Japanese
English
人工関節における進歩 Ⅷ.合併症対策
3.インプラント周囲骨折
人工股関節全置換術におけるステム周囲骨折に対する治療戦略
Treatment strategies for periprosthetic femoral fracture in total hip arthroplasty
渡邉 信
1
,
徳永 邦彦
2
S. Watanabe
1
,
K. Tokunaga
2
1亀田第一病院整形外科
2亀田第一病院新潟股関節センター
1Dept. of Orthop. Surg., Kameda Daiichi Hospital, Niigata
キーワード:
periprosthetic femoral fracture
,
Vancouver classification
,
Baba classification
,
treatment strategy
,
biomechanics
Keyword:
periprosthetic femoral fracture
,
Vancouver classification
,
Baba classification
,
treatment strategy
,
biomechanics
pp.191-200
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei83_191
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は じ め に
高齢人口の増加とともに,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)を施行された症例は増えており,インプラント周囲骨折(periprosthetic fracture:PPF)も増加傾向にある1~4).長寿国のわが国においても,PPFはまれな疾患ではなくなってきた5).術中のPPFの発生率は0.1~27.8%,術後は0.07~18%で,セメントステムよりセメントレスステムでその発生率が高い1).THA再手術の原因として,PPFは5.4~21.1%を占めており1,2),今後もさらに増加すると考えられる.
THA周囲骨折の治療では,大腿骨内にインプラントが存在するため通常の骨折とは異なる骨接合技術が必要である.ステムの弛みが確認された場合は再置換術の適応であるため,外傷外科と関節外科双方の知識と技術を駆使する必要がある.さらに,症例の多くが高齢者であり,骨の脆弱性や欠損の程度を把握し,日常生活動作(ADL)獲得や,術後合併症予防のため早期荷重を実現しなければならない困難な治療である3,5~7).
当院で2008~2021年に施行された初回THAは2,244関節であり,術後に生じたステム周囲骨折は36例38関節,カップ周囲骨折は1関節であった.本稿では,ステム周囲骨折の治療戦略について,生体力学的研究を主軸に文献的考察をふまえ,自験例を通して,具体的に解説する.
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