別冊整形外科 1巻59号 (2011年4月)

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膝伸展筋に損傷を加えず良好な展開を得られる改良型広筋下アプローチ(UVA)による低侵襲人工膝関節全置換術(MIS-TKA)を行った49例(男7例・女42例・平均73歳;UVA群)と、それ以前に行ったmini-midvastus approach(MVA)によるMIS-TKA 23例(男5例・女18例・平均75歳;MVA群)の成績を比較した。術後の日整会膝疾患治療成績判定基準や、最終的な屈曲角度に有意差はなかったが、術後90°屈曲可能となった時期はUVA群平均1.6日、MVA群3.2日、120°屈曲可能はそれぞれ8.8日、32日で、T字杖歩行可能は5.2日、12.6日といずれも有意差を認め、UVA群で早期機能回復が達成されていた。

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最小侵襲人工膝関節全置換術においてイメージフリーナビゲーションを用いた50例(男13例・女37例・平均73歳;1群)と、用いなかった50例(男7例・女43例・平均74歳;2群)の成績を比較した。Knee Societyのknee score、function scoreは術後6ヵ月で有意に改善しており、両群間で有意差はなかった。ROMは術後すべての時期において差がなく、6ヵ月で屈曲は1群平均121°、2群120°、伸展はそれぞれ-2°、-3°であった。下肢機能軸が3°以内のずれであったのは1群94%、2群78%で、1群が有意に正確なアライメントを獲得した。冠状面での大腿骨コンポーネントが機能軸と3°以内であったのは1群100%、2群92%、脛骨はそれぞれ98%、92%、矢状面では大腿骨が92%、76%、脛骨が94%、82%、回旋が3°以内であった大腿骨コンポーネントは1群96%、2群96%、脛骨はそれぞれ66%、60%で、有意差はなかった。合併症はノッチ形成が1群の1関節に生じ、骨折例はなかった。

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Oxford型人工膝関節単顆型置換術において大腿骨を先に骨切りするfemur first cut(FFC)を行った16例18膝(FFC群)と、脛骨骨切りを先に行うtibia first cut(TFC)手技で施行した14例16膝(TFC群)の成績を比較した。臨床評価として手術時間、出血量、術前・術後屈曲角度、術前・術後日整会膝疾患治療成績判定基準に有意差はなかったが、合併症はTFC群で脛骨プラトーの骨折と、インプラント脱転傾向のためフィックスタイプの脛骨インプラントを使用したものが各1例存在した。X線計測値では、正面像および側面像での大腿骨・脛骨インプラントの骨軸に対する傾きに有意差はなく、大腿骨インプラントの下端と脛骨インプラントの横幅からみたオーバーハンギングを認めたのはTFC群6例、FFC群4例で、有意差はなかったがTFC群で多かった。

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スポーツ選手の足関節後方インピンジメント症候群に対し、開創法で手術を施行した6例6足(男5例・女1例)と、鏡視下法で施行した11例13足(男7例・女4例)の成績を比較した。全例bony impingementを認め、三角骨や距骨後突起の切除を行った。また開創群の2例に衝突性外骨腫を合併し、鏡視下群の2例に長母趾屈筋腱(FHL)障害合併を認めたが、FHLに対する追加処置は必要としなかった。手術時間は開創群平均41分、鏡視下群78分であった。追跡期間4~42ヵ月で、スポーツ復帰までの期間は開創群平均11.8週、鏡視下群5.3週であった。日本足の外科学会スコアは、開創群が術前76.6(69~87)点、最終調査時96.7(87~100)点、鏡視下群はそれぞれ76.6(67~87)点、96.7(90~100)点であった。開創群では全例ターニケットを術中使用したが、鏡視下群は不要であった。術後合併症は、開創群の2例で手術創の不快感を認めたが、鏡視下群では全例認めなかった。

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鏡視下足関節固定術を施行した38例40足(男17足・女23足・平均62.5歳)を対象に、骨癒合期間に影響を与える因子を検討した。疾患は変形性足関節症36足、関節リウマチ、距骨壊死、血友病性関節症、下垂足各1足であった。固定方法は期間前半が内外側からのcross screw(CS)固定(3本12足、2本4足)、後半が内側からのparallel screw(PS)固定(3本16足、2本8足)であった。骨癒合は39足で獲得し、平均骨癒合期間は77.3日であった。固定法別ではCS 3本固定77.1日、CS 2本固定91.5日、PS 3本固定65.2日、PS 2本固定86.9日であった。CS群において経外顆スクリュー周囲に弛みを12足に認めた。BMIと骨癒合期間は弱い正の相関を認め、BMI 25以上と25以下でCS 3本群、PS 3本群を比較したところ、25以上で有意に骨癒合期間が長かった。また矯正角10°以上は90.3日、10°以下は74.2日で、矯正角が大きいほど骨癒合期間が長くなる傾向であった。年齢と骨癒合期間は相関を認めなかった。

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低侵襲かつ短い皮膚切開で行う低侵襲寛骨臼回転骨切り術の手技を紹介し、同手術を施行した亜脱臼性股関節症65股関節(初期30股関節・進行期35股関節、男4股関節・女61股関節・平均38.7歳)の成績を報告した。皮膚切開長は手術開始当初15~20cmであったが、徐々に短くすることが出来、最近30例は10~15cmとなった。経過観察期間1年10ヵ月~10年で、X線学的にcenter edge角は術前平均-3.1°から35.5°に、Sharp角は50.8°から39.2°に、acetabular head indexは52.2%から94.8%に有意に改善した。日整会股関節機能判定基準の疼痛スコアは術前平均11.2点が術後36.8点、歩行は11.8点が18.2点、関節可動域は19.5点が19.5点、日常生活動作は14.8点が16.5点となり、可動域以外は有意に改善した。術後合併症は下腹部痛を3例が訴えたが、保存的に経過をみて消失を確認した。また異所性骨化巣の形成を1例に認め、摘出術を行った。大腿神経と坐骨神経の麻痺はなく、大腿外側皮神経の不全麻痺は3例に認めたが、半年以内に回復した。

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陳旧性足関節外側靱帯損傷に対する残存靱帯を用いた低侵襲再建術(靱帯前進縫着法)の手技を紹介し、同手術17例17足(男6例6足・女11例11足・平均33歳)の成績を報告した。残存靱帯に骨片を認めたのは10例であった。術後調査期間8ヵ月~6年で、日本足の外科学会足関節治療成績判定基準(JSSF scale)では術前平均72点が96点に改善した。内がえしストレステストは術前平均11.9°が4.5°へ、前方引き出しテストは6.8mmが4.8mmへ改善した。スポーツあるいは仕事への復帰期間は平均11週であった。術後の創部の疼痛や感染、神経障害などの手術合併症はなかった。代表症例は32歳女。左足関節を捻挫し、前距腓靱帯、踵腓靱帯に圧痛を認め、ストレス撮影でも距骨斜傾斜17°、前方引き出し10.2mmと不安定性を認めた。手術を施行し、術中、前距腓靱帯、踵腓靱帯の損傷を認めたため、骨膜弁による再建を行った。術後距骨傾斜角5°、前方引き出し4mmと改善し、JSSF scaleも63点から100点に改善した。

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腰部脊柱管狭窄症に対する黄色靱帯浮上術の手技を紹介し、同手術55例(男36例・女19例・平均71.2歳)の成績を報告した。経過観察期間12~42ヵ月で、日整会腰痛治療成績判定基準は術前平均16.0点が22.3点に、Oswestry disability index(ODI)は39.7%が18.0%に、visual analogue scaleは腰痛で3.6が1.7に、下肢痛で5.0から1.9に、下肢のしびれで6.3が3.1にいずれも有意に改善した。満足度は満足43例、やや満足11例、不満1例であった。またヘルニア合併例、安静時下肢痛や下肢伸展挙上テスト陽性例では黄色靱帯浮上後に黄色靱帯を切除し、椎間板や神経根の除圧を確認したが、部分的に浮上したこれらの症例と全除圧椎間で浮上した症例を加えた220例における硬膜損傷の頻度を調べたところ、損傷発生は1例のみであった。全除圧部位で黄色靱帯を温存し、6ヵ月以上経過後にMRIを撮像した31例47椎間では、44椎間で硬膜外脂肪を確認できた。症例提示は84歳男。両下肢痛としびれによる間歇跛行に対し、X線でL4/L5に軽度のすべり、MRIで椎間板の膨隆を認めた。神経根は確認せず、L4/L5の除圧を本術式で行った。術後2年のMRIで除圧は良好、JOAスコアは19点が26点、ODIは46%が18%に改善した。

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頸部神経根症に対する顕微鏡視下低侵襲頸椎後方除圧術の手技を紹介し、同手術37例の成績を報告した。手術時間は平均1.6時間、出血量は71mlであった。経過観察期間2~4.8年で、頸部痛と上肢に放散する疼痛・しびれ感のvisualanalogue scale(VAS)はほぼ全例で改善し、それぞれ術前平均4.9が1.5に、5.6が1.2に有意に改善した。田中らの頸部神経根症治療成績評価基準でもほぼ全例が改善し、術前平均8.9点が17.8点と有意に改善して改善率は平均81.6%であった。改善率が高かった項目は就労・家事能力が91.6%、Spurlingテストの程度が90.3%で、低かったのは手指の痛みとしびれが71.7%、手の機能が75.0%であった。手術満足度は、たいへん満足18例、満足16例、やや満足3例で、臨床症状各項目の改善率との関連を検討したところ、手の機能の改善が最もよく相関していた。

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腰椎変性疾患に対し、tubular retractorと経皮的椎弓根スクリューを用いて最小侵襲経椎間孔腰椎椎体間固定術(MI-TLIF)を施行した51例(男23例・女28例・平均56.5歳;M群)と、従来の展開法によるTLIF/posterior lumbar interbody fusion 46例(男21例・女25例・平均61.8歳;C群)の成績をレトロスペクティブに比較した。経過観察期間12~72ヵ月で、日整会腰痛治療成績判定基準はM群が術前平均15.1点から26.2点、C群は14.8点から25.5点と有意に改善し、両群間で有意差はなかった。Oswestry disability index、Roland Morris disability questionnaireも両群で改善し、有意差はなかった。腰痛visulal analogue scale(VAS)はM群が術後1ヵ月まではC群よりも明らかに低く推移し、6ヵ月以降は有意差がなかった。種市の術後腰部違和感スコア(違和感スコア)は、最終時でM群平均3.2点、C群2.2点とM群が有意に優れていた。術中・術後出血量はC群が有意に多く、術後臥床期間、在院日数は長かった。代表症例は38歳男。18年前の椎間板ヘルニア再発に対しMI-TLIFを行った。JOAスコア改善率93.6%、腰痛VASスコア9、違和感スコア4であった。

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腰椎変性すべり症に対し、経筋膜的刺入椎弓根スクリューシステム併用低侵襲片側後側方固定術(U-PLF)を施行した35例(男16例・女19例・平均68.6歳;U-PLF群)と、従来の正中進入両側展開法で1椎間両側PLFを施行した34例(男11例・女23例・平均64.7歳;対照群)の成績を比較した。U-PLF群の術後観察期間は12~50ヵ月で、横突起間癒合は29例に、椎間関節癒合は33例に認め、前後屈時固定椎間可動域は1例を除き2°以下であった。日整会腰痛評価質問票(JOABPEQ)で術前に比較して効果ありと判定されたのは、歩行機能障害88.9%、社会生活障害70.4%、疼痛関連障害59.1%、腰痛機能障害42.9%であった。手術時間は両群間で有意差はなく、術中出血量はU-PLF群が有意に少なかった。JOABPEQは疼痛関連障害がU-PLF群平均84.4点、対照群65.7点と有意差を認め、歩行機能障害、社会生活障害ではU-PLF群が高い傾向で、腰痛機能障害は差が小さかった。

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小児大腿骨骨幹部骨折に対し、minimally invasive plate osteosynthesis法でlocking comoression plateを皮下に設置する内固定を行った4例5肢(男児・8歳5ヵ月~13歳4ヵ月)の成績を報告した。骨折型はAO分類32-A3が4肢、B2が1肢で、全例外傷による骨折であった。術後平均4.6ヵ月でX線上骨癒合が全例に得られ、その後抜釘を行った。抜釘は容易に同一皮切で行うことができた。入院期間は平均31日で、その後復学した。合併症として2例に術後膝の可動域制限がみられたが、抜釘後に軽快した。1例が抜釘後1ヵ月で強く転倒し、スクリュー部で骨折を生じた。

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大腿骨転移性骨腫瘍に対し内固定術を施行した9例(男7例・女2例・平均67.7歳)について報告した。原疾患は肝細胞癌3例、肺癌3例、乳癌、大腸癌、食道癌各1例で、転移部位は転子下8例、骨幹部1例、病的骨折は3例、骨折前状態が6例であった。徳橋の術前重症度判定基準は平均6.3点で、病的骨折を来たしていない症例のMirelsスコアは9.8点であった。内固定に使用したインプラントは髄内釘8例、ロッキングプレート1例であった。術中・術後出血については、輸血を要したのは1例のみであった。術前に腫瘍塞栓術を施行していたのは4例で、術前あるいは術後に放射線照射を行ったのは7例であった。術後疼痛はmild 7例、moderate 2例で、歩行は独歩可能3例、T字杖歩行3例、松葉杖歩行2例、車椅子移動1例であった。生命予後は、6ヵ月生存率77.8%、1年55.6%であった。症例提示は、症例1:50歳女。転倒により大腿骨転子下病的骨折を受傷し、近位骨片が屈曲・外転していたため、内固定術を施行した。術後疼痛は軽減し、松葉杖による部分荷重歩行が可能となった。症例2:30歳男。大腿骨転子部から転子下領域への骨転移による疼痛に対し、内固定術を行った。術後疼痛は消失し、独歩可能となった。術後14ヵ月で原疾患により死亡するまで、インプラントの破綻は認めなかった。症例3:66歳男。大腿骨転子下転移性骨腫瘍に対し、予防的内固定術を行った。

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橈骨遠位端変形治癒骨折に対しβ-リン酸三カルシウム(TCP)を用いて最小侵襲手術を行った9例(男1例・女8例・平均64.8歳)の成績を報告した。経過観察期間3ヵ月~2年9ヵ月で、全例骨癒合が得られ、骨癒合期間は平均7週間であった。β-TCPはX線像で術後6ヵ月までにほぼ完全に自家骨に置換されていた。X線学的検討では、volar tiltは術前平均-21.6°から術直後14.4°、最終調査時13.6°、radial inclinationは15°から23.9°、23.1°と改善し良好に保たれていた。ulnar varianceは+6.8mmから術直後+1.6mmに改善し、最終時は術直後より0.3mmの短縮を認めたが、良好な整復位を保持していた。手関節の可動域は術前後で掌屈が平均17.8°から50.3°に、背屈が50°から52.2°に、回内が43°から70.7°に、回外が79°から87.5°に、握力(健側比)は14.0%から71.4%に改善した。手関節痛は全例消失し、斎藤の機能評価はexcellent 5例、good 4例であった。症例提示は58歳女。転倒により右橈骨遠位端骨折を受傷した。近医にて保存的に加療したが、手関節痛と変形が残存した。掌側よりopen wedge osteotomyを施行し、ロッキングプレートで固定、骨欠損部にβ-TCPを充填した。術後7週間で骨癒合が得られ、6ヵ月でβ-TCPは自家骨に置換されていた。術後1年のMRIでは良好な海綿骨、皮質骨が形成されていた。術後1年2ヵ月で手関節痛もなく、斎藤の機能評価はexcellentであった。

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橈骨遠位端骨折に対しminimally invasive plate osteosynthesis(MIPO)法によるプレート固定を行った25例(男6例・女19例・平均63.3歳)の成績を報告した。骨折型はAO分類A-2が1例、A-3が8例、C-1が3例、C-2が13例で、合併損傷は尺骨茎状突起骨折8例、尺骨遠位端骨折1例であった。経過観察期間5~22ヵ月で、日本手の外科学会手関節機能評価基準(JSSH)はexcellent 21例、good 4例と良好であった。21例に実施したdisabilities of the arm,shoulder and handスコアは0~67.6、平均7.2で、成績不良の1例は大腿骨頸部骨折も伴い日常生活動作が低下していた。画像評価は、volar tiltが平均9.2°、ulnar inclinationが20.9°、ulnar varianceが-0.6mmであった。合併症として正中神経麻痺、腱断裂はなく、5例に長母指屈筋の一時的な筋力低下を認めた。スクリューの弛みは1例に生じ、抜釘を行った。他に複合性局所疼痛症候群症状を1例に認めた。症例1:75歳女。転倒により受傷し、手術を施行した。術後22ヵ月で整復位の破綻なく矯正損失も認めなかった。手関節・前腕可動域(ROM)は良好で握力も健側比79%まで回復し、JSSHはexcellentで、整容面でも良好であった。症例2:46歳男。転倒により受傷し、手術を施行し、MIPOで骨接合を行った。術後8ヵ月で骨癒合が得られ、抜釘を行った。手関節・前腕ROMに左右差はなく、軽度の肩痛があったが、JSSHはexcellentで、創瘢痕も目立たず良好であった。

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手指骨折に対してサファイアピンを用いた最小侵襲手術の手技と後療法を紹介し、臨床成績を報告した。上肢の骨折にサファイアピンを用いた32例のうち、手指の骨折に用いたのは20例で、全例に骨癒合を認めた。そのうち小侵襲手技を用いたのは9例(男8例・女1例・9~42歳)であった。骨折部位は中節骨頸部5例、基節骨頸部1例、第5中手骨頸部2例、基節骨骨幹部1例であった。術後早期可動域(ROM)訓練によりROM制限もほとんどなく、全例に骨癒合を認めた。症例1:11歳男。突き指による右示指中節骨頸部骨折に対し、指骨針で経皮的に整復し、サファイアピンで固定した。術後2日より指の自動屈伸を指導したところ、術後4週でROMはほぼもとに戻り、骨癒合も得られた。症例2:33歳男。柱にぶつけた右第5中手骨頸部骨折に対し、徒手整復後サファイアピンで固定した。術後早期にROM訓練を開始し、術後6ヵ月で小指中手指節関節のROMは伸展10°、屈曲70°であった。症例7:13歳男。右環指中節骨頸部骨折に対し徒手整復後サファイアピンで固定したが、骨片が掌側に転位突出した。そのままROM訓練を開始し、1年2ヵ月後にX線像で骨片は吸収され、DIP関節の屈曲に制限はあるものの日常生活に不自由はなかった。

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ボクサー骨折に対しKirschner鋼線(K-wire)1本のみを用いたintrafocal pinningを行う低侵襲固定法について、その適応と手技、後療法を紹介し、同法施行27例27指(男26例・女1例・平均30歳)の成績を報告した。骨折部位は第5中手骨23例、第2中手骨3例、第4中手骨1例であった。経過観察期間平均12.8週で、術後総自動運動域(TAM)は平均246.5°であった。American Society for Surgery of the Hand Report(ASSH)のTAMによる臨床評価ではexcellentが24例、goodが3例であった。握力は健側の約86.4%であり、疼痛は軽度の痛みを訴える1例以外は認めなかった。合併症としてK-wireの脱転を1例に認めたが、本法による再手術で後遺障害なく治癒した。X線学的所見で26例は変形なく骨癒合し、1例に13°の掌屈変形を認め、術中での整復不良が原因と考えられた。骨癒合は平均4週で得られ、K-wireはそれに合わせて外来で抜去した。症例:26歳男。テーブルの殴打による右第5中手骨頸部骨折に対し、本法を行った。術後4ヵ月で疼痛なく、TAM258°、ASSH excellent、握力は健側の106.3%で、変形治癒は見られなかった。

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手指の関節近傍骨折に対する鋼線固定の手技を部位別に紹介し、症例を提示した。末節骨陥没骨折では末節骨の先端あるいは側面から鋼線を刺入し、Hintringer法に準じて経皮経骨髄的に関節面を整復する。整復後は再陥没を防止するため骨片間を固定するか、陥没骨片の遠位に鋼線を刺入する。背側脱臼を伴っている場合は背側転移をブロックする鋼線の刺入を追加する。中節骨頸部骨折では転移している側から鋼線をintrafocal pinningして整復固定する。中節骨近位指節間(PIP)関節面陥没骨折、PIP関節脱臼骨折では末節骨の関節面陥没骨折と同様に、経皮経骨髄的にあるいは骨折部から髄内に鋼線を刺入して整復する。基節骨頸部骨折は小児ではintrafocal pinning法で整復操作と固定が可能となる。基節骨中手指節関節面陥没骨折では観血的整復が必要となり、背側から進入して陥没骨折を直視下に整復し、鋼線を2~3本刺入して固定する。

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マレット骨折に対するマイクロスクリュー固定法を行った10例(男7例・女3例・平均38.4歳)の成績を報告した。受傷指は示指1例、中指4例、環指1例、小指4例で、受傷原因はスポーツ3例、転倒3例、打撲4例であった。術後経過観察期間8~48週で、全例骨癒合が得られた。2例に0.5mmの関節面step offを認めた。最終観察時の遠位指節間関節の自動可動域は伸展平均-4.5°、屈曲67.5°で、Crawfordの評価基準ではexcellent 8例、good 2例であった。合併症として術中骨折、感染、爪変形は認めず、1例に術後再転位を1mm認めたがそのまま骨癒合し、再手術を要するものはなかった。骨癒合後にスクリューの抜去を2例に行い、1例は本人の希望、他の1例はスクリュー背側の違和感を訴えていた。

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膝蓋骨骨折に対するポリエチレン編糸を用いた小皮切骨接合術似て手術を行った9例9膝(男2例・女7例・平均66.3歳)の成績を報告した。骨折型は横骨折8例、下極骨折1例で、骨折部の転位は平均3.7mmであった。全例、再骨折や糸に起因する合併症を認めなかったが、1例で退院後の再診がなく、1ヵ月目の受診時に術創部皮下に感染徴候を認めた。骨・関節に感染所見はなく、皮下デブリドマン・創処置を行い、感染は鎮静化して社会復帰を果たした。術後経過観察期間12~35ヵ月で、骨癒合時期は平均11.6週であった。最終調査時の膝関節可動域(ROM)は伸展4.4°~屈曲136.7°で、それぞれ患健側差はほぼ認めなかった。Lysholmスコアは平均93.6点であった。症例:85歳男。転倒による左膝蓋骨横骨折に対し手術治療を行った。受傷後12週で骨癒合を認め、27ヵ月で膝関節ROMは伸展10°~屈曲135°で健側との差がなく、Lysholmスコア94点で合併症は認めなかった。

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脛骨顆間隆起骨折に対して低侵襲な鏡視下縫合固定術を行った7例7骨折(男5例・女2例・平均23.7歳)の成績を報告した。本手術はpull-out固定法に改良を加え、all-inside法による鏡視下半月板縫合機器(Meniscal Viper Repair System)を利用し、さらに強固な固定性を得ることを目的に超高分子量ポリエチレン糸を使用した。対象の骨折型はMeyers & Zaricznyjの分類でtype IIが1例、type IIIが4例、type IVが2例であった。術後経過観察期間6~24ヵ月で、全例術直後の整復位を失うことなく、良好な骨癒合が得られた。その時点の膝関節可動域(ROM)は、手術までの待機期間が15日であった1例に8°の伸展制限がみられたが、他の症例は正常ROMまで改善が得られ、脛骨前方移動量は平均3.4mmであった。またLysholmスコアによる評価では、術前平均15.4点が最終観察時94.2点と良好な成績が得られた。

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新鮮アキレス腱断裂に対する半経皮的縫合術を行った40例(男20例・女20例・平均43.8歳)の成績を報告した。受傷原因はスポーツ34例、転倒5例、転落1例であった。経過観察期間3~60ヵ月で、足関節可動域(ROM)は平均6.9週でほぼ正常に回復し、日常生活は通常通り可能となった。足関節底屈筋力は平均16.1週で徒手筋力テスト5に回復した。スポーツ復帰は、マラソン選手2例は3ヵ月でジョギングを開始し、フルマラソンをそれぞれ7、8ヵ月で完走した。実業団バレーボール選手は4ヵ月でジャンプ練習を開始し、8ヵ月で試合復帰した。剣道、バドミントンは4ヵ月で練習再開、6~8ヵ月で完全復帰した。他のスポーツも筋力、ROMの回復に応じて3ヵ月過ぎから徐々に種目練習を再開し、1年以内に復帰可能であった。再断裂、神経損傷、感染、皮膚壊死など合併症はなかった。

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スリット付きエレバトリウムとカーブドメスホルダーを用いた手根管開放術を行った132例158手(男26例・女106例・平均63.7歳)の成績を報告した。手術時間は平均19.4分、屈筋支帯切離・確認までに要する時間(止血時間)は14.3分で、最近はおおむね15~18分で終了しており、麻酔法の変更や途中で止血帯の解除を要した例はなかった。エレバトリウム挿入困難のため2手で遠位部皮切の拡大を要した。術中合併症として1手に浅掌動脈弓分枝の損傷による出血を認めたが、神経、屈筋腱を損傷した例はなかった。術後3ヵ月以上の経過観察で、術後早期に創部の疼痛を訴えたのが5手、しびれの増強を1例に認めたが、いずれも経過中に消失した。創部瘢痕を形成した例はなく、創はほとんど目立たなかった。浜田らの評価法で、症状の著明改善あるいは消失のgoodが125手、改善を認めたが一部残存のfairが32手、改善がなかったpoorが1手であった。

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不安定性を有する変性疾患に対し小切開で腰椎前方固定術を行った73例(男43例・女30例・平均56.9歳)の成績を報告した。後方固定追加は53例、前方単独が20例で、平均経過観察期間はそれぞれ5.1年、2.5年であった。日整会腰痛治療成績判定基準では術前平均14.6点が術直後22.4点、最終観察時24.0点と改善し、後方追加群と前方単独群の比較では最終観察時で前方単独群が良好であったが有意差はなく、腰痛の再燃や違和感の訴えは前方単独群で少なかった。画像評価では、術後2年までは術直後より固定隣接椎間での可動域の増大を認める症例があり、その傾向は前方単独群で多かった。5年以上経過例において椎間板狭小化は固定椎上端で3/33例、下端で8/28例に、椎体終板の変化は隣接下位にのみ3例で認めた。また明らかな不安定性は後方追加群で隣接上位に1例、下位に2例認めたが、前方単独群ではなかった。

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後側方アプローチによる最小侵襲人工股関節全置換術(mini-THA)を行った99関節の成績を報告した。経過観察期間5年~8年4ヵ月で、日整会股関節機能判定基準(JOAスコア)は初診時平均45点、最終観察時82点であった。周術期合併症は、脱臼2例、坐骨・腓骨神経麻痺1例、大腿骨骨折1例で、症候性の肺塞栓、感染はなかった。再置換は2例で、1例は関節リウマチで下肢4関節置換後転倒を契機に習慣性前方脱臼を来たし、他の1例は腰椎後彎例の習慣性後方脱臼で、それぞれ術後4年、術後5ヵ月にカップ再置換となった。X線評価で、カップに関しては3mm以上の上方移動および5°以上の外方開角の変化を生じたunstableは1関節のみであった。ステムに関しては早期の沈下を1例認めたがその後は沈下せず、最終観察時のセメントレスステムの安定性はEnghらのfibrous/stability scoreでbony stable 75関節であった。セメントステム24関節では弛みを認めなかった。症例1:56歳女。関節リウマチで下肢4大関節置換術を施行した。左THA後4年で転倒後に左THA前方脱臼を発症、その他腰椎圧迫骨折、骨盤の後傾も見られた。習慣性脱臼となり、カップ再置換となった。症例2:60歳女。右大腿骨頭壊死症により右THAを施行した。術後8年6ヵ月現在痛みはなく、JOAスコア100点で、画像上緩みも認めなかった。

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mini-subvastus approachを用いた最小侵襲人工膝関節全置換術を行った100例124関節(男11例・女89例・平均72.5歳)の成績を報告した。対象疾患は変形性膝関節症92例、関節リウマチ7例、大腿骨骨壊死1例であった。術後3年以上の経過観察で、日整会膝疾患治療成績判定基準は術前平均52.6点から83.4点に改善し、関節可動域は屈曲が120.0°から114.1°となった。平均手術時間は119分で、開始初期の20関節では132分であったが、最新の症例では99分と短縮し、明らかなラーニングカーブを認めた。合併症としては大腿骨の切痕形成を4関節に認めたが、膝蓋大腿関節の合併症はなかった。術後感染は、いずれも遅発性で2関節、創縁の一部の壊死を1関節に認めたが、症候性の肺血栓塞栓症はなかった。

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大腿骨骨幹部骨折髄内釘固定後の偽関節に対し、観血的処理を加えない閉鎖式髄内釘置換術を施行した7例(男5例・女2例・平均47.6歳)の成績を報告した。骨折時からの期間は平均32ヵ月で、3例が開放骨折後の症例であった。挿入した髄内釘の横径のサイズアップは平均1.9mmで、全例挿入釘よりも1.0mmのオーバーリーミングを行った。髄内釘術前に短縮が存在したのは6例で、短縮の補正は行わなかった。術後経過観察期間6~53ヵ月で、全例骨癒合を獲得した。骨癒合までの期間は術後平均5.8ヵ月で、X線像による仮骨形成は4.7週から認められ始めていた。術中出血量は平均282mlで、合併症は外科的除去術を要した血腫形成の1例のみであり、患側膝関節の可動域制限はなかった。下肢短縮は術前と不変であった。AAOS lower limb core scaleは、術前平均68点から術後94点と有意に改善した。

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手指内軟骨腫に対する鏡視下掻爬術の適応・手技を紹介し、同手術77例(男25例・女52例・平均37歳)の成績を報告した。経過観察期間8~93例で、X線像による新生骨形成時期は1ヵ月23例、2ヵ月30例、3ヵ月13例、4ヵ月4例、5ヵ月2例、平均2.1ヵ月であった。リモデリング開始時期は1ヵ月5例、2ヵ月16例、3ヵ月18例、4ヵ月11例、5ヵ月14例、6ヵ月2例、7ヵ月1例、9ヵ月1例、平均3.4ヵ月で、中高年の症例でも早期からリモデリングが生じていた。指の可動域(ROM)が正常になった時期は、記載があった56例において1週7例、2週4例、3週1例、4週14例、5週4例、6週5例、7週2例、8週12例、9週1例、11週1例、13週1例、16週2例、20週1例、24週1例であった。術後骨折を8例に認めたが、打撲の1例以外は無症候性であった。再発は3例に術後4年8ヵ月、4年4ヵ月、2年7ヵ月で認め、再度鏡視下掻爬術を行い、その後再発はなかった。症例:26歳女。右小指基節骨内軟骨腫により病的骨折をきたした。骨癒合後に鏡視下掻爬術を行い、術後早期から新生骨形成と骨リモデリングを認めた。指のROMは術後1ヵ月で回復していた。

基本情報

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別冊整形外科
1巻59号 (2011年4月)
電子版ISSN:2433-4316 印刷版ISSN:0287-1645 南江堂

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