Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅴ.股関節
股関節関節外病変に対する鏡視下手術
-――下前腸骨棘炎と大転子疼痛症候群を中心に
Endoscopic surgery for extra-articular pathologies of the hip
藤井 昌
1
,
加谷 光規
2
,
木島 泰明
1
,
河野 哲也
1
,
宮腰 尚久
1
,
島田 洋一
1
M. Fujii
1
,
M. Kaya
2
,
H. Kijima
1
,
T. Kawano
1
,
N. Miyakoshi
1
,
Y. Shimada
1
1秋田大学大学院整形外科
2足立外科整形外科クリニック
1Dept. of Orthop. Surg., Akita University Graduate School of Medicine, Akita
キーワード:
anterior inferior iliac spinitis
,
greater trochanteric pain syndrome
,
extra-articular pathology
Keyword:
anterior inferior iliac spinitis
,
greater trochanteric pain syndrome
,
extra-articular pathology
pp.172-176
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_172
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は じ め に
近年の股関節鏡の普及や技術の発展により,femoroacetabular impingement(FAI)やそれに併存する関節唇損傷,軟骨損傷などに対し鏡視下手術が広く行われるようになり,その良好な成績が報告されている1~4).さらにcam病変と変形性股関節症(OA)の関連も報告されており5),股関節鏡手術はjoint preservationや人工股関節全置換術(THA)までのtime saving手術としての役割も期待されている.一方,関節内処置を行ったにもかかわらず股関節周囲に痛みが残存する症例が存在するのも事実であり,これらの痛みの原因として関節外病変の存在を考える必要がある.問診,身体所見,エコーガイド下ブロックなどから関節外病変と診断した場合,まずは保存的治療を行うことが多いが,スポーツや仕事への早期復帰を希望する症例や保存的治療が無効な症例に対しては,積極的に鏡視下手術を行っている.本稿では当科での鏡視下手術の適応として頻度の高い,下前腸骨棘炎(anterior inferior iliac spinitis:AIISpinitis),大転子疼痛症候群(greater trochanteric pain syndrome:GTPS)を中心に,その診断と手術の実際について述べる.
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