運動器疾患に対する最小侵襲手術
骨折手術 関節・近傍骨折 橈骨遠位端変形治癒骨折に対するβ-リン酸三カルシウムを用いた最小侵襲手術
根本 高幸
1
,
金 潤壽
,
富田 泰次
1太田総合病院 手外科センター
キーワード:
X線診断
,
関節可動域
,
内固定法
,
骨板
,
MRI
,
橈骨骨折
,
最小侵襲手術
,
変形治癒骨折
,
Beta-Tricalcium Phosphate
Keyword:
Bone Plates
,
Fracture Fixation, Internal
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Radius Fractures
,
Range of Motion, Articular
,
Fractures, Malunited
,
Minimally Invasive Surgical Procedures
,
Beta-tricalcium Phosphate
pp.151-154
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2011225833
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橈骨遠位端変形治癒骨折に対しβ-リン酸三カルシウム(TCP)を用いて最小侵襲手術を行った9例(男1例・女8例・平均64.8歳)の成績を報告した。経過観察期間3ヵ月~2年9ヵ月で、全例骨癒合が得られ、骨癒合期間は平均7週間であった。β-TCPはX線像で術後6ヵ月までにほぼ完全に自家骨に置換されていた。X線学的検討では、volar tiltは術前平均-21.6°から術直後14.4°、最終調査時13.6°、radial inclinationは15°から23.9°、23.1°と改善し良好に保たれていた。ulnar varianceは+6.8mmから術直後+1.6mmに改善し、最終時は術直後より0.3mmの短縮を認めたが、良好な整復位を保持していた。手関節の可動域は術前後で掌屈が平均17.8°から50.3°に、背屈が50°から52.2°に、回内が43°から70.7°に、回外が79°から87.5°に、握力(健側比)は14.0%から71.4%に改善した。手関節痛は全例消失し、斎藤の機能評価はexcellent 5例、good 4例であった。症例提示は58歳女。転倒により右橈骨遠位端骨折を受傷した。近医にて保存的に加療したが、手関節痛と変形が残存した。掌側よりopen wedge osteotomyを施行し、ロッキングプレートで固定、骨欠損部にβ-TCPを充填した。術後7週間で骨癒合が得られ、6ヵ月でβ-TCPは自家骨に置換されていた。術後1年のMRIでは良好な海綿骨、皮質骨が形成されていた。術後1年2ヵ月で手関節痛もなく、斎藤の機能評価はexcellentであった。
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