向上させると考えられた。

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(C4-2-2) 強度近視眼では通常の白内障眼と比較して前房深度が深く眼軸長が長いため,白内障手術時のハンドピースの挿入時には虹彩や毛様体が上下動し内臓痛を引き起こしやすい。今回,白内障手術に用いられる眼内灌流液オキシグルタチオン溶液にリドカインを注入し,0.2%リドカイン眼内灌流液を用い点眼麻酔に併用したところ,点眼麻酔単独群より有意に強い疼痛抑制効果が得られた。また,角膜内皮細胞減少率は麻酔単独群と比較して有意差はみられなかった。0.2%リドカイン眼内灌流麻酔は強度近視眼白内障手術に有用であった。

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(C4-2-6) 白内障手術を行った1,477眼について,角膜曲率半径,水晶体厚,眼軸長,エメリー分類,白内障の病型を検索した。膨化白内障は除外した。年齢は73.4±11.1歳であった。白内障の型は,皮質783眼(53%),核302眼(20.4%),後嚢下217眼(14.7%),後嚢下+核143眼(9.7%)であった。水晶体厚は加齢とともに増加し,エメリー分類の段階が大きくなるにつれて増加した。水晶体厚は,核白内障で最大であり,以下,皮質,核+後嚢下,後嚢下の順で小さくなった。以上の所見は,術後の眼内レンズの位置を予測をするために,個々の症例での水晶体厚に留意する必要があることを示している。

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(C4-3-11) 1974年1月から1997年10月までの23年間に福岡大学病院眼科で浅前房を伴う第一次硝子体過形成遺残に対し手術治療を行い、術後1年以上経過観察した15例18眼について予後を検討した。術後経過観察期間は1年から21年5か月(平均10年9か月),対象は男性9例11眼,女性6例7眼で,片眼性9例,両眼性6例であった。12例14眼には何らかの眼底病変を認めた。手術時年齢は2か月から6歳2か月,平均1歳3か月で,全例に水晶体切除(吸引)術と前部硝子体切除術を行った。18眼中17眼(94%)は角膜は透明で,前房は形成されていた。浅前房をきたした症例に対する手術治療は続発緑内障を予防し,眼球形態保持に有効であった。

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(P1-1-5) 短後毛様動脈(SPCA)の起始部の分布と走行を観察するために128眼を対象として,デジタルインドシアニングリーン螢光造影を行った。その結果,497本のSPCA起始部が同定できた。起始部は視神経乳頭の周囲と後極部に集中しており,中心窩と視神経乳頭の中心を通る2本の水平線の間に位置する水平線に対し,線対称に分布していた。黄斑部から起始するSPCAは497本中34本であり,周辺に向かうものは容易に同定できたが,黄斑への枝は不明瞭であった。1眼で黄斑部への枝が観察でき,5眼で起始部は不明であるが黄斑部に優先的な充盈を示した。黄斑が偏位した家族性滲出性硝子体網膜症2眼ではそれに相当したSPCAの偏位はなかった。

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(P1-1-18) 初診糖尿病患者のうち,1983年10月から1985年4月の期間の107名(初期)と,1996年10月から1998年4月までの240名(後期)で眼底所見,患者背景について比較した。他の眼科医からの紹介は初期18.7%,後期36.3%と後期で多かった。糖尿病網膜症はそれぞれ52.3%,68.5%,眼科受診既往のないものは42.1%,41.7%で,そのうち増殖・前増殖網膜症は初期13.3%,後期17%と,後期で増加傾向があった。紹介患者数が増加し,地域における当院の役割は向上していると考えられるが,眼科受診既往のない症例の比較的重症網膜症有病率は15年前よりも増加しており,より一層の啓蒙が必要と思われた。

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(P1-2-2) 75歳,男性の片眼に硝子体出血が発症し,超音波検査で腫瘍状陰影が指摘された。硝子体手術を行った結果,腫瘍状陰影は多量の脈絡膜血腫であることがわかり,血腫の周辺部に残存網膜を認めた。血腫除去後周辺部を冷凍凝固し,ガス注入して手術を終えた。術後高眼圧が持続し,視野狭窄ならびに視力低下をきたした。最終矯正視力は0.1であった。網膜が裂けたにもかかわらず網膜剥離をきたさなかったのは,網膜色素変性症様の網脈絡膜の萎縮病変のためと思われた。硝子体出血を伴った原因として,新生血管と無血管帯の関与が考えられた。

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(P1-2-6) 17歳の中国人男性が,顔面の皮脂腺腫,てんかん,精神発育遅延,頭蓋内の石灰化などを呈し,結節性硬化症と診断された。矯正視力は,右1.5.左0.2であった。右眼は正常所見であった。左眼の乳頭上に6乳頭径大の黄白色の腫瘤があり,乳頭全体を覆って硝子体内に約5ジオプトリー突出していた。螢光眼底造影では上鼻側動脈の造影が不十分で,下鼻側動脈は造影されなかった。鼻側象限は低螢光で,無灌流であった。腫瘍塊には造影初期から色素の流入があり,造影後期には組織染を呈した。以上の所見から,本例は乳頭ドルーゼンではなく,乳頭前の結節形成であると判断された。

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(P1-2-20) 過去8年間に網膜剥離に対して当科で手術を行った19歳以下の80例85眼を検討した。男性52例,女性28例であった。年齢は2歳から19歳,平均16歳であった。網膜剥離の原因または関連要因として,萎縮性円孔33眼(39%),眼外傷23眼(27%),アトピー性皮膚炎14眼(17%),鋸状縁断裂7眼(8%),周辺部弁状裂孔4眼(5%)があった。他の4眼では裂孔は同定できなかった。最終的な網膜復位は95%で得られた。10例12眼は15歳から19歳であり,アトピー性皮膚炎がその18%にあった。以上の所見は,若年者の網膜剥離ではアトピー性皮膚炎が関与する事例が増えつつあることを示している。

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(P1-2-21) 後嚢の温存されている,超音波乳化吸引術後偽水晶体眼網膜剥離15例15眼について臨床所見を検討した。白内障手術から網膜剥離発症までの推定期間は平均700日で,1年以降の発症が半数を占めていた。術前裂孔検出率は87%で,上耳側の赤道部に最も多くみられた。格子状変性を伴わない裂孔が6割,伴うものが4割であった。嚢外摘出術後に比べ下方の裂孔が多く,超音波の使用など術式の違いがその原因ではないかと考えられた。初回復位率は80%,最終復位率は100%で,初回硝子体手術を行った3例で再剥離をきたした。再剥離の原因は残存硝子体による新裂孔であった。

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(P1-2-23) 48歳男性が21か月前に両眼の緑内障と診断され,治療中であった。1週間前に左眼視力低下を自覚し,眼底の下半分に及ぶ網膜剥離が発見された。裂孔は下方赤道部にあった。陥凹/乳頭比は縦0.8,横0.7であり,上方に視野狭窄が検出された。眼圧は右20mmHg,左19mmHgであった。網膜剥離に対して手術を行い,復位を得た。術後の眼圧は21〜26mmHgを推移し,術後2週目の視野測定で当初はなかった求心性視野狭窄が発見された。輪部から20mm後方に置いた締結術がその主要原因であると推定されたが,緑内障による可能性も否定できない。緑内障の既往がある網膜剥離では,術後の視野狭窄の進行に留意すべきである。

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(P1-2-24) 黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離術後眼13例13眼の黄斑部断層像を,光学的干渉断層計(OCT)で観察した。検眼鏡により中心窩反射をみた10症例では,OCTにおいても中心窩陥凹の回復をみた。術後1か月に検眼鏡で中心窩反射をみなかった3例3眼では,OCTにより2例2眼に微小な網膜下液の残存が,1例1眼に網膜色素上皮剥離様変化がみられた。OCTから得られた中心窩厚と術後矯正視力には相関がみられなかった。OCTは黄斑部の解剖学的変化を非侵襲的に検査できる有用な検査と考えられた。

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(P1-2-37) 白内障術後に非典型的症状を呈した感染性眼内炎の1例を経験した。症例は47歳,男性で,左眼成熟白内障にて超音波乳化吸引術およびfoldable眼内レンズ挿入術を行った。術後1日目の矯正視力は1.2,術後17日目に視力低下・眼痛・頭痛を自覚した。矯正視力は10cm指数弁となっており,眼圧55mmHg,前房は深く,細胞・フレアー著明で茶色羽毛状滲出物がみられたが,前房蓄膿はみられなかった。術後感染性眼内炎を疑い,診断的・治療的硝子体手術を行った。術中眼底には数時間前にはみられなかった網膜中心静脈閉塞症様の網膜斑状出血と白斑が多数みられた。術後,眼内炎の再燃はなく,矯正視力は0.8まで回復し,網膜出血および白斑も消失した。

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(P1-2-38) 症例は24歳男性。左眼の視力低下を自覚して近医を受診した。左網膜中心静脈閉塞症を指摘されたが,その後眼科を受診せず,3か月後硝子体出血を生じて当科を受診した。初診時の視力は右0.1(1.2),左0.01(矯正不能)。眼圧は右15mmHg,左30mmHg。左眼虹彩,隅角ともに新生血管を生じていた。直ちに,硝子体切除術と眼内光凝固術を行ったところ,左眼底下方に黄白色調の滲出物があり,網膜血管炎の存在が推定された。その後,硝子体出血と新生血管緑内障を繰り返し,臼井法,線維柱帯切除術など計4回の手術を行った。若年性網膜中心静脈閉塞症は一般的に予後良好とされるが,本症例は重篤な経過をたどり,眼圧調整に数度の手術を要した。

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(P2-1-25) イソプロピルウノプロストン(以下,ウノプロストン)点眼により虹彩が着色したと思われる2症例を経験した。第1例は両眼の開放隅角緑内障の56歳男性で,両眼にウノプロストン点眼を始めて36か月後に両眼の虹彩に色素増加と思われる色調変化がみられた。その後眼圧コントロールが不良となり,左眼にトラベクレクトミーを行い,術後にウノプロストンの点眼を中止したところ,左眼ではそれ以上の虹彩色調の変化はなかった。第2例は左高眼圧症(初診時眼圧36mmHg)の64歳男性で,左眼にウノプロストン点眼を始めて12か月後に左眼の虹彩に色素増加と思われる色調変化がみられた。点眼を0.5%チモロールに変更したところ,それ以上の虹彩色調の変化はなかった。

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(P2-2-6) 慢性活動性EBウイルス感染症と診断された16歳の女性が右眼のかすみを自覚した。視力低下はなく,前眼部,中間透光体にも異常はなかった。右眼の視神経乳頭の腫脹と,網膜静脈の軽度怒張がみられた。視野検査で,右眼マリオット盲点の軽度拡大がみられ,螢光眼底造影では右眼視神経乳頭は早期から過螢光を示し,時間とともに拡大した。網膜血管からの螢光漏出はなかった。左眼には異常をみなかった。無治療で経過をみた。次第に視神経乳頭の腫脹は軽減した。螢光眼底造影でも,視神経乳頭からの螢光の漏出は減少し,視野も正常になった。持続するEBウイルス感染が視神経乳頭の血管に障害を起こす可能性が示された。

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(P2-2-1) エタンブトール視神経症患者が左同名半盲を呈し,重度の視野障害を残した。症例は60歳の男性でエタンブトール投与後,約50日目から視野障害を自覚し,当科へ紹介された。両眼とも矯正視力は0.5,軽度の白内障と傾斜乳頭があり,視野検査で左同名半盲を呈した。MRIでは頭蓋内には明らかな異常はなかった。その後,左視力が0.2と低下したため,エタンブトール視神経症と診断し,エタンブトール投与を中止した。1週間後,左視力は回復したが,視野欠損は改善しなかった。6か月後,視野はわずかに改善したが,その後の視野検査で変化はなかった。

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(P2-2-17) 星状神経節ブロック(SGB)による眼血流改善効果を検討するため.虚血性眼疾患の治療目的にてSGBを行った6例6眼を対象に,SGB前後の視神経乳頭およびその近傍の網膜血流の変化を走査型レーザースキャンニングドップラーフローメーター(HRF)で測定した。SGB施行後の眼血流は,SGB施行側眼(患眼)において視神経乳頭陥凹底のflowおよびvelocityが有意に増加していた(p<0.05)。これは視神経乳頭陥凹底に分布する短後毛様動脈がSGBの効果を直接受けたためと考えられた。SGBによる視神経乳頭循環改善は,SGBが虚血性の視神経疾患治療に有効である可能性を示唆するものと考えた。

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(P2-2-18) 72歳男性と67歳女性に,角膜病変を含む眼部帯状ヘルペスが発症し,皮疹出現から約1週後に同側の動眼神経麻痺が生じた。両症例とも,動眼神経麻痺は1〜2か月後に自然寛解した。両症例が受診した過去1年間の眼部帯状ヘルペスの症例は12例であり,動眼神経麻痺の併発はこの2例17%である。眼瞼腫脹による軽度の眼筋麻痺が見過ごされる可能性に留意すべきことが結論される。

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(P2-2-26) 眼内レンズ挿入後のアクリルレンズに発生する粒状混濁の頻度とその程度,および混濁が視機能に与える影響について調査した。調査を行った99例136眼のうち混濁の生じなかったのは17眼(12.5%)で,混濁を生じたのは119眼(87.5%)に及んだ。混濁は術式の違いについては影響を受けなかったが,糖尿病を有する群や若年者で混濁が強い傾向がみられた。視力に関しては混濁の強い例でもそれによる明らかな視力低下はみられなかった。グレアは調査を行った5例のうち1例にのみグレア光付加時にコントラスト感度の低下がみられた。

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(P2-2-44) 白内障手術時のストレスを,点眼麻酔,テノン嚢下麻酔,球後麻酔各15例について比較した。疼痛の程度をアンケートで調査し,ストレスの指標として,収縮期血圧,血中アドレナリン,β-エンドルフィンを測定した。点眼群では,麻酔時の疼痛はなく,術中の訴えが多かった。収縮期血圧は,テノン嚢下麻酔群と球後麻酔群で麻酔後に最も上昇したが,点眼麻酔群では手術開始後に上昇した。血中アドレナリンとβ—エンドルフィンは,各群とも麻酔後に上昇し,テノン嚢下麻酔群と球後麻酔群では手術終了時に下降し,点眼麻酔群では高値のままであった。点眼麻酔は,麻酔時のストレスが小さいが,術中のストレスが他群よりも大きかった。

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(P2-3-19) 眼病変が合併する再発性多発性軟骨炎の3例を経験した。それぞれ23歳男性,21歳男性,56歳女性である。2例では上強膜炎が反復し,ステロイド薬点眼が有効であったが,1例では続発緑内障が生じた。他の1例では,上強膜炎,虹彩炎,網膜静脈炎,視神経乳頭炎が反復し,ステロイド薬点眼が奏効した。再発性多発性軟骨炎では,眼病変が好発し,その病像が多彩であることに留意すべきである。

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(P3-1-26) 50歳女性が典型的な原田病の眼病変を発症した。プレドニゾロンの全身投与で炎症は5週後に寛解した。薬物中止後炎症が再発した。最後の再発から3週後,すなわち初回発症から5か月後に当科を受診した。両眼眼底に漿液性網膜剥離があり,びまん性の脱色素による夕焼け眼底があった。フルオレセイン螢光造影(FA)でわずかな色素漏出と窓欠損が散在していた。インドシアニングリーン螢光造影(IA)で脈絡膜の造影遅延と低螢光斑があった。特異的な所見として,黄斑と乳頭を含む範囲に背景螢光のブロックがFAとIAに共通してあり,さらに乳頭から放射状に走る低螢光線があった。この所見は網膜色素上皮の過形成と脈絡膜での炎症産物の蓄積を反映するものであり,遷延化した脈絡膜の炎症が網膜深層に波及した結果であると解釈された。

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(P3-1-34) YAGレーザー後発白内障切開術後に眼内炎がみられた1例を経験した。症例は74歳女性で,水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行い,術後経過は良好であった。しかし,後発白内障が進行してきたため,手術から1年7か月後にYAGレーザー後発白内障切開術を行った。その2日後,前眼部を主体とした眼内炎を発症した。抗生物質およびステロイド薬の局所・全身投与により,炎症は40日後に消退し再燃を認めていない。臨床経過から,初回手術時に侵入し水晶体嚢で生息していた弱毒菌感染による眼内炎が疑われた。その際YAGレーザー使用が引き金となったものと思われ,慎重な対応が望まれる。

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(P3-2-18) 60歳女性が左眼瞼腫脹と眼痛で受診した。過去5年間に強膜炎が両眼に反復していた。左眼には胞状の漿液性網膜剥離が下方にあり,超音波検査で眼球後壁が肥厚していた。後部強膜炎と診断した。副腎皮質ステロイド薬のパルス投与と眼球周囲注射で寛解した。長期にわたる再発性の後部強膜炎に対して本治療が有効であった。

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(P3-2-28) 甲状腺機能亢進症の患者に,著明な網脈絡膜皺襞と視神経症を伴った甲状腺眼症が発症した症例を経験した。視力低下と視野異常を伴っていたため,副腎皮質ステロイド薬の全身投与を開始した。治療とともに視力,視野および眼球突出度は改善した。しかし,網脈絡膜皺襞は,治療開始前と比べ軽度の改善がみられたのみで,治療開始後3か月経過しても症状は持続し,フルオレセインおよびインドシアニングリーン螢光眼底撮影検査でも著明に造影された。本症例の網脈絡膜皺襞は,視力低下をほとんどきたさなかった。また,この皺襞形成は,眼窩内組織の眼球圧迫によるものとは別に,強膜や眼窩内組織の炎症の持続によって形成されたと考えられる。

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(P3-3-1) 脳ドックによる血圧,ならびに頭部magnetic resonance imaging(MRI),magnetic resonanceangiography (MRA),頸動脈エコー検査結果で得られた所見と,眼底検査から得られる動脈硬化性変化の関係について検討した。その結果網膜細動脈硬化性変化を有する症例では,高血圧を有する症例が有意に多くみられ,さらにMRI,MRA,頸動脈エコー上も,動脈硬化性変化を有する症例が有意に多くみられた。眼底検査は安全かつ簡便に動脈硬化を判定する一手段であることが再確認された。

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(P3-3-11) 真性小眼球症の30歳男性にT左眼の増殖性硝子体網膜症を生じた1例を報告した。硝子体手術前に超音波生体顕微鏡検査(ultrasound biomicroscopy:UBM)を行い,得られた所見から,角膜輪部から2.5mmの場所で強膜創を作成した。術中,強膜創作成に伴う合併症はなかった。網膜切開とシリコーンオイル注入により後極部網膜の復位が得られた。小眼球症に対する硝子体手術では強膜創作成時に角膜輪部からの距離をあらかじめ考慮する必要があり,この点UBMは有用である。

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(P4-3-4) 49歳女性が左眼の視力障害で受診した。先天緑内障のために幼児期に両眼に手術を受けていた。右眼は眼球癆で、左角膜は白濁し,視力は手動弁,眼圧は42mmHgであった。左眼にマイトマイシンC併用の線維柱帯切除術を行った。眼圧は下降したが,術後7日目に眼痛と嘔吐が突発し,上脈絡膜出血が起こった。網膜剥離と硝子体出血が併発していた。人工角膜縫着後に硝子体手術とシリコーンタンポナーデを行い,自己角膜を再縫着した。術中所見として網膜に強い増殖性変化があった。線維柱帯切除後に上脈絡膜出血が起こり,眼底が透見しにくいときには積極的に硝子体手術を行うことが推奨される。

連載 今月の話題

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 中枢性の異常を含めて視反応の乏しい乳幼児の発達を評価するには,視覚の状況を把握した眼科医でなくては,正確にその程度や問題点を把握できない。これまで,眼科医はこの点に関与しないことが多かったが,眼科の守備範囲が認知の分野まで広がっている現状に合わせて,臨床の分野においても乳幼児の発達を視覚の面から評価する役割を担う必要がある。

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 緒言 サルコイドーシスで硝子体手術時に採取した組織から類上皮細胞肉芽腫が直接証明されたという報告はない1,2)。筆者らは,サルコイドーシスを疑った症例の硝子体混濁に対して硝子体手術を行い,網膜上にみられた白色綿花様塊状物を切除し,病理検査したところ類上皮細胞肉芽腫が認められ,サルコイドーシスの確定診断が得られた1例を経験したので報告する。

連載 眼の組織・病理アトラス・151

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 スタージ・ウエーバー症候群Sturge-Weber syndromeは,母斑症phakomatosisの一種で,皮膚,眼,髄膜に発症する血管腫を特徴とする過誤腫hamartomaである。皮膚病変は三叉神経の支配領域に出現するポートワイン様の血管腫port-wine stain (nevus flammeus)で(図1),通常,片側性で,眼瞼,眼窩,頭皮にも広がる。顔面の血管腫と同側の髄膜血管腫や頭蓋内石灰化を伴うことがある。同側の眼球にも,脈絡膜血管腫,上強膜血管腫,網膜血管の怒張蛇行がみられることが多い。スタージ・ウエーバー症候群に合併する脈絡膜血管腫はびまん型で,眼底検査でオレンジ色の腫瘤としてみられる。しばしば漿液性の網膜剥離を伴う。血管腫と同側に緑内障を発症する。緑内障発症眼では,隅角検査で,隅角発育異常がみられることが多い(図2)。緑内障の発症機序として,隅角の発育異常によるとする説,上強膜血管腫の存在による上強膜静脈圧の上昇によるとの説がある。薬物療法のみで眼圧をコントロールすることは難しく,トラベクレクトミーやトラベクロトミーなどの手術を要する。

 病理組織学的に,脈絡膜血管腫は内皮細胞で境されて拡張した多数の血管からなる(図3)。腫瘍の境界部では,腫瘍の血管と脈絡膜固有の血管とが混じって存在して,びまん型血管腫の所見を示す。脈絡膜血管腫の部では,網膜色素上皮の過形成がみられる。また網膜色素上皮の血液—網膜関門が破綻して網膜下液が貯留し,網膜剥離を生じる(図2)。さらに,網膜外層,場合によっては内層に及ぶ網膜変性が存在する。上強膜の血管腫も拡張した多数の血管で構成される(図4)。

連載 眼科手術のテクニック・113

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 今回は,隅角癒着解離術(goniosynechialysis:GSL)の手術手技とレーザー隅角形成術(laser gonioplasty:LGP)について解説する。

日眼百年史こぼれ話・5

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 1995年4月,台北の「国立台湾大学付設医院建院百週年祝賀会」に招待された。台湾の日本帰属直後の,明治28年6月台北医院が創設されたのを,大学付設医院の始まりとしている。東大病院の7〜8倍もある壮大な台大病院のロビーで世界中の有名医学者を招待して式典が行われた。また,旧病院に通ずる長い地下連絡道で,百年の歩みの写真展示があった。初代院長・校長山口秀高,ついで,高木友枝,堀内次雄校長らの写真が飾られ,大正時代の所には塚原教授(関西医大理事長塚原勇先生のご父君)の実習風景があった。台北帝国大学時代には茂木教授(茂木皓博士のご父君)の写真がたくさんあった。日本が建てた,旧台北帝大の建物は歴史的建築として保存し,内部は近代的に改装された。

 式典に先立ち,各研究科で国際シンポジウムが行われ,眼科では馬嶋昭生名誉教授と私が講演した。ちょうど,日眼百周年記念誌を編纂中だったので,台湾に貢献した日本の先生たちの写真を持っていった。楊燕飛先生が,私の持っていった山口秀高の写真をとても喜んで,是非置いていってくれと頼まれた。日本の眼科では山口先生のことはおそらくだれも知らないが,台湾では知らない人はいない。

今月の表紙

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 患者は40歳女性。以前から眼窩炎性偽腫瘍で通院していた(右眼は1997年に,左眼は1990年,1992年,1995年,1996年に通院)。この間,嚢胞様黄斑浮腫が発症した(右眼は1994年,1995年に,左眼は1991年,1993年に発症)。この患者が1998年8月に両眼中心暗点,視力低下を訴えて来院した。診察したところ初めて両眼性の嚢胞様黄斑浮腫を認めた。眼窩炎性偽腫瘍はなかった。

 写真は右眼の嚢胞様黄斑浮腫である。ローデンストック社製のSLOで撮影した。撮影条件はヘリウムレーザー(633nm)を使用し,レベル6(45μW),アパーチャーC2,画角20度である。

第52回日本臨床眼科学会専門別研究会1998.10.23神戸

眼窩 井上 洋一 , 田淵 昭雄 , 田邊 吉彦
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一般講座 I

 第1席は,34歳女性の症例で,抗生物質抵抗性の右眼窩蜂窩織炎様症状,眼球突出,複視(全方向),視力1.2,視神経乳頭腫脹(マリオット盲点拡大),画像上球後部に境界不鮮明な陰影が認められた。ステロイド投与で著明に改善し,球後の異常陰影が消失した。臨床経過から眼窩炎性偽腫瘍と診断したものであるが,甲状腺眼症や視神経鞘炎の可能性など診断について討論が紛糾した。同様の症例を各施設とも案外経験しているのではないかと思う。

 第2席は,1983年から15年間に経験した視神経鞘髄膜腫の手術例(5例)と非手術例(4例),計9例の平均96.9か月の臨床経過を比較検討したもので,手術症例は術後全例に眼瞼下垂と高度の眼球運動障害をきたし,急速な視力低下の傾向があることが報告された。診断ではグリオーマとの鑑別,治療では放射線治療の可能性や手術方法などについて討論があった。腫瘍が視神経管を越えて頭蓋内へ浸潤したものが前頭開頭の手術適応である。

視神経 阿部 春樹
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 第52回日本臨床眼科学会での専門別研究会「視神経」は1998年10月23日(金)午前9:00〜11:50の予定で一般講演6題と教育講演1題の構成で行われた。

 本研究会の内容を,プログラムの順番に説明する。

眼の形成外科 八子 恵子 , 古田 実
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 専門別研究会「眼の形成外科」へは早い時間から80人程度と出席者が多く,予定していた会場は立ち見もできないほど満員となった。

 今回は9:00から10:30までを一般演題とし,10:30から12:00までをビデオ講演「ビデオで学ぶ眼形成—内反症—」と題して企画した。

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 汎網膜光凝固で改善されなかった虹彩ルベオーシスの20眼に,病態に応じて網膜冷凍凝固術,毛様体冷凍凝固術,トラベクレクトミー,硝子体手術を行った。15眼では,ルベオーシスを早く退縮させるために初回に網膜冷凍凝固術を採用した。この結果,19眼で虹彩ルベオーシスが減少または消失した。眼圧は,治療前の平均値31.9mmHgが治療後平均13.8mmHgとなり,18眼で眼圧コントロールが可能となった。視力は14眼(70%)で維持できたが,6眼(30%)では低下し,その原因は5眼で視神経萎縮,1眼で網膜剥離であった。

 筆者らはルペオーシスの退縮を優先して汎網膜光凝固ないし網膜冷凍凝固を最初に施行したが,緑内障で眼圧が速やかに下降しなかった症例では,比較的短期間で視機能が低下するという問題が残された。

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 裸眼群293名とコンタクトレンズ(以下,CL)装用群1,066名に対して,乾燥感についてのアンケート調査を行った。裸眼群の35.8%とCL装用群の79.8%には日常生活において乾燥感があり,CL装用群のほうが裸眼群よりも約2倍高い率を示した(p<0.0001)。またハードCL装用234名とソフトCL装用832名との間で乾燥感の率を比較すると,ハードCLにおける71.4%とソフトCLにおける82.2%とは有意差が認められた(p=0.0011)。裸眼群とCL装用群ともに,VDT作業の頻度は乾燥感発現の頻度の要因となっていることも確認された(p<0.001)。

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 網膜色素線条患者4例5眼を対象として,黄斑部脈絡膜新生血管を手術的に除去し,未治療の自然経過群7例8眼と,視力予後,最終的な瘢痕組織の大きさについて比較検討した。最終観察時までの視力変化の平均は,未治療群で−0.9(log MAR),手術群で+0.1であった。最終視力0.1以上を得たものは,手術群で4眼(80%),未治療群で3眼(38%)のみであった。また,手術群では未治療群に比して瘢痕形成が小範囲にとどまった。治療群5眼の経過をここに報告する。

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 網膜のcongenital grouped pigmentationに進行性の黄斑浮腫および硝子体の炎症を伴った1例を経験した。症例は33歳男性で,硝子体腔の炎症はステロイド投与により軽減したが,あとに変性を残し,視力低下を伴った。網膜のcongenital grouped pigmentationは視機能には通常異常がなく,稀な眼底所見といわれているが,本症例は硝子体腔の炎症および網膜変性により,視力低下をきたしていた。

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 新生血管黄斑症に対し中心窩下脈絡膜新生血管膜摘出術を行った症例について,術前視機能,視力低下から手術までの期間,新生血管膜径と,術後視機能を疾患別に検討した。対象は加齢黄斑変性43例43眼,特発性脈絡膜新生血管7例7眼,網膜色素線条症7例7眼である。3疾患の間で術前視機能,視力低下から手術までの期間,新生血管膜径に有意差はなかった。術後6か月,12か月における視力,ハンフリー視野検査での成績にも有意差はなかった。また,各疾患とも術後6か月から術後12か月で視力は改善傾向にあり,新生血管膜摘出術は有効であると考えた。

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 ハンフリー自動視野計(HFA II)に備えられたSITAプログラムは,最尤法を基にした新しい測定戦略法である。今回SITAによる視野計測を行い,その臨床評価を行った。

 対象は正常者12例12眼,高眼圧症3例3眼,緑内障13例20眼,網膜疾患10例11眼,頭蓋内疾患2例3眼で,全症例にHFA IIのプログラム24-2をFASTPAC,SITA accurate,SITA fastを用いて行った。

 FASTPACと比較した測定時間短縮率は,SITA accurateで17.6%,SITA fastで43.4%であった。Mean deviation (MD),pattern standard deviation (PSD)におけるFASTPACとSITAの比較では強い正の相関性が認められ,MD,PSDの平均も両者に差がなかった。各々の視野の比較から緑内障以外の疾患においてもSITAによる測定法が有用であった。

基本情報

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臨床眼科
53巻5号 (1999年5月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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