Japanese
English
人工関節における進歩 Ⅲ.長期成績をめざした術前計画
1.人工肘関節置換術
高齢者の上腕骨顆部骨折に対する一期的人工肘関節全置換術
Total elbow arthroplasty for distal humeral fractures in elderly patients
新妻 学
1
,
池田 純
2
,
川崎 恵吉
3
,
稲垣 克記
1
G. Niitsuma
1
,
J. Ikeda
2
,
K. Kawasaki
3
,
K. Inagaki
1
1昭和大学整形外科
2とごし整形外科&手のクリニック
3昭和大学横浜市北部病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Showa University School of Medicine, Tokyo
キーワード:
distal humeral fracture
,
total elbow arthroplasty
,
elderly patient
,
double locking plate
,
ORIF
Keyword:
distal humeral fracture
,
total elbow arthroplasty
,
elderly patient
,
double locking plate
,
ORIF
pp.42-46
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei83_42
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は じ め に
上腕骨顆部骨折(本骨折)の手術的治療の原則は骨温存の観点から骨接合術が第一選択である.近年は骨接合インプラントの進歩に伴い良好な成績を得られるようになったが,手術時間が長く手術侵襲が大きいこと,骨粗鬆症を有する高齢者はdouble locking plate(DLP)固定に難渋する問題があげられる.また,関節内骨折で転位を伴う場合,骨接合では肘関節の拘縮を生じる確率が高い.高齢者で糖尿病・腎機能障害といった既往症がある場合は,肘頭骨切り後の偽関節,骨折部の遷延治癒・偽関節・上腕骨顆部壊死を生じるリスクもある.以上より本骨折の骨接合術は手技の難易度が高く手術に習熟を要する1,2).術後偽関節となり,二期的に人工肘関節全置換術(TEA)へ再置換術した報告が散見される3).このような背景から,70歳以上の本骨折に対し,近年は骨接合術ではなく一期的TEAを選択する報告が散見される4).われわれも症例によって一期的TEAを施行するが,その適応については十分な検討が必要である.本章では外傷に対する一期的TEAの適応,術前計画,手術手技とその注意点,変形に対するTEAとの手術手技の違いを解説する.
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